不動産投資を考えた時、まずその対象を探し、選ぶことから始めなければなりません。
投資に向けての検討を行うにあたって、自分の目的に対してどのような物件が適しているかをある程度見定めて探すことで投資すべき物件を速やかに見つけることができます。
ここではその投資対象のおおよその特徴について解説します。
新築と中古
保有する目的と機関によって大きく異なる理解が必要になるのが新築と中古の物件になります。お互いにメリットとデメリットがありますのでしっかり理解しておいてください。
細かな内容は個々の物件で異なりますのでおおよその傾向として理解しておいてください。
まず、新築の場合です。新築の場合にはまず、頭金が少なくて済むメリットがあります。物件評価にもよりますが、小さな割合の頭金での融資が可能となる場合が多いのです。
同じ程度の価値の物件に対して、投資総額全体で見た場合には大きな差にはなりませんが、キャッシュフローを考えた場合には大きな差になります。
また、築年数が少ないため、長期的に保有できますので、家賃などのインカムゲインだけではなく、譲渡益によるキャピタルゲインも考えることができます。
加えて、新築物件の場合には住宅関連の税制優遇が活用できる場合もあります。税制関連については個々の場合により異なってきますので税理士に相談するのが良いでしょう。
しかしながら、その分、長期的な返済を求められ、利回り自体は小さくなる傾向にあります。
中古物件についてはその逆に、高い利回りがその一番のメリットになります。しかしながら、その他の部分。特にキャッシュフローについて、頭金と期間の面でリスクが大きくなる傾向があります。
一般的には長期的な目で、リスクを避ける投資を考えるのであれば新築物件を。それよりも大きい利益をリスクと引き換えに考えているのであれば中古物件の投資が向いているということになります。
区分建物と一棟建物
わかりやすく言い換えれば、ワンルームマンションとマンション一棟のことになります。
まず異なるのは必要となる資金の違いでしょう。当然ワンルームの方がより小さな資金から投資が可能になりますし、ローンについても大きな借り入れをする必要がなくなりますので、利回りはより大きく期待することができます。
しかし、入居者について、「いる」か「いない」かによって収益が100%か0%かになってしまうという危険性もはらんでいます。
それに対して、一棟建物ならば、入居者は統計的に安定してくれます。多少の変動はあっても極端な動きは考えなくても済みます。
ただし、一棟建物の場合、単純な日々の補修だけではなく、大掛かりな設備補修も必要になりますので、しっかりとした計画を立てて運用する必要があります。
また、最終的に売却を考える場合、ワンルームの場合はなかなか買い手がつかない場合があります。特に中古物件の場合、期待できる収益が小さくなりますので取引は難しくなります。
一棟建物の場合にはワンルームよりは取引の対象として選ばれる機会には恵まれることになります。
RCと木造
RCとは鉄筋コンクリート建の建造物を表す言葉で、木造と合わせて、建築方法の違いを表している言葉になります。もちろん、簡単に想像がつく通りにRCと木造は耐久性と建築費用という部分で大きく異なります。
この違いは耐用年数として法的にも差がつけられており、一般的な木造で22年、RCであれば47年とされています。
この差は単に耐久性だけではなく、金融ローンの年数にも影響を与えます。
すなわち、同じ価格であれば長期に返済期間を設定できるRCの方が有利なキャッシュフローを作ることができるのです。もっとも、費用面ではそもそもの取得コストについてRCの方がかなり大きくなるため、単に価格面での比較は危険ですので注意してください。
さらに、RCによる建造物は高層の建造物にすることができるため、小さな土地であっても多くの個別賃貸物件に分割ができますし、それだけの収益を期待することができます。
木造では精々二階建て、一部三階程度が限界でしょうが、RCならば10階以上も考えることができます。1つのRCテナントが木造建築片手分を合わせたより大きな収益を上げることも珍しくありません。
しかし、高層の建造物にした場合、エレベーターや給水など、物件全てに関わる関連経費が大きくなる傾向があります。さらに、RCは資産価値を高く評価されますので、固定資産税が高額になる場合がほとんどです。
このようなランニングコストがかかる分、家賃を高額に設定しやすいのですが、もし空室ができた場合にはそのランニングコストによって収益が大きく損なわれる可能性もあることはしっかり認識する必要があります。
都市部と地方
都市部と地方の物件については、不動産としての側面と取引対象であるという側面の二面を考える必要があります。
まず、自分にあった条件の物件の探しやすさについては実際の所、大きく違いはありません。日本に限っても不動産物件は数多く、地域にとらわれなければ条件に合った物件は現在の発達したインターネット上から探すことは難しいことではないのです。
しかし、その物件に入居する人にとってみると、その場所で生活することになりますのでその地域に縛られた物件を手に入れなければなりません。このような入居側の需要が不動産価格やその特徴に大きな影響を与えます。
成約価格について見た場合、似た程度の物件であっても都市部であれば、投資物件としても居住物件としても需要が大きいためそれだけ需要側からの価格の引き上げがあります。
したがって、どうしても高額になる傾向が強く、地方の場合には売り出していても需要が小さく取引できない期間が長くなる場合も多いため、それよりも割安になります。
逆に取引のしやすさを考えた場合、需要数の大きさはそのまま流動性につながりますので、収益物件として考えた場合、空室期間の長さにもつながりますし、手放して譲渡益を必要とする場合の成約までの期間に関係してきます。
都市部の場合には高額な分実質利回りは小さくなるかもしれませんが、大きな需要に支えられた流動性により安定的な収益を期待できるでしょう。
地方であれば物件が安い分利回り自体は大きくはなりますが、それだけ取引にかかる時間や空室の問題など、資本面以外のリスクについてのマネジメントが必要とされる可能性が大きいのです。