借入れや延滞をした覚えがないのに住宅ローンが借りられなかった、ということは大いにあり得ます。実は、カードローンで借入れをしていたりクレジットカードを持っているだけで、審査が不利になることもあります。

夢のマイホームを購入する時に「審査が通らない」ということが無いように、住宅ローンとカードローンの関係を確認しておきましょう。
 

住宅ローン審査の実際

住宅ローンの審査には、土地や建物に関する審査と、借りる人に関する審査があります。

購入する住宅に問題があった場合

  • 土地や建物が建築基準法などの法律に沿っていなかった
  • 借入額に比べて経済的な価値がなかった

上記のようなことであれば、購入する住宅に問題があったということになります。

住宅を変えても審査に落ちるのは?

しかし、借りる人の返済に関する問題で審査が通らなかったときは、たとえ購入する住宅を変えても、何度でも審査に落ちてしまう可能性があります。

もちろん、審査に落ちた理由を教えてくれる銀行はありません。自分自身の収入の状況から返済には問題ないと思ったのに落ちてしまったというときは、今までの借入れや返済の履歴などに問題があった可能性があります。

クレジットカードやカードローンの利用状況や、キャッシングや借入れの限度額を含めて、住宅ローンの審査のチェック項目を確かめておきましょう。

住宅ローン審査のチェック項目例

項目ごとに住宅ローン審査でチェックされることをご紹介します。

個人信用情報

  • クレジットカードやカードローン等の借入れは個人信用情報に登録されるのでその内容
  • クレジットカードのキャッシング枠やカードローンの極度額が借入れとみなされる場合がある
  • 個人信用情報の返済延滞の記録(遅延は5年間履歴が残る)
勤務先や勤続年数

  • 勤務先は上場企業や公務員など大企業の方が「安定した収入がある」とみなされて有利
  • 勤続年数は3年以上が目安だが、キャリアアップなどで年収が上がっている場合は有利に働くこともある
健康状態

  • ほとんどの金融機関が団体信用生命保険への加入が利用条件となるため、大病をしていないことが条件。一般の生命保険よりは診査が緩やか
年収

  • ほとんどが最低年収は200万円~300万円
  • 年収ごとに収入に対する返済額の負担割合の上限が決まっている
  • 返済負担率は金融機関によって異なるが、フラット35では年収400万円未満は30%、400万円以上は35%


 
住宅ローン審査の要素をもう少し詳しく(受ける人の勤務先や勤務年数、信用情報など)を確認したい方は「住宅ローン審査の概要 ~ 年収と勤務先、信用情報、担保物件の3つが重要」を、審査期間や提出書類、審査基準をもっと深く知りたい方は「【初めての方、審査落ちの方向け】住宅ローンの審査 ~ 事前審査と本審査で見られる4つの項目」をご覧ください。

 

住宅ローン審査時のカードローンの確認

もし、住宅ローンの審査時に自動車ローンやカードローンなど、他の借入れをしているときは要注意です。住宅ローンの借入額にプラスして返済負担率が審査されます。

自動車ローンなど目的が決まっているローンであれば審査時点での借入残高は決まっているのですが、カードローンは50万円、100万円といった限度額まではいつでも借入れできるローンです。

現在、残高がゼロであっても限度額までは負債として返済負担率に計算される可能性があります。クレジットカードのキャッシング枠や、まだ支払いが済んでいない買物の金額も同様です。

Aさんの事例でみていきましょう。

Aさん:40歳

  • 年収500万円
  • 借入希望額3,900万円
  • 30年返済
  • 全期間固定2%

年間返済額 ⇒ 173万円
Aさんの年間の返済額の上限 = 500万円×35%(返済負担率)=175万円

Aさんは、返済負担率だけをみれば何とか審査に通りそうです。しかし、結果は減額融資になってしまいました。Aさんとしては腑に落ちませんが、銀行に理由を聞いても「総合的な判断で」としか話してもらえません。

納得できずに他の銀行にもあたってみましたが、やはり減額に….。Aさんも色々と考えてみましたが、今までカードローンは借りたことがあっても、延滞したこともないし、今は借入れもすべて返済して残高ゼロなので、やはり納得がいきません。

銀行によって審査の基準は違いますがAさんの場合、注意深く振り返ってみると減額になる理由がわかってきました。

減額融資になる要因 ~ Aさんの場合

  • 以前に借りていたカードローンの限度額が100万円と高額なまま残っていた
  • ポイントを集めるのが好きでクレジットカードを複数枚所有し、日常の買物もクレジットカードで払っている
  • それぞれのクレジットカードに数十万円ずつキャッシング枠があった

 

カードローン借入者の住宅ローン借入れ対策

Aさんは、現在のカードローンの借入れは既にありませんでしたが、住宅ローンを借りるとき、借入れをしている人も少なくありません。預貯金で返済できるなら審査に出す前に必ず全額返しておきましょう。

また、返済負担率ぎりぎりの借入れを考えている時は、使っていないカードローンやクレジットカードを解約しておくこともひとつの方法です。

一方、銀行によっては住宅ローンを組んだ時、その銀行のカードローンを申込むと金利が優遇されたり、ポイントが加算されたりする場合もあります。

他社のカードローンを解約して、住宅ローンと同時に同じの銀行のカードローンに申込むことも一つの方法です。
 

住宅ローンの審査前にやるべき対策は3つ

  1. カードローンは全額返済する
  2. 使ってないカードローンやクレジットカードは解約
  3. 他社は解約の上、住宅ローンと同じ銀行のカードローンに申込む