債券ポートフォリオとは何か

金融資産の組み合わせをポートフォリオといいます。投資信託などはその代表例ですが、債券についても、資産運用をする際に複数の債券を組み合わせて行います。

より多くの利益を上げるために投資をしますが、確実に利益を得られるかどうかは分かりません。つまり不確実であるということです。この不確実性をリスクと言います。

確実に利益が出るのであればリスクは0ということになります。株も債券も、確実に利益が得られる商品ではありませんし、投資商品全般にリスクがあります。そのためリスクは0ということはあり得ませんが、リスクの大小は商品によって差があります。

「これだけの利益を得たい」という目的があるのであれば、それを実現するためにはリスクの小さい商品に投資をします。

リスクは商品によって様々です。ポートフォリオは異なるリスクの商品を組み合わせることで、リスクを軽減させます。

ポートフォリオを組む場合と単独の債券に投資する場合では、ポートフォリオを組んだ方がリスクを低く抑えられるという効果が知られています。

なお、債券の運用方法には、アクティブ運用とパッシブ運用があります。

債券のアクティブ運用

債券のアクティブ運用は、市場の先行きを予測しながら売買を行い、高い収益率を目指すものです。

ベンチマークとする指数よりも高いパフォーマンスを上げるために、指数よりも乖離した運用を行い、高い収益率の実現を目指します。そのため、金利予想や利回り格差判断に基づき、満期構成や銘柄構成を機敏に変更させていきます。

その手法は様々ですが、金利水準の変化を予想した上でのデュレーション(債券を保有した場合の利子および元本(=キャッシュフロー)を受け取ることのできるまでの期間を加重平均したもの)操作、イールドカーブ(残存期間が異なる複数の債券などにおける利回りの変化をグラフにしたもの)の形状変化を予想し、割高・割安銘柄を入れ替えを行う、債券の種類による金利差を利用した、債券種類別の構成変化などがあります。

債券のパッシブ運用

パッシブ運用はアクティブ運用とは反対の概念で運用をする方法です。パッシブ運用は債券ポートフォリオを一定のルールに基づいて機械的に運用する方法です。

パッシブ運用は、ラダー(はしご)型運用やバーベル型運用に見られる一定満期構成維持型、イミュニゼーション運用やキャッシュフロー・マッチング運用に見られるALマッチング型、インデックス運用の3つがあります。

ラダー型運用は、短期債から長期債まで均等額を保有する運用方法です。債券はそのうち満期償還されてキャッシュ化します。その償還金を長期のものに再投資し、一定の満期構成を維持しようとする運用方法です。

バーベル型は、短期債部分と長期債部分を分けた上で、それぞれラダー型運用を行う方法です。流動性確保のニーズにより、短期債部分の比率を変更します。そのため、流動性を全く求められないのであれば、長期債部分のみで構成すればよいのです。

ALマッチング型の運用は、負債である将来の支払キャッシュフローを確実に運用資産である債券から得ようというものです。

そのALマッチング型の運用方法の一つであるイミュニゼーション運用は、金利情勢に関わらず、一定の投資回収金額を確保しようという方法です。

この運用方法は、金利変動に伴う債券価格変動リスクと再投資リスクは相殺し合うという性質を利用したものです。

つまり、金利が低下すれば債券価格は上昇するものの、利回りは減少し、金利が上昇した場合はその反対になる、という性質です。

この関係を利用し、保有債券ポートフォリオのデュレーションを投資期間と一致させることで、リスクを完全に相殺しようとする方法です。この方法は、途中償還のない銘柄で運用する必要があります。

キャッシュフロー・マッチング運用は、短期から長期まで連続した負債構成に適した方法です。

債券の個別のキャッシュフローは逆L字型になるのですが、複数債券のキャッシュフローを組み合わせることで、将来負債に合致するキャッシュフローを構築できるものです。この方法も、途中償還のない銘柄で運用する必要があります。

インデックス運用は、市場インデックスへの連動を目指すものです。ベンチマークする債券インデックスの収益率に連動するようにポートフォリオを構築し、インデックスと同程度のパフォーマンスになることを目指して運用します。

インデックス運用のポートフォリオは、一般にポートフォリオ全体の平均残存期間、平均利率、平均直利、平均デュレーション、信用リスクなどをベンチマークする債券インデックスと同じになるよう構成します。