プレミアムには2つの価値がある

プレミアムには、本質的価値と時間価値の2つがあります。

オプション価格は、「現時点でどれくらいの利益が発生しているか」ということと、「将来、どれくらいの利益が得られるか」の2つで決まります。

「現時点でどれくらいの利益が発生しているか」というのが本質的価値、「将来、どれくらいの利益が得られるか」が時間価値です。

本質的価値は、現時点でオプションを行使した場合の価値のことを言います。この場合、行使価格と市場価格の差が、現時点でのオプションの価値ということになります。

つまり、行使価格が市場価格に比べてどれだけ有利か、ということが本質的価値ということになります。

時間価値は、「満期日までの間に値上がりするかもしれない」いう期待に対する価値のことを言います。オプションには期限があります。そのため、満期日までに市場価格が有利な方向に動く可能性があります。

プレミアム価格はこれら本質的価値と時間価値の合計で計算されます。

本質的価値について

本質的価値は、行使価格と市場価格の差により表される、ということを先ほど書きましたが、それはつまり、コールでもプットでも、インザマネーの状態の場合のみに、本質的価値が発生する、ということになります。

アウトオブザマネーでは行使価格と市場価格の差はマイナス、つまり損失となり、アットザマネーの場合はゼロであるため、この2つには本質的価値はない、ということになります。

コールの買いの場合について考えてみましょう。

例えばある銘柄の1株1万円でコールの買いのオプションを以前購入したとし、現在の株価が1株11,000円であるとします。

ここで、コールを権利行使すると、1株11,000円のこの銘柄を1株1万円で購入することができます。1万円で手に入れたこの株を現在の株価で購入と同時に売却すると、11,000円-10,000円=1,000円となります。この1,000円が本質的価値ということになります。

プットの場合についても考えてみましょう。

ある銘柄を1株11,000円でプットの買いのオプションを以前購入したとします。現在の株価が1株1万円だとします。

ここでプットの権利行使をすると、1株1万円のこの銘柄を1株11,000円で売却することができます。

そして、売却と同時に、この株を現在の株価1万円で買い戻せば、1,000円の利益を得ることができます。この1,000円が、本質的価値になります。

イン・ザ・マネー 利益が出る 本質的価値あり
アット・ザ・マネー 損益なし(ゼロの状態) 本質的価値なし
アウト・オブ・ザ・マネー 損失が出る 本質的価値なし

時間的価値について

時間価値は、将来の値上がりへの期待に対する価値です。つまり、オプションの市場価格が自分にとって有利方向に動くことを期待した価値になります。

時間価値を構成するものは3つあります。それは、将来の商品価格の変動に対する予想期待度、オプションの有効期間までの長さ、金利、の3つです。この3つを元に計算されるのです。

将来の商品価格の変動に対する予想期待度ですが、これにはボラティリティを利用します。ボラティリティとは予想変動率のことで、これが大きいほど、相場変動の期待度が大きくなり、時間価値が上がります。

また、期間が長くなればなるほど、相場が変動する確率も大きくなります。反対に、期間が短ければ短い程、相場が変動する確率が低くなります。

そのため、時間価値は、満期日が近づくにつれて小さくなり、満期日にゼロになります。このことから分かるとおり、満期日のオプション価値は、本質的価値のみになります。

また、金利についてですが、オプションの売り手は、オプションが行使された場合に備えて、商品を準備しておかなければなりません。

それにあたり、準備のための資金が必要になり、それを借り入れるお金には金利が付きます。ただし、金利は時間価値に影響を与えるとは言っても、比較的軽微な影響に留まります。

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