
モーションギャラリーは、2011年7月に開始された株式会社MotionGalleryが運営するクラウドファンディングサービスです。
モーションギャラリーの特徴は、アート分野のクラウドファンディングに特化していることで、アートを中心にデザイン・ミュージック・ダンス・映画・映像・本など、アーティストやクリエイターを支援するプロジェクトに強いクラウドファンディングサービスとなっています。
クリエイティブに対する共感ということが、モーションギャラリーのキャッチフレーズになっています。
幅広いプロジェクトを扱う購入型のクラウドファンディングや、リターンの見返りのない寄付型のクラウドファンディングについては、下記のページで詳しく解説しています。
こちらも合わせて是非参考にしてみてください。
購入型と寄付型クラウドファンディングのプライスレスな特徴とは? – 8つの運営業者も紹介
目次
モーションギャラリー(Motion Gallery)の基本情報
最低出資額 | 500円から100万円 | 商品・サービスによって異なる★★★☆☆ |
---|---|---|
利用者の支払う手数料 | なし | 無料でサービスを利用できる★★★★★ |
その他手数料 | 銀行への振込手数料はコレクター負担 | 一般的★★★☆☆ |
支払方法 | 銀行振込、クレジットカード | 他の購入型クラウドファンディングよりも選択肢は少ない★★★☆☆ |
対象 | 商品やサービス(購入型) | リターンは現物商品やサービスとして提供される★★★☆☆ |
モーションギャラリーはクリエイティブ分野のクラウドファンディング
2011年からクラウドファンディングサービスをスタートさせているモーションギャラリーは、アートやクリエイティブといった分野を中心としたクラウドファンディングのプロジェクトを提供しています。
ジャンルとしては、アート・映画・写真・デザイン・音楽・アニメ・ゲーム・コミュニティ・プロダクト・演劇・ダンス・本・テクノロジー・パフォーマンス・スポーツ・フード・ジャーナリズムなどに分けられています。
特に実績があるのは映画・映像のクラウドファンディングプロジェクトとなっています。
資金調達側は「プレゼンター」
モーションギャラリーを通じて資金調達を行う企業や個人は、プレゼンターと呼ばれています。満18歳以上であるか、もしくは親権者の承認を受けた方であればプレゼンターになることができます。
プロジェクトの種類は2つ
モーションギャラリーのプロジェクトは、資金募集方法の観点からコンセプト・ファンディングとプロダクション・ファンディングの2つに分けられています。
コンセプト・ファンディング
コンセプト・ファンディングとは、目標の資金募集金額に到達しなかった場合、プロジェクトは不成立となり資金調達はキャンセルされる仕組みです。
特にモーションギャラリーは芸術色の強いクラウドファンディングであるため、資金募集可能性は不透明な案件が多くなっています。
まだまだアイディア段階にとどまっているプロジェクトや、世の中でどの程度反響があるか、ニーズがあるかとサウンディングしてみたいプロジェクトに適した方法です。
プロダクション・ファンディング
一方、プロダクション・ファンディングは、掲載した時点でプロジェクトの実施が決定します。
アイディアがすでに固まっているプロジェクトや、すでに実現化のステップに進んでいるプロジェクト、既存のプロジェクトがあり、今回が2回目、3回目のプロジェクトである場合に向く方法です。
利用者は「コレクター」
利用者はモーションギャラリーにおいて、コレクターと呼ばれています。コレクターとは、購入者を意味します。自分自身で価値のあるプロジェクトや、興味のあるプロジェクトをコレクションしていくイメージです。
コレクターは、モーションギャラリーを通じて、支援したいと思うプロジェクトに資金を提供します。プロジェクトを支援するとプレゼンターから特典を得ることができます。
コレクター側の負担はナシ
モーションギャラリーのビジネスモデルは、基本的にプレゼンターからの資金調達の金額に応じた手数料を得ることで成り立っています。そのため、コレクターが手数料を支払う必要はありません。
また、支払い方法としては銀行振込とクレジットカード払いが用意されています。
銀行振込とクレジットカード払いがあれば、特に困ることはないと思われますが、他社のクラウドファンディングサービスでは、コンビニ払いやPaidy、携帯電話キャリアの決済サービス、仮想通貨の支払いなどにも対応しています。
モーションギャラリーも、さらに決済方法の選択肢が増やしていくことが期待されます。
主な購入型クラウドファンディングの手数料比較
業者 | 利用者の手数料 | 掲載手数料 | 決済手数料 | プロジェクトオーナーの手数料 |
---|---|---|---|---|
Motion Gallery(モーションギャラリー) | なし | 5%から15% | 5% | 10%から20% |
キャンプファイヤー | 1件につき216円 | 12% | 5% | 17% |
A-port(エーポート) | なし | 総支援型20%から25% | なし | 20%から25% |
COUNTDOWN(カウントダウン) | なし | 15% | 5% | 20% |
GREEN FUNDING(グリーンファンディング) | なし | 20% | なし | 20% |
Kibidango(キビダンゴ) | なし | 原則10%(楽天ペイ利用時は14%) | なし | 原則10%(楽天ペイ利用時は14%) |
Makuake(マクアケ) | なし | 20% | なし | 20% |
Readyfor(レディーフォー) | なし | 12%(シンプルプランは7%) | 5% | 17%(シンプルプランは12%) |
ShootingStar (シューティングスター) | なし | 15% | 5% | 20% |
購入金額は500円から100万円まで
購入金額はプロジェクトとコースによって異なります。原則として500円から100万円に限定されています。金額によって得られる特典も大きく異なっているので、よく確認する必要があります。
資金調達金額の目標クリアで手数料が下がる
プレゼンターがプロジェクトの資金調達を成功させた際にモーションギャラリーに支払う手数料は、他社よりも低く設定されています。
例えば他社はおおよそ資金調達額の20%を支払う必要がありますが、モーションギャラリーでは、プロダクト・ファンディングの場合募集した金額が目標金額を超えた場合は10%となります(目標金額に達しなかった場合は20%)。
なお目標調達金額に達しないとプロジェクトが成立しないコンセプト・ファンディングの場合も手数料は10%です。
他クラウドファンディングと比較して、プレゼンターにとってモーションギャラリーでプロジェクトを行うことは、コストを抑えてクラウドファンディングで資金を集めることができます。
コレクターが気を付けないとならないのは、目標調達金額に達しなかったプロダクト・ファンディングのケースです。
このケースではプロジェクトの資金が不足している状況で高い手数料をプレゼンターが支払うため、完成するプロジェクトの成功や特典の内容に不安が生じます。プロダクト・ファンディングのプロジェクトで、募集状況の進捗がよくない案件は注意が必要かもしれません。
モーションギャラリーなら世界視野の提案もできる
モーションギャラリーが他のクラウドファンディングサービスと比べて特徴的なポイントは、他のクラウドファンディングサービスと提携を行っている点です。
アメリカにあるクラウドファンディングサービスであるIndiegogo(インディーゴーゴー)とも提携をしており、モーションギャラリーの特設サイトを通じてクラウドファンディングを行うと、Indiegogo(インディーゴーゴー)でもプロジェクトを紹介してくれます。
これによって国際的なプロジェクトの支援も集めることが可能となっています。
モーションギャラリーは大手メディアとも提携
モーションギャラリーは、大手メディアである朝日新聞や、映画情報サイトである映画ドットコムとも業務提携を行っています。
モーションギャラリーは映画を中心としたクラウドファンディングをプロジェクト化していて、こういったメディアとの業務提携を通じて情報発信を行うことができるため、プレゼンターにとってはモーションギャラリーにプロジェクトのPRを期待することができます。
なお、朝日新聞とは2015年に提携を行っており、朝日新聞も自社のA-PORTというクラウドファンディングサービスをスタートさせています。A-PORTの運営や決済システムは、モーションギャラリーのサポートによって成り立っています。
モーションギャラリーのメリット・デメリット
モーションギャラリーの良い点
- アートや映画・映像といったクリエイティブなクラウドファンディングを支援できる
- プロジェクトへの出資を通じて、特典を受け取ることができる
- プレゼンターが支払う手数料が合計10%と、他社と比較しても低めに設定
- コンセプト・ファンディングとプロダクション・ファンディングの2つの資金調達方法があるため、プロジェクトの成功率が高くなる
モーションギャラリーの残念な点
- 投資ではないので、金銭的なリターンを得ることはできない
- プロジェクトのジャンルがアートやクリエイティブな分野に偏っている
募集実績
- 合計調達資金総額:20億円以上
- 最高記録プロジェクト:約4,000万円
(公式ウェブサイトの情報に基づく)
登録の流れの概要
ユーザー登録は公式ウェブサイトから新規会員登録のリンクをクリックして開始できます。
メールアドレス、またはFacebookやTwitterのアカウントから認証をすることで登録することができます。注意点として、Facebookアカウントでのユーザ登録をする際に、メールアドレスの共有を不可とする設定となっていた場合は、会員登録を完了することができなくなってしまいます。
Facebookのアプリ設定でmotion-galleryを一旦削除した上で、あらためてモーションギャラリーページのFacebookサインアップボタンをクリックし、メールアドレスの共有設定及び会員登録の完了を行う必要があります。
信用できる運営会社か?
- 社名:株式会社MotionGallery
- 本社所在地:〒107-0062 東京都港区南青山3-13 midoriso.2
- 設立:2011年7月
- 事業内容:クラウドファンディングプラットフォーム「MotionGallery」の運営・管理
- 代表取締役:大高健志
代表取締役の経歴
モーションギャラリーの創業以来の代表取締役である大高健志さんは、東京藝術大学大学院に所属していた際に、モーションギャラリーを立ち上げています。元々は、東京藝術大学大学院の学費を稼いで英語力を身に着けるために、外資系コンサルティング会社に所属していました。
大高さんは東京藝術大学大学院に進まれてから、日本の映画業界の問題点に気づきました。映画大国であるフランスでは、映画に対する国の助成が非常にしっかりと整っており、映画のクリエイターは、定期的に作品制作を行える土壌ができていました。
しかし、日本ではあまり芸術分野の助成金の拡充が進んでおらず、継続的にアーティスト活動を行っていくのは難しい環境であることに気づき、日本でクリエイターが継続的な作品制作を行う方法の一つとして、クラウドファンディングを立ち上げることになったのです。
大高さんは、モーションギャラリーを通じて文化育成のためのクラウドファンディングを目指していることがわかります。
プロジェクトの説明・募集条件・リターンについて
個別のプロジェクトの紹介ページでは、ムービーや写真などを用いて、概要が説明されています。映画のクラウドファンディングであれば、監督からのメッセージなども紹介されています。
また、クラウドファンディングでプロジェクトを行う意義について説明されていたり、資金の使途や特典についても説明があります。
過去のプロジェクト例
カンヌ映画祭・ベネツィア映画祭を制覇した巨匠キアロスタミが、新作『Like someone in love』を日本で撮る!
- プロジェクト:数々の映画賞を受賞してきたイランの巨匠アッバス・キアロスタミの日本での撮影をサポートするプロジェクト
- 最終資金調達金額:5,620,002円
- 目標資金調達金額:5,000,000円
カンヌ映画祭やベネツィア映画祭といった世界的な映画祭で数々の賞を獲得してきたイランの映画監督であるアッバス・キアロスタミの日本での撮影を支援するプロジェクトです。
映画撮影は少なくとも数億円といったお金が必要になります。このプロジェクトでは、撮影に必要な資金の5%程度をクラウドファンディングなどの支援で集め、配給会社の提供する資金や国の助成金などを申請して映画を撮影するというものです。
映画を中心としているモーションギャラリーらしいプロジェクトとなっています。
撮ってすぐアナログ『スクエア』写真! Lomography Lomo’Instant Squareプロジェクト
- プロジェクト:世界初となるスクエア型の写真が撮れるインスタントカメラ制作するプロジェクト
- 最終資金調達金額:5,965,143円
- 目標資金調達金額:1,000,000円
ロモグラフィと呼ばれるアナログ(フィルム)カメラが、特に若い女性の間で人気を博しています。正方形の写真が撮れる機能を付けたロモグラフィを制作しようというのがこのプロジェクトです。
アナログカメラらしいレトロ感であったり、簡単な操作で写真が撮れること、ロモグラフィらしい多重露光やカラーフィルターなどの機能がついており、アートに興味を持つコレクターが多いモーションギャラリーで人気となったプロジェクトです。
プレゼンターはロモグラフィ社で、日本のみならず他の国でも同時にクラウドファンディングを行っていたことで知られています。
クジラを巡る世界的論争描く、日本人監督初の本格ドキュメンタリー映画撮影プロジェクト
- プロジェクト:捕鯨に賛成する人、反対する人の両方にカメラを向けて捕鯨問題をより知ってもらうための映画制作プロジェクト
- 最終資金調達金額:23,250,000円
- 目標資金調達金額:15,000,000円
日本の地域文化の一つであるクジラやイルカといった動物の捕獲によって、非難の矛先が世界から日本へ向けられる事態になっていることはよく知られています。
しかし、以前は給食にも提供されていたクジラですが、現在の日本人の多くはもはやクジラを食べることも稀になっており、捕鯨の問題については身近には感じていません。
ますます募る日本の捕鯨問題について、賛成派の声と反対派の声をよく理解するために映画を制作しようというのがこのプロジェクトです。
まとめ
モーションギャラリーの特徴は、何よりもまずアートや映画といった芸術・表現の分野のプロジェクトが充実していることです。
モーションギャラリーを通じて映画制作のクラウドファンディングを行い資金募集に成功すると、それはその映画を観たいという人が多くいるということにつながります。
映画の制作会社や配給会社もクラウドファンディングで資金の一部が集まっているプロジェクトについては、ある程度集客の見込を立てることが可能となり、映画制作を実行するきっかけになります。
モーションギャラリーのクラウドファンディングで一定の金額が集まったことをきっかけに、数多くの映画制作が実現しています。
アートや映画といったプロジェクトを支援して得られる特典には、監督や出演者、アーティストのサインなど非売品のものも多く見受けられます。
また、モーションギャラリーは他のクラウドファンディングと比較しても、プレゼンターが支払う手数料が安くなっています。
できるだけクラウドファンディングにかかるコストを抑え、作品にお金を還元してほしいというモーションギャラリーの考え方にも非常に好感が持てます。
金銭的リターンが見込め、より投資の意味合いの強いクラウドファンディングや、少額から投資のできるソーシャルレンディングについては、下記のページで詳しく解説しています。
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