コール売りのポイント
コールの売りの場合、原市場がレンジになっている、あるいは弱気になっており、強い上昇トレンドになっていない時や、相場が上昇しても、一定期間内に水準に達しない確率が高い時、そして、相場にはっきりとした優位性が認められている時に仕掛けます。
例えば、日経225オプションを行うとします。その際、日経225オプションの過去の値動きをチェックし、満期までの間に、前の高値を抜く確率がかなり低いと判断した場合、コールの売りを選択します。
また、相場にはっきりとした優位性が認められる時のコールの売りについては、割高なままになっているアウト・オブ・ザ・マネーのコールを売る戦略が有効です。
例えば商品市場の場合、相場が大きく上昇する時に、インプライド・ボラティリティが大きくなる特徴があります。
このように、相場が大きく上昇する時には、今の価格水準よりだいぶ割高な状態で放置されていることがよくあります。このような場合にも、コールの売りは有効です。
プット売りのポイント
また、プットの売りの場合は、原市場がレンジ内の変動を見せている時や強気相場の時、そして、相場が下落しても、一定期間内に特定の水準まで達しないと言える確率が高い時にプットの売りを仕掛けます。
プットの売りは、例えば原市場は下がらないが、すぐには上がることは無いだろう、という見通しの場合、プットオプションを売ることによってポートフォリオの収入を増やすことができる、リターンを増やすためショートプットや、アウト・オブ・ザ・マネーのプットオプションを売ることで、投資家が原市場の現在の価格よりも安い希望価格で買うのと同じ効果が得られる可能性のある、ターゲットバイイングという戦略があります。
プットの売りですが、株式やコモディティで戦略が異なります。株式オプションの場合は株式投資の感覚で単純にプットの売りを仕掛けることができます。ですので、プットの売りの基本の取引でシンプルに行うことができます。
コモディティの場合は株式とは様相が異なります。
コモディティの場合、原市場の値動きが荒い為に、何か月もかけてゆっくり上昇した銘柄が、たった数日であっという間に上昇前の価格に下落する、ということが頻繁に起こります。
そのため、インフレにより商品市場が活況となっている時を除き、プットの売りを仕掛けることはなかなかできないことが多いようです。
また、株価指数のオプションの場合、機関投資家がヘッジ目的のために常に買っており、割高な状態がずっと続いています。株価指数が急落した時は、プットが割高になる傾向があります。この時が、プットの売りを仕掛けるタイミングと言えます。
これらコールの買いとプットの買いを組み合わせた戦略をご紹介します。まずは、ショート・ストラングルです。満期が同じオプションのうち、権利行使価格が高いコールの売りと権利行使価格が安いプットの売りを組み合わせたものになります。
このショート・ストラングルは、株価があまり動かないと予想する場合に有効な戦略です。
株価が動かない場合に利益を得られ、受け取りプレミアムの合計額が最大利益になります。また、大きな変動時の損失は無限大となることに注意が必要です。
次にショート・ストラドルですが、これは満期が同じのオプションのうち、権利行使価格が同じコールとプットの同数量の売りを組み合わせたものになります。
このショート・ストラドルは、株価が動かないと予想する場合に有効な戦略です。株価が動かない場合に利益を得られ、受け取りプレミアムの合計額が最大利益になります。
また、株価が権利行使価格から受取りプレミアムの合計額を超えて大きく上昇又は下落すれば損失が発生します。
なお、ショート・ストラドルは相場の変動に弱く、損失は無限大となります。