融資を受ける際の注意事項

融資を申し込む際に幾つかの注意点がありますのでまずそこについての解説を行います。

まず第一に、社会人としてしっかり信用に足る状況を作っておくことです。

税金や社会保険、公共料金、クレジットカードの支払いなどはしっかりと済ませておく必要があります。

もしも、滞納しているものがあれば事前に清算しておく必要があります。社会人として必要最小限度のこともできない人間とみなされてしまった場合には融資を検討する土俵にも上がれないことになります。

あまり好ましくはありませんが、その時点で解消できない時にはノンバンクからの借り入れを行ってでも解消しておく必要があります。

また、担保・保証人についても事前に検討しておいたほうが無難です。担保についてはその価値そのものですからわかりやすいでしょう。

保証人については、所得だけではなく所有資産や仕事の種類が重要になります。毎月定期的に収入のあるサラリーマンや公務員はそれだけ信用が高いため保証人としての評価は大きくなります。

逆に、年収が大きくてもフリーランスや年金生活の方は評価は小さくなります。

不動産投資に限らず、金融機関からの借り入れを申し込む際に十分注意して欲しいのは、
「いくらまで借りられるか」とか「限界まで借り入れたい」という申し出を行わないことです。

金融機関は、「ある事業計画、投資計画について、必要な資金を融通するところ」であって、「融資の額が決まってからその資金での計画を考えるところ」ではないのです。

そもそも、事業についで必要以上の融資を受けてしまえば、それだけ月々のキャッシュフローの悪化を招きます。それにもかかわらず「借りれるだけ借りたい」のであれば、その事業自体への理解や計画性が投資家に不足していることを露呈することになります。

特に投資を初めて行う際は失敗を知らない分大きな額での勝負を行いたい気持ちが大きく、大きな資金に対して憧れてしまうことも多く、ついつい口からこのような言葉が出てしまう場合も少なくありません。

また、我々が普段気にも留めないことが金融機関では評価の対象になることも覚えておきましょう。例えば、居住年数について、長ければ長いほど属性はよくなります。

どこに住んでもお金のこととは関係はないように思えますが、金融機関ではこの居住年数を1つの基準にしているところが少なくありません。

さらに勤続年数も評価につながります。理由はわかりませんが、仮に返済が滞り、そのまま逃げられてしまった場合、ひとつところに長く居た人のほうがその後の足取りをつかみやすいということなのかもしれません。

ずいぶん性悪説に基付いた穿った考え方かもしれませんが、金融を行うということはそれだけの信頼と厳格さを要求されることだというのはしっかりと肝に銘じておいてください。

借り入れを申し込む際にもキャッシュフローと合わせてその投資についての現在と将来的な展望を説明する必要があります。

それは、単純にその事業・投資の魅力を語る心情的なものではなく、実務的な収益についての根拠と実績を伝えることが大事になります。

よく言われるのは「銀行は紙切れ(事業計画書)にはお金は出さない」という言葉ですが、実際は「紙切れ(キャッシュフローなどの返済根拠や確定申告書などの実績)」に対する信頼として融資をしてくれるのです。

複数の金融機関に申し込もう

さて、事前の確認が済んだならば実際に金融機関に申し込むことになります。銀行の内部基準は厳格なもので、その基準が満たされていなければ融資は行われることはありません。

しかし、その基準は非公開で知ることはできません。したがって我々が手に入れられる情報はその融資を申し込んだ人が通過したか否かだけなのです。

ここで知っておいてもらいたいのはその審査基準は金融機関ごとにまちまちであるということです。

基準を厳格に守るのには違いはありませんが、金融機関ごとに異なりますのである銀行ではそもそも融資が下りなかったり、逆に同じ条件でも信用金庫だと予想外に小さな金利で借り入れができたりと金融機関によりあなたへの評価は異なり、融資自体の条件も異なってくるのです。

また、自分の情報についても、その時期によって異なる場合もあります。融資の基準となるあなた自身への評価は、過去にどのような金融状況にあったのか。それに対してどのように対応してきたかになります。

債務をしていたこと自体はマイナス評価にはつながりませんが、その債務に対してどのように対応したか。遅滞や踏みたおしなどがあった場合には大きなマイナスの評価になります。

しかし、かなり昔にそのような遅滞があったとしても、その後今に至るまでしっかりと返済しているのであれば評価は回復します。

一般的に、遅滞を解消して最低三ヶ月は申し込みをしても評価は下がっていると言われています。

当然内部審査基準はわからないので根拠となるようなものはありませんが、状況次第では、少しまった上で申し込んだほうが有利な条件での借り入れを考えることが出来るかもしれません。

さらに、現在の借入状況についても評価されます。借入が大きいにもかかわらず新たな融資の申し込みを行う場合、計画性について疑問を持たれても不思議はありません。

大きな借入があったとしても、それについて遅滞なく返済し、十分なキャッシュフローを確保している客観的な根拠を提示できれば、逆にそれはあなたの信頼となります。

2棟目以降の融資について

さて、一回目の融資が通過し、1棟の購入が出来たとしたとしましょう。

この時にしっかりとプラスのキャッシュフローを確保しつつ運用できているのであれば投資は成功していると評価されます。それは、その投資自体の評価ではなく、その投資を企画したあなたへの評価となります。

ところで、金融機関は、投資が必要な人に対しては投資を渋り、投資が必要ない人には投資を勧誘する傾向があります。

それは、投資な必要な人はお金の運用が下手。したがって融資も返済できるかとどうか信頼できない。との評価からなのです。

ここで、一回目の投資に成功したあなたはどう判断されるかといったら当然後者になります。2棟以降の投資は一回目の投資よりもより良い条件でのものになるでしょう。

しかし、融資の条件が緩やかになったとしても、投資は収入と返済のバランスであるキャッシュフローが重要なのは変わることがありません。調子に乗って無理な投資を行うと当然資金の循環に綻びが発生します。

そこで失敗したら、資金だけではなく、あなたそのものへの信頼も損なわれてしまうことになるのです。