不動産投資の収益物件の管理については個人で管理する方法と管理会社に委託する方法との2種類があります。

管理会社に委託する場合にはそれで所有者は管理から開放されますが、それだけ費用はかかります。個人での管理を行う場合には費用はかかりませんが手間や時間がかかってきます。

ここでは投資用物件の管理について説明していきます。

物件の管理1 家賃の管理

不動産投資はその賃貸による家賃を収益の主にしているわけですから、その家賃についての管理が大切になってきます。

遅滞や踏みたおしが起こらないように毎月の収支を確認するだけではなく、問題を起こす入居人をしっかり判断して注意喚起を怠らないようにしなければなりません。

一般的に、家賃滞納については以下の手順をふむ場合が多いので覚えておくと良いかもしれません。

電話による注意

支払日に振り込まれていなかったり引き落とせなかった場合には速やかに連絡を行います。

基本的には支払日の翌営業日の午前までに何もなかった場合には、その時点で連絡を行うのが理想的です。ここで数日置いてからの連絡になりますと、次は「その日数位なら大丈夫」と甘く見て、その遅滞がどんどん常習化してしまうことが多々見受けられます。

その期間が一ヶ月になってしまうと、予定されるキャッシュフローの収益分が一ヶ月分がまるゼロになるのと変わりません。

言い換えれば、家賃延滞は最終的にプラスマイナスゼロなのではなく、延滞部分のランニングコスト分のマイナスに繋がるのです。電話一本の手間で解消できるならばそれに越したことはありません。

入居者が忘れていただけの場合もありますし、ちょうど金融機関の取り扱い時間の間で遅れた処理になる場合もありますが、その時にはしっかりとその旨を伝えておけばトラブルになることはありません。

手紙による注意

電話がつながらなかったり、明確な対応(と言っても振り込んでくれればそれでいいのですが)がない場合には書面での注意喚起になります。このような書類のことを督促状と言います。

法的な拘束力はなくとも、書面で形が残るようにして相手に通知します。手紙を送付するか、直接部屋のポストに入れておけば良いでしょう。

連帯保証人への連絡

さて、ここからは少し面倒なレベルになってきます。それは、ここからの手続きは裁判になった場合に不利な状況にならないための土台作りになるからです。

入居者からの連絡がない場合、連帯保証人へ上記の電話・手紙のいずれかで連絡を行います。この場合、連帯保証人はその家賃について連帯責任を負っていますので、家賃という債務を入居者から請け負った状況であると考えられます。

したがって支払わない場合には債務不履行となります。当然ですが支払ってさえもらえればそこで話は完了です。

内容証明郵便による請求

さらに、こちらがしっかりとした督促を行ったことの証明を行っていきます。この内容証明郵便は督促の証拠になりますので、裁判においては重要な意味を持ちます。

裁判による請求

ここまで来てしまうともう入居者との関係は修復不可能でしょうし、裁判を起こしてからその回収までには大きな時間を必要とする場合もあります。

賃借人としてもここまで来るのはなんとか避けたいところですが、状況によっては致し方ない場合も存在するのが事実です。60万円以下の少額訴訟であれば簡易裁判所での取り扱いになります。

物件の管理2 クレーム対応

クレーム対応についてはその程度と妥当性の判断が難しい場合があります。

大家は、その部屋の現状を賃貸していると考えられますので、元の状況以上の形に価値を高める必要はないと考えられます。

例えば、電球が切れた場合。基本的には電球のソケットまでを賃貸部分として考えて入居者に交換してもらう場合が一般的でしょう。

それに対して、そもそものソケットが壊れてしまった場合は大家が修理する義務を負うべきです。このような費用を修繕費と呼びます。

この修繕費は大家の持つ物件に対する修繕権。物件自体を修繕する権利とも考えられます。

したがって、壁のヒビなど、放置すると悪化する可能性のある事態に対して入居者を一旦退避させて修繕を行うことも可能になります。

それに対して、「電球ソケットが壊れたので勝手にシャンデリアにした。費用をよこせ。」というのはクレームに当たるでしょう。

このような場合は、電球よりもシャンデリアの方が価値が高く、そのように価値を高めたかった入居人の都合により費用がかかったと考えられるからです。

場合によってはその価値増加分を退去時に支払うケースもありますが、基本的には大家は対応する必要はないことになります。

物件の管理3 退去後の原状回復作業

いわゆる敷金問題になります。敷金は名目としては、退去後の原状回復作業にかかる費用についてになりますので、その回復費用を超えた分の敷金については返却の必要があるわけです。この原状回復という言葉についての認識がまちまちなので様々な問題が起こります。

入居者にしてみれば、「当然の経年劣化についての責務は負う必要がない」と考えるでしょうし、大家としては「入居時の状態への回復」と考えるでしょう。

状況にもよりますが、固定資本減耗を考えての算段をしっかりしているのであればその時の入居者に対して負担させるのではなくそれ以降の入居者に対して家賃による負担になるよう算出するのが妥当ではないでしょうか。

もちろん、敷金はそれだけではなく、入居者が家賃滞納に陥った場合の保証となる原資ともなりますので覚えておきましょう。

物件の管理4 入居者の募集

個人で管理する場合、入居者の募集も自ら企画する必要があります。

一般的なのは自分の物件についてのポートフォリオを作成し、不動産販売会社へ売り込みにいくやり方です。大手管理会社の不動産物件と異なり、個人の不動産物件は不動産セールスマンでも特徴をつかみきれていない場合が多く、入居希望者に対してその物件の特徴を伝えきれていない場合が散見されます。

したがって、大家自らがそのセールスマンに伝え、さらに入居者に対してしっかりと売り込んでもらえるような資料を作成することが入居者を確保する第一歩になるのです。

管理会社に任せるか、自分で管理するかを決める

ここまで、個人での管理についての説明を行ってきましたが、これらの作業を代行してくれるのが管理会社になります。

しかし、管理会社によりその費用や管理の程度が異なりますので、事前にしっかりと確認しておく必要があります。管理会社によっては、全ての代行のみではなく、分野ごとの代行も引き受けてくれる会社もありますので、その費用とかかる時間の度合いで判断しても良いでしょう。

さらに、サブリースと呼ばれる、不動産運営の一括委任の形式もあります。この場合には大家は運営に携わることなく、サブリース会社の定める賃料を収益として得ることになります。通常はその不動産物件の状況に関わらず一定額が保障されます。