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エリアやキャッシュフローを考えて、物件を決めよう
収益物件のために不動産購入を考える場合、どのような観点で決めていけば良いでしょうか。
まずはエリア。地域です。このエリアの判断も投資の目的により異なってくる場合があります。
例えば、キャピタルゲインを考えるならば今後人気が出てきそうな観光地など、現在は安く購入できるが将来に期待が持てる物件が良いでしょう。
それに対して、インカムゲインを考えるならばそれなりに需要のある地域での検討が必要です。
ここで注意して欲しいのは、自分で住むわけではないのですから、自分が住んでいる地域にこだわる必要はないということです。
地の利のある地域での購入は細かな部分で情報を集めやすいのは事実ですが、大きな区分けで考えた時に、他の地域の方が全体的に状況が優秀ならばそちらを選択した方が最終的にはプラスに働く場合が多いのです。
また、キャッシュフローの概念も身につけておいた方が良いでしょう。不動産投資におけるキャッシュフローとは月単位での入ってくるお金と出て行くお金の差額になります。
当然のことですが、入ってくるお金が多ければ黒字、出て行くお金が多ければ赤字となり、どこかからお金を融通する必要が出てきます。不動産投資のキャッシュフローは一般的に、
(キャッシュフロー)=(税引き後利益)−〔(返済額)+(管理費)〕+(固定資本減耗)
となります。固定資本減耗は減価償却と同じ意味で、大きな額の設備などを購入した場合、その分を一気に経費にするのではなく、いくつかに分割して計上します。したがって、支払った後にその分を加算して考えるのと同じことになるわけです。
また、このキャッシュフローからある物件に対してどの程度の期間のローンを組めば利益が上がるか、もしくは上がらないかも予想できます。
キャッシュフローを考える上でも税金や管理費など、表面的にわかりにくい部分の算出も必要となりますし、税額についても給与所得との兼ね合いでどのような算出が適してくるかは変化しますので、租税関連の計算については税理士の方にお願いするようにしましょう。
相場を調べよう
さて、欲しい物件の地域が決まったならばその場所の相場を調べましょう。
不動産価格については一物四価と呼ばれる4つの価格が存在しますので注意してください。
- 公示地価格(国交省管轄)
- 基準地価格(都道府県管轄)
- 相続税路線価(国税局管轄)
- 固定資産税評価(市区町村管轄)
これらは管轄の違いと評価の基準が異なることで生まれる4つの価格になりますが、取引する場合にはさらに、2つの価格を覚えておきましょう。この2つは取引時に勘違いするといけませんので、意味も覚えておいてください。
実勢価格(時価)
これは実際に土地の売買契約が成立した価格になります。
不動産は流動性が小さいので取引成立の実際の情報がその地域の需要と供給を推し量る一番確実なものとなります。
周辺の環境なども要素に含まれてきますので一概にこの価格で取引できるとは限りませんが、参考にする価格としては重要です。
売り出し価格
売主が売却を行おうとしている時に提示している価格になります。
これはあくまで売主希望価格になりますので上記の実勢価格とは異なることに注意してください。
そもそも不動産は1つ1つが異なり、全く同じ物件は存在しません。これを不動産の個別性と呼びます。したがって定価が存在しないものになりますので、その取引の実情から判断するのが最も適しているのです。
さてこのような取引価格をどのように調べるのが良いでしょうか。
簡易的に情報を集めるならば、不動産情報サイトや、その土地の不動産会社などの情報を当たるのが早いでしょう。
もう少し情報を増やしたければ国土交通省の土地総合情報システムで情報を集めるのもいいでしょう。ここでは公示価格と取引された実勢価格の履歴がわかります。
ネットでも探せる収益物件
先ほども説明した通り、ネットでの収益物件の検索は非常に有効です。
実際に足を運ばなくともその土地のおおよその相場が判断できますし、何より大量の情報を扱うことができます。
あらかじめ欲しい物件の概要を自分の中で定めておくことで速やかな検索と判断が可能になるでしょう。実際に検索してみるとわかることなのですが、日本各地の各地域でその物件には特色があり、多種多様な条件が存在します。
さらに、具体的な家賃相場と入居率をおおよそ割り出したり、条件指定によって制限をかけた物件のデータ分析も行えるサイトまであります。
その中で自分の好みの物件を探すこと自体魅力的ですので、購入意思はともかく、色々と探してみるのも刺激的です。
レントロールとは?
さて、購入を検討するに値する不動産物件が見つかった際に、家賃と現在の入居状況を確認することのできる資料がレントロールとなります。
部屋やテナントの区切りごとに「間取り」「家賃」「入居状況」「契約期間」が見て取れます。
レントロールから分かること
レントロールから判断できるのは記載されている情報だけでしょうか?
実は、この情報を組み合わせることで物件の現在の人気や取引時に予想される家賃の変化傾向も判断することができます。
例えば、家賃が20000円の部屋と25000円の部屋があった時、入居が早い時期の部屋の方が高額の場合、家賃は大きな下降傾向にあることがわかります。
原因まではわかりませんが、可能性として「設備の老朽化」か「周辺環境の変化」が考えられます。実際にその場へ行って判断する際に判断しなければならない部分が明らかになります。
また、この実際の数値がわかれば利回りについてより詳細な計算を行うことが可能です。
通常、物件に関して総合的に情報を集める場合に表面利回りしかわかりませんので、ここで改めて判断するべきでしょう。
現地に足を運んでみよう
さて、ここまで情報が集まったならば実際に現地に行って物件を確認してみましょう。
日本人の性と言いますか、わざわざ遠出して業者さんにご足労頂いてしまうとそこで買わなければならないと思い込んでしまいますが、最終判断材料ではあっても、最終決定ではないことは心に置いておきましょう。
ついついその場の空気で契約してしまわないように、いままの注意点を参考に事前に確認するべきポイントをあらかじめ設定しておき、その部分について客観的に判断するように努めてください。
現地でこんなことをチェックしよう
現地では、事前に確認したことだけではなく様々な部分に目を光らせる必要があります。
特に、物件そのものよりも、その周辺環境についてはデータ上では判断できない部分が大きく、現地に足を運ばない限り判断しかねる要素も多くあるのです。さらに、その地域の市役所や最寄りの商店街などに足を運ぶ機会があれば、その地域の実情をより正確につかむことができます。
ちょっとネガティブな考え方かもしれませんが、「現在売りに出しているということは、なんらかの問題があるはず。」と考えて判断するくらいが適当になります。