損失の限定
オプション取引の特徴として挙げられるのは、買い手の場合、損失を限定できる、ということです。オプションの買い手は、自分に不利な場合は権利を放棄できます。
そのため、買い手が被る損失額は支払ったプレミアムのみとなります。そのため、コールオプションの場合、買い手の利益は、理論上は無限大となり、プットオプションの場合、原資産の価値がゼロになるまで買い手は利益を得ることができます。
その一方、オプションの売り手は利益はプレミアムのみになります。コールオプションの場合、売り手の損失は、理論上、無限大となり、プットオプションの場合、原資産の価値がゼロになるまで売り手は損失を受けることになります。
コールオプション | 損失 | 利益 |
---|---|---|
買い手 | プレミアムに限定 | 無限大 |
売り手 | 無限大 | プレミアムに限定 |
プットオプション | 損失 | 利益 |
---|---|---|
買い手 | プレミアムに限定 | 原資産の価値がゼロになるまで増大 |
売り手 | 原資産の価値がゼロになるまで増大 | プレミアムに限定 |
レバレッジ効果
オプション取引には、レバレッジ効果があります。
例えばある株があるとします。これを原資産とするオプション取引と現物取引とを考えてみましょう。
この株の市場価格が100万円で、権利行使価格が90万円のコールオプションの場合、市場価格と権利行使価格との差は10万円です。この10万円を本質的価値と言います。
コールオプションの場合、本質的価値は現在の原資産価格から権利行使価格を引いた価格になります。これがゼロ以下になった場合、このオプションには本質的な価値はなく、時間的価値があると考えられます。
なお、時間価値は、将来の価格変動によってオプションの価値が高まるかもしれないという期待感を表した価格です。
また、プットオプションの本質的価値は、権利行使価格から原資産価格を引いた価格になります。
このコールオプションが、オプションの満期日までにA株が10%上昇して110万円になっていたら、このオプションの本質的価値は市場価格の110万円から権利行使価格の90万円を引いた額、つまり110万円-90万円=20万円となります。
この段階でオプションを転売した場合、20万円-10万円=10万円が利益となります。この株自体は10%しか上がっていないのですが、オプション価値は100%上がったことになります。
このことから、オプション取引の場合、この株を現物株として取引するのに比べ、10倍のレバレッジ効果があることが分かります。
ヘッジ効果
金融商品を将来の時点で売買しようとすると、相場の変動により売買差益が変動するという市場リスクを負います。
株や債券、為替等の金融商品を買ったり、先物で買付予約を行っている場合、この状態をロングポジションと言います。反対に、株や債券、為替等の金融商品を売ったり、先物で売付予約を行っている場合、この状態をショートポジションと言います。
ロングポジションを取っていて、いずれ金融商品を売却する予定がある場合、相場の状況によっては、売却価格が下がるリスクがあります。反対に、ショートポジションを取っていて、金融商品を購入する予定がある場合、相場の状況によっては、購入価格が上がるリスクがあります。
このようなリスクをオプション取引でヘッジすることができます。
金融商品を将来的に売買しようとした場合、上述のとおり、価格変動によって売却損益も変動します。これを市場リスクといい、現物のポジションと反対のポジションを建てることでこのリスクを回避します。
買い建てには売り建て、売り建てには買い建てという形で反対のポジションを取ることで損益を相殺させるのです。
ロングポジションのリスクはショートポジションをとることで回避します。オプションの場合、「プットの買い」でヘッジします。
ショートポジションのリスクは、ロングポジションをとることで回避します。オプションの場合、「コールの買い」でヘッジします。
