samurai

SAMURAI(サムライ)は、SAMURAI証券株式会社という第一種金融商品取引業の認可を受けた証券会社が運営するクラウドファンディングサービスです。

2015年5月に「スマートエクイティ」として始まりましたが、SAMURAI&J PARTNERS株式会社の100%子会社として2017年12月に名称をSAMURAI(サムライ)と変更し再出発しました。

SAMURAI証券は、投資銀行業務とクラウドファンディング事業を行っており、投資業務のプロフェッショナル企業です。

また、SAMURAI証券の親会社は、SAMURAI&J PARTNERS株式会社というJASDAQに上場している金融およびITサービスを提供する企業になります。

上場しているということは、業績・財務情報を投資家に開示しなければならないため、企業の信用度が高くなります。

サムライは証券会社、上場IT企業をバックグラウンドとして運営されています。

 

サムライの基本情報と特徴

利回り 1.8%から10% ★★★☆☆案件によってバラつきあり
最低出資額 1万円 ★★★★★投資しやすい設定
運用期間 3カ月~7年 ★★★★☆比較的短め
投資(貸付)対象 国内外様々な事業、融資 ★★★★★☆多岐に渡る
運用・維持手数料 無料 ★★★★★無料
入金手数料(振込時) 投資家負担 ★★★☆☆一般的
出金手数料(払戻時) 無料 ★★★★★無料
配当タイミング 毎月分配・元本は最終返済日に支払 ★★★☆☆一般的

表中の★マーク:★が多いほど高評価

 

投資対象は何か?

サムライの投資対象は、国内外の様々な事業や融資案件があり、上場会社の株式を担保とした融資ファンド、不動産事業会社への融資ファンドなどがあります。

変わった案件としてはスリランカの定期預金ファンドや仮想通貨のマイニングファンドなどがあります。

各ファンドともユニークなストラクチャーによって案件化されているのが特徴です。

投資先が海外の案件については、為替リスクが生じることに留意する必要があります。

また案件によって担保設定の有無や優先順位が異なっています。

 

運用利回りは?

サムライの過去3つの投資案件の運用利回り(年利)は、1.8%から10%という目標リターンになっています。

1.8%の投資案件はトランクルームへの投資案件で、法人投資家が節税目的で投資するためのファンドストラクチャーになっています。

これを除くとリターン目標はおおむね5%から10%に設定されています。

投資家のポートフォリオ構成上必要なリターンと取れるリスクに応じて案件を選ぶことができます。

 

投資期間は?

投資期間は案件によって異なりますが、最も短い案件で3か月、最も長い案件で7年となっています。多くの案件は6カ月から2年となっています。

長期の案件については、投資先の与信リスクはもちろん、為替リスクなどにも留意する必要があります。

例えばスリランカ預金ファンドは、2年または3年の設定となっていますが原資産がスリランカルピーのため、為替変動による損益が発生する可能性があります。

 

投資しやすい最低出資金額

匿名組合型の案件のうち、いくつかは、最低出資金額が1万円に設定されています。

1万円というのはクラウドファンディングサービス会社全体でみても最も低いため投資しやすいといえるでしょう。

一般的に5万円、または10万円を最低出資金額としているクラウドファンディングサービス会社が多いです。

ただしサムライの場合、案件によっては最低出資金額が10万、25万円と高く設定されている案件もあります。特に社債型の投資案件の最低出資金額は高く設定されているので留意してください。

 

手数料は入金時、出金時に発生

クラウドファンディングの手数料比較

業者名 登録・口座開設 運用 投資口座への振込み(入金) 投資口座からの払戻し(出金)
SBIソーシャルレンディング 無料 無料 投資家負担 無料
ガイアファンディング 無料 無料 投資家負担 108円から756円
クラウドクレジット 無料 案件による 投資家負担 300円+税金
オーナーズブック 無料 無料 投資家負担 300円+税金
クラウドリース 無料 無料 投資家負担 108円から756円
レンデックス 無料 無料 投資家負担 無料
ラッキーバンク 無料 無料 投資家負担 無料
マネオ 無料 無料 投資家負担 54円から432円
クラウドバンク 無料 無料 投資家負担 無料
ソニーバンクゲート 無料 無料 無料 無料
サムライ 無料 無料 投資家負担 無料

サムライの投資案件を利用する際にかかる際には、手数料に注意する必要があります。投資家口座の登録・開設、また運用手数料は無料となっています。

しかし投資家口座への振込(デポジット)については投資家の負担となっています。SAMUIRAIの振込先銀行は楽天銀行のため、楽天銀行を利用すれば振込手数料を抑えることができるでしょう。

また、投資家口座からの払戻し(出金)についてはサムライの負担となっています。

クラウドファンディングサービス会社によって手数料の設定は異なりますが、サムライの手数料体系は他社と比較して、一般的な設定になっています。

サムライ以外のソーシャルレンディング(マネオやクラウドクレジットなど)の利回りや運用期間を比較してみたい方は「おすすめのソーシャルレンディング会社 ~ サービスや利回り、メリット、デメリットを比較」もご覧ください。

 

分配方法は案件による

サムライの投資案件は、事前に予定されたスケジュールに基づいて毎期分配金が発生します。

また、設定された投資期間の満了時点に元本が回収され投資家に返済される仕組みになっています。投資期間が1年未満の案件については、元本と同時に利息が返済されます。

 

サムライの良い点

  • 投資信託等と異なり、投資開始時の手数料や、投資期間中のマネジメント・フィーや口座管理報酬などが発生しない
  • 各投資案件について、貸金に当たらないエクイティ投資案件については、投資の情報や投資スキームについてある程度詳細な情報が提供されている
  • サムライは認可を受けるのにハードルの高い第一種金融商品取引業者として金融庁に認可を受けた上場企業であるサムライ証券が運営しており、一定の信頼感がある
  • 証券会社のリレーションを活かして、他のクラウドファンディングサービス会社が提供していない特徴的な投資案件を提供している
  • 最低出資単位が1万円と投資しやすいファンドも提供されている

 

サムライの残念な点

  • 流動性リスクがある(投資期間中に解約しキャッシュ化することができない)
  • 投資先企業の信用(デフォルト)リスクがある
  • サムライの運営母体であるSAMURAI証券株式会社、または親会社であるSAMURAI&J PARTNERS株式会社の信用(デフォルト)リスクがある
  • 事業が計画とおりに進まない場合や、事業の経営状況の悪化等によっては、投資資金が回収できなくなるビジネスリスクがある

 

運用実績

運用実績については、公式ウェブサイトなどでは開示されていません。

過去募集したファンド数は28件となっています。今後の情報開示に期待したいと思います。

 

投資家登録の条件

サムライに登録する場合、以下の条件を全て満たす必要があります。

  • 日本に住所を有する個人もしくは法人であること
  • 申込時に満20歳から75歳未満であること(個人の場合)
  • サムライの審査を通過すること(審査の基準については非公開)

また、一個人・一法人につき1つしかアカウントを登録することはできません

 

米国人、米国法人、非米国金融機関は注意が必要

日本に住民登録されていない米国人、米国法人、非米国金融機関については注意点があります。

米国には、米国納税義務者による米国外の金融口座等を利用した租税回避を防ぐ目的で、米国外の金融機関に対し顧客が米国で納税義務を負うものであるか否かを確認しなければならない、という法律があり、その法律をFATCAと呼んでいます。

この法律に基づいて、FATCA枠組み不参加口座、また国外住所の米国籍実質的支配者がいる非米国事業体については投資家登録ができません。

 

登録から投資実行までの流れ

まずはサムライの投資家口座を開設する必要があります。投資口座開設には、概ね一週間程度の時間がかかります。

公式ウェブサイトなどで投資案件をチェックして良さそうだなと感じてから口座開設を行った場合、口座開設が完了した際には募集が終わっているケースがあります。

サムライに興味がある方は、投資案件を見つける前に口座を開設しておくことをおすすめします。

 

投資家登録の手順

1.仮会員登録

まずはID登録を行います。公式ウェブサイトの「会員申込」というリンクをクリックします。

氏名、性別、生年月日、メールアドレス、パスワードといった情報を入力します。さらに利用規約やプライバシーポリシーを確認し、次に進みます。

登録したメールアドレスに、メール認証の手続きについてメールが届きます。メールに記載されたリンクから、本会員登録のページに進みます。

 

2.本会員登録

氏名・性別・生年月日・国籍・居住地国・住所・電話番号・勤務先(任意)を入力します。

さらに上場企業との関係性の有無、振込用銀行口座の銀行コード・支店コード・口座番号・口座名義を入力します。

続いて、職業・年収・金融資産額・取引動機・資金の性格・投資目的・投資経験についても入力していきます。

入力が完了したら、サムライの各種規約への同意事項を確認し、チェックボックスをクリックしていきます。

 

3.本人確認資料およびマイナンバー(個人番号)の送信

本会員登録が完了したら、本人確認資料とマイナンバー(個人番号)をアップロードします。

本人確認資料として有効な資料は以下のとおりです。

  1. 運転免許証もしくは運転経歴証明書(住所や氏名変更等により裏面に記載がある場合、両面)
  2. パスポート(写真と住所が記載されているページ)
  3. 健康保険証(名前・生年月日・住所が記載されている面)
  4. 個人番号カード(表面)
  5. 印鑑証明書
  6. 住民票の写し(個人番号が記載されていない写し)
  7. 年金手帳
  8. 外国人登録証明書
  9. 在留カード
  10. 特別永住者証明書

なお、顔写真のない確認資料の場合は、他の確認書類または公共料金の領収書など合わせて2点の提出が必要です。

 

4.会員登録完了

サムライの審査を通過すると、後日簡易書留にて会員登録の控えと個人番号資料が送付されてきます。

公式ウェブサイトのマイページに設定したメールアドレスとパスワードでログインし、個人番号を登録すると投資家登録は完了です。

 

信用できる運用会社か?

  • 社名:SAMURAI証券株式会社
  • 本店所在地:東京都港区西新橋1-15-6 内幸町企画ビル5F
  • 資本金:2.7億円
  • 代表取締役:澤田 聖陽
  • 事業内容:投資銀行事業、クラウドファンディング事業
  • 株主:SAMURAI&J PARTNERS株式会社

 

運営会社は?

サムライの運営企業は第一種金融商品取引業者であるSAMURAI証券株式会社になります。

第一種金融商品取引業者の認可を受けるには、5,000万円を超える資本金と、金融庁の審査をクリアする必要があります。

また、金融商品取引業者は定期的に業務の検査を受けています。他にも、SAMURAI&J PARTNERS株式会社はJASDAQ上場会社であるため、一定水準の業務品質、コンプライアンスが求められています。

株式を上場しているため監査情報なども公開する必要があります。以上のことから、サムライは信頼性の高い企業、グループによって運営されていると考えることができます。

 

代表取締役は?

澤田聖陽社長は、国際証券(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)入社されて以降、松井証券・ジャフコ・極東証券と証券会社や投資会社でキャリアを積んで来られました。

これらの会社に在籍中は、投資業務及び投資銀行業務に従事されています。

2013年にSAMURAI証券株式会社の前進であるAIP証券株式会社代表取締役社長に就任し、現在に至っています。

長らく投資の世界に身を置いて来られた澤田社長の経験が、サムライに活かされているものと思われます。

 

案件情報はどこまで確認できる?

サムライは国内外の事業者に対して、匿名組合や社債を通じて投資を行っています。

海外投資については、為替リスクを考慮する必要があります。投資対象の企業は、多種多様に広がっています。

これは、SAMURAI証券株式会社が行っている投資銀行業務などを通じて、広く資金ニーズを持っている企業と接点があるからだろうと考えられます。

 

募集条件

案件ごとのページで、ファンドの募集条件を確認することができます。

ソーシャルレンディングサービス会社のファンドとは異なり、ローンではない投資先企業については、社名を含めて多くの情報が公開されています。

また、ストラクチャーや投資の優位性、なぜこの投資機会を案件化したのか、海外投資の場合は為替リスク、事業計画、資金使途といったことについても説明がなされています。

他のクラウドファンディングサービス会社は、案件組成やオペレーションの中で発生する費用について触れていないケースが散見されます。

サムライはそういったオペレーション上の手数料についても割合情報を提供をしているため、投資家としては納得感のある投資ができます。

クラウドファンディングを今後も行おうと思っている方にとっては、投資しなくても参考になる情報が色々と見つけられるでしょう。

過去の主なシリーズものの投資案件の概要は以下のとおりです。

 

スリランカ預金ファンド

  • 投資対象:スリランカ国内の銀行での定期預金
  • 投資目標金額:500万円、100万円
  • 最低投資金額:10,000円
  • 運用期間:25カ月または37カ月

 

ヴァリアブルファンド

  • 投資対象:上場会社の株を担保とした事業会社向けローン
  • 投資目標金額:4,000万円
  • 最低投資金額:10,000円
  • 運用期間:3か月

 

SAF不動産ファンド

  • 投資対象:保有不動産を担保とした事業会社向けローン
  • 投資目標金額:100万円
  • 最低投資金額:10,000円
  • 運用期間:6カ月

 

利用するうえで知っておきたいこと

利益相反の可能性が生じる案件

サムライに投資するにあたり気を付ける必要があるのは、利益相反の可能性があることです。例えば、投資先の事業会社の代表者が、サムライの役職員であるケースがありました。

つまり、自社と関係のある企業に対して、有利な条件で貸付を行ってしまう可能性があり、投資家の資金を用いて自社のグループの利益還元を行ってしまう可能があるという問題です。

サムライの場合、親会社や関係会社への投資案件については、その旨を明示しています。案件が抱える利益相反のリスクについてはよく注意して投資する必要があります。

 

確定申告について

サムライに投資を行った場合、匿名組合の分配金に対して所得税および復興特別所得税合わせて20.42%の課税が生じます。

この税金については、源泉徴収がなされます。また、社債の利息については、個人の場合所得税および復興特別所得税、住民税の20.315%が課税されます。

分配の総額が出資金額を上回り利益が発生する場合は、雑所得として総合課税の取り扱いとなるため、原則的に確定申告が必要です。

しかし、他の雑所得も合わせて20万円以下の場合は、申告義務はありません。

確定申告義務が無い場合でも、確定申告を行うことで、源泉徴収された税の還付を受けられるケースもあります。

例えば、本業の所得税が10%の方の場合、本来であればクラウドファンディング投資によって得られる分配金に係る税率も10%程度となります。

しかし実際にはサムライによって約20%の源泉徴収がなされています。こういったケースでは、確定申告を行うことで、税還付が受けられるケースなどがあります。

確定申告の詳細は、お近くの税務署・税理士などに相談するとよいでしょう。

 

まとめ

既にクラウドファンディングに投資しておりポートフォリオの分散を検討している方には、SAMURAIがおすすめ

SAMURAIの特徴は、何よりも他クラウドファンディングサービス会社には無いような投資案件を提供していることです。

また、投資案件によってリスク・リターンのプロファイルも様々です。公式ウェブサイトでも、すでにクラウドファンディングを投資している方の10%をSAMURAIに振り向けませんか、という案内を行っています。

クラウドファンディングによくある担保つき不動産ローンファンドや、再利用エネルギー事業ファンドなどでポートフォリオが偏ってしまっている投資家にとっては、SAMURAIの投資案件に一部資金を振り向けることは、リスク分散の観点でも良い効果が得られるものと思われます。

以上のことから、すでにクラウドファンディングに投資をしており、さらなるポートフォリオの分散を図りたいと考えている投資家にとって、SAMURAIはおすすめのクラウドファンディングサービス会社であると言えるでしょう。