会社の経営者や個人事業主が、個人のローンとは別枠で借りられるのが事業者ローンです。スピード決裁、無担保、第三者連帯保証不要が特徴で、ノンバンク系なら即日融資、銀行系なら3,000万円以上の借入れも可能です。
資金繰りの手当てなど急ぎの場面で活用できますが、金利は15%~18%と高いため、利息の負担が重いことには十分に気をつけましょう。
スピード決裁、無担保融資、第三者連帯保証不要
事業者にとって、資金繰りは常に頭の痛い問題です。たとえば、いま商製品の売上げがあがっても、代金が入金されるのは数ヵ月先ということは珍しくありません。
従業員の給料、仕入れ先業者への支払い、銀行借入れの返済など、入金までの期間の資金繰りを支える運転資金の有無は死活問題です。
銀行が貸してくれない! 審査がてまどって支払期限まで間に合わない! そんなとき、資金繰りの救世主となるのが、簡単な審査でお金が借りられる事業者ローンです。
事業者ローンの大きな特徴は3つ。スピード決裁、無担保融資、第三者連帯保証不要です。
銀行で新規に融資を受けるとなると、事業計画書や返済計画書の提出が必要で、書類の作成に時間がかかります。
銀行は担保や企業の財務内容等についてじっくり審査を行いますので、決済まで1ヵ月以上の期間ということも珍しくありません。銀行の融資を待っていては支払期限に間に合わず、資金ショートしてしまうことにもなりかねません。
その点、事業者ローンは、スコアリングシステムと呼ばれる審査のため、基準を満たしていれば、スピード決裁でお金を借りることができます。
また、無担保で借りられ、第三者の連帯保証人が不要です。このように、事業者ローンは、銀行融資に比べて手続きが簡便で融資を受けやすい点が特徴です。
事業者ローンのメリットとデメリット
総量規制の対象外
個人がノンバンクからお金を借りたいとき、総量規制により「年収の3分の1以上は借りられない」という制限があります。その点、事業者ローンは総量規制の対象外です。
もし事業者が個人名義のカードローンで年収の3分の1のお金を借りていても、それとは別に事業者ローンを借りられる可能性があります。
使いみち自由、コンビニで利用可能
事業者ローンは事業資金なら使いみちは自由。コンビニで繰り返し借りられます。開業資金や開業間もなく事業の実績がなくても借りられます。このようにさまざまなメリットがあります。
15%~18%と金利が高い
逆に、メリットがそのままデメリットにつながる面もあります。
たとえば、借りやすいためつい借りすぎてしまうことに注意が必要です。一般的な銀行融資が3%~5%とすると、事業者ローンは15%~18%と金利が高く、借りやすい反面、利息の負担が重い点がデメリットです。
借入額の上限は300~1,000万円程度
借入額の上限は300万円から1,000万円程度と少額です。返済期間は1年以内など、短期間しか借りられないものもあります。
銀行系とノンバンク系の違い
事業者ローンには、カードローンと同じように銀行系とノンバンク系があります。
銀行系は借入限度額が3,000万円から1億円と高額である反面、融資までが8日から1カ月程度までと時間を要します。
資金使途は事業資金に限定され、業歴2年以上、最新決算期が債務超過ではないこと、申込み時点で税金の未納がないことなどの条件をクリアする必要があります。
一方のノンバンク系は、借入限度額が300万円~1,000万円程度と銀行系に比べて低額ですが、当日借入れが可能で、資金使途が制限されないといった特徴があります。
事業者ローンを利用するときは、希望する借入額や借入れまでの期間、業歴や業績などローン会社の条件に応じて、目的に合った事業者ローンを選択しましょう。
銀行系の事業者ローン | ノンバンク系の事業者ローン | |
---|---|---|
借入限度額 | 三井住友は最大1億円まで 三菱UFJは最大5,000万円まで 地銀は300万円~3,000万円までなど |
最大300万円から500万円が主流 最大1,000円まで融資可能もあり |
金利 | 2%台前半から 三菱は上限9% 地銀は3%台前半から |
100万円未満で上限18%、100万円以上で上限15%が主流 |
融資までの時間 | 三井住友は数日から1ヵ月、三菱UFJは8日程度、地銀は回答まで3日のところもある。 | 当日可能から数日程度 |
最長借入期間 | 3年・5年・7年など | 5年~10年程度 |
来店 | 必要 | 不要または契約時来店要 |
振込み融資 | なし | 可能 |
ローンカード | 金融機関によりカード型もある | ほとんどのノンバンクがカード型 |
資金使途 | 事業用資金 | 事業資金または自由 |
担保 | 基本的にはなし。条件によっては必要な場合もある。 | なし |
保証人 | 第三者保証は不要 代表者の連帯保証は必要 |
不要が主流。法人は代表者の連帯保証が必要な場合もある。 |
融資対象 | 業歴2年以上、来店可能な地域であること、最新決算期が債務超過でないこと、申込み時点で税金の未納がないこと。 一部の地銀では業歴1年以上の条件あり。 個人事業主は借りられない場合が多い。 |
法人・個人事業主。申込み年齢条件あり、業歴1年以上、定期収入ありなどの条件が付くローン会社もある。 |