オプションの売りを考える
オプション取引における売り取引は、メリットが非常に少ないように感じます。
オプションの売り取引は買いとは違い、リスクは限定されておらず、理論上はリスクは無限大となっています。
とはいえ、売り戦略はリスクが高いのかというと決してそういうわけではありません。実はオプションの売りは、リスクコントロールできるものだからです。
そもそもオプションの売りは、消極的な予想の元で取引を行うものになります。満期日までの間に、、このオプションの原市場の価格は権利行使価格を上回る(下回る)ことはないだろうという予測の元で行われます。
オプションの売りの場合、いくつかの戦略があります。
まず一つ目は、アウト・オブ・ザ・マネーのオプションを売るという戦略です。アウト・オブ・ザ・マネーのオプションを売ることで、プレミアム分の利益が発生します。時間の経過とともに、価値が下がれば、プレミアムも下がります。下がったところで買戻す、という戦略です。
次に、満期近くのオプションを売る、という戦略です。時間価値には期日が近づくにつれて、減少の幅が大きくなる性質があります。
また、ボラティリティが高い時に売る、というのも戦略の一つです。
ボラティリティが高すぎるとやがて低くなり、ボラティリティが低いとやがて高くなります。このような習性を利用し、高ボラティリティの時にオプションを売ります。ボラティリティが下がると、プレミアムも下がるので、下がった時点で買い戻す戦略なのです。
オプションの売りの場合、リスク管理が全てにかかるくらい、重要になります。最初に書いたとおり、オプションの売りは、理論上、損失は無限大だからです。
満期までの間に原市場の価格は変動しますが、変動に合わせてポジションを調整し、ヘッジをかけるなど、損失を最小限に抑えるための方法を採る必要があります。
そして、オプションに限らずどの投資商品でも言えることですが、リスク管理を徹底るすることは、非常に重要です。
オプションでも、損切りが非常に重要になります。オプションの買い取引きを行っていて利益が出ない時、どこで損切りをするのかをあらかじめ決め、反対に、利益が出た時にはどこで利益を確定するのかをあらかじめ決めておくことが大切になります。
例えばある株が原市場で1株1,000円の時に1,200円のコールと800円のプットをそれぞれ1枚売ったとします。
その後、この株が1,100円を超えた時、1,200円のコールを1枚買戻し、1,300円のコールを2枚売り、さらに800円のプットを1枚買戻し、900円のプットを1枚売る…というような、ポジション調整をすることが大切になります。
また、アウト・オブ・ザ・マネーのコールとプットを両方売る、ショート・ストラングルもオプションの売りでよく使われる手法です。
コールとプットを同時に売ることで、原資産価格が上下どちらに動いても、どちらか一方のオプションがもう一つのオプションの損失をカバーします。
そのため、相場の変動がよほど激しい場合を除き、相場が上下どちらに動いても利益が得られるのが、ショート・ストラングルの特徴になります。
オプションの売り手は時間の経過によって、両方のオプションの時間価値が徐々に失われていくという恩恵を受けることができます。そのため、満期までの期間が短ければ短いほど、この恩恵をより受けることができると言えます。
なお、ショート・ストラングルを仕掛けた後、相場が予想以上に変動した場合、片方のプレミアムは急騰します。その場合、片方のオプション・プレミアムや時間価値の減価による恩恵以上の、大きな損失が発生します。
オプションの売りのポイント
オプションの売りは損失が理論上は無限大です。そのため、必ず損失を限定するための対策を用意する必要があります。
そのため、自分なりのロスカットラインを設けることが非常に重要になります。
相場が自分の予想を超えて動いた時や、一定の時間が経過した時。 またはオプションのプレミアムが一定の水準に達した時など、自分でルールを決めてポジションを手仕舞うなど、ロスカットラインを明確にし、確実に実行する必要があります。
また、オプションの売りは証拠金が必要になります。十分な証拠金を用意して取引しないと、ポジションが維持できず、場合によっては追加証拠金が必要になります。
オプションの売りは損失は無限大とは言いますが、リスクコントロールできますので、最大限のリスクコントロールをした上で臨むことが必要になります。