国債とは何か
日本で言う国債は、日本国債のことです。国債は日本国が発行している債券で、国が利子、元本を保証しています。
そのため、最も信頼度が高く安全な債券ということで流通量も多いのが特徴です。
国債には、満期までの期間が短期~長期に渡るものや、適用金利が固定または変動するものなど種類も豊富です。また、銀行や証券会社などの金融機関で手に入れられます。
国は、公共工事等、国に関わる様々な事業を行う際の資金を得るために、国債を発行します。1965年より発行が開始され、国家予算のうち、税収では不足している部分を補うために国債を発行することで補っています。
国債の種類1 国庫短期証券
国庫短期証券とは、短期国債と政府短期証券のことを言います。2009年より短期国債と政府短期証券は統合して発行されていますが、制度上は、短期国債と政府短期証券というように、分けて分類されています。
政府短期証券は、政府が一時的な資金不足を補うために発行する国債の一種です。かつては、大蔵省証券、食糧証券、外国為替資金証券の3種類に分かれていたものを統合して、政府短期証券としました。
国庫短期証券は全て割引債となっています。また、取引単位は額面1,000万円の整数倍です。利回りは大口定期(1年)の利率を踏まえた上で決定されることが多く、18%の源泉分離課税となっています。また、公募入札方式で発行されます。
国庫短期証券は個人での購入はできず、入札資格を持つ日本銀行や金融機関など、限られた機関投資家のみが入札できます。
なお、国庫短期証券で調達した資金は、為替介入などで使われます。
国債の種類2 中期国債
中期国債は、年2回利払いの固定利付き国債で、償還期間が2年から5年のものをいいます。取引単位は額面5万円の整数倍で、公募入札方式で発行されます。なお、中期国債は原則として毎月発行されます。
中期国債は、国債の個人消化を増やすことを主な目的として、当時の大蔵省(現在の財務省)が中期割引国債(5年)、2年・3年・4年の利付国債の発行をしたことが始まりです。
その後、2000年より5年利付国債、2006年より個人向け国債(5年固定)、2010年より個人向け国債(3年固定)を発行しました。
その後償還期間の統合等を経て、現在は2年利付国債、5年利付国債、個人向け国債(5年固定)、個人向け国債(3年固定)の4種類が発行されています。
国債の種類3 長期国債
長期国債は、公募入札方式で発行される、償還期間が10年、年2回利払いの固定利付国債のことをいいます。
長期国債には、10年利付国債、10年物価連動国債、個人向け国債(変動10年)の3種類がありますが、一般に長期国債といった場合は、10年利付国債のことを指すことが多いです。
この10年利付国債は、債券の発行・流通市場の中心的存在を担っています。そのため、国債の発行残高で一番多く、また流動性も非常に高いです。特に、新発10年物国債は、長期金利の代表的な指標として使われています。
10年利付国債の償還日と利払い日は3ヶ月ごとに統一されており、3の倍数月の原則各20日となっています。
国債の種類4 超長期国債
日本の場合、償還までの期間が15年以上のものを超長期国債と呼んでいます。日本では1983年初めて発行されました。現在は20年、30年、40年のものが公募入札方式で発行されています。
この中で最も発行量が多いのは20年物で、超長期国債の指標となっています。超長期国債の利払いは年2回で、取引単位は額面5万円の整数倍になっています。また、超長期国債は固定利付国債でもあります。
超長期国債は、主に10年物国債(10年債)の大量償還をならすなどの目的で発行されています。超長期国債の国債発行額に占める割合は、徐々に増加しています
なお、外国では50年物以上の国債があります。英国やフランス、中国などで既に発行されています。
国債の種類5 個人向け国債
個人向け国債は、個人のみが購入できる国債です。
- 固定金利型3年満期個人向け国債(固定3年)
- 固定金利型5年満期個人向け国債(固定5年)
- 変動金利型10年満期個人向け国債(変動10年)
があります。
個人向け国債は、国債の大量発行が続く中、国債を円滑かつ確実に発行していく上で、日本国政府(国)が個人の国債保有を促進するために発行する国債です。
個人向け国債は額面1万円の整数倍で購入できます。国が元本と利子の支払いを保証し、また満期時に元本(額面金額)を受け取ることができるため、長期的な安定運用ができるとして人気があります。また、個人向け国債は本券が発行されません。
個人向け国債は、原則1年間、中途換金できませんただし、保有者ご本人が亡くなられた場合、または保有者が災害救助法の適用となった大規模な自然災害により被害を受けた証明書類を提出した場合は、期間内であっても中途換金できます。
なお、中途換金にあたっては、中途換金調整額(「直近2回分の利子(税引前)相当額かける0.79685(最大)」)を支払う必要があります。
分類 | 固定型個人向け国債 | 変動型個人向け国債 |
---|---|---|
償還期間(満期) | 3年・5年 | 10年 |
発行回数 | 毎月 | 毎月 |
購入単位 | 1万円 | 1万円 |
購入上限 | なし | なし |
利子の受取回数 | 半年に1回 | 半年に1回 |
利率 | 固定 | 半年毎に変動 |
適用利率 | 3年:基準金利(市場実勢利回りを基に計算した期間3年の固定利付国債の想定利回り)から0.03%を差し引いた値
5年:基準金利(市場実勢利回りを基に計算した期間5年の固定利付国債の想定利回り)から0.05%を差し引いた値 |
基準金利(10年固定利付国債の実勢金利)×0.66 |
最低金利保証 | 0.05% | 0.05% |
中途解約可能期間 | 発行から1年目以降 | 発行から1年目以降 |
中途解約ペナルティ (中途換金調整額) |
直近2回の分各利子(税引前)相当額×0.79685 | |
売却先 | 国(財務省) | 国(財務省) |
国債の種類6 物価連動国債
物価連動国債は、「インフレ連動国債」とも呼ばれ、物価動向に合わせて、元本が変わる国債をいいます。その名のとおり、元本が物価の動向に合わせて増減するのです。
そのため、物価が上昇すれば、物価連動国債もそれに合わせて元本が増加します。反対に物価が下落すれば、元本は減少します。
物価連動国債の利率は満期まで利率は変わらないものの、元本が物価の変動に合わせて変動するため、受け取れる利子も変動します。
物価連動国債はを初めて発行したのは英国で、1981年に発行しました。その後欧米では普及が進み、現在、欧米における国債の中で、物価連動国債が占める割合は10%を超えています。
日本ではまだ国債全体に占める割合が非常に小さいですが、今後拡大する可能性があります。
物価連動国債の期間は10年、発行日は原則として10日となっています。また、利払いは年2回です。先ほど書いたとおり、利率は一定で、利子の額は利払いの際の想定元本に利率を掛けて算出します。
なお、物価連動国債が対象とする物価指数は、全国消費者物価指数です。
物価連動国債の償還時点での想定元金額は、物価価額×連動係数で計算されます。
物価連動国債は、以前は一定の法人のみが保有できましたが、平成28年1月以降に償還日を迎えるものについては、平成27年1月より、それ以外の法人や個人投資家も保有できるようになりました。