以前借りていたカードローンの金利がグレーゾーン金利と呼ばれる高い金利のケースでは、払いすぎた金利の分を返還してもらえることがあります。これが過払金請求です。
過払金の金額はケースによりますし、ローン会社との交渉の代行を依頼する弁護士事務所や司法書士事務所に支払う成功報酬費用も少なくありません。
過払金の請求の際には、弁護士または司法書士を十分に見極めて、手続きの流れや費用を確認したうえで依頼しましょう。
法定金利(上限金利)と過払金
「過払金回収実績ナンバーワン!」「払いすぎた利息は必ず戻せます!」など、過払金請求のコマーシャルを耳にした人は多いのではないでしょうか。
過払金とは、カードローンなどの借入れで、法律で定められた範囲を超えた高い金利の利息を払っていることをいいます。
「ひょっとして自分のカードローンも利息を払いすぎているのかな?」「自分にも取り戻せるお金があるなら、そうしたい!」と誰もが思うものです。ある相談窓口での実績によると、自分の過払金の存在に気づいていなかった人は7割以上にのぼるといわれているそうです。
ところで、なぜ、利息を払いすぎたり、それを取り戻せたりするのでしょうか。これは、法定金利(上限金利)と過払金の関係を知る必要があります。
上限金利とは?
私たちがカードローンを利用するときの利息を計算するうえで基準となる金利は、利息制限法と出資法のふたつの法律で規制されています。利息制限法では、借入金額(元本)に応じて、上限金利を次のように定めています。
利息制限法の上限金利 | 借り入れる金額(元本) |
---|---|
年20% | 元本が10万円未満 |
年18% | 元本が10万円以上100万円未満 |
年15% | 元本が100万円以上 |
一方、2010(平成22)年に法律が改正されるまで、出資法では上限金利が29.2%と定められていました。
そこで、ローン会社はこれらふたつの規制の違いを根拠に、利息制限法の上限金利(20%、18%、15%)と出資法の上限金利(29.2%)の間の金利、いわゆるグレーゾーン金利で貸付けを行っていました。
これが法改正で、2010年6月以降は、出資法の上限金利は利息制限法の上限金利と同じ20%に引き下げられました。あわせて、ローン会社がグレーゾーン金利で貸付けを行うと、行政処分の対象とされました。
これによってグレーゾーン金利は事実上廃止され、今日、貸金業者や金融機関は、利息制限法の上限金利の範囲内で貸付けを行っています。
過払金の発生
過払金は、利息制限法と出資法という異なるふたつの上限金利があったことで生じます。
たとえば、カードローンで50万円を借入れていたとします。金利は出資法の上限金利に近い年29%で、月々の利息は約12,000円でした。
借入金利を出資法ではなく利息制限法の上限金利18%で計算すると、月々の利息は約7,500円とうんと少なくなり、4,500円の利息の差額が生じます。これが過払金です。
もし、低い金利で借入れて返済していたとすると、利息が利息を生むといったふくらみもおさえることができたはずですので、過払金の額は大きくなります。
さらに、過払金はローン会社が不当に得ていたお金を返還するのだから、過払金に利息を付けて返すべきという例もあらわれています。
このように、過去、グレーゾーン金利で貸していた利息分等の過払金について、ローン会社は利用者に返さなければならなくなりました。
ただし、利用者がローン会社の窓口で速やかに過払金請求の手続きができるわけではありません。返還義務の有無について、ローン会社と利用者との間で裁判に及ぶことが少なくなく、実際の過払金請求の手続きは、弁護士や司法書士等の専門家に依頼するのが一般的です。
過払金請求の手続き
弁護士事務所・司法書士事務所に相談
借入れしていたカードローンに過払金があるかもしれないと思ったら、過払金請求を業の一つとしている弁護士事務所や司法書士事務所に相談してみましょう。
相談の際には、カードローンの取引履歴のわかる書類を持参します。取引履歴がないときはローン会社に依頼して取り寄せます。過払金があるかどうか、どれだけの金額になるかは、弁護士または司法書士の事務所で計算してもらいます。
過払金請求の時効に注意
過払金は、最後の返済から10年を過ぎると過払金を請求する権利が消滅してしまいますので、気を付けてください。
過払金請求の手続きにかかる費用
弁護士事務所または司法書士事務所によっては過払金の有無について無料で診断してくれるところがあります。もし、計算の結果、過払金が発生しないときは、手数料を支払わなければならないことがありますので、費用の負担はあらかじめ確認してください。
弁護士や司法書士は、請求者に代わってローン会社と交渉を行います。交渉の結果、過払金の返還にこぎつけると、一般的には基本報酬のほか成功報酬として戻ってきたお金の10%から25%程度の費用がかかります。100万円の過払金の返還であれば、10万円から25万円の成功報酬費用となります。
過払金が返還される期間
弁護士や司法書士がローン会社と過払金返還の交渉を行うため、実際に返還が可能でお金を手にするまでは半年から1年程度と長い期間がかかるようです。
過払金の請求が複数のローン会社との交渉となるケースや、過払金の請求に加えて多重債務の債務整理などを依頼するときは、さらに期間と費用が発生します。ケースバイケースですので、詳しくは弁護士事務所または司法書士事務所に相談して確認してください。