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GoAngelは、DANベンチャーキャピタル株式会社が2017年9月にスタートしたクラウドファンディングサービスです。

DANベンチャーキャピタルの社長である出縄良人氏は、ディー・ブレイン証券にてクラウドファンディングの前身であるグリーンシートを通じて、非上場企業株式に関わる業務を行っており、非上場企業141社の株式の募集取引を扱い、18社を上場に導いた経験を持っています。

また、DANベンチャーキャピタル自身がインターネットを通じて資金調達を行っているという面白い経歴があります。

日本ではまだ3社しかない株式型のクラウドファンディングの一つであり、今後の発展が期待されるクラウドファンディングサービスの一つです。

株式型クラウドファンディングと、その他のクラウドファンディングの違いを知りたい方は、下記のページも合わせてチェックしてみて下さい。

主な運営業者についても解説しています。

ファンド型と株式型クラウドファンディングの違いと特徴 – 大手6運営業者を解説

 

GoAngelの基本情報

最低出資額 10万円(25万円、50万円の案件もあり) ハードルが非常に高い
★☆☆☆☆
運用期間 半年から5年 案件によりバラつきあり★★☆☆☆
投資(貸付)対象 将来性のある中小企業への投資 B to Cの企業が多い★★★☆☆
投資対象 普通株式のみ 新株予約権よりも優位★★★★☆
運用・維持手数料 投資金額に対して8%から10%の手数料が発生 高い設定☆☆☆☆☆
入金方法 銀行振込のみ 一般的★★★☆☆
入金手数料(振込時) 銀行への振込手数料は投資家負担 一般的★★★☆☆

 

投資対象のジャンルは何?

GoAngelの提供している投資案件は、非上場企業の普通株式となっています。普通株式を取得できるということは、株主として株主総会への出席権など様々な権利が与えられます。

もし3%以上の株式を保有している場合は、会計帳簿の閲覧権などさらに大きな権利が認められます。

ただし、あくまで非上場企業の株式となるため投資資金の回収方法は、

  1. 投資先企業のIPO(上場)による証券取引所での売却
  2. M&Aなどによる企業買収時に保有株式を売却
  3. 自社株買い(投資先企業による株式の買い戻し)

 
などに限られてきます。

 

投資回収はキャピタルゲインとインカムゲイン

GoAngelの投資案件のリターンはキャピタルゲイン(株式の売買差益)とインカムゲイン(配当収益)から生まれてきます。

キャピタルゲイン(株式の売買差益)は、前述のような投資回収方法の際に得ることができます。

IPOや多くのM&Aといった状況であれば売買差益が生まれるものと思いますが、一部のM&Aや自社株買いといった場合には売買差損になってしまう可能性もあります。

また、インカムゲイン(配当収益)として、投資案件によっては、毎期の配当を見込むことができます。

投資案件の募集要項のページなどに、配当の見通しについて記載されているので投資前によく読んでおく必要があります。

まだ成長途上の企業が多いため、企業が利益を出しても配当せずに内部留保するケースも多々あるかと思われます。

 

購入時に8%から10%の手数料

GoAngelの案件に投資すると、当初おおむね8%から10%の購入手数料が発生します。逆に言えば、この手数料がGoAngelの収益となっています。

たとえば10万円を投資して10%のリターンが得られた場合は11万円が回収できますが、10%の取扱手数料(税込)10,800円を控除すると実際に回収できる金額は99,200円となってしまいます。

さらに振込手数料等を考慮すると、より想定リターンは下がることに注意が必要です。

つまり、それなりのリターンが見込める案件でなければ手数料等を差し引くとあまりリターンを得られることができないということに注意が必要です。

 

ソーシャルレンディングとの違いは何か?

クラウドファンディングには様々なタイプの投資がありますが、資産運用のリターンを追求する投資としては、ファンド型に多いソーシャルレンディングと、株式型クラウドファンディングが中心になります。

ソーシャルレンディングは融資を基本とした投資を、匿名組合を通じて投資を行います。投資の基本は貸付であるため、金利が決められていることから予想リターンが見込みやすい投資となります。

ただし、どれだけ投資先企業が成長しても得られるリターンは事前に定められた金利分のみとなります。また、規制の問題で投資先企業の情報がほとんど開示されません。一方で株式型クラウドファンディングの場合は投資先企業について多くの情報が開示されます。

しかしあくまで株式への直接投資であることから、投資回収金額を見積もることは非常に困難です。

一方で企業が成長し上場にたどり着いた場合は、数倍、場合によっては数十倍というリターンを期待することも可能となります。同じクラウドファンディングでも、特性が大きく異なっていることに注意が必要です。

ソーシャルレンディングのおすすめ運営業者については、下記のページで比較しています。合わせて参考にしてみて下さい。

おすすめのソーシャルレンディング会社 ~ サービスや利回り、メリット、デメリットを比較

 

投資は余剰資金で

前述のような融資型のクラウドファンディングであれば、貸付金の回収スケジュールが定められており、投資回収期間を想定できますが、株式型クラウドファンディングの場合は回収期間の予測は困難です。

そのため、余剰資金で投資をすることが求められます。

 

投資のハードルは高い

最低出資金額は10万円に設定されています。

他のクラウドファンディングサービスでは、最低出資金額は1万円という案件も散見されるため、GoAngelの最低投資金額は他のクラウドファンディングサービスと比較しても高いことがわかります。

また、案件によっては最低投資金額が25万円、50万円に設定されているケースもあります。

クラウドファンディング投資の初心者にとっては、なかなか手の出しづらいスキームになっていることは事実です。

 

一部投資先企業の株主が、GoAngelの経営者運営の別企業となっている

投資案件のうち、株式会社マルチブックというクラウド会計システムを提供するフィンテック企業があります。

この企業は、DANベンチャーキャピタルの出縄氏が経営する出縄&カンパニーが80%超の株式を保有しており、また上場に向けたコンサルティング契約を結んでいることが情報として提供されています。

こういった案件は3つ考慮すべき問題があります。

一つは、出縄氏自身が実質上出資しているより将来のIPOの確度が高い案件の可能性があることです。

もう一つは、反対に自分の出資先企業に外部の投資家(クラウドファンディングの投資家)を入れるということは、増資が必要な理由が生じているということです。

うがった見方をすれば、当該企業からコンサルティング契約も得て利益を得ているため、どうにかこの企業を延命させようというインセンティブがGoAngelに働いてもおかしくありません。

このような利益相反事項の可能性のあるについては注意をしてみておく必要があります。

ただし、GoAngelではこのような利益相反事項についても案件の説明ページで明らかにしていることは安心材料と言えます。

 

GoAngelの利用条件

GoAngelは本人のみ申込ができ、また複数アカウントを登録することはできません。なお、その他のGoAngelに登録できない方は以下のとおりとなっています。

  • 暴力団員、暴力団関係者あるいは総会屋等の社会的公益に反する行為をなす者
  • 18歳未満の人
  • 海外に在住の人
  • 外国籍で、本人確認書類(在留カード、特別永住者証明書、住民票の写しのうちいずれか一つ)をGoAngelに提出できない人
  • 成年後見人制度に係る家庭裁判所の審判を受けた人

また、その他GoAngelの判断により投資家登録ができない場合もあります。

例えばGoAngelは投資のスタイルとしてハイリスクハイリターンの投資であるため、全く投資の経験がない方であれば、投資家登録の審査が下りないケースもあるようです。

なお、現在のところGoAngelでは、法人でも投資家登録を行うことはできません。しかし近い将来法人会員登録ができるように対応することが、公式ウェブサイトにて発表されています。

 

GoAngelのメリット・デメリット

GoAngelの良い点

  • これまで個人投資家にとってハードルの高かった非上場のベンチャー企業に投資をすることができる。
  • 他のクラウドファンディングサービスと比較しても高いリターンを期待することができる。
  • 他のクラウドファンディングサービスと比較して、投資先企業の情報が多く開示されている。

 

GoAngelの残念な点

  • 流動性が低い(中途解約ができない)
  • 投資先企業の信用(デフォルト)リスクがある
  • 他のソーシャルレンディングサービス会社と比較して、手数料が多く発生する
  • GoAngel自身の信用(デフォルト)リスクがある
  • ローンではないため、担保設定がなく投資リスクは他クラウドファンディングサービスより高い
  • 利益相反事項の可能性がある案件がある

 

運用実績

  • ファンディング募集件数:9件
  • ファンディング成立件数:7件(他2件は募集中)

GoAngelの投資案件は、一定の投資金額が集まらない場合、不成立となる可能性があります。

なお、これまでの投資案件の募集金額は7,000,000円から20,000,000円となっています。
(公式ウェブサイトの情報に基づく、2018年8月3日時点)

 

登録から投資実行までの流れ

投資を行うあたり、まず仮会員登録を行う必要があります。

 

会員登録の手順

1.会員登録

まずは仮登録の申込を行います。公式ウェブサイトの「新規登録」というリンクをクリックします。登録したメールアドレスに、仮会員登録の案内が届いているので、メールのリンクから本会員登録のページに移動します。

 

2.投資家情報登録

投資家の個人の情報を入力していきます。

 

3.規約等への同意

ここでは、以下の書類を確認して同意する手続きが必要になります。

書類一覧
  1. 会員登録時交付書面
  2. 反社会的勢力でないことの確認書への同意
  3. 取扱要領への同意
  4. 電磁的方法による書面交付等の承諾書への同意
  5. 個人情報の取扱いについての同意書への同意

 

4.適合性の確認

さらに、GoAngelに登録するにあたり投資家としての適合性をチェックします。質問事項が15個ありますので、逐次回答をしていきます。

 

5.本人確認書類の提出

指定された本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)をカメラで撮影、もしくはスキャンした画像データでアップロードして提出します。

アップロードができない場合は、郵送でも対応が可能なので問い合わせてると良いでしょう。

 

6.投資家審査

投資家審査の結果については、本人限定書留にて郵送されてきます。

 

信用できる運営会社か?

  • 社名:DANベンチャーキャピタル株式会社
  • 本社所在地:東京都千代田区内幸町一丁目1番1号 帝国ホテルタワー15階
  • 設立:2015年5月15日
  • 事業内容:第一種少額電子募集取扱業者
  • 資本金:7,500万円
  • 代表取締役:出縄 良人

 

非上場企業の株式投資経験が豊富

DANベンチャーキャピタル株式会社の社長である出縄良人氏は、1997年にディーブレイン証券を創業し日本証券業協会の非上場企業向け株式公開主幹事で9割のシェアを持つなど、非上場企業の株式へのアクセスが広まるような貢献をしてこられています。

クラウドファンディングが始まったことは、これまで非上場企業の株式を多くの方に保有してもらえるような活動をしてきた出縄氏にとって、非常に良い法整備となったことから、DANベンチャーキャピタル株式会社を創業しています。

創業は2015年ですが、株式型クラウドファンディングについては20年以上の知見を持つ老舗と言うことができるでしょう。

 

代表取締役の経歴

元々出縄氏は公認会計士として、監査法人で活躍をされていました。その後前述のとおり、ディーブレイン証券を設立し141社約112億円の非上場企業の株式の募集を行い、そのうち18社を上場まで導いています。

過去の非上場企業の株式による資金調達の経験を活かして、クラウドファンディングで資金調達を行っているものと考えられます。

また、公認会計士として、クラウドファンディングに関するセミナーなども定期的に開催されています。

また、大手事業会社がベンチャーキャピタル投資をする際に用いるコーポレート・ベンチャーキャピタル・ファンドと呼ばれるCVCファンドの組成にも多く関わっておられます。

 

企業の応援がメインの投資

GoAngelは、投資のテーマとして「共感」「支援」をメインのテーマに据えています。

株式型クラウドファンディングの主旨は「共感」や「支援」であると日本証券業協会の規則にも書かれています。

その意味では、GoAngelの投資は必ずしもリターンを追求するための投資にはならない可能性があります。

様々投資対象がありますが、最終的に投資家としてどの程度のリターンが得られるは不透明です。あくまで投資先企業を応援したいという目線で投資をするということが前提になるでしょう。

 

株価には注意が必要

投資先企業としては、新たな投資家がお金の出し手になってくれることはありがたいものの、株主として経営に口出しされることは良しとしていません。

そのため、DANベンチャーキャピタル株式会社では、株価を引き上げた上でクラウドファンディングにて資金調達を行うことで、現在のオーナーの株式の希薄化が起きないように配慮しています。

クラウドファンディングにて資金調達を行っても、オーナーが過半数以上の株式を保有していれば、引き続き自由に経営をしていくことが可能です。

この際注意が必要なのは、募集要項でも記載されている一株あたりの価格です。

もしこの価格が高い状態で募集されていると、将来IPOやM&Aなどによって売却の機会が訪れても、あまりリターンを得ることができません

既存の株式発行数や資本金などから目安の株価が算定できますので、投資の前に質問などでGoAngelに確認しておくとよいでしょう。

 

投資案件にはどのようなものがあるか?

goangel案件
出典:GoAngel
https://go-angel.com/

審査の概要にはGoAngelの評価も

投資案件の紹介ページでは、投資先企業の紹介ムービー・株式数・一株あたりの株価・手数料・最低投資金額・申込期間・事業計画の内容・資金使途・審査の概要・リスクの概要・会社概要が記載されています。

投資の検討にあたり、具体的な情報が多く記載されているので投資前によく読んで理解しておく必要があるでしょう。

特に審査の概要については、どのようにGoAngelがこの企業の審査し、投資適格企業として評価したかと説明しています。過去の投資案件例については以下ようになっています。

 

株式会社エデューレエルシーエー

  • 投資対象:インタナショナルスクールの運営会社
  • 投資目標金額7,000,000円
  • 最低投資金額:100,000円

同社は、LCA国際小学校及びLCA国際プリスクールを運営する株式会社です。

LCA国際小学校は、相模原市が内閣総理大臣より国際教育特区の指定を受けたことに伴い2008年に設置された正式な小学校です。株式会社による運営が認められた全国でもユニークな私立小学校です。

資金は教材の開発、パンフレットの作成、人件費に充てられます。

 

株式会社マルチブック

  • 投資対象:フィンテックによるクラウド会計システム開発
  • 投資目標金額:20,000,000円
  • 最低投資金額:250,000円

同社は会計システムの開発を行っている企業です。

世界7か国に拠点を展開するグローバル企業で、クラウド会計システムを取り入れることで、中小企業でも会計システムを使えるようなサービスを展開しています。投資資金はシステムの開発資金に充当されます。

 

悟中株式会社

  • 投資対象:熟成鮨専門店
  • 投資目標金額:16,100,000万円
  • 最低投資金額:250,000円

同社は熟成鮨専門の鮨店を銀座で経営しています。

完全会員制の店舗で熟成鮨を医食同源をテーマとした高級和食として提供しています。今後2021年までに直営店5店、フランチャイズ10店の展開を目指しています。

調達資金は熟成鮨関連設備の取得費、広告宣伝費、人材採用費等に充当されます。

 

まとめ:GoAngelはこんな方におすすめ

GoAngelは「共感」「支援」といったテーマでクラウドファンディング投資をしてみたいと考えているクラウドファンディング経験者におすすめ

GoAngelの魅力は、投資先企業のことを十分理解した上で「共感」を持って投資できることです。

出資を通じて応援したいと思う企業やプロジェクトがあれば、単にリターンを追求するだけの投資とは異なった、支援という投資家のやりがいを実感することができるでしょう。

一方でGoAngelの投資は最低投資金額も高く、案件のリスクが高いことも事実です。クラウドファンディング初心者の方は、まず投資ハードルの低いクラウドファンディングから始めて経験を積んでからGoAngelを検討するとよいでしょう。

まだ、GoAngelの投資先から上場した企業は出てきていません。今後上場案件が出てきたり、残念ながら倒産する企業も出てくると思われます。その時点でGoAngelの目利きを判断して、投資を検討しても良いかもしれません。

投資リスクを心配する必要がないのが、購入型と寄付型クラウドファンディングです。

この2つのクラウドファンディングのメリットや投資内容、運営会社について、下記のページで詳しく解説しています。是非参考にしてみて下さい。


購入型と寄付型クラウドファンディングのプライスレスな特徴とは? – 8つの運営業者も紹介