不動産投資は節税効果が期待できる場合も

不動産投資を利益そのものではなく、税金対策として考えて興味を持つ方も少なくないかと思います。

ただし、節税と脱税は紙一重で、「節税指南」をうたう税理士が逮捕されるケースは毎年と言っていいほど見受けられます。

では、節税とは法律スレスレで成り立つグレーゾーンのものなのでしょうか。

極端な表現かもしれませんが節税は自分の所得を減らす要素を作り、それによる所得に関する税額を低くすることだと考えていただければ間違いありません。

では、実際に稼いだ所得をどう減らすのか。ここに問題があります。

所得について、サラリーマンなど勤め人として生計を立てている場合には、「給与所得」が中心となって所得が決まります。また、自営業やフリーランスの場合には「事業所得」が所得の中心になります。

この時、二足のわらじを履いて仕事をしている場合はどうなるのでしょうか。

当然所得は合算して求められるわけですが、事業所得の場合にはそれが赤字になる場合もあります。その場合にはマイナスの合算になるため、総所得は給与所得より低くなります。これは損益通算と呼ばれています。

「節税」という名の「脱税」を指南していた税理士の場合、実体のない事業についての赤字を損益通算させることで課税される所得を現象させ、その分税金を減らしていたのです。

もちろん、しっかりとした二足のわらじを履いている人もいますが、実体のない事業については本来「雑所得」として扱われるべきで、損益通算の対象にはならず、その部分で問題となることが多いのです。

なお、悪質な場合には「逋脱罪」により罪を問われる場合もあります。単純に税額分を収めれば済むだけに止まらず、法的な処分になる場合もある重篤な行為だと認識しておいてください。

では、不動産はどうでしょうか。

不動産の場合に限らず、「フジサンジョウ」(不動産、事業、山林、譲渡)については損益通算が認められます。特に不動産の場合には実態が見えやすいため、損益通算について問題になることはまずありません。怪しまれたところで、帳簿と権利書、物件そのものを見せれば十分な証明になるのです。

このように、所得を減少させてその分の所得減少による節税も考えることができる。このように捉えておけば良いでしょう。

ここで最も大切な注意点になります。

先に悪徳税理士の話をした上で説得力はないかもしれませんが、このような一般的な税制解説はともかく、個々に応じた税金対策に関しては税理士の独占業務になります。

あなたが税法に詳しくなったからといって他の人の帳簿や所得・税額計算を行うことは法律で禁止されています。もちろん無料相談であってもいけません。

医者と看護師の関係のように、どれだけベテラン看護師が詳しくとも、病気の決定は医者が行う仕事であって、看護師が決定し、治療を行ってはならないのと同様のことだと思ってください。

所得税・住民税の節税効果

先ほど簡単に解説したように、所得が減ればそれにまつわる税金は減ります。しかし、所得が減っているのであれば税金は安くなっても手元に残るお金は少ないままです。

これでは節税とは言いません。

そこで関係するのが「累進課税」です。所得税について、ある一定の額をしきい値として、それ以上の金額になると税率が大きくなる制度です。

この制度のしきい値を下回るような所得であればそれだけトータルの課税税率は小さくなるのです。結果、少額の赤字によって税額を引き下げることができる場合もあるのです。

また、住民税・国民年金保険についても同様に一定額を下回ると減免となる場合があります。

さらに、国民健康保険に加入している人ならばその保険料の減免割合も所得により決定しますので、しきい値を下回るだけで大きな節税効果につながる場合もあります。

赤字物件であっても、総合的に考えた時に税額分の支払いを抑えつける効果を狙うこともできるのです。

相続税・贈与税の節税効果

次に、所得以外の面を少し見ていきます。

相続税・贈与税についてになりますが、これらに関しても取引する物件の価値により税額は変動率が異なる制度を採用しています。

物件について、大きな物件をそのまま贈与してしまうとその金額に対して割合で贈与税が発生します。この贈与税の特殊な場合が相続税で、贈与する側が死亡している時に相続税扱いとなり税率がやや優遇されます。

ここで注目したいのは、贈与税にしろ相続税にしろ、一定額までは免除となるということです。また、贈与税に関しても、配偶者に対してであれば、その免除される金額が優遇されます。

では具体的にどのような方法が考えられるのでしょうか。

贈与税について、一年でまとめて相続する場合にはそれだけ金額が大きくなりますが、例えばアパート一棟そのものを贈与するのではなく、一部屋ごとの贈与にするのであれば課税対象額を下回る場合があります。時間はかかりますが、納税額は低く抑えられることができるのです。

また、相続税についても生前贈与とおいう形で少しずつ相続される資産の価値を減少させておけば万が一の時にもその課税額を小さく抑えることができる場合も考えられるのです。

さらに、一般的に、取引される時に使う価格について時価と路線価の価格差を使って不動産の価値が変化する場合もありますので、その差額で課税対象額を引き下げることができる場合もあります。

ただし、これらの方法については実際の所得額や持っている資産の種類、その対象についてによっても変化しますので、税理士として資格を持った人にしっかり相談しておかないと、無用の税金を取られる場合や、最悪脱税として法の裁きを受ける場合もあるので素人考えで手を出すのはお勧めできません。

減価償却について

減価償却とは固定資本減耗とも呼ばれますが、大きな施設、機械、建物など、購入時に一括で経費にするのではなく、何年かに分けて経費として計上する方法になります。

これは、対象となるものの価値について、定められた期間に分割して経費計上することになるので、キャッシュフローを考える上では重要な知識になります。

注意して欲しいのは建物については減価償却が認められますが、土地については減価償却は認められないということです。

一括で購入した場合には、減価償却できる部分とそうでない部分にしっかり分けて計算する必要があります。

また、不動産建物の減価償却についてはその耐用年数で分割した分を、その年数の分だけ計上することができます。

木造であれば22年、RCであれば47年の耐用年数がありますので、同じ価格の物件ならば1年あたりの減価償却費は木造の方が大きくなりますがRCの方が長い期間減価償却を行うことが可能になります。