オプションプレミアムのリスク指標について

オプションプレミアムは、原資産価格、ボラティリティ、残存期間等により、変化します。この変化がどの程度なのかを示す指標に、デルタ、ガンマ、ベガ、シータなどがあります。

デルタ

デルタとは、原資産価格が変化した場合、プレミアムがどれくらい変動するかを表す指標です。

例えばデルタが0.3であれば、原資産価格が1円変動するとプレミアムが1円×0.3=30銭動くことになります。デルタは下記式で表されます。

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コールオプションのデルタの値は、1~0の範囲で変化し、イン・ザ・マネーになるほど、原資産価格の変化幅と、プレミアムの変動幅が等しくなることから1に近づき、アウト・オブ・ザ・マネーになるほど、原資産価格が変化しても、プレミアムの変動が小さくなることから、0に近づきます。

プットオプションのデルタの値は、-1~0の範囲で変化し、イン・ザ・マネーになるほど-1に近づき、アウト・オブ・ザ・マネーになるほど0に近づきます。

なお、アット・ザ・マネーの付近では、デルタは0.5程度になります。

また、デルタの値は、原資産価格が変動しなくても、時間的価値が大きくなると、原資産価格の変化に対するプレミアムの割合が低下するため、小さくなります。

ガンマ

原資産価格とプレミアムの関係は、直線の形状だけでなく、曲線の形状で表されます。

コール・オプションのデルタは、イン・ザ・マネーになるほど1に近づきます。つまり、原資産価格の変化幅とプレミアムの変動幅が等しくなる、ということです。

アウト・オブ・ザ・マネーになるほど0に近づきます。つまり、原資産価格が変化しても、プレミアムの変動が小さくなる、ということです。

そのため、デルタの値を見ただけでは、原資産価格が変化した場合のプレミアムの実際の変化幅は分かりません。

そこで、ガンマが必要になります。ガンマを見ることで、プレミアムの実際の変化幅を知ることができます。

ガンマは、原資産価格が変化した場合のデルタの変化の度合いを表します。ガンマの値は、アット・ザ・マネーで最大となり、イン・ザ・マネーまたはアウト・オブ・ザ・マネーになるほど0に近づきます。

ガンマは下記式で表されます。

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アット・ザ・マネー付近のガンマは、ボラティリティが小さくなるほど大きくなります。また、残存期間が短くなるほど大きくなります。

ガンマの値が大きくなるほど、原資産価格が変動した際のデルタの変化は大きくなります。

そのため、例えばコールオプションの場合、デルタの値が同じであれば、ガンマの値が大きい方が原資産価格が上がった時のプレミアムの値上がり幅も大きくなります。

反対に、原資産価格が下がった時のプレミアムの値下がり幅は小さくなります。

ベガ

ベガは、原資産価格のボラティリティが1%以上変動した場合、プレミアムがどの程度変動するかを表す指標です。カッパとも呼ばれています。

ベガはアット・ザ・マネーで最大となり、イン・ザ・マネーまたはアウト・オブ・ザ・マネーになるほど小さくなります。

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ボラティリティが大きくなると時間価値も大きくなります。そのため、プレミアムも高くなります。

反対にボラティリティが小さくなると、時間的価値は小さくなります。そのため、プレミアムは安くなります。

このことから、ボラティリティが大きくなると、ベガの値も大きくなり、ボラティリティが小さくなると、ベガの値は小さくなります。

また、残存期間が短くなると、時間価値も小さくなるため、ベガの値は小さくなります。

シータ

シータは、残存期間が変化した場合、プレミアムがどのくらい変化するかを表した指標です。つまり、残存期間が1日短くなると、プレミアムがどの程度変化するかを表しています。

プレミアムの時間価値は残存期間が短くなればなるほど小さくなります。そして満期日には時間価値がゼロになります。

シータは、アット・ザ・マネーで最大となり、アウト・オブ・ザ・マネーになるにつれて小さくなります。