国内利付債の場合

平成27年12月末までは、下記の内容になります。

国債、地方債、特別債、社債等の国内利付債の利子は、利子所得になります。平成27年12月末まで、これら債券の利子は、20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率による源泉徴収により課税関係が終了する源泉分離課税扱いです。

なお、これらの債券の利子は、非課税貯蓄制度(障害者等の少額貯蓄非課税制度、財形貯蓄非課税制度)の対象となります。利付国債と公募地方債については、障害者等の少額公債非課税制度の対象になります。

障害者等の少額貯蓄非課税制度についてですが、身体障害者手帳の交付を受けている人、遺族基礎年金を受給できる妻、寡婦年金を受給できる妻、その他これらの人に準ずるとされる一定の人は、国内発行の利付債を金融商品取引業者等で購入した場合、一人額面350万円までの当該利付債の利子については、非課税とすることができる、という制度です。

障害者等の少額公債非課税制度についてですが、身体障害者手帳の交付を受けている人、遺族基礎年金を受給できる妻、寡婦年金を受給できる妻、その他これらの人に準ずるとされる一定の人は、国内発行の利付債および公募の地方債を金融商品取引業者等で購入した場合、一人額面350万円までの当該利付債および国債の利子については、非課税とすることができる、という制度です。

財形貯蓄非課税制度については、勤労者が財形念貯蓄制度および財形住宅貯蓄制度に基づき債券を購入した場合、合計で一人額面550万円までの当該債券の利子について非課税とすることができます。

国内の法人が利子の支払を受ける際も、原則として20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率で源泉徴収されます(指定金融機関など一定の非課税主体が支払いを受ける利子については、源泉徴収免除制度があります)。

なお、これら源泉税は、法人税と法人住民税を申告する際、元本所有期間に対応する部分が、それぞれ税額免除されます。

この非課税貯蓄制度は、平成28年1月以降も存続します。

また、非課税貯蓄制度以外については、平成28年1月からは、下記の内容になります。

特定公社債と一般公社債で、利子に対する課税法式が異なります。

特定公社債は、下記債券が該当します。なお、預金保険法に規定する長期信用銀行債等は除きます。

  • 国債、地方債、外国国債、外国地方債
  • 会社以外の法人が特別の法律により発行する債券(外国法人に係るもの並びに投資法人債、短期投資法人債、特定社債および特定短期社債を除く)
  • 公募公社債、上場公社債
  • 発行の日前9ヶ月以内に有価証券報告書等を提出している法人が発行する社債
  • 金融商品取引所(外国の法令に基づき設立されたこれに類するものを含む)において公表された公社債情報(一定の期間内に発行する公社債の上限額、発行者の財務状況等その他その公社債に関する基本的な情報)に基づき発行する公社債で、目論見書にその公社債情報に基づき発行されるものである旨の記載があるもの
  • 国外において発行された公社債で、取得後引き続き保管の委託がされている「国内において売出しに応じて取得した公社債」「国内において売付け勧誘等に応じて取得した公社債で、その取得の日前9ヶ月以内に有価証券報告書等を提出している法人が発行するもの」
  • 外国法人が発行し、または保証する債券で一定のもの
  • 国内または国外の法令に基づいて銀行業または金融商品取引業を行う法人(第一種少額電子募集取扱業者を除く)またはその法人との間に完全支配の関係がある法人等が発行する社債(その取得をした者が実質的に多数でないものを除く)
  • 平成27年12月31日以前に発行された公社債(同族会社に該当する会社が発行した社債を除く)

また、一般公社債とは、特定公社債以外の債券のことです。具体的には平成28年1月1日以降に発行される私募債などが該当します。

また、特定公社債と一般公社債の利子に対する課税について見てみたいと思います。

特定公社債の利子に対する課税方式について

平成28年1月1日以降に居住者等が支払いを受ける特定公社債の利子については、源泉分離課税の対象から除外され、所得税15%、住民税5%の税率による申告分離課税の対象となります。

なお、所得税に対しては、別途復興特別所得税が課税されます。確定申告する場合、上場株式等の配当とは異なり、総合課税での確定申告はできないことに留意する必要があります。

また、居住者等が支払いを受ける特定公社債の利子については、所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%の税率の源泉徴収で、確定申告をせずに済ませられる、確定申告不要制度の対象となります。

なお、平成28年1月1日以降に支払われる特定公社債の利子に対して徴収される住民税は、利子割ではなく、配当割となります。法人は配当割の対象外ですので、国内法人が利子の支払を受ける際の源泉徴収税は15.315%(所得税および復興特別所得税15.315%)となります。

一般公社債の利子に対する課税方式について

平成28年1月1日以降、居住者等が支払いを受ける一般公社債の利子については、20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率による源泉分離課税が維持されます。

ただし、同族会社が発行した社債の利子でその同族会社の判定の基礎となった株主等が支払いを受けるものは、総合課税の対象になります。

なお、平成28年1月1日以降、法人に対する住民税の利子割が廃止されるため、源泉徴収されるのは国税のみとなり、国内法人が利子の支払を受ける際の源泉徴収税率は15.315%(所得税および復興特別所得税15.315%)となります。

なお、平成28年1月1日以降の国内利付債利子等に対する源泉徴収不適用についてですが、平成27年末までは債券の利子について指定機関等の非課税主体が支払いを受ける際の源泉徴収不適用の範囲は、その非課税主体がその債券を所有していた期間に対応する部分に限定されていましたが、平成28年1月からは、債券の利子の支払を受ける非課税主体の所有期間に関わらず、その支払いを受ける利子の額の全額が源泉徴収不適用(通期非課税化)となります。

次に、国内利付債の譲渡益に対する税金を見てみましょう。

国内利付債の譲渡益に対する税金について

平成27年12月末までの場合、居住者等が国内利付債を譲渡した場合の譲渡益は、原則として非課税です(ただし、低クーポン債除く)。ただし、新株予約権付社債の譲渡益は譲渡所得となり、株式等と同じ課税方式となります。

なお国内利付債の償還差額に対する税金は、居住者等が償還を受け、償還差益を得た場合、それを得た年に雑所得として総合課税の対象になります。

平成28年1月1日以降、居住者等が特定公社債の譲渡をした場合における譲渡益については、非課税の対象から除外され、上場株式等の譲渡所得等の金額として、所得税15%、住民税5%の税率による申告分離課税の対象になります。

また、平成28年1月1日以降、居住者等が特定公社債の償還により支払いを受ける償還差益の金額についても、上場株式等の譲渡所得等の金額とみなされ、所得税15%、住民税5%の税率による申告分離課税の対象になります。なお、所得税に対しては、別途復興特別所得税が課税されます。

なお、平成28年1月1日以降、債券の譲渡による譲渡所得等が申告分離課税の対象になるとともに、譲渡損益の計算にあたっては、経過利子が取得価額及び譲渡価額に含まれるおうになることから、次回の利払日が平成28年1月1日以降になる国内利付債の売買から、課税主体の取引であっても経過利子から税相当額の控除がなくなります。

また、平成28年1月1日以降、居住者等が一般公社債の譲渡をした場合における譲渡益については、非課税の対象から除外され、一般株式等の譲渡所得等の金額として、所得税15%、住民税5%の税率による申告分離課税の対象となります。

なお、平成28年1月1日以降、一般公社債の償還により支払いを受ける償還差益の金額についても、一般株式等の譲渡所得等の金額とみなされ、所得税15%、住民税5%の税率による申告分離課税による申告分離課税の対象となります(所得税に対しては、別途復興特別所得税が課されます)。

ただし、同族会社が発行した社債の償還金でその同族会社の判定の基礎となった株主等が支払いを受けるものは、総合課税の対象となります。

国内割引債の場合

平成27年12月末までの割引債等に対する税金は、原則として割引債の償還差益(償還価格-発行価格)は、償還を受けた年に雑所得として総合課税の対象となります。

ただし、租税特別措置法の規定により、一定の割引債(従来、発行されていた割引金融債等)にちては、発行時に18.378%(所得税18%および復興特別所得税0.378%)の税率で源泉徴収されるだけで課税関係を終了することができる確定申告不要制度の対象となります。

なお、東京湾横断道路建設会社および民間都市開発推進機構が発行する債券については、発行時に源泉徴収される税率が16.336%(所得税16%および復興特別所得税0.336%)となっています。

割引債等の譲渡益に対する税金ですが、発行時に源泉徴収がされない割引債(ゼロ・クーポン債)およびこれに類する債券の譲渡益は、原則として譲渡所得等(雑所得または事業所得になることもあります)として総合課税の対象になります。

この場合、ゼロ・クーポン債等の所有期間により、短期譲渡所得(所有期間5年以下)および長期譲渡所得(所有期間5年超)に区分されます。

短期譲渡所得に該当する場合…譲渡益から50万円(特別控除額)を差し引いた金額を総所得金額に算入。

長期譲渡所得に該当する場合…譲渡益から50万円(特別控除額)を差し引いた後の2分の1の金額を総所得金額に算入。

ゼロ・クーポン債に類似する債券とは、低クーポン債、ストリップ債、ディファード・ペイメント債などのことを言います。低クーポン債に該当するのは下記のとおりです。

  • 発行から償還までの期間が7年未満で利率が0.1%未満
  • 発行から償還までの期間が7年以上8年未満で利率が0.2%未満
  • 発行から償還までの期間が8年以上10年未満で利率が0.3%未満
  • 発行から償還までの期間が10年以上15年未満で利率が0.4%未満
  • 発行から償還までの期間が15年以上で利率が0.5%未満

ただし、平成27年2月3日以降に発行される債券については、次のような債券が低クーポン債になります。

  • 発行から償還までの期間が15年未満で利率が0.1%未満
  • 発行から償還までの期間が15年以上25年未満で利率が0.3%未満
  • 発行から償還までの期間が25年以上で利率が0.5%未満

ストリップ債は、元本に係る部分と利子にかかる部分とを切り離して独立して取引される債券のことです。

ディファード・ペイメント債とは、利子の計算期間が1年を超えるもの、または、その利子の計算期間のうち1年を超える利子の計算期間がある債券、その利子の利率のうち最も高いものを最も低いもので除した割合が150%以上である債券のいずれかに該当する債券のことです。

平成28年1月以降の割引債等に対する税金ですが、平成28年1月1日以降、居住者が支払いを受ける債券の償還差益が譲渡所得等として申告分離課税の対象となるのに併せて、割引債の償還及び譲渡による所得についても、株式等の譲渡所得等として所得税15%、住民税5%の税率による申告分離課税の対象となります(所得税に対しては、別途復興特別所得税が課されます)。

ただし、平成27年12月31日以前に発行された割引債で、その償還差益が発行時に源泉徴収の対象とされたものについては、償還差益に係る源泉分離課税が維持され、譲渡による所得は非課税となります。

また、この改正に伴い、平成28年1月1日以降、発行時に源泉徴収される方式が廃止されます。

なお、対象となる割引債の葉には下記のとおりです。

  • 割引の方法により発行された公社債(預金保険法に規定する長期信用銀行債等を除く)
  • 分離元本公社債(公社債で元本に係る部分と利子に係る部分とに分離されてそれぞれ独立して取引されるもののうち、その元本に係る部分であった公社債)
  • 分離利子公社債(公社債で元本に係る部分と利子に係る部分とに分離されてそれぞれ独立して取引されるものおnうち、その利子に係る部分であった公社債)
  • 利子が支払われる公社債でその発行価額が額面金額の90%以下であるもの。

平成28年1月1日以降の居住者または国内の普通法人等以外の法人もしくは外国法人に対して国内において割引債の償還金の支払がされる場合、その支払いの際には、その割引債の償還金に係る差益金額に対して、20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率で源泉徴収されます。

なお、平成28年1月1日以降に支払われる割引債の償還金に対して徴収される住民税は、利子割ではなく、配当割となります。法人は配当割の対象外であることから、国内の法人に対する源泉徴収税率は15.315%(所得税および復興特別所得税15.315%)となります。

なお、源泉徴収の対象となる差益金額とは、割引債の区分に応じて下記のようになります。

○発行日から償還日までの期間が1年以内のもの
→償還金の額に0.2%を乗じた金額

○発行日から償還日までの期間が1年超のもの並びに分離利子公社債
→償還金の額に25%を乗じた金額

○割引債のうち、その割引債の償還金の支払を受ける普通法人等以外の内国法人がその割引債を管理している金融商品取引業者等で、その償還金等に係る国内における支払いの取扱者であるものと締結した割引債の取得価額を管理する契約に基づき、その割引債との取得価額が管理されているもの
→実学の償還差益

なお、特定口座源泉徴収選択口座で管理されるものについては、特定口座制度に基づき源泉徴収されます。

損益通算について

平成28年1月1日以降、特定公社債等(特定公社債、公募公社債投資信託党)に対する課税方式が、原則として上場株式等に対する課税方式と同様になります。

平成28年以後、特定公社債等の譲渡損失と利子等との損益通算については、「上場株式等の譲渡損失および配当等との損益通算の特例」の対象に、特定公社債等の譲渡損益や利子等が加えられ、原則として確定申告をすることにより、これらの譲渡損益や利子・配当等(上場株式配当や公募株式投資信託の収益分配金については、申告分離課税を選択したもの)との損益の通算ができるようになります。

また、特定公社債等の譲渡損失の繰越控除については、平成28年1月1日以降、特定公社債等を含む上場株式等の譲渡により生じた損失金額のうち、その年に損益の通算等をしても控除しきれない金額については、確定申告をすることにより、翌年以後3年間にわたり、特定公社債等を含む上場株式等の譲渡益および配当等(上場株式の配当や公募株式投資信託の収益分配金については申告分離課税を選択したもの)からの繰越控除ができます。

また、源泉徴収選択口座における損益通算は、平成28年1月1日行く、特定口座源泉徴収選択口座に受け入れた特定公社債の利子に対する源泉徴収税額を計上する場合、年末において、その厳選徴収選択口座内に譲渡損失の金額があるときは、当該譲渡損失の金額を控除した金額に対して源泉徴収税額が計算されます(損益通算の結果、それまでに源泉徴収された税額が課題になる場合には、還付されます)。

外国利付債の場合

平成27年12月末までの外国利付債の利子に対する税金ですが、国外で発行された外国利付債の利子については、原則として租税条約に定める制限税率(通常10%)により、現地で外国所得税が源泉徴収されます。ただし、ユーロ債(発行者がユーロ市場で発行する債券)等については、現地での課税は行われません。

国内では、国外での源泉徴収分と合わせて所得税15%、住民税5%の税率になるように源泉徴収されます。これは差額徴収方式です。

差額徴収方式とは、国内の源泉徴収税額から控除できる外国税額について、国内の源泉税額を限度とするもので、所得税15%の方から外国税額を控除するものです。

外国利付債の利子は、源泉分離課税扱いです。ただし、金融商品取引業者等を通じず、外国の支払者や支払代理機関等から直接支払を受ける場合は、国内での源泉徴収が行われないため、利子所得の扱いいなるため、総合課税の対象になります。

なお、国外で発行された外国利付債の利子は、マル優等の非課税制度の適用はありませ。

外国利付債の利子の国内源泉徴収税額は、元本所有期間に対応する部分について、法人税額、法人住民税額から控除することが可能です。現地で源泉徴収された外国所得税額についても、外国税額控除として、法人税額、法人住民税額から控除することができます。

なお、利子が外貨で支払われる場合の円換算額は、無記名外国利付債利子については、現地保管機関が利子を受け取った日のTTBで換算した金額になります。記名外国利付債の利子については、利払い日におけるTTBで円換算した金額になります。

円建て外債の利子については、原則として20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率による源泉徴収により課税関係が終了する源泉分離課税扱いとなっています。なお、円建て外債の利子は、マル優の適用対象です。

なお、世界銀行、アジア開発銀行、米州開発銀行、国債金融公社、アフリカ開発銀行が日本国内で発行した債券の利子については、利子の支払いの際には源泉徴収はされません。

源泉分離課税の適用がないため、利子所得として、総合課税の対象となります。そのため、翌年確定申告して、納税する必要があります。

平成28年1月1日以降に居住者等が支払いを受ける、国外発行の外国利付債の利子については、所得税15%、住民税5%の税率による申告分離課税の対象となります。また、利子の支払を受ける際には、確定申告不要制度(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%の税率の源泉徴収で、確定申告をせずに済ませられる制度)の対象となります。

なお、平成28年1月1日以降に支払われる特定公社債の利子に対して徴収される住民税は、利子割ではなく、配当割となります。法人は配当割の対象外ですので、国内法人が利子の支払を受ける際の源泉徴収税は15.315%(所得税および復興特別所得税15.315%)となります。一般公社債に該当する外国利付債の利子については、現前分離課税となっています。

なお、平成28年1月1日以降、国外で発行された特定公社債に該当する外国利付債の利子で、現地で外国所得税が課税される場合、差額徴収方式が廃止されます。

その代わり、外国所得税額を控除した金額に対し、20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率で源泉徴収されます。差額徴収方式が廃止されることに伴い、支払いの際に徴収された外国所得税については、外国税額控除の対象になります。

また、外国債券の譲渡益に対する税金は、平成27年12月末までは、為替差益を含め非課税となります。なお、ゼロ・クーポン債は除外されます。

ゼロ・クーポン債およびこれに類する外国債券については、その譲渡益は外貨建債券の場合、為替差益を含め、譲渡所得等として原則扱われます。そのため、総合課税の対象になります。

また、平成27年12月末までの外国債券の償還差益については、為替差益を含め、償還を受けた年に雑所得として総合課税の対象になります。

平成28年1月1日からは、上場株式等の譲渡所得等の金額として、申告分離課税の対象となります。一般公社債に該当する外国債券の譲渡益と償還差益は、一般株式等の譲渡所得等の金額として、申告分離課税の対象となります。

外貨建て債券の場合は、為替差損益を含めた金額が譲渡所得等の金額になります。