カバードコールとは何か

カバードコールとは、原資産の買建てとコール・オプションの売建てのポジションを同時にとる、オプション取引の戦略です。

カバードコールは、相場が今後強含みであるという見通しであるものの、価格上昇はそれほど大きくないと予想した時の戦略です。

カバードコールは、ショートコール+ロングで作られる合成オプションです。プットオプションを売り、プレミアムを受け取ることで投資効率を上げることも狙いにあります。

ただし、カバードコールは、相場が下落した場合、大きな損失を出す可能性があります。

カバードコールを通貨オプションで考えてみましょう。

このカバードコールは、例えば、株式や債券を保有している時に、相場の先行きが停滞しそうであると予想した場合に、コールを売却し、投資利回りをあげるために利用されます。

カバードコールは、ゆるやかなドル高含みで、安定相場予想の場合にとられます。

例えば、米ドル建資産を持ったとします。それと同時に、取引時の為替レートと同水準の円に対する米ドルの権利行使価格のコール・オプションを売却し、プレミアムを得る戦略を取ります。

そうすることで、円安になった場合に為替差益を享受できなくなりますが、その代わり、プレミアムを得ることによる収益の上乗せが期待できます。

コールオプションの売りでは、原資産の価格が権利行使価格を超えると、その後は原資産価格の上昇に伴い、損失が拡大します。

しかし、カバードコールの場合は、同じ銘柄の現物を保有しているため、原資産の価格上昇によるコールオプションの損失が、現物の値上がり益でカバーされます。

このようにして、カバードコールでは、コール・オプション売りのリスクを減らして、プレミアムを得られます。

カバードコールのメリット・デメリット

カバードコールにはどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

まずはメリットから見ていきましょう。

カバードコールはコールオプションの売りのリスクを消すことができることが、メリットの一つに挙げられます。カバードコールでは、原資産の現物を保有しているため、コール・オプションが上昇した場合の損失をヘッジすることができるのです。

また、原資産の下落リスクを緩和できることもメリットに挙げられます。

原資産が下落した場合でも、コール・オプションを売ったことによるプレミアムはそのまま受け取れますので、プレミアム分、損益分岐点が下がることもメリットに挙げられます。

さらに、カバードコールでは、コール・オプションの売りによるプレミアム収入と、原資産の現物を保有していることによる配当収入の2つのインカムゲインを受け取れることもメリットの一つに挙げられます。

次に、デメリットを見てみましょう。

カバードコールのデメリットですが、原資産の下落リスクを完全になくすことはできない、というこが挙げられます。

コール・オプションのプレミアムが原資産価格を上回る程になればこのデメリットは無くなるのですが、そうなることは非常に稀ですので、原資産価格の下落リスクを完全に無くすこことはできません。

また、カバードコールの場合、利益には上限があることもデメリットです。

原資産の銘柄の価格による原資産の利益とコール・オプションの損失は完全に打ち消しあってしまいます。そのため、どんなに株価が上がろうと、利益はコール・オプションの受け取りプレミアム分に限定されてしまいます。