
ソニーバンクゲートは、ネット銀行大手のソニー銀行が2017年に運営を開始した、クラウドファンディングサービス会社の一つです。
ソニー銀行が運営をしてるためソニーバンクゲートは経営基盤がとても安定しています。
取り扱っているファンドは少ないながらも「FATBURGER日本一号店出店ファンド」など興味深いものがあります。
本ページではソニーバンクゲートの手数料や、利回りなどについて詳しく解説します。
また、ソニーバンクゲート以外のセキュリテや開花などのファンド型クラウドファンディングサービス業者と比較してみたい方には下記のページで説明しているので一緒にご覧ください。
ファンド型と株式型クラウドファンディングの違いと特徴 – 大手6運営業者を解説
ソニーバンクゲート:ミニガイド
投資先企業についてよく理解して投資をしたいと考えている方におすすめ
- 個別の企業のことを詳しく調べた上で投資ができる
投資先企業経営者のコメントや人となり、事業計画書をチェック可能 - 投資先企業の経営が悪化した場合分配金が受け取れない可能性がある ⇒ リスクの割にあまりリターンが高くない案件もある
- 投資先企業のビジネスモデルやサービス、商品を応援したい方にもおすすめ
目次
ソニーバンクゲートの基本情報と特徴
利回り | 3.5%から10% | ★★★☆☆平均的 |
---|---|---|
最低出資額 | 5万円 | ★★★☆☆平均より少し高め |
運用期間 | 1年~5年 | ★★★☆☆案件によりバラつきあり |
投資(貸付)対象 | ベンチャー企業への株式投資 | ★★★★★業種は限定なし |
運用・維持手数料 | 無料 | ★★★★★ |
入金手数料(振込時) | 無料(ソニー銀行の口座要) | ★★★★★無料 |
出金手数料(払戻時) | 無料(ソニー銀行の口座要) | ★★★★★無料 |
配当タイミング | 年度ごとに分配・元本は最終返済日に支払 | ★★★☆☆一般的 |
表中の★マーク:★が多いほど高評価
ソニーバンクゲートの概要

ソニーバンクゲートはその企業名のとおりソニー銀行によって運営されています。
特にソニーバンクゲートでは、新しい技術を持ったベンチャー企業への投資案件を、投資家に提供しています。ソニー自身も創業時は技術のあるベンチャー企業でした。
ソニーの過去のノウハウを活かしつつ、ソニー銀行の安定した財務基盤の上で、ソニーバンクゲートは運営されています。
今まではできなかった投資を可能に
ベンチャー企業への投資は、これまで銀行や保険会社、証券会社、年金基金といったいわゆる機関投資家にしか投資するチャンスが提供されてきませんでした。
つまり、個人投資家は、原則として上場企業の株式にしか投資できませんでした。
しかし、ソニーバンクゲートを通じて、個人投資家も非上場企業であるベンチャー企業に投資することが可能となりました。
投資対象は?
ソニーバンクゲートのクラウドファンディングの投資対象は、まだ世の中にサービスや商品を提供していないスタートアップ・ベンチャー企業への投資となります。
過去3件の投資案件があります。これら投資先企業の業種はバラバラですが、日本初のサービスや商品を提供しているという点で共通しています。
- スマートホーム向けのIoTデバイスというモノづくりのベンチャー企業
- アメリカで人気のあるファストフードの日本1号店への出資
- 中古車買い取り事業のインターネット上のライブオークションサービスの企業
対象は国内
ソニーバンクゲートは、国内の事業者に対して、匿名組合を通じて投資を行うスキームを取っています。
そのため為替リスクが生じる可能性はありません。
投資対象となる企業については、特に業種や地域等について制限は定められていませんが、新しいテクノロジーを活かしたプロダクトやサービスを提供する将来有望な企業が選定されているようです。
ソニーバンクゲートでは、「応援」・「共感」というキーワードで投資を検討している投資家向けにファンドを提供しています。
運用利回りは?
ソニーバンクゲートの過去3つの投資案件の運用利回り(年利)は、3.5%から10%という目標になっています。
平均的な設定ですが、株式投資として考えた場合リターンは低めです。
ソニーバンクゲートの投資案件は融資ではなく株式投資となるため、業績によっては分配金はもっと増えるケースもあれば、0となってしまうケースも考えらえれます。
他のソーシャルレンディングサービス会社と比較すると、3.5%から10%のリターンの幅は一般的に映ります。
しかし、あくまでソニーバンクゲートの投資案件は株式投資であり、ソーシャルレンディングサービス会社のファンドと異なり、ローンではないため投資先が倒産した場合の回収順序はレンダーより劣後しますし、担保の設定もありません。
ローンに比べて株式投資はハイリスク・ハイリターンの投資となるため、ソーシャルレンディングファンドと同等のリターン水準では、あまり旨味のある投資ではないとう見方もあります。
他のソーシャルレンディングの利回りは下記ページで確認できます。
おすすめのソーシャルレンディング会社 ~ サービスや利回り、メリット、デメリットを比較
なお、投資を行った場合、投資家特典として、当該企業の商品などを無料でもらえるようなサービスが提供されています。
上場企業株式でいう株主優待のようなサービスと考えてよいでしょう。
投資期間は?
投資期間は案件によって異なりますが、これまでの3件の投資案件では1年から5年の間となっています。
長期間の投資案件に投資をする場合、信用リスクや景気リスクに十分留意する必要があります。
最低出資金額は?
過去の3案件については、全て最低出資金額(一口)が5万円に設定されています。
5万円、または10万円を最低出資金額としているクラウドファンディングサービスもあるため、ソニーバンクゲートの最低出資金額の設定は一般的です。
気になる手数料は?
クラウドファンディングの手数料比較
サ―ビス業者 | 登録・口座開設 | 運用 | 投資口座への振込み(入金) | 投資口座からの払戻し(出金) |
---|---|---|---|---|
SBIソーシャルレンディング | 無料 | 無料 | 投資家負担 | 無料 |
ガイアファンディング | 無料 | 無料 | 投資家負担 | 108円から756円 |
クラウドクレジット | 無料 | 案件による | 投資家負担 | 300円+税金 |
オーナーズブック | 無料 | 無料 | 投資家負担 | 300円+税金 |
クラウドリース | 無料 | 無料 | 投資家負担 | 108円から756円 |
レンデックス | 無料 | 無料 | 投資家負担 | 無料 |
ラッキーバンク | 無料 | 無料 | 投資家負担 | 無料 |
マネオ | 無料 | 無料 | 投資家負担 | 54円から432円 |
クラウドバンク | 無料 | 無料 | 投資家負担 | 無料 |
ソニーバンクゲート | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
ソニーバンクゲートの投資案件を利用する際にかかる手数料は全て0円となっています。
条件がある
ソニーバンクゲートを通じて投資を行う場合、必ずソニー銀行の口座を保有している必要があります。
ソニー銀行の口座を通じて資金の決済を行うことで、手数料を無料化しているといえます。
ATMでは?
手数料は0円と説明しましたが、ATMを通じた入出金手数料が発生します。
ソニー銀行は基本的に支店・店舗をもっていないため、他行等のATMを通じてソニー銀行の口座の入出金を行う必要があります。
セブン銀行およびイオン銀行のATMを使えば、ソニー銀行の入出金の手数料は無料です。
比較すると
他のクラウドファンディングと比較した場合、一切の手数料が無料となっていることから、ソニー銀行の口座を開設することを厭わなければ、ソニーバンクゲートの手数料体系は投資家に非常に有利な設定となっています。
分配方法は?
ソニーバンクゲートの投資案件は、毎期の決算ごとに業績に応じて分配金が支払われます。上場株式でいう、配当のような扱いです。
また、設定された投資期間の満了時点に元本が回収され投資家に返済される仕組みになっています。
ソニーバンクゲートの良い点
- 投資時点で手数料がかからず、また投資期間中にも運用報酬や管理報酬などが発生しない
- 各投資案件について、企業名や代表者などについて詳細な情報が提供されており、インターネット等で企業について調べることが可能
- 投資案件について信頼を置くことができる
ソニーバンクゲートは2017年に参入した後発のクラウドファンディングサービス会社でです。
しかし、ソニー銀行の財務基盤や信用力、投資案件ソーシング力、企業分析(デューデリジェンス)能力を活かしており、投資案件について信頼を置くことができます。
ソニーバンクゲートの残念な点
- 法人は利用できない
- 流動性が低い(中途解約ができない)
- 投資先企業の信用(デフォルト)リスクがある
- ソニー銀行の信用(デフォルト)リスクがある
- 事業が計画とおりに進まない場合や、事業の経営状況の悪化等によっては、投資資金が回収できなくなる可能性がある
- ローンではないため、担保が設定されていない
運用実績
- 調達額:約1億円
過去のファンド募集実績として、3社の調達を行っています。募集金額はそれぞれ以下のとおりとなっています。
ファンド | 募集金額 |
---|---|
「eRemote pro」事業化ファンド | 10,300,000円 |
カープライスファンド | 10,350,000円 |
FATBURGER日本一号店出店ファンド | 80,000,000円 |
投資家登録の条件
ソニーバンクゲートに登録する場合、以下の条件を全て満たす必要があります。
- ソニー銀行の口座を開設していること
- 20歳以上であること
- 口座開設時に登録する「お客さまカード」に登録された投資目的が「資産運用にあたっては、元本割れのリスクは一切許容せず、資産運用を検討する。」または「一定の割合までであれば、元本割れのリスクを許容しつつ、資産運用を検討する。 」となっていないこと
- マイナンバーをソニー銀行に登録していること
法人は投資可能?
他のソーシャルレンディングサービスでは法人でも投資家登録が可能であるケースがあります。
しかし、ソニー銀行は法人口座を開設することができないため、法人はソニーバンクゲートにも投資家登録することができません。
登録から投資実行までの流れ
投資を行うあたり、まずはソニー銀行の口座を開設する必要があります。銀行口座をして手元にキャッシュカードが届いてから、ファンドに投資することが可能になります。
ソニーバンクゲートは人気があります。募集開始からすぐに投資募集が完了してしまうので、ファンドの募集をみて、良さそうだなと思って口座開設を行っても口座が開設した時には募集が終わっている可能性が高いです。
ソニーバンクゲート全般に興味がある方は、事前にソニー銀行の口座を開設しておくことをおすすめします。
1. 口座開設申込
まずは口座開設の申込を行います。公式ウェブサイトの「口座開設」というリンクをクリックします。
氏名、性別、生年月日、住所、、居住国、電話番号、取引の目的、メールアドレスといった個人の情報を入力します。
その後取引時の認証方法、キャッシュカードのデザインを選択し、アンケートに回答して、パスワードや暗証番号を設定すれば完了です。
約1週間から10日程度でキャッシュカードが届きます。
2. ファンド投資
各ファンドの詳細について、公式ウェブサイトで情報が確認できます。投資の意思決定を行ったら、申込ボタンから投資が可能となります。
信用できる運営会社か?
- 社名:ソニー銀行株式会社
- 本社住所:東京都千代田区内幸町二丁目1番6号
- 資本金:310億円
- 代表取締役:住本 雄一郎
- 事業内容:クラウドファンディング事業、第一種金融商品取引業務、コンサルティング業務
- 株主:ソニーフィナンシャルホールディングス株式会社
- 格付け:スタンダードアンドプアーズ社:A,安定的日本格付研究所:AA-,安定的
株主は、ソニー銀行
中小企業やベンチャー企業が運営しているクラウドファンディングサービスが多い中、非常に財務面で信用力のある企業がソニーゲートバンクを運営しています。
ソニーバンクゲートの運営企業はソニー銀行株式会社になります。ソニー銀行株式会社は、ソニーフィナンシャルホールディングス株式会社の100%子会社です。
ソニーフィナンシャルホールディングス株式会社は、ソニー銀行、ソニー生命、ソニー損保を中核とした総合金融企業で、東京証券取引所1部に上場しています。
ソニー銀行はインターネット専業の銀行で、300億円の資本を有しリテール部門(個人部門)を中心としたサービスを2001年から提供しています。
現在では2兆円の預金残高があり、国内のインターネット専業銀行としては、住信SBIネット銀行、大和ネクスト銀行についで3番目となっています。
経営陣の経歴
代表取締役社長 住本 雄一郎氏
ソニー銀行の代表取締役社長に2017年に就任されるまで、住本社長は一貫してソニーグループで勤務をされてきました。
入社したのはソニー株式会社でしたが、その後ソニープルコ生命(現在のソニー生命保険)に移籍された後ずっとソニー生命で活躍されています。
ソニー生命で専務まで勤められた後2012年にソニー生命の親会社であるソニーフィナンシャルホールディングス株式会社の専務になられ、2016年からはソニー生命、ソニー損保、ソニー銀行の取締役も兼任されています。
現在はソニー銀行の代表取締役社長であり、同時にソニーフィナンシャルホールディングス株式会社の取締役も兼務されています。
住本社長がソニー銀行のことを誰よりも知っている方であることを経歴から伺い知ることができます。
案件情報はどこまで確認できる?
案件ごとのページで、ファンドの募集条件を確認することができます。
ソーシャルレンディングサービス会社のファンドとは異なり、投資先企業についてかなりの情報が公開されています。
動画を用いた企業概要などもあります。調達した資金の使途についても概要が説明されています。
投資を受けた後の事業報計画書も作成されており、どのような事業を行うのか、どのような市場があるのか、どのような経営計画なのか、経営陣は誰なのか、経営陣はどのような経歴・学歴を持っているか、などのプレゼンテーションを見ることができます。
さらにファンド詳細の画面では、ファンドの契約期間、最低募集金額(一口あたりの投資金額)などについても記載されています。
ソニーバンクゲートでは、「共感」「応援」をキーワードとしているため、投資家の応援メッセージもみられるようになっています。
興味深い過去の案件
スマートホームIoTデバイスeRemote pro事業化ファンド
このファンドは、ソニーバンクゲートの第一号案件となります。投資時点では、まだ3期目の若い会社となります。
過去に複数のIoTデバイスの企画・販売実績もあるため、一定の信頼感があります。
しかし、バックに特に大きな企業等がついていません。
FAT BURGER日本一号店出店ファンド
このファンドは、アメリカのハンバーガーチェーンの日本進出第一号店(渋谷)を開設することを目的としたファンドです。
日本のハンバーガーにはない、大きくてジューシーなハンバーガーを提供するのが差別化のポイントとなっています。
すでに海外20か国200店舗があるファストフードチェーンで、日本については現地の会社の直営ではなく、株式会社ジー・スリーホールディングス(東証2部上場)の子会社がライセンスを受けて営業をしています。
日本では募集額も8,000万円と大きい案件でしたが、満額調達ができています。
親会社が上場企業であり財務基盤も安定しており、渋谷の109で店舗展開をしていた経験があります。
カープライスファンド
このファンドは最新の3号案件になっています。中古車のマーケットは、これまで一部の業者のみが参加できるクローズドな世界でした。そのため、売り手よりも業者が優位な業界となっていました。
カープライスは、中古車流通市場にIT技術を取り入れることで、個人でも中古車売却の市場に参加できるようなプラットフォームを提供しています。
このプラットフォームには買い手としても個人参加できるため、以前の中古車売買マーケットと比べて参加者が多く、透明性が増し、売り手買い手にとって良い環境が生まれることになります。
2017年には三井物産がカープライス社に25%の資本参加を行っています。
テクノロジーを使って既存のマーケットを壊し、新たなマーケットを創造していくビジネスモデルである点、リアルタイムのインターネットオークション自体はすでに技術が存在している点、大手商社である三井物産が資本参加しているため、信用度・安心感がある点などがこの案件の良いポイントです。
案件を見るポイント
今後案件が出てきた際も、当該企業にベンチャーキャピタルファンドや大手企業などが株主になっているかなどを確認し、企業の可能性や信用度などをチェックするとよいでしょう。
利用前に知っておきたいこと
確定申告は必要か?
分配金の総額が出資金額を上回り利益が発生する場合は、雑所得として総合課税の取り扱いとなるため、原則的に確定申告が必要です。
しかし、他の雑所得も合わせて20万円以下なら申告義務はありません。また、投資家が受け取る分配金は、利益額から源泉徴収税を控除した金額となっています。つまり、源泉徴収済みとなっています。
確定申告義務が無い方でも、確定申告をすることで源泉徴収された税の還付を受けられる場合もあります。
例えば、所得税が10%の方の場合、本来であれば分配金に係る税率も10%程度となります。
しかし20%の源泉徴収がなされているため、確定申告により、還付が受けられるケースなどがあります。
これは投資家の個別の状況に応じて取り扱いが異なる場合や、法令により税率などが変更となる場合があります。確定申告の詳細は、税務署・税理士などに相談・確認してください。