不動産投資を行う場合において、金融機関の融資はやはり考慮に入れるべき要素になってきます。
全てを自己資金で賄うことは理想ですが、キャッシュフローを最大化させることを考えればレバレッジを考慮しつつ、考えられる収益を拡大させる意味でも元手となる資金を最大限利用することを検討するべきでしょう。
ここでは、融資先について、簡単な傾向を参考になる程度にまとめて解説をしていきます。注意して欲しいのは、投資側の収入、職種、現在の借り入れ、担保など。
投資対象の利回りや立地など、特に不動産に関しては個々での状況が細かに変わりますので、期間、金利などの詳細については各金融機関に直接尋ねるのが一番となります。
政府系金融機関の特徴
政府系金融機関というと難しそうですが、現在は日本政策金融公庫に統一されていますので、それについて解説していきます。商工組合中央金庫も公的金融機関ではありますが、基本的にその地方に関係するような要素がなければ対象としてくれないのでここでは割愛します。
まず、この日本政策金融公庫の特徴は、公的機関であるために、融資による利潤を考える本来の金融機関側面だけではなく起業や生活の保全といった公的な支援といった側面も持ち合わせていることです。
例えば、新規事業立ち上げに関する創業支援融資や女性限定の金利などが公的側面の強いものと言えるでしょう。
したがって、投資については融資は行ってはいないものの、不動産投資については不動産事業創業としての申請で金利自体を低額に抑えられるのが一番のメリットになります。
ただし、これによって、キャピタルゲインを求めることは難しくなります。あくまで事業として取り扱うこととなるため、売却してしまうのであれば、それはすでに投資であるとみなされてしまいます。
しかしながら、様々な制限があり、自由度にかけるのがデメリットになります。
例えば、融資の上限についてですが、おおよそ4800万程度が限界になります。組み合わせてでの融資でも7000万円以上はかなり難しくなります。
また、返済期間もその物件の構造に限らず短くなります。おおよそ10年程度、最長15年を目安に考える必要があるでしょう。もちろんこれが投資対象の耐用年数を超えるようであれば途端に融資は難しくなってきます。
また、頭金がなくても担保を差し出すことでの融資が期待できるのも公庫の魅力です。程度にもよりますが、2000万円以下であれば担保不要とすることができる可能性があります。
都市銀行の特徴
都市銀行、いわゆるメガバンクは規模が大きい分、その審査に時間がかかるのがデメリットです。
さらに、審査自体も厳しく、一般的に不動産投資の下限と言われる年収500万円では相手にもされず、700万円でもどうかという程度に融資は通りにくい傾向があります。
もちろん、これは預貯金や資産により異なりますが、個人が融資を通すことは簡単ではないことは覚えておきましょう。
しかし、一旦通ってしまえば金利は低く抑えられているため、有効なキャッシュフロー形成の力になってくれます。
また、全国的に展開しているため、融資についての地域を考える必要がないのも大きなメリットになります。
地方銀行の特徴
地方銀行はやや特殊で、その地方銀行によって性格や度合いは異なりますが、その土地の人がその土地のために使う場合には融資の基準が引き下がる傾向にあります。
また、大手の銀行に比べてその地域での投資家の実績や所属会社の信用度が融資に対して加味される度合いが大きいようです。
さらに、大手よりも利息が小さく済ませることもできる場合が多いのも特徴と言えます。住んでいる地域で同じ地域に投資するならば十分検討に値するのではないでしょうか。
信用金庫の特徴
信用金庫や信用組合は会員の資格こそ違いはありますが、元々は地域の人たちによる非営利の金融機関ですので、複数の県にまたがるようなメガ信金のようなところを除けば、基本的にはその地域の人がその地域に対しての投資にしか使うことができないケースの方が多く見られます。
さらに、事業性のある不動産の取り扱いならば対応してくれますが、単に不動産投資というだけでは対応はしてくれません。
また、事業者本人への評価を大きくとる傾向があり、その評価のためにも地元の有力者からのつてを利用した上でのアクセスが求められます。
しかし、一旦信用を手に入れてしまえばかなり柔軟で親身になった融資を行ってくれますので、積極的なアプローチを心がけて利用出来るだけの信用を得れるようになれば強い味方になってくれます。
外資系銀行の特徴
外資系銀行(シティバンク)の特徴としては、基本的にはファンドとしての側面が強いため、都市銀行以上に融資対象の年収や預貯金についての条件が厳しいということになります。
また、それだけではなく不動産投資対象となる物件の地域や利回りまでをかなり詳細に審査されますので注意してください。
ただし、外資系の特徴として、返済期間は年齢によって返済期間が決められることが多く、そのため、築年数はあまり気にしなくても良いことになりますし、投資期間を長めに取ることができるため多少利子が高くてもキャッシュフローでは有利になる場合も少なくありません。
不動産投資についての融資に積極的なSBJ銀行(韓国)は金利こそ高いものの、本人の属性についての基準は甘い傾向があるようです。
ノンバンクの特徴
ノンバンクとはいわゆる消費者金融やクレジット会社に代表されるような他行の融資を原資として用いる金融機関になります。言い換えれば貸し出しのみを行う金融機関です。
特徴としては審査が早く、基準が低い。その代わりに金利と返済期間が短いことになります。
審査基準が低いため、自分で気がついていなかった弱点のある物件についても購入できてしまい、融資してもらったこと自体が足かせになってしまう場合もありますので注意が必要です。
特に、銀行で融資が下りなかった物件についてもノンバンクならば下りる場合があります。この時には単に融資が決定したことで安心するのではなく、その一歩前になぜ審査が下りなかったのかを考えるべきでしょう。
金利・期間に不利な点があるとはいえ、短期的に資金が必要になった場合にはその特徴が生きる場合もあります。しっかりとしたリスクに対する理解があれば奥の手として考えておくことも必要です。