ノンバンク系は、過去の利用者データをもとに「オートスコアリングシステム」で分析するため、とても早く審査の対応が可能です。

一方、銀行系は申込者の属性や「無担保借入れ比率」「返済比率」などをもとに、慎重に審査をする傾向があります。銀行とノンバンクでは、利用者データの蓄積量が違うことも審査に影響しています。

ノンバンク系は「オートスコアリングシステム」で自動与信

ノンバンク系のなかでも消費者金融系のローン会社は、1970年代以降、急速に成長してきました。無担保・無保証の個人ローン事業を展開してきたノウハウの蓄積量は、銀行系に比べて群を抜いています。

現在、銀行系ローン会社の多くが消費者金融系のローン会社等を保証会社として保証契約しているのが何よりの証拠です。

なかには「即日借入れOK」などとうたうノンバンク系のローン会社もあり、本当なのかとても気になりますが、なぜでしょうか。これは、「オートスコアリングシステム(自動与信システム)」と呼ばれる審査システムを利用することで、即日融資が可能になっているといわれます。

「オートスコアリングシステム」とは、カード利用者の属性情報を、ある一定の基準で数値化したものです。長年蓄積してきたデータをもとに、どのような利用者なら将来的に優良顧客となるのか、あるいは不良顧客となるのかを分析して、カード利用者の属性情報を数字で表しているのです。

一例を挙げましょう。たとえば勤務先については、公務員を「5」とすると、民間の上場企業は「4」、民間の非上場企業は「3」、自営業者は「2」、無職は「1」というように数値化されます。このように様々な属性情報を数値化し、ある一定の基準に達しているかどうかデータをもとに処理することで、審査をスピーディーに行って即日融資が実現できる仕組みとなっています。

主な審査項目は、年齢、収入(返済能力)、勤務形態(勤務年数)、居住年数などで、特に収入(返済能力)を重視しているローン会社が多いといわれます。

また、貸金業法の総量規制で年収の3分の1を超える借入れはできないことから、他社の借入総額も審査基準の重点項目となっています。

ローン会社は、これらに加えて、保有する大量の利用者履歴(借入れの日時、頻度、金額、返済状況)と延滞履歴から各社独自の基準を設けて審査に利用しています。

以上をまとめると、
・年齢が若い(将来的な労働期間が長い=収入が得られる)
・収入が安定している(正社員、公務員など)
・勤務年数が長い
・居住している年数が長い(申込者名義の持ち家などは評価が高くなる)
・総量規制を超えない借入希望額である
・カードの利用履歴が不自然ではない(限度額いっぱいの借入れを繰り返しているなど)
・ローン返済履歴に問題がない(延滞がないなど)

これらの条件が整えば、審査をクリアできる確率は高くなるといわれます。
とはいえ、ローン会社にとっては、審査の基準を厳しくしすぎると利用者が減り、事業が成立しませんから、各社が独自の審査基準を設けてコントロールしているのが実情です。

銀行系は「無担保借入れ比率」や「返済比率」に着目

銀行系のローン会社が保証契約をしている保証会社の多くは消費者金融系ローン会社であるため、保証会社における審査基準や審査方法は、ノンバンク系と大差ありません。

ただし、銀行系のローン会社の本体が銀行業務を扱っている金融機関であるため、信用を損なう対応をしてしまうと、本体の銀行業務にも影響を及ぼしてしまいかねません。そこで、銀行系のローン会社は自社で厳しい審査基準を設けているところが多いといえます。

審査方法は、主に申込者の申込内容が合っているかどうかや、個人信用情報機関などへ照会してチェックとなります。人の目で確認することが特徴です。

銀行によって多少の違いはありますが、審査基準の主なポイントは、次に掲げる「住所(居住年数)」「年齢」「年齢」「勤務先」「収入」の5つとなっています。

(図表)銀行系カード会社の審査のポイント

審査項目 審査のポイント
住所 現住所の確認を行う。持家か、貸家、賃貸など、居住の形態は色々あるが、最近では「住む形態」よりも「居住年」などが一つの目安となっている。
年齢 カードローン申込年齢は、20歳以上65歳以下とするローン会社が多い。ローン会社によっては70歳以下や、69歳以下としているところもあるが、65歳以上になると審査が厳しくなる傾向にある。
勤務先 ノンバンク系と同様に、収入の安定=返済能力とみなされる。勤務形態は正社員(派遣社員、契約社員も含む)、勤続年数も長いほうが信用も高くなる。
収入 返済能力は特に重要な項目。安定した収入があるかどうかは厳しくチェックされる。銀行系ローン会社の場合、ノンバンク系のような総量規制の対象にはならないため、独自の基準を設けている。
返済履歴 これまで他社のカードローンやクレジットカード、その他ローン返済などで、返済の滞納などがあるかどうかを確認する。返済履歴に少しでも問題があると、審査に通るのは難しくなる。

特に「収入」については、カードローンは無担保の借入れであるため、収入全体に対して無担保借入れがどの程度あるのかの「無担保借入れ比率」や、年収に対する借入金返済額の割合を示す「返済比率」を算出して審査の基準としています。

(図表)無担保借入れ比率と返済比率の計算式

計算式
無担保借入れ比率 (新規ローンの申込金額+現在利用中の無担保借入残高)÷前年の年収×100
返済比率 (新規ローンの年間返済額+その他借入れの年間返済額)÷前年の年収×100