契約者貸付

急な病気で急いでお金が必要になったとき、消費者金融でキャッシングしなくても低金利、審査なしで必ずお金が借りられる方法があります。それは生命保険の契約者貸付です。

もしもの時に備えて、是非覚えておきたい方法です。ここでは生命保険の契約者貸付の申込み方法から融資までの時間まで詳しく説明していきます。

 

生命保険の契約者貸付とは

契約者貸付制度の概要
手続き窓口 保険会社の本支社窓口、電話(コールセンター)、インターネット、ATM
手続き書類 保険証券(証券番号)、本人確認書類、請求書など
貸付限度額 保険契約の解約返戻金の一定範囲内
貸付単位 1万円以上1,000円単位
貸付利率 加入時期や会社により異なる
利息計算 日割(年365日)で計算。貸付金が振り込まれた日から付利
返済方法 全額返済または一部返済
※未返済のまま保険契約を解約すると解約返戻金額から貸付の元利金額が差し引かれる
※未返済のまま保険金等が支払われると、保険金等から貸付の元利金額が差し引かれる

 
生命保険の契約者貸付とは、貯蓄性の高い生命保険の契約者が、保険の解約をしないで解約払戻金の範囲内で保険会社から利息付きでお金を借りる制度です。

解約払戻金(または解約返戻金)とは、保険を途中解約した時に保険会社から返されるお金で保険として支払うお金の内、積立部分が相当します。

そのため掛け捨て型の保険には設定されていない…もしくは設定されていても少額となります。

 

契約者貸付
出典:大同生命 契約者貸付制度(現金貸付)
https://www.daido-life.co.jp/

 

どんな人が使うと良い?

生命保険に加入している方限定になりますが、次の項目に当てはまる方には、特におすすめです。

生命保険の契約者貸付を利用した方がいい方

  • 1996年以降契約の生命保険(掛け捨て以外)に加入してる方
  • なるべく早くまとまったお金を入手したい方
  • できたらキャッシングより低い金利で借りたい方
  • 短期に返済できる見込みがある方

 

どれくらい借りられる?

多くの保険会社が借入の「解約払戻金の一定の範囲内」として割合を明示していませんが、解約払戻金の7~9割が相場のようです。

解約払戻金の一定額の割合例
第一生命 6割 ~ 8割
大同生命 貸付時(もしくは3年後)の8 ~ 9割

借入限度額

前述のとおり「いくらまでかりられるのか」ホームページに限度額の明示をしている保険会社はほとんど見受けられません。

保険そのものよる違いが大きいので、保険証券を用意して電話かインターネットサービスにて借入れできる金額を確認するのが一番早い方法です。

公式サイトに貸付額がある例

FWD富士生命(旧AIG富士生命):1万円以上300万円以下(初回の最低貸付額5万円以上)

 

対象となる保険タイプ

契約者貸付ができる・できないを保険タイプ別に分けると下記の表のようになります。保険会社、保険契約により同じ名称でも対象かどうかの違いがあるため、自分の入っている保険会社に確認が必須です。

対象・非対象の保険一覧
○ 借りられる 終身保険、養老保険、学資保険、個人年金、医療保険(解約払戻金有)
× 借りられない 医療保険(解約払戻金無)
△ 会社による 定期保険
損害保険も利用できる?

損害保険は掛け捨てタイプがほとんどですが、年金払積立傷害保険など積立型の損害保険は解約返戻金があるため契約者貸付を利用できる商品もあります。

 

契約者貸付のメリット

一般的にお金を借りるときは審査が必要です。そのため融資までに日数がかかったり、待った甲斐なく審査に落ちて融資が受けられない場合もあります。

一方、生命保険の契約者貸付は審査そのものが無いので(受付時間や曜日にもよりますが)即日送金というところもあります。また、お金を借りても信用情報に履歴が残らないのも大きな利点です。

 契約者貸付のメリット

  • 会社により即日送金可能も有
  • お金を借りても信用情報に履歴が残らない

 

申込みはどうやってやる?

申込み手続き

生命保険の契約者貸付は審査がないので、カードローンに比較して手続きが簡単にできます。また、会社によりますが即日振込み対応が可能なところもあります。

 

申込み方法

会社により方法の幅がありますが、保険担当者、電話、店頭窓口、インターネット(パソコン・携帯サイト)、提携ATMから申し込みができます。

申込み方法別の融資までの流れ

融資までの流れを申込み手段別にご紹介します。

方法別融資までの流れ
申込み方法 手続きの流れ
提携ATM お手持ちの契約者カードと暗証番号入力 → 融資
電話の自動受付 平日14:30までに手続き完了 → 融資(即日)
オペレーター対応の電話 書類郵送で到着 → 必要書類提出 → 手続き完了 → 融資
店頭窓口 必要書類持参で窓口申込 → 手続き完了 → 融資
担当者へ連絡 必要書類を手渡し、もしくは郵送 → 必要書類提出 → 融資

 

融資までの時間

最短の対応ができる保険会社では即日利用口座へ送金されます。また、会社により3営業日~1週間かかるところもあります。

融資までの期間の例
日本生命・住友生命 平日14時30分までの手続きで即日送金
三井生命 書類到着後一週間(※)
FWD富士生命(旧AIG富士生命) 15時までの受付けで翌営業日の14~16時に取引口座に着金
※書類に不備が無いの場合

各会社の契約者貸付についてもっと知りたい場合は下記より確認できます。

日本生命公式サイト 契約者貸付
住友生命公式サイト 契約者貸付
三井生命公式サイト 契約者貸付についての質問
FWD富士生命(旧AIG富士生命)公式サイト 契約者貸付

 

必要書類

契約者貸付の利用には一般的に下記の4つの書類の提出が必要です。

  • 保険証券
  • 身分証明書(運転免許証・保険証)
  • 印鑑(保険証券に使ったもの)
  • 保険会社指定の書類(請求書・申込書)など

気になる金利と利息の計算方法

保険資料

貸付金利

キャッシングとの金利比較

契約者貸付はキャッシングに比べて低い金利となってます。

ただし、契約時期により利率が変動するので保険証券を用意して申込み時期をしっかり確認しましょう。

キャッシング 4.5%~18%
生保の契約者貸付 2.15%~5.75%

契約時期による金利比較

下記の通り1996年以降の契約になると利率が3%以下に落ち着きますが、それ以前は4~5%代となっています。

これはバブル期の保険の予定利率が高く、その分貸付時の利率も高くなっているためです。

日本生命の利率
1994年4月1日以前の契約 5.75%
1994年4月2日から1996年4月1日の契約 4.75%
1996年4月2日から2014年4月1日の契約 3.75%
2014年4月2日以降の契約 3.00%

出典:日本生命 主な諸利率一覧について
https://www.nissay.co.jp/

明治安田生命の利率
1994年4月1日以前の契約 5.75%
1994年4月2日 ~ 1996年4月1日の契約 4.75%
1996年4月2日 ~ 1999年4月1日の契約 3.75%
1999年4月2日 ~ 2001年4月1日(旧安田生命契約)の契約 3.00%
2001年4月2日 ~ 2004年1月1日(旧安田生命契約)の契約 2.75%
1999年4月2日 ~ 2001年10月1日(旧明治生命契約)の契約 3.00%
2001年10月2日 ~ 2004年1月1日(旧明治生命契約)の契約 2.50%
2004年1月2日 ~ 2013年4月1日の契約 2.50%
2013年4月2日以降の契約 2.15%

出典:明治安田生命 よくある質問 Q:契約者貸付の利率
http://www.meijiyasuda.co.jp

大同生命の契約者貸付の利率
1994年4月1日以前の契約 5.75%
1994年4月2日 ~ 1996年4月1日迄の契約 4.75%
1996年4月2日 ~ 1999年4月1日迄の契約 3.75%(※)
1999年4月2日以降の契約 3.00%
※契約日が1998年10月2日以降で一時払の終身保険契約、一時払の個人年金保険契約の場合、利率は3.00%

出典:大同生命 契約者貸付金の利率
https://www.daido-life.co.jp/

 

利息計算

利息は複利方式で計算されます。複利とは利息分が次年に元金に吸収され、その金額をもとに利息計算される方式です。

100万円貸付(3.0%利息)の場合

初年度の返済額

1,000,000(貸付金元金)×0.03=30,000(利息)→ 1030,000円(返済額)

2年目の返済額

1,030,000(貸付金元金)×0.03=30,900(利息)→ 1030,000+30,900=1060,900円(返済額)

上記計算金額だけでは「たいしたことがない」と思われるかもしれません。しかし、借りる金額や返済しない年数がかさんでしまった場合、返済額は予想外な金額になってしまうので注意が必要です。

返済はどうする?

返済

返済期間

生命保険の契約者貸付は、キャッシングのように返済期間は無く「保険契約期間に返済」するのが一般的です。

また、返済額が払戻金の一定の範囲内より多くになると保険が解約になってしまいます。そのため、返済期間は「保険が解約するまでの期間」とも言えます。

会社別の返済期間の違い
住友生命 保険契約が有効期間中、いつでも返済可能
メットライフ生命 都合に合わせて返済可能。返済期限無し

 

返済手続き方法

貸付時に郵送されてくる振込用紙に返済額を記入し振込みを行います。返済額はインターネットの専用ページ(または電話)から確認できます。

また、返済する旨を保険会社に連絡すると振込用紙が郵送されて、その振込用紙で支払うこともあります。その他にも下記の方法があります。

  • インターネットバンキング
  • 提携ATM(専用カード使用など)
  • コンビニ支払
  • 窓口

【注意点】契約者貸付申込み前にチェック

注意点

「審査がないから」「すぐに借りられるから」と気楽に利用すると、後で痛い目を見るとこがあります。下記の注意点をチェックして賢く利用しましょう。

  • 保険が失効してしまうことも
  • 契約者本人が手続きを行う
  • 契約期間を確認する
  • 自分の入っている保険で確認する

 

保険が失効してしまうことも

返済額が契約払戻金の一定の範囲内を超えると、保険会社から期日までに指定金額を収めるように通知されます。期限までに支払われないと保険契約そのものが失効してしまいます

上記利息計算の項目でも紹介しましたが、貸付は複利計算のため支払わずにいると「返済額が膨れていつのまにか払戻金の一定範囲に届いていしまい、期日までに支払いできない」なんてことにもなりかねないので、返済は計画的に行う必要があります。

 

契約者本人が手続き

保険契約者に対し貸付を行うので、学資保険などで子供が被保険者(受取人)であっても被保険者が貸付制度を利用することはできません。契約者本人が申込みや手続きを行う必要があります。

 

契約期間を確認

契約期間が短いと貯蓄分が少なく解約払戻金も少額となり、契約者貸付が利用できない場合もあります。

 

自分の入っている保険で確認

同じような名称でも、保険会社・契約形態・契約期間・契約時期により貸付内容が大きく違ってきます。保険証券の番号と希望貸付金額を確認し、契約者が直接問合せ窓口に電話することが大切です。
 

保険料の払込ができない時に便利

契約者貸付制度ではありませんが、同様に解約返戻金の範囲内で未払いの保険料を自動的に立て替える「自動振替貸付制度」があります。保険料の払込みだけの制度ですが、現金が不足していて保険料の払込みができないときには便利な制度です。
 
ただし、自動振替貸付をそのままにしていると、元利金が増え続けることになります。契約者貸付と同じように、できるだけ早いうちに貸付金の返済を行いましょう。

 

まとめ

契約者貸付は契約している生命保険や損害保険に解約返戻金があるとき、一定範囲内で貸付金を受けることができるシステムです。ローンと違って審査不要で、電話やインターネットなどで手軽に貸付を受けることが可能です。

ただし、未返済のままでいると、元利金が膨らんで解約返戻金や保険金と相殺されたり、保険の効力を失ったりします。貸付を受けたら速やかに返済するように気を付けましょう。