レバレッジを使用しなければ外貨預金のように使える
FXは為替差益を狙った投資商品ですが、同じような為替差益を狙ったものに、外貨預金があります。
しかし、外貨預金の場合、FXに比べてデメリットが多いのです。
まず第一に、手数料が高すぎることが挙げられます。
例えば三菱UFJ銀行の場合、2015年10月時点で、1通貨あたりの為替手数料が、米ドルで窓口の場合は片道1円、三菱UFJダイレクトというネットバンクシステムを利用した場合は片道50銭、ユーロの場合、窓口で1円50銭、三菱UFJダイレクトで25銭となっています。
この為替手数料は、取引する通貨の量で変動しますので、例えば1万ドルを窓口で預けた場合、1円×1万×2となり、2万円のコストがかかることになります。
また、円貨から外貨への両替と、外貨から円貨への両替、つまりASKとBIDの差であるスプレッドが米ドルで50銭、豪ドルは1円もあります。
さらに、外貨預金はペイオフ対象外となっています。
また、資金の流動性が限りなくゼロ、ということもデメリットで、外貨定期預金については中途解約ができない、できても解約手数料が高い等、顧客にとって使い勝手が良いとは言えないのです。
実はFXを使うことで、このデメリットを解消することができます。実はFXは外貨預金として利用できるのです。
FXはレバレッジをかけられますし、買いからでも売りからでも取引できるのが特徴です。デイトレでも長期保有でも取引できる使い勝手の良さが特徴です。
そんなFXを外貨預金のように使う場合、レバレッジをかけない…つまりレバレッジ1倍でお目当ての通貨を買い、そのまま反対売買はせずにずっと持っておくのです。
さらにFXにはスワップが付きます。楽天証券の例を見てみましょう。
例えばドル円の場合、2015年10月現在、1万米ドルを買った場合1日4円、1万豪ドルを買った場合には1日42円スワップが付きます。1年間米ドルを1万通貨持った場合は4円×365日=1,440円、1年間豪ドルを1万通貨持った場合は15,330円という金利が付きます。
これに加えて為替差益が付くかもしれません。もちろん為替差損になる場合もありますが、それは外貨預金でも変わりません。
何より、FXの場合はスプレッドが非常に狭いのが特徴です。
各社小さなスプレッドを実現しようと切磋琢磨していることもあり、銀行の外貨預金とは比べ物にならないスプレッドです。
例えば楽天証券の場合、ドル円で0.3銭です。三菱UFJ銀行の場合、ドル円のスプレッドはネットバンクを利用すると50銭、窓口では1円だったことと比べれば、その差は一目瞭然です。
また、FXは外貨預金と違い、市場の開いていない休日以外は、自分の好きなタイミングで日本円に換金できますし、時間もロールオーバーの時間(早朝の15分程度)以外なら24時間いつでも売買できます。
そのため、仮に急激な円高が進んだ場合、いったんポジションをクローズして、日本円に換えてお金をおろすこともできますし、事前にその兆候が見えたタイミングでのポジションクローズもできます。
外貨預金が自由に換金できないことと比べると、非常に使い勝手が良いと言えます。
FXを外貨預金代わりに使う際にお勧めなのは、購入資金を小分けして複数回に分けて買いポジションを持つことです。これはドルコスト平均法と言い、こうすることで購入単価の幅を縮小できるのです。
外国株や外国債券の為替ヘッジに使える
外国株や外国債券を取引する場合、為替変動は必ずついて回ります。為替差益を得られる可能性もありますが、為替差損となってしまうこともあります。
それに加え外国株や外国債券のような外貨建て商品の場合、その商品そのものの値上がりや配当等の変動もあります。それに為替変動が加わることで、大きな損失を受ける可能性があるのです。
こうした為替変動リスクを、FXを利用することで軽減させることができます。
例えばある米国株を買いたい投資家がいたとします。その銘柄は順調に上がってきており、今後も上昇すると予想しています。
しかし、その一方で、為替は円高基調となっており、今後もしかしたら更なる円高が進む可能性があります。最悪の場合、株価の上昇よりも為替差損の方が大きくなってしまう可能性があるかもしれません。
このような時にFXを使った為替ヘッジをすることで、為替変動リスクを軽減できるのです。
この投資家は1米ドル100円の時に、この米国株を1株30米ドルで100株買ったとします。その場合、30米ドル×100株で、3,000米ドル必要になります。日本円にすると、3,000米ドル×100円=30万円で購入したことになります。
この時、同時に米ドルを同じ金額売り建てします。この例の場合は日本円にして30万円分の米ドルを売り建てします。1ドル100円ですので、3,000米ドルを売り建てしたことになります。
それから時間が経ち、予想通りこの株は上昇し、1株35ドルになりました。しかし、同時に円高が進み、1ドル80円になってしまいました。
ここで売却した場合、株価の上昇による利益は(35ドル-30ドル)×100株=500米ドルです。一方で為替差損は、(100円-80円)×3,000=6万円になります。そのため、円貨ベースだと、この株は、30万円-28万円=2万円の損失となってしまいます。
しかしこの投資家は、リスクヘッジとして3,000ドルを1ドル100円で売り建てしていました。80円になったことで、(100円-80円)×3,000=6万円の為替差益が出ます。そのため、6万円の為替差益と差し引いて、4万円の利益が出ることになります。
このようにFXを利用することで、為替リスクを軽減することもできます。行わない場合、損失となってしまうケースも、FXを利用したヘッジ取引を行うことで、反対に利益を生むこともあるのです。