原資産価格とプレミアム

オプションでは、一般的に原資産価格が上昇すればコールが高くなり、プットは安くなります。反対に、逆に原資産価格が下降すればコールは安くなり、プットは高くなります。

では、どのような時にプレミアムが変動するでしょうか。為替で考えてみましょう。

例えば、ドル円が1ドル100円のときに1ドル90円で買える権利と110円で買える権利があった場合、90円で買える権利のプレミアムが高くなります。

なぜなら、90円で買える権利は、原市場の原資産であるドル円のレート100円よりも10円安く買えることになり、必然的に価値は10円以上になります。

一方110円で買える権利は、原市場の原資産であるドル円のレートより10円高く買うことになり、価値はほとんどありません。

では、ドル円が1ドル95円になったらどうでしょうか。

この場合も90円で買える権利のプレミアムの方が高くなりますが、1ドル100円の時に比べ5円安くなるにとどまります。

ですので、1ドル90円で買える権利は5円以上になりますが、1ドル100円の時に比べると、価値が下がります。一方、110円で買える権利はドル円のレートに比べ15円も高くなり、さらに価値がなくなります。

また、1ドル120円の時はどうでしょうか。この場合は、90円で買える権利も110円で買える権利も価値があります。

90円で買える権利は30円以上の価値があることになり、110円で買える権利は10円以上の価値があることになります。

どちらも、1ドル100円の時よりも有利になり、プレミアムが高くなります。

このように、コールの場合、原市場価格が上昇すれば、プレミアムは高くなります。

では、プットの場合はどうでしょうか。

ドル円が1ドル100円のときに1ドル110円で売る権利と90円で売る権利があった場合、110円で売る権利のプレミアムが高くなります。

110円で売る権利は、原市場の原資産であるドル円のレート100円よりも10円高く売れることになり、必然的に価値は10円以上になります。

一方90円で売る権利は、原市場の原資産であるドル円のレートより10円安く売ることになり、価値はほとんどありません。

では、ドル円が1ドル105円になったらどうでしょうか。この場合も110円で売れる権利のプレミアムの方が高くなりますが、1ドル100円の時に比べ5円高くなるにとどまります。

ですので、1ドル100円の時に比べると、価値が下がり、プレミアムは下がります。一方、90円で売る権利はドル円のレートに比べ15円も安くなり、さらに価値がなくなります。

また、1ドル80円の時はどうでしょうか。この場合は、110円で売る権利も90円で売る権利も価値があります。

110円で売る権利は30円以上の価値があることになり、90円で売る権利は10円以上の価値があることになります。そのため、どちらのプレミアムも原資産が1ドル100円の時よりも高くなります。

このように、原資産価格によってプレミアムは変動します。

権利行使価格とプレミアム

コールもプットもOTMならば権利行使価格に近づくほど高くなります。逆に権利行使価格から離れるほど低くなります。そして、ITMに入ると、権利行使価格から離れるほど高くなります。

為替で考えてみましょう。

例えば、ドル円100円のときに1ドル90円で買える権利と1ドル95円で買える権利を比べた場合どうでしょうか。

どちらもイン・ザ・マネーに入っており、原市場価格よりも安い価格での権利行使となりますので、価値があります。

90円の方は現在のレートである1ドル100円の時に比べ10円安いレートでの権利行使ができますので、価値は10円以上になりますが、95円の方は、5円安いレートでの権利行使となり、価値は5円以上になります。

どちらも価値はありますが、90円の方が原市場のレートから遠い分、より価値があると言えます。

では、アウト・オブ・ザ・マネーの時を考えてみましょう。原資産であるドル円のレートが80円だった場合はどうでしょうか。

この場合は権利行使価格90円の方が、権利行使価格95円よりも権利行使できるレートが近くなります。

どちらも現時点では権利行使できず、価値がありませんが、90円の方が、95円よりも、権利行使できるタイミングが早く来ますし、権利行使できるようになる可能性がよりあると言えます。そのため、90円の方が95円よりもプレミアムが高くなります。

ボラティリティとプレミアム

ボラティリティとは、原資産の変動の激しさの度合いのことを言います。

ボラティリティというのは変動幅の大きさで、ヒストリカルボラティリティとインプライドボラティリティの2つがあることは、以前説明しました。

例えばアウト・オブ・ザ・マネーのオプションを買った場合、ボラティリティが高いととそれだけ原資産の値動きの幅が大きいということですので、イン・ザ・マネーになる可能性も高くなります。

もちろん、反対方向に変動する可能性もありますが、その場合、アウト・オブ・ザ・マネーのオプションを買い手は放棄すればよいため、アウトオブザマネーのオプションは行使せずに放棄することができます。

そのため、イン・ザ・マネーとなる可能性が高くなる方が価値が出てきますので、プレミアムも高くなります。

反対に、オプションの売り手にとっては、ボラティリティが高い方があリスクが高くなります。

残存期間とプレミアム

満期までの時間が長ければ長い程、原資産が権利行使価格に達する確率が高くなるので、コール・プットともに高くなります。

そもそもプレミアム = 本質的価値 + 時間価値という式で算出されます。

時間価値は、他の条件が一定であるならば、時間の経過と伴に減少します。これをタイムディケイ(Time decay)と呼びます。

上の式からも分かるとおり、本質的価値が一定であると仮定した場合、時間価値が上がればプレミアムも上がりますし、下がれば、プレミアムも下がります。

オプションは満期日を迎えると、時間的価値はゼロになります。このため、タイムディケイはオプションの売り手にとっては有利な要素です。反対に買い手にとっては保有するオプション価値が減少するため、不利な要素になります。

例えば、アウト・オブ・ザ・マネーのオプションを買った後に、相場が有利方向になかなか動かない場合、時間価値が大きく減少する前に転売することができます。

反対に、オプションを売った場合、満期日が近づくほどオプションの価格が下がるので、タイムディケイが追い風となります。そのため、タイム・ディケイは、オプションの買い手にとってはリスク要因、売り手にとってはプラス要因になります。

短期金利とプレミアム

オプション取引の場合、金利がプレミアムに及ぼす影響はごくわずかです。

ただし、金利が上昇すると、コールオプションのプレミアムは上昇し、プットオプションのプレミアムは下がります。反対に、金利が下落すると、コールオプションのプレミアムは下がり、プットオプションのプレミアムは上昇します。