開花

開花は、2015年に設立された山口ソーシャルファイナンス株式会社が運営するクラウドファンディング会社の一つです。

親会社の名前から類推できるとおり、山口県を中心とした地域の経済活性化を目的としたクラウドファンディングサービスを提供しています。

地域の産業・学校・金融・行政・マスメディアが連携して立ち上げたクラウドファンディングという新しい側面も持っています。

また、若者や女性といった未来のある事業者向けにビジネスチャンスを創出すること目的としています。

地域の温泉旅館や、Jリーグに加盟するサッカークラブやバスケットボールクラブなどのスポーツチーム、日本酒を製造している蔵元などが投資対象となっています。

 

開花の基本情報と特徴

期待リターン 投資倍率1.1~1.3倍(一部現物分配もあり) ★★★☆☆案件毎に異なる
最低出資額 1万円 ★★★★★投資しやすい
運用期間 半年から5年 ★★☆☆☆案件によりバラつきあり
投資(貸付)対象 地域の将来性のある事業への投資 ★★★★★様々な業界あり
運用・維持手数料 一口につき540円の取扱手数料が発生 ☆☆☆☆☆高い設定
入金手数料(振込時) 銀行への振込手数料は投資家負担(山口銀行・北九州銀行・もみじ銀行の場合無料) ★★★☆☆一般的
出金手数料(払戻時) 銀行への振込手数料は投資家負担(山口銀行・北九州銀行・もみじ銀行の場合無料) ★★★☆☆一般的
配当タイミング ファンド毎のスケジュールに応じて分配、元本は最終返済日に支払 ★★★☆☆一般的

表中の★マーク:★が多いほど高評価

 

投資対象のジャンルは何?

開花の提供しているファンドは、ソーシャルレンディングサービス会社が提供している融資型のファンドとは異なり、事業そのものに投資を行うファンドです。

そのため事業が成功して得られた収益が投資家にリターンとして還元される仕組みとなっています。

また、開花の提供しているファンドには、投資した口数に応じて投資家に還元される投資特典サービスが付帯している案件が大半です。

これは地域の企業に投資するにあたり、その企業のサービスや商品を受け取ることで企業をより身近に感じ応援するという、開花の「共感」を重視した設計になっているからです。

 

投資回収額は2つの要素の合算で考える

開花の投資案件のリターンは金銭分配部分と現物分配部分の合算で考える必要があります。

開花の過去の投資案件のうち、サッカークラブに投資した場合は、試合観戦のチケットやユニフォーム・マフラーといったグッズなどが特典として現物分配されています。

投資リターンとしては、4,400円の金銭分配部分と8,000円相当のグッズの合算ということになります。

さらに、口数に応じて別途選手のサイン色紙や、スタジアムツアー招待などが付帯することになります。

 

投資案件の運用利回り:あくまで金銭分配部分についてのリターン

開花の投資案件の運用利回りは、おおむね10%から30%を目標としています。

リターン水準は決して低くはありませんが、あくまでこの数字は出資金額のうち、金銭分配部分に限定したリターンを表示していることに注意が必要です。

また、この償還率は手数料等控除前(グロス)の数値であることにも注意が必要です。開花に投資した場合、投資時点で一口につき540円の取扱手数料がかかります。

たとえば1万円を投資して10%のリターンが得られた場合は11,000円が回収できますが、540円の取扱手数料を控除すると実際に回収できる金額は10,460円となります。

さらに振込手数料等を考慮すると、より想定リターンは下がることに注意が必要です。

また、他のソーシャルレンディングサービス会社が提供している融資型のファンドとは異なり、開花は事業の売上に応じて資金が還元される仕組みになっています。

つまり、事業の状況によっては資金が予定とおり還元されない可能性があります

そのため、開花の最終的なリターン水準は他のクラウドファンディングサービスの平均を下回る可能性が高くなります。

クラウドファンディングにみられる担保の設定等も、開花の場合はありません。

 

投資期間は?

投資期間は案件によって異なりますが、半年といった短期案件から5年間程度の案件が提供されています。2年から3年の案件が比較的多くなっています

投資期間が長い案件は温泉の設備更新に出資するファンドなどです。

出資してからビジネスが軌道に乗ってキャッシュフローの創出ができるようになるまで、一定の時間がかかるような案件の場合、期間が長めになる傾向にあります。

長期間の投資ファンドの場合、景気のサイクルや自然災害などによって、回収可能性に影響が及ぶ可能性があることに留意する必要があります。

 

最低出資金額は1万円から

最低出資金額は1万円に設定されています。最低出資金額が5万円前後、高い場合は10万円に設定されているクラウドファンディングサービスもあります。

開花は比較的投資しやすい最低出資金額の設定と言えます。

ただし、開花の場合は投資口数によって受け取れる投資特典が異なっているケースが多く見受けられます。

希望する投資特典を受け取るために必要な口数によって、最低出資金額が変わることに留意する必要があります。

 

分配方法は?

開花の投資案件の分配金は、案件ごとに定められた分配スケジュールに沿って支払われます。

これは金銭分配についてのスケジュールとなるため、現物分配については案件ごとによって異なります。

金銭分配のスケジュールについては、投資案件の説明ページ「予定分配金」の欄に説明がされています。

 

気になる手数料は?

開花の場合、投資時点で取扱手数料が一口につき540円かかります。さらに投資資金を振込する際の手数料や出金の手数料も発生します。

他のクラウドファンディングサービスでは特に入金手数料は無料となっている会社が多いため、開花のサービスは手数料が高くなってしまう傾向にあります。

そのため他のクラウドファンディングと比較した場合、登録時以外の手続きに際して都度手数料負担が発生するため、コスト面の割高感があることは否めません。

ただし、山口県に特化したクラウドファンディングサービスであり、地域金融機関が協力するクラウドファンディングサービスである点を活かして、山口銀行・北九州銀行・もみじ銀行といった地域金融機関を通じて入出金を行う場合は手数料が無料となっています。

 

クラウドファンディングの手数料比較

サービス名 登録・口座開設 運用 投資口座への振込み(入金) 投資口座からの払戻し(出金)
SBIソーシャルレンディング 無料 無料 投資家負担 無料
ガイアファンディング 無料 無料 投資家負担 108円から756円
クラウドクレジット 無料 案件による 投資家負担 300円+税金
オーナーズブック 無料 無料 投資家負担 300円+税金
エメラダ・エクイティ 無料 無料 投資家負担 無料
クラウドリース 無料 無料 投資家負担 108円から756円
ラッキーバンク 無料 無料 投資家負担 無料
マネオ 無料 無料 投資家負担 54円から432円
クラウドバンク 無料 無料 投資家負担 無料
ソニーバンクゲート 無料 無料 無料 無料
SAMURAI 無料 無料 投資家負担 無料
トラストレンディング 無料 無料 投資家負担 無料(預託口座なし)
開花 無料 540円/口 投資家負担※ 投資家負担※

※山口銀行・北九州銀行・もみじ銀行の場合無料

開花はファンド型クラウドファンディングで上記のように手数料がかかる設定となっています。

同じ投資タイプのクラウドファンディングには融資型クラウドファンディン(ソーシャルレンディング)があります。

当サイトの「おすすめのソーシャルレンディング会社 ~ サービスや利回り、メリット、デメリットを比較」のページでは、融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)業者の手数料や成約ローン総額などを比較することができます。一緒にご覧ください。

 

開花の良い点

  • 山口県を中心とした西日本地域の企業に直接投資することができる。
  • 企業に投資することで、金銭分配と同時に現物分配や出資特典といった商品やサービスを受けることができる。
  • 他のクラウドファンディングサービスと比較して、投資先企業の情報が多く開示されている。

 

開花の残念な点

  • 流動性が低い(中途解約ができない)
  • 投資先企業の信用(デフォルト)リスクがある
  • 他のソーシャルレンディングサービス会社と比較してコストが高い
  • 開花自身の信用(デフォルト)リスクがある
  • ローンではないため、担保設定がなく投資リスクは他クラウドファンディングサービスより高い

 

運用実績

ファンド募集件数 25件
ファンド成立件数 16件

開花の投資案件は、一定の投資金額が集まらない場合、不成立となる可能性があります。

過去25件の投資案件のうち9件が、資金調達が不調のため不成立となっています。(公式ウェブサイトの情報に基づく、2018年7月13日時点)

 

投資家登録の条件

開花では、法人でも投資家登録を行うことも可能です。未成年の方でも利用できますが、口座開設には父母などの法定代理人の同意書が必要です。

 

登録から投資実行までの流れ

登録から投資までの流れは下記の通りとなっています。開花に登録すると、開花が運営している「ふるさと納税」のサイトへの登録も行われます。

  1. 会員登録
  2. 口座開設
  3. 取引時確認(本人確認)資料の提出
  4. 審査

 

1.会員登録

まずは仮登録の申込を行います。公式ウェブサイトの「新規登録」というリンクをクリックします。

登録したメールアドレスに、仮会員登録の案内が届いているので、メールのリンクから本会員登録のページに移動します。

 

2.口座開設

口座開設にあたり、電磁的方法による交付等に関する同意書、個人情報保護方針、投資家口座への金銭の預託に係る契約の説明、リスクの確認及び投資家表明事項を確認します。

書類を確認した後、「個人口座開設」ボタンをクリックし、基本情報を入力していきます。

ログインIDは自動的に数字が割り振られます。

入力する内容は、国籍・性別・生年月日・郵便番号・住所・電話番号・年収・金融資産・興味のある商品・取引開始のきっかけ・職業・口座情報といった個人の情報を入力します。

 

3.取引時確認(本人確認)資料の提出

次に、必要書類の登録を行います。本人確認書類、銀行口座書類の画像データを、専用画面からアップロードします。

なお、個人の投資家登録において本人確認書類として認められるのは運転免許証やパスポートとなっています。

取引時確認(本人確認)資料の送付方法は、ウェブサイトを通じたアップロード、FAXによる送付、郵送の3つが用意されています。

 

4.審査

開花による投資家登録の本人確認の審査が完了したら、約一週間程で取引時確認書類とが郵送で送られてきます。

この郵便物が到着したことを開花が確認したら、取引時確認(本人確認)が完了し正式に口座が開設されることになります。

 

信用できる運営会社か?

  • 社名:山口ソーシャルファイナンス株式会社
  • 本社住所:山口市佐山3番20号
  • 資本金:5,000万円
  • 創立:2015年4月1日
  • 代表取締役:木村 俊之
  • 事業内容:第二種金融商品取引業
  • 株主:株式会社MOT総合研究所、株式会社山口銀行、山口キャピタル株式会社、株式会社安成工務店、関門港湾建設株式会社、株式会社長府製作所、住吉工業株式会社、富士商株式会社、ユーピーアール株式会社、株式会社ヤナギヤ、山口トヨタ自動車株式会社、山口日産自動車株式会社、トヨタカローラ山口株式会社、山口放送株式会社、山田石油株式会社、株式会社アデリー、大晃機械工業株式会社、株式会社カシワバラ・コーポレーション、株式会社井上商店、協和建設工業株式会社、ヤマネ鉄工建設株式会社

 

株主として山口県下の企業21社が参画している

開花の運営母体である山口ソーシャルファイナンス株式会社の株主には地域の企業21社が入っています

地域金融を担っている株式会社山口銀行、山口銀行傘下の山口キャピタル株式会社など地域金融を担う金融機関の名前があります。

また、株式会社MOT総合研究所という山口大学発のシンクタンク・コンサルティング会社があります。他にも山口放送などのメディアの名前もあります。

投資案件について、開花はもちろんのこと、山口銀行などでつくる投融資委員会で事業者の財務状況や事業計画の内容、募集金額の妥当性などが精査されているとのことで、金融機関の厳しい企業評価・分析(デューデリジェンス)を経て投資案件のストラクチャリングが行われているといえるでしょう。

その他にも、地域に根差したビジネスに投資するにあたり、地域をよく知る地元企業や学校法人といった株主の協力が得られることや、宣伝に山口放送の協力が得られることもプラスに働くものと思われます。

 

代表取締役 木村俊之氏

木村社長は、株主である株式会社MOT総合研究所の代表取締役も兼任されています。

山口大学大学院技術経営研究科を卒業された後、2012年に株式会社MOT総合研究所を設立され、その後中国電力グループと共同出資の企業を立ち上げ、また三菱化学との合弁企業を立ち上げてこられました。

また、山口大学の教員としても活躍をしています。地域をよく理解している企業家として、投資案件の発掘に活躍されていると推察することができます。

 

投資対象

開花は、山口県を中心とした地域の企業に対して「共感」を生むプラットフォームとしてクラウドファンディングサービスを提供しています。

投資案件の産業は多岐に渡っていますが、いずれも地元の企業を支援し、地元の経済を活性化させ、特に若い世代や女性が運営する事業に対しての出資という観点を重視しています。

一般的なソーシャルレンディングサービスとは異なり、現物分配によるリターンの提供や、投資金額(口数)に応じた投資家特典が用意されており、投資家が投資先企業をより身近に感じられ、応援しているような感覚にしてくれるようなサービスも用意されています。

投資家として、応援したい企業やプロジェクトに、資金を提供することで地元企業の発展参加し、社会の成長や企業の成長を共感することができます。

現物分配により企業を身近に感じるとともに、金銭面でも果実を分かち合える仕組みとなっています。この点は、純粋にリターンを求める他のクラウドファンディングとは大きく異なっています。

 

案件情報はどこまで確認できる?

開花_案件例

投資案件のメインページでファンドの投資先企業の情報、分配金の回収スケジュール、現物分配の内容、投資金額別の特典の紹介が行われています。

また、ファンド概要のページではファンド全体の出資金額や募集期間、投資の会計期間などについて説明がされています。

ファンドの目的や投資先企業(営業者)など、具体的な情報が記載されているので投資前によく読んで理解しておく必要があるでしょう。過去の投資案件例については以下ようになっています。

 

案件例

キラリと輝く酒蔵プロジェクトファンド
  • 投資対象:日本酒の蔵元における直売店およびカフェのリニューアル
  • 投資目標金額:3,000蔓延
  • 最低投資金額:10,000円
  • 運用期間:53カ月

投資資金は日本酒の蔵元にカフェ&テイクアウト事業を複合化するために使われます。

観光客などに日本酒をその場で飲んでもらったり、お土産としてテイクアウトしてもらったりするのと同時に、日本酒を活かしたスイーツなども提供し、日本酒を体験してもらう施設をつくることを目的としています。

 

ギラヴァンツ北九州ファンド
  • 投資対象:Jリーグに加盟するサッカークラブであるギラヴァンツ北九州の新規ファン獲得
  • 投資目標金額:2,000万円
  • 最低投資金額:10,000円
  • 運用期間:10か月

投資資金は北九州市をホームグラウンドとするギラヴァンツ北九州が、新規ファン開拓のために行う様々なイベントの開催費用は使われます。

イベントを通じてスタジアムに足を運ぶファンが増えることで、投資回収をはかります。

投資家にはスタジアムの観戦チケットやシャツが現物分配され、また投資金額(口数)に応じて選手のサイン色紙やスタジアムツアー、写真撮影会などへの招待が予定されています。

 

動物病院ファンド
  • 投資対象:早朝から営業する動物病院
  • 投資目標金額:2,000万円
  • 最低投資金額:10,000円
  • 運用期間:36カ月

投資資金は、早朝から診療を行う動物病院の開業資金に使われます。一般的な動物病院は9時や10時に診療を開始しますが、投資対象となる動物病院は朝7時から診療を行います。

飼い主が診療の時間を取れずペットが変調を来してしまうケースが増えるという社会問題がある中で、地域の一人暮らしや共働きの方にとって、ペットを出勤前に預けやすいサービスを提供します。

この案件には現物分配がないため、金銭分配が主となる純粋な投資案件となっています。

 

まとめ

こんな方におすすめ

  • クラウドファンディング投資を通じて社会貢献をしたいと思う投資家
  • 山口県や付近に住んでいて応援したいプロジェクトや企業
  • 受けてみたいと思うサービスがある投資家

開花の魅力は、投資先企業のことを十分理解した上で「共感」を通じて投資できることです。ファンドへの出資を通じ応援したいと思う企業やプロジェクトがあれば、投資信託や他のクラウドファンディングサービスとは異なった投資のやりがいを実感することができると思います。

また、多くの投資案件で現物分配や投資特典が提供されています。自分が受けてみたいと思うサービスや商品を展開している企業やプロジェクトへの投資という観点で案件を探すことも面白いでしょう。

山口県やその周辺に住んでいる方であれば山口銀行、北九州銀行、もみじ銀行といった地域の金融機関の口座を用いることで、入出金手数料を0円にすることもできます。この地域に住んでいる方であれば、まず登録してみる価値のあるクラウドファンディングサービスであると言えるでしょう。

※当ページの情報(金額・数字等)は2018年7月時点のものです。最新の情報は公式サイトをご確認ください。