収益物件を購入した際にはこんな手数料がかかる
不動産購入はそのかかる金額も大きいものですが、取引時の手続きもなかなか煩雑なものです。
売買の当事者だけでなく、その仲介者や取引を確認し登録を行う士業資格を持った人が必要となりますので、手数料だけではなく、手続きの段取りも知っておくと良いでしょう。
必要資金の見積もりのためだけではなく、できるだけスムーズに行うためにもおおよその段取りを知っておくと手間を省くことができます。
注意点としては、ここで説明する内容は取引時におけるもので、所有した後にかかる費用とはまた別であるということです。
また、細かな内容については個別に異なる場合もなりますのでここではおおよその概要を捉える形で説明していきます。
不動産購入時に必要となる費用
まず、物件そのものの本体価格が必要となりますが、その時に消費税がかかってきます。
注意して欲しいのは土地取引は資本の譲渡になりますので消費税はかかりませんが、建物取引については消費税がかかってきます。
現在は総額表示方式といって税込価格の提示になりますので混乱することはないでしょう。
さて、実際かかる費用をおおよその分類で説明していきます。まずは租税公課に相当するものは以下のようになります。
登録免許税
所有権の変更や登記を行う際に必要となります。
この登記については、自分で行うこともできますが、不備があった場合に時間がかかりますので、一般的には、司法書士依頼するものになります。その場合には依頼報酬が発生します。
印紙税
一言で印紙税と言っても、
- 「売買契約書に必要となる印紙税」
- 「建物請負契約書に必要となる印紙税」
- 「金銭消費賃貸契約書に必要となる印紙税」
の3つの契約書で必要になりますので注意してください。
これらの印紙税は扱う金額によりその税額は異なってきます。
最後の「金銭消費賃貸契約書に必要となる印紙税」については金融ローンを組む時に必要になるものですので、一括で購入する場合には必要ありません。
不動産収得税
所有権移転後に土地・建物について課税されます。
住宅関係であれば土地・建物共に3%ですが、住宅以外の店舗・事務所などであれば土地3%、建物4%の割合となりますので注意してください。
固定資産税、都市計画税清算金
この税金については所有者が支払うものになりますので、年の間で変更があった場合には日割り計算で清算する必要があります。
贈与税、相続税
少し特殊かもしれませんが、建物を売買するのではなく譲ってもらったり相続した時に必要となってきます。建物を相続し、土地を購入するような場合にはこの税金がかかることを覚えておきましょう。
次に金融ローンに関するものをあげてみましょう。
印紙税
先ほども紹介いたしましたが、契約書には印紙税が発生します。
ここでは金融ローンに対しての契約書に「金銭消費賃貸契約書に必要となる印紙税」が必要になります。
これは扱う金額により必要となる税額が定められます。
融資事務手数料
金融機関へ支払う手数料になります。これは各金融機関で異なります。
ローン保証料
主に住宅ローンで用いられることになる保証料になります。一般的に借り入れを行う際には連帯保証人を立てることが多いのですが、ローンの種類によってはこのローン保証料を求める場合もあります。
ただし、連帯保証人を立てることで支払わなくても良いとする金融機関もありますので、個別に確認が必要となります。
このローン保証料は住宅ローンの返済が滞ったとき、あなたに代わって保証会社に支払ってもらうための保証料となります。
したがって、この金額はローン審査の結果によって異なります。
返済について信頼が置ける要素があれば、それだけ小さくなります。
団体信用生命保険保険料
これも住宅ローンに関係するものになります。通常の銀行ローンの場合には金利に含まれています。
契約者が返済期間中に死亡もしくは返済不能になるような重度の障害を持った場合に、生命保険会社が本人に代わって返済するための契約になります。
火災保険料
住宅ローンの借り入れにあたって、購入する建物自体にかける必要のある保険の保険料です。金融機関によって異なります。
さらに、不動産取引関連の会社に支払うものが以下になります。
不動産仲介手数料
不動産会社に支払う仲介手数料になります。400万円を超える物件であれば
(仲介手数料)=(売買金額)×0.03+6万円
となり、これにさらに消費税が加えられます。
本来は売買金額の大きさにより税率が異なりますが、400万円を下回る場合にはこの算出よりも小さな額になります。
なお、これは仲介手数料として設定しても良い最大金額になりますので、これを下回る場合もあります。
管理費等清算金
マンションやテナントなど管理費が必要となる物件の場合、を日割りにして清算します。
負担金
水道や電気といった加入金が必要な設備を設置する場合はその分の負担金が必要となります。
以上が購入時にかかるおおよその経費になってきます。
不動産売却時に必要となる費用
不動産売却に関しても実際の不動産本体価格だけではなく、それにまつわる手続き費用がかかってきます。
しかし、先ほど購入時の諸経費で説明した部分の一部は契約者双方に関わるものとなっていますので、その説明については省略して解説していきます。
また、購入するわけではないのでローン関連の費用は必要ありません。
それでは内容を見ていきましょう。
印紙税
先ほどお話しした
「売買契約書に必要となる印紙税」
「建物請負契約書に必要となる印紙税」
この2つの印紙税がかかります。
登録免許税
購入時もお話ししましたが、抵当権・売主の変更に関する登録免許税が必要になります。
手続きをスムーズに行うことを考えると、専門士業の方にお願いするのが良いでしょう。
売却時に関して、その土地・建物が未登録であったり、変更があった場合には土地家屋調査士の方に依頼してその変更を記載する必要があります。
この場合にも土地家屋調査士への報酬が発生しますので覚えておきましょう。
譲渡所得税
譲渡所得税については、金額の大きさや給与所得などの要素が加味され、申告の方法によっても異なってきますので、ここでは一般的な算出とどんなものかの紹介だけにとどめておきます。詳細については税理士の方へ相談するのが適切でしょう。
まずは、譲渡所得の算出についてです。
譲渡所得税=〔(譲渡による総収入金額)−(取得費)−(譲渡費用)−(特別控除)〕×税率
となります。この時、税率はその年度のすべての収入額により変化します。
さらにこの譲渡による総収入金額は
(譲渡による総収入金額)=(売却代金)+(固定資産税等の清算金)
となります。
また、取得費について、設備費及び改良費用(固定資本減耗も加味)を差し引くことができますので覚えておきましょう。
不動産仲介手数料
これも先ほどの購入時と同様にかかります。算出についても同様となります。
以上のように、特に租税公課部分での処理が煩雑になりますので、不安な場合にはしっかりと不動産会社や関係する士業の方と相談するのが適切になります。