
Makuakeは、サイバーエージェントの子会社である株式会社マクアケが2013年にスタートした購入型クラウドファンディングサービスです。
購入型クラウドファンディングサービスの中では、大規模なプラットフォームの一つになっています。
購入型クラウドファンディングというのは、資金需要のある企業がインターネットを通じて資金調達を行い、資金の出し手には希望する商品やサービスを提供するスキームです。
企業としても、銀行から融資を受けるのではなく、また投資家から株式の出資を受けることもせず、商品やサービスを提供する代わりに資金を調達するというファイナンスとは異なった新しい資金調達方法となっています。
また、資金の出し手は商品やサービスの購入者ということになりますので、直接顧客やファンを増やしていけるというメリットも企業側にあります。
同じクラウドファンディングでも、全く性質が異なるのが、ファンド型と株式型のクラウドファンディングです。
購入型に比べて大きなリターンが期待できる代わりにリスクも伴ってきます。
下記のページでファンド型と株式型のクラウドファンディングを詳しく解説していますので、是非参考にしてみて下さい。
ファンド型と株式型クラウドファンディングの違いと特徴 – 大手6運営業者を解説
目次
Makuake(マクアケ)の基本情報
最低投資額 | 500円。数千円から数万円の案件が多い | ★★★☆☆ 商品・サービスによって異なる |
---|---|---|
運用・維持手数料 | 手数料はなし(Makuakeは掲載企業から手数料を取る仕組み) | ★★★★★ 投資家の負担はなし |
支払手数料 | 銀行への振込手数料は投資家負担 | ★★★☆☆ 一般的 |
支払方法 | 銀行振込、コンビニ払い、クレジットカード | ★★★★★ 様々な支払方法が選べる |
出資対象 | 商品やサービス | ★★★☆☆ 投資ではない |
Makuakeは投資?

出典:Makuake
Makuakeの提供しているクラウドファンディングサービスは、購入型のクラウドファンディングです。
そのため、ファンド型クラウドファンディング、ソーシャルレンディング、株式型クラウドファンディングとは異なり、純粋に投資のリターンを提供することが目的ではありません。
購入型クラウドファンディングは、様々な企業が世の中に新しいビジネスモデルをリリースにあたって必要な資金を集めるのためにプロジェクトを立ち上げて、商品やサービスを提供し購入してもらうことで資金調達を行うモデルです。
企業は非常にバラエティ豊富
Makuakeではもちろん様々な企業が資金調達のために商品やサービスを提供しています。
ビジネス寄りの案件が多いですが、アート・音楽・教育・社会貢献・地方創生や地域活性化・スポーツ・出版・ゲーム・アニメ・漫画など本当に様々なプロジェクトが提供されています。
ファンやサポーターという視線で出資
これまで説明した通り、Makuakeは私たちユーザーは、投資家ではなく購入者としてMakuakeの案件を見ていくことになります。
もちろん、これまですでに存在している商品やサービスではなく、新たに生まれる商品やサービスが提供されているので、私たちはいわば企業のファンやサポーターという視点で、プロジェクトを応援し購入するということになるかと思います。
Makuakeで多くの資金を集めることができた企業は、ある意味でこれからの企業を応援してくれるサポーターを集めることに成功しているともいえるでしょう。
基本は手数料無料で決済方法も多様
Makuakeは、収益を掲載企業から得るビジネスモデルを取っています。そのため、直接購入者が手数料を払う必要はありません。
また、購入時の支払方法として、銀行振込はもちろんのこと、コンビニ払やクレジットカード決済なども用意されています。
サービス等の還元時期は商品ごとに違う
投資目的のクラウドファンディングであれば、投資の回収スケジュールが定められており、投資回収期間を想定することが可能です。
しかし、購入型クラウドファンディングでは投資回収という概念はありません。
商品やサービスについては、プロジェクト毎に定められたタイミングで、購入者に提供されることとなっています。
購入金額は数千円から数十万円
購入金額は案件によってマチマチです。
また、同じプロジェクトをであっても商品やサービスにランクを付けて、3,000円のコース、10,000円のコース、30,000円のコースといった設定がされているケースもあります。
金額に見合うと思う商品やサービスを選んで購入することができます。
なお、提供されている商品やサービスには数に限りがあるケースがあるので、申込には注意が必要です。
Makuakeの強みとは?
Makuakeはこれまで3万件を超える案件を募集しています。中には1億円を超える資金調達を行った企業もあります。
ライバルとなるのはReadyforやCampfireがあります。
Makuakeは、AmebaやAbemaTVで知られるインターネット広告事業を営むサイバーエージェントの子会社が運営しています。そのためサイバーエージェントの持っているネットワークをフルに生かしたサービスを提供しています。
Makuakeのプロジェクトについても、傘下企業のブログや音楽サイト、ゲームアプリなどで情報を発信することで一層の集客が見込めるため、プロジェクトの成功確率を高めることができます。
たとえば、サイバーエージェントによればAmebaの会員は7,500万人(月間ののべ数。2023年時点)とのことですので、それだけ多くの方にMakuakeのプロジェクトを告知することが見込めることになります。
Makuakeは多くの企業とパートナーシップ
Makuakeはこれまで多くの企業とパートナーシップを組んで、プロジェクトの発信、開発に取り組んできています。
たとえば文化放送のようなメディア、村田製作所のようなメーカー、伊勢丹のような小売業、みずほ銀行などの金融機関など、幅広い業界との連携を行っています。
そういった企業とパートナーシップを組めるということは、それだけMakuakeは信用力のある企業だと言えるでしょう。
ふるさと納税型クラウドファンディングに寄付も
MakuakeではMakuakeガバメントという、地方自治体がプロジェクトを立ち上げてプロジェクトへの寄付を募るサービスも展開しています。
これは、ふるさと納税と同じ仕組みとなっており、寄付金の一部が所得税・住民税が控除されることになっています。
そのため、もし欲しい商品やサービスがMakuakeガバメントに掲載されていれば、購入と合わせて節税にもつなげることができます。
Makuakeのメリット・デメリット
Makuakeの良い点
- 自分が応援したいと思う企業のプロジェクトを見つけて、企業を直接応援することができる
- プロジェクトへの出資を通じて、商品やサービスを受け取ることができる
Makuakeの残念な点
- 投資ではないので、金銭的なリターンを得ることはできない
募集実績
- 累計応募購入総額:700億円以上
- 1ヶ月間の開始プロジェクト件数:650件以上
- 10回以上応募購入している人の人数:10万人以上
- 一人あたりの1階における平均応募購入金額:13,000円
10年以上継続しているサービスだけあり実績は十分です。初めての人も、他社の購入型クラウドファンディングを利用したことがある人も安心して利用できるサービスとなっています。
登録の流れの概要
登録にあたっては、公式ウェブサイトの新規登録画面からメールアドレスを入力することで簡単に行えます。また、Facebook・LINE・TwitterといったSNSのアカウントから登録をすることもできます。
他のクラウドファンディングサービスの登録時のように、投資家情報を登録したり、口座情報を登録したり、投資家適合性の確認などが必要ありません。そのため数分で登録が可能です。
もちろん、他のクラウドファンディングサービスの登録のように審査もありませんので、審査後1週間程度待って書留で郵便を受け取ってからサービスが使えるようになるといった手間もなく、登録後すぐに出資することができます。
信用できる運営会社か?
- 社名:株式会社マクアケ
- 設立:2013年5月1日
- 事業内容:クラウドファンディングサイトの運営
- 資本金:3,134百万円
- 代表取締役:中山 亮太郎
サイバーエージェントの子会社
Makuakeの運営企業は、サイバーエージェントの子会社です。サイバーエージェントは、Amebaの運営や、音楽配信サイトのAWA、AmebaTVなどITを通じて様々なサービスを提供している企業グループです。
Makuakeのウェブサイトも非常に洗練されており、PCでもスマートフォンでも非常に見やすいレイアウトになっており感覚的に画面操作ができるなど、さすがサイバーエージェントが運営しているサービスといった趣があります。
また、公式ウェブサイトによると、Makuakeアナリティクスというサービスを企業に提供しており、プロジェクトページのPV数や、購入者の支払手段の内訳、購入者の性別や年齢、居住地、職業などの情報を把握することができるようになっています。
こういったデータを活かして募集の向上を図っている点もサイバーエージェントの強みの一つであり、企業にとって非常に良いシステムになっていると思われます。
代表取締役の経歴
代表取締役の中山さんは、2006年にサイバーエージェントに入社し、海外でベンチャー企業の支援に携わるなど、ベンチャーキャピタル投資を行っていました。
スタートアップ企業を支援してきた経験を活かして、新しい企業の資金調達を応援するMakuakeを運営しているものと思われます。
また、サイバーエージェントの社長は藤田晋社長ですが、藤田氏も非常に多くのベンチャー企業に投資を行い、様々な起業家をサポートしてきた経緯があります。
サイバーエージェント全体の企業力を生かして、Makuakeの成長を図っていると考えられます。
出資をして企業をサポートすることが、Makuakeにおける「投資」
クラウドファンディングはまだまだ新しい金融サービスですが、日本証券業協会は「共感」や「支援」といったことがクラウドファンディングのテーマであるとしています。
つまり個人がインターネットを通じて、直接企業のサポーターとなることが、クラウドファンディングの仕組みが整備された重要な理由の一つとなっています。
その意味で、Makuakeを通じて企業のプロジェクトにサポーターとして出資することは、まさにクラウドファンディングのテーマに合致しています。
その代わり、純粋な投資という観点がない出資であることも事実です。
プロジェクトについて
投資案件の紹介ページでは、プロジェクトのの紹介写真やムービー、支援するコースの内容が記載されています。
プロジェクトの進捗情報は都度アップデートされていくので、出資したプロジェクトについては定期的に確認をするとよいでしょう。また、実際に過去の投資案件例については以下ようになっています。
Air by crazybaby
- プロジェクト:Hi-Fiサウンドの完全ワイヤレスイヤホンAir
- 最終資金調達金額:94,474,700円
- 目標資金調達金額:1,000,000円
これはカーボンナノチューブを用いた、超小型ワイヤレスイヤホンの作成の支援プロジェクトです。
こちらのプロジェクトは目標金額が100万円だったのにも関わらず、9,000万円を超える資金調達を行い、当時の購入型クラウドファンディングで最高額の調達を達成したプロジェクトとなりました。
超小型であり、かつ防水性能を備えるなどスポーツ時にも適するプロダクトであり、スマホアプリなども用意するなどユーザーの欲しいワイヤレスイヤホンの機能を備えていたことがヒットした理由です。
この商品はアメリカでもクラウドファンディングで3.2億円の資金調達を行った実績がありました。出資すると、安い価格で商品を手に入れられるというサービスがサポーターに提供されていました。
『この世界の片隅に』アニメ映画化プロジェクト
- プロジェクト:こうの史代原作の『この世界の片隅に』のアニメ映画化の支援
- 最終資金調達金額:36,224,000円
- 目標資金調達金額:20,000,000円
こうの史代作のアニメ映画の実現のために立ち上げられたプロジェクトで、調達金額3,622万4,000円もの資金が集まりました。資金調達の成功によって2016年に映画公開されヒット作品となりました。
女優「のん」の復帰作となったことも合わせてクラウドファンディングが社会に知られるようになったプロジェクトとなりました。
映画のヒットを受けて、『この世界の片隅に』の海外上映を盛り上げるため、作品のディレクターであった片渕監督を現地に送り出すプロジェクトが後日募集されるなど、プロジェクトが展開されてきました。
新・ケータイ INFOBAR xvの支援プロジェクト
- プロジェクト:2003年に発売された携帯電話機であるINFOBARの復刻プロジェクト
- 最終資金調達金額:7,662,600円(現在募集中)
- 目標資金調達金額:1,000,000円
2003年に発売されたINFOBARという携帯電話機の復刻に合わせて立ち上げられたプロジェクトです。
当時auでは『au design project』という名の下で、様々なデザイナーによって制作された携帯電話機を発売していました。
携帯電話がスマートフォンにとって代わられていくにあたり、スマートフォンはiPhoneに代表されるような全画面の薄型という、どれも同じようなデザインとなっていったため、デザイン性にこだわった携帯電話は発売されなくなっていました。
auはファンの多かったINFOBARを改めてガラケーとして復刻版を作ることを決め、同時にMakuakeでファンから資金調達を行っています。
リターンとしてINFOBARの専用ケースや、携帯の隠し画面へ出資者の名前がクレジットされる権利などを提供しています。
まとめ:Makuakeはこんな方におすすめ
Makuakeの魅力は、自分が応援したいと思うプロジェクトを見つけて、直接出資をすることでサポーターになれることです。
資産運用という観点から離れて、あったらいいなと想像していた商品やサービス、レストランなどを支援するプロジェクトであったり、昔から好きだった商品の復刻プロジェクトや、好きなアーティストの制作プロジェクトなど、応援したいと思うプロジェクトに直接出資して支援することができます。
またMakuakeでは、各地方自治体とパートナーシップを組んで、ふるさと納税になるプロジェクトの提供も開始しています。
所得税や法人税の節税効果を期待して商品やサービスを受け取ることもでき、登録も簡単に済ませることができるので一度確認してみる価値のあるクラウドファンディングサービスだと言えるでしょう。
Makuake以外の購入型ソーシャルレンディング、さらに寄付型のソーシャルレンディングを下記のページで解説しています。合わせて参考にしてみて下さい。
購入型と寄付型クラウドファンディングのプライスレスな特徴とは? – 8つの運営業者も紹介