債券の額面と単価

債券には額面と呼ばれる金額があり、これは、債券保有者が、債券の償還時に受け取る金額のことを言います。

債券の額面には最低額面金額というものがあり、その金額は債券によって異なります。債券の取引は、最低額面金額の整数倍で行われます。

また、債券の単価は額面100円につき何円という形で表します。100円を基準とした時に、債券の価格が100円より高ければオーバーパーと言い、100円未満の場合はアンダーパーと言います。

債券をオーバーパーで買っても、アンダーパーで買っても、償還は原則、額面100円あたり100円になります。

そのため、債券をオーバーパーで買った場合は差額が損失となる償還差損が発生し、アンダーパーで買った場合は償還差益が発生します。

債券の利率と経過利子

債券の額面金額に対する1年あたりの利子の割合を、利率(表面利率)といいます。利付債の利子の額は、額面金額に利率を掛けて計算します。

日本の場合、債券の利子の支払は、1年分を2回に分け、半年ごとに支払われることが多いです。半年ごとの利子は、額面金額に利率を掛けたものの半額となります。

また、利付債の売買で、受渡日がその債券の利払日と異なる場合には、買い方は前回利払日の翌日から受渡日までの日数分、利子を日割り計算したもの(経過利子または経過利息)を売り方に支払います。

・額面100円当たりの経過利子=100円×年利率×経過日数÷365

・額面総額の経過利子=額面100円あたりの経過利子×売買額面総額÷100

という式で、経過利子を計算することができます。
なお、100円当たりの経過利子は、円未満以下は7桁まで算出し、8桁以下は切り捨てます。額面総額の経過利子は円未満を切り捨てます。

経過利子は税法上の利子所得には当たりません。そのため源泉徴収されません。

債券の受け渡し金額は、この経過利子を加えて計算されます。

ただし、2015年12月末までの利付債を売買した場合、20.315%の源泉税相当額が差し引かれるため、額面100円当たり、100円×年利率×(1-0.20315)×経過日数÷365で計算した額が経過利子になります。

募集期間と約定、受渡について

募集期間とは、債券の募集をした際に、申込を受付る期間のことをいいます。募集期間終了後の払込日に代金が一括して払い込まれます。なお、債券では、払込日が債券の発行日となります。

また、約定日とは売買が成立した日で、受渡日とは決済する日のことです。既発債の取引きでは、原則、約定日から起算して4営業日目に受渡しとなります。

ただし、既発債の中でも、国債については原則として、約定日から起算して3営業日目に受渡しとなります。

債券の取引市場

債券の流通市場には、取引所取引と店頭取引の2つがあります。取引所取引の場合、取引所上場銘柄のみが取引対象となります。

投資家の注文を証券会社等の金融商品取引業者が取引所に取り次ぎ、株と同様、個別競争売買(売り呼び値のうち最も低い値段のものと、買い呼び値のうち最も高い値段のものの値段が合致する時、その値段を約定値段とし、売買取引を成立させる方法のことです。価格優先の原則と時間優先の原則が適用さます。)で取引されます。

一方、店頭取引では、金融商品取引業者と投資家、または金融商品取引業者同士で、個別で売買が行われます。

実は債券の場合、株と異なり、取引所取引は少ない傾向にあります。

というのも、債券の銘柄数が非常に多く、公募債だけでも1万銘柄近くあり、償還と新規発行によって、銘柄が継続的に入れ替わってしまう、ということが挙げられます。

また、債券の場合、取引単位が大きく、複数の銘柄を組み合わせて一つの取引きにすることもあるため、取引所取引のように同一条件下で行いづらいことが挙げられます。

さらに、債券は期間や利率、種類などが同じ場合、利回り差が生じにくいため、個別競争売買で取引する必要性が少ないということも挙げられます。

なお、債券は金利商品であるため、店頭取引の場合は売買の注文は利回りで行われます。その方が、銘柄による利回りの違いが分かりやすいからです。

なお、債券の売買でよく使われる「レート」とう言葉は、利回りのことを指しています。債券の取引所取引場合、売買の注文は価格で行われます。

償還について

債券には、最終償還と期中償還の2つの償還方法があります。

最終償還は、一般に額面100円あたり、100円で行われます。

期中償還は、最終償還期限の前に債券の一部を償還するものです。期中償還には、買入償却、定時償還、繰上償還の3つがあります。買入消却とは、発行者が減債する額を市場から時価で買い入れることをいいます。

定時償還は、発行日から一定期間経った後、発行額の一定率を償還することをいいます。繰上げ償還は、発行日から一定期間経過後、発行者が任意に発行額の全部または一部を償還することをいいます。

なお、公募債の多くは、満期一括償還という、償還日に全額償還する方法で償還されます。