スリッページしにくい証券会社
すべる=スリッページ
FXで「ここだ!」と思ったレートで成行注文を出すと、違うレートで約定することがあります。
これを俗に「すべる」と言うのですが、正式にはスリッページと言います。このスリッページは、注文時の表示金額と、実際の約定金額との差のことを言います。
このスリッページですが、どうして発生してしまうのでしょうか。
FX会社が顧客に提示するレートは刻々と変わります。チャートを見た場合、特にラインチャートにその傾向が顕著ですが、まるで、レートが徐々に変化しているかのように見えてしまいませんか?
例えば1ドル100円だったものが1ドル100円5銭になった場合、1ドル100円1銭、1ドル100円2銭、1ドル100円3銭…というようにレートが変わり、最終的に1ドル100円5銭になったように見えてしまいます。
しかし実際には、1ドル100円だったものが、次の瞬間に100円5銭にレートが変わっているわけです。チャートにしてしまうと、まるでレートは線で動いているように見えてしまいますが、実際は点で動いています。
この値動きを表したチャートをティックチャートと言います。普通のチャートは、時間を基準にして、どのくらいの値動きがあったかが分かるようにしています。
しかし、ティックチャートはこれとは異なり、あくまでも値動きが基準です。レートとレートの間の時間は特に決まっていないため、値動きがまったくなかった場合は、次のレートとの間が極端に空くこともあります。
いわゆる「すべる」という現象は、この点で動く値動きにあります。為替相場はコンマ何秒のスピードで動いています。
かと思えば、しばらく値動きしないこともあるなど、動きは気まぐれです。
この動きをよく捉えてレート配信し、注文の約定スピードも速い会社であれば、スリッページは起こりにくくなりますが、システムがあまり良いとは言えない会社の場合は、注文から約定までの処理速度が遅いために、スリッページが頻繁に発生します。
そのため、大体のFX会社では、許容スリッページが設定できるようにしています。許容スリッページとは、「これくらいまでのスリッページであれば、問題ない」と顧客の方であらかじめ、発注レートと約定レートとの差の許容範囲を決めておくものです。
Pipsという単位で設定しますが、これは為替が動く際の最小単位です。ですので、ドル円の場合は銭ということになります。許容スリッページを設定することで、あまりに乖離したレートでの約定は避けられますが、Pipsが狭ければ狭い程、約定しづらい場合もあるようです。
スリッページが発生する注文について
FXでできる注文には様々なものがありますが、その中には、スリッページが発生する可能性のある注文もあります。
スリッページが発生する注文で代表的なのは、成行注文です。成行注文は、値段を指定せずに発注する注文方法です。ですので、「いくらでも良いから買います(売ります)」ということになります。
成行の買い注文を出すと、その注文がFX会社に届いた時点のレートで約定します。ですので、発注を出した時のレートが仮にドル円100円だったとしても、FX会社に届いていた時に100円2銭になっていれば、そのレートで約定するのです。そのため、成行注文はスリッページが発生する注文方法であると言えます。
他にスリッページの発生する注文には、逆指値注文があります。
逆指値注文は別名「ストップ・ロス」注文と言い、損切りの注文として主に使います(もちろんそれ以外の使い方もあります)。現在のレートよりも不利なレートでの発注をする注文で、「今のレートより高くなったら買う」「今のレートより安くなったら売る」という注文を出します。
このような注文内容ですので、例えばあるレートがレジスタンスラインとなっていて、それを上抜けたら上昇トレンドになるという場合や、反対にあるレートがサポートラインとなっていて、それを下抜けたら下降トレンドになるという場合の順張りに使われることもあります。
ただし、基本的に逆指値注文は、損失の拡大を防ぐことを想定している注文です。そのため、損失拡大を防ぐために、いち早く約定させることを目的としています。ですので、逆指値注文は不利なレートを設定するものの、設定した条件をクリアした段階で、成行注文として発注されます。
この逆指値注文と同様、ロスカット注文も損失の拡大を防ぐための注文方法です。そのため、ロスカット注文も成行注文で発注されます。
ロスカット注文でよくあるのは、「証拠金維持率を下回るギリギリのレートで決済される」という誤解です。
例えばあるFX会社の証拠金維持率が30%で、顧客がドル円の買いポジションを持った際にロスカットされるレートが1ドル90円だったとします。その場合、ロスカットは必ず1ドル90円でロスカットされるのではなく、証拠金維持率を下回ったレートで決済される、ということです。
ですので、実際にロスカットされるのは89円50銭かもしれませんし、89円1銭かもしれません。ロスカット注文は成行注文で発注されるため、実際の約定金額はロスカットラインとなるレートとは異なることに注意しましょう。