ファンディーノ

ファンディーノ(FUNDINNO)は、2015年に設立された株式会社日本クラウドキャピタルが運営するクラウドファンディング会社の一つです。

株式型のクラウドファンディングサービスが解禁されて一番初めにサービスをリリースした会社です。

これまで個人投資家はなかなか非上場企業の株式に投資することは困難でしたが、株式型クラウドファンディングサービスによって個人投資家にも非上場企業への投資が開かれました。

 

ファンディーノの基本情報と特徴

期待リターン 設定なし ★★★☆☆案件毎に異なる
最低出資額 1万円から10万円を超えるケースもあり ★★★★★投資しやすい
運用期間 期限の定めなし ★☆☆☆☆長期保有が前提
投資対象 将来性のある企業への投資 ★★★★★様々な業界あり
運用・維持手数料 手数料は無料 ★★★★★無料
入金手数料(振込時) 銀行への振込手数料は投資家負担 ★★★☆☆一般的
出金手数料(払戻時) 回収はファンディーノを通さない ★★★☆☆一般的
回収タイミング 配当は企業の業績次第。回収は原則IPO(企業の株式市場上場)時点 ★☆☆☆☆特殊

表中の★マーク:★が多いほど高評価

 

投資対象は何か?

ファンディーノの提供している投資案件は非上場企業の株式投資となっています。

これまで個人投資家には高いハードルであった非上場企業への株式投資をファンディーノのプラットフォームを通じて行うことができます。

なお、投資額については1社につき年間50万円までという上限が設けられています。

投資家が得られるリターンの源泉は、投資先企業が毎期行う配当金(企業によっては無配の可能性もあります)と、投資先企業がIPO(株式市場への上場)した後に、マーケットで売却することで得られるキャピタルゲインが主となります。

場合によっては、将来投資先企業のオーナーの買い取りオファーや第三者によるM&Aなどの機会に現金化できる可能性もあるかもしれません。

 

一般的なソーシャルレンディングサービスと異なっている点

一般的なソーシャルレンディングサービスは、融資による投資が主となっています。そのため、融資先の企業の業績が予定とおりであれば定められたスケジュールに基づいて資金が返済されてくることになります。

また融資先企業の業績が悪化した場合でも、担保が設定されていれば優先的に回収することも見込むことができます。

一方でファンディーノのような株式投資の場合、投資後はIPO等のイベントが発生しない限り、回収を見込むことが非常に困難になります。

つまり、株式型のクラウドファンディング投資は、投資後から回収まで非常に長期に渡る可能性があります

 

投資回収額は配当金とキャピタルゲイン

ファンディーノの投資案件のリターンは投資先企業から毎期受け取る配当金と、株式売却時のキャピタルゲインから生まれます。

投資先企業がIPO(※)に至るまでには、さらに事業が発展し企業価値が増大していくこと、上場基準を満たす社内体制が整うことが求められます。

そのためにはかなり時間がかかることが見込まれます。(※IPOとは非上場の会社が上場すること)

ファンディーノが提供した過去の案件の多くは、IPOの目標時期は2022年以降となっています。

現時点から考えて早くとも、おおよそ4年以上は回収に時間がかかることを認識しておく必要があります。

 

期待リターンは数倍、数十倍になる可能性も

投資先企業の事業が予定とおり、もしくは予定以上に進捗していった場合、投資先企業の株式価値はどんどん膨らんでいきます。

いよいよIPOによって株式上場されることになった場合、投資先企業の上場市場での取引株価は、投資時点よりもずっと高くなっていることが予測されます。

その際のキャピタルゲインは数倍から数十倍になることもありえます。

反対に、予定とおりに事業が発展しなかった場合、IPOに至らないケースもありますし、場合によっては倒産するというケースもありえます。

投資先企業が倒産した場合、株式の回収順位は劣後するため、多くの場合全く回収できずに終わる可能性があります。

 

最低出資金額は案件によって様々

最低出資金額は案件によって異なりますが、過去の案件では1万円に設定されていた案件もあります。

最低出資金額が5万円前後、高い場合は10万円に設定されているクラウドファンディングサービスもあるため、案件によっては投資しやすい最低出資金額が設定されていると言えるでしょう。

 

気になる手数料は?

ファンディーノは投資時点の取扱手数料がかかりません。投資時点の入金手数料は投資家負担となりますが、これは他のクラウドファンディングサービスでも一般的な設定です。

上場企業の株式や投資信託、ETFなどに投資する場合、証券会社に取扱手数料や管理報酬を取られるのが一般的ですが、ファンディーノの場合は無料ということになります。

というのも、ファンディーノはプラットフォームを通じて調達した資金に対して20%の資金調達手数料を投資先企業から得ています。

これがファンディーノの事業収益となっています。そのため投資家からは手数料を取っていません。

 

クラウドファンディングの手数料比較

サービス名 登録・口座開設 運用 投資口座への振込み(入金) 投資口座からの払戻し(出金)
SBIソーシャルレンディング 無料 無料 投資家負担 無料
ガイアファンディング 無料 無料 投資家負担 108円から756円
クラウドクレジット 無料 案件による 投資家負担 300円+税金
オーナーズブック 無料 無料 投資家負担 300円+税金
クラウドリース 無料 無料 投資家負担 108円から756円
エメラダ・エクイティ 無料 無料 投資家負担 無料
ラッキーバンク 無料 無料 投資家負担 無料
マネオ 無料 無料 投資家負担 54円から432円
クラウドバンク 無料 無料 投資家負担 無料
ソニーバンクゲート 無料 無料 無料 無料
SAMURAI 無料 無料 投資家負担 無料
トラストレンディング 無料 無料 投資家負担 無料(預託口座なし)
エメラダ(株式型) 無料 無料 投資家負担 無料
ファンディーノ(株式型) 無料 無料 投資家負担 無料

ファンディーノは株式型のクラウドファンディングです。

同じ投資型のクラウドファンディングであるソーシャルレンディング(融資型)の業者とも手数料やメリット・デメリットとも比較してみたい方は「おすすめのソーシャルレンディング会社 ~ サービスや利回り、メリット、デメリットを比較」で詳しく解説しているので参考にしてみてください。

 

ファンディーノの良い点

  • 将来性のある成長企業(ベンチャー企業)に投資することができる。
  • エンジェル税制の優遇を受けることができる。
  • 他のクラウドファンディングサービスと比べて高いリターンを期待することができる。
  • 他のクラウドファンディングサービスと比べて、投資先企業の情報透明性が高い。

 

ファンディーノの残念な点

  • 非上場株式なので、上場企業株式や投資信託等と比較して流動性が低い。
  • 他のクラウドファンディングサービスと比べてリスクが高い。
  • 投資先企業の事業リスクがある。
  • 投資先企業が上場やM&A等に至らない場合、投資資金回収の手段が見込めなくなるリスクがある。

 

運用実績

  • 累計成約額:11億7839万円
ファンド募集件数 37件
ファンド成立件数 33件

ファンディーノの投資案件は、一定の投資金額が集まらない場合、不成立となる可能性があります。

過去37件の投資案件のうち不成立となった案件は4件となっています。(2018年7月13日時点)

 

利用条件と審査

ファンディーノの投資家登録審査は一般的に厳しいと言われています。

というのも、投資家登録審査を通過できなかったという声がインターネットで一定数見受けられるからです。

先に説明した取引約款をよく読むと、投資家登録の条件が記載されています。

特に審査に引っかかる箇所は「金融資産を300万円以上保有されてない方」と「投資資金の性格が借入金の方」だと思われます。

投資家審査の記入欄で、金融資産が300万円以下とした場合や、投資資金の性格が借入金とした場合は、審査を通過できない可能性があるでしょう。

 

投資家登録の流れ

投資家登録の流れは以下の通りです。

  1. 会員登録
  2. 口座開設
  3. 取引時確認(本人確認)資料の提出
  4. 審査

 

1.会員登録

まずはユーザ-登録の申込を行います。公式ウェブサイトの「新規登録(投資家)」というリンクをクリックします。

登録したメールアドレスに、会員登録の案内が届いているので、メールのリンクから本会員登録のページに移動します。

 

2.口座開設

投資家の収入源・年収・金融資産・投資経験の有無・投資商品と経験年数を入力します。先ほど説明した金融資産については留意が必要です。

さらに投資資金の性格と投資目的、興味のある分野を入力します。ここでも投資資金の性格には留意が必要です。

続いて投資家の個人情報として、氏名・性別・生年月日・住所・勤務先情報・振込口座を入力していきます。

最後に居住地国、外国PEPs該当者(外国政府等において重要な地位を占める方等)か否か、FATCA該当者(米国市民、永住権グリーンカード保有者等)か否か、の確認及び入力を行います。

 

3.取引時確認(本人確認)資料

本人確認書類の提出書類は、以下のうち1つの書類をWEBを通じてアップロードする必要があります。

  1. 運転免許証
  2. パスポート(写真掲載ページ、住所記載ページ)
  3. 写真つき住民基本台帳カード
  4. マイナンバーカード

または以下の書類2つを提出することもできます。

  1. 健康保険被保険者証
  2. 住民票
  3. 印鑑登録証明書

現住所と本人確認書類の住所が異なる場合はさらに現住所が記載されたその他上記の証明書あるいは、現住所が記載された公共料金の領収書を提出することで代替することもできます。

 

3.審査

ファンディーノによる投資家登録の本人確認の審査が完了したら、本人限定受取郵便にてアクティベートコードが送られてきます。

アクティベートコードを公式ウェブサイトのログイン画面から入力すると、投資家手続きは完了です。

 

信用できる運営会社か?

  • 社名:株式会社日本クラウドキャピタル
  • 本社住所:東京都品川区東五反田5丁目25番18号
  • 資本金:3億9360万1570円
  • 創立:2015年11月26日
  • 代表取締役:
  • 事業内容:第一種少額電子募集取扱業務(ファンディーノの運営・管理)

 

株主として日本クラウドキャピタルに出資しているのは?

ファンディーノは、2015年の創業以来数回に渡って資本調達を行っています。

2017年には西武信用金庫の運用している西武しんきんキャピタル企業投資3号投資事業有限責任組合というファンドから出資を受け入れ、2018年には大手生命保険会社の第一生命、博報堂のグループ企業であるSEEDATA、そしてソニーのCEOであった出井伸之氏が出資を行っています。

これら金融機関、大企業、エンジェル投資家の厳しい審査を経て出資を受けていることから、ファンディーノおよび日本クラウドキャピタルの企業としてのクオリティに信頼を置くことができると言えるでしょう。

 

代表取締役の柴原祐喜氏と大浦学氏

代表取締役の柴原氏と大浦氏は、明治大学大学院のグローバルビジネス研究科で同門だった間柄です。

過去、自身でベンチャー企業の資金調達を行った際の苦労が日本クラウドキャピタル創業のきっかけとなっているようです。

自身でベンチャー企業を立ち上げた経験を、投資案件の審査に活かしているものと思われます。

 

投資対象

ファンディーノは、優秀なテクノロジーやビジネスプランを持っている非上場企業への投資機会を個人投資家に提供しています。

投資先企業の業界は多岐に渡っていますが、将来IPOを目指す企業ということで共通しています。

普通株式への投資と新株予約権への投資の違い

株式型クラウドファンディングサービス会社はファンディーノ以外にもいくつか出てきており、ファンディーノとは異なり新株予約権に対して投資家が投資を行うサービスを提供している会社があります。

基本的に同じ投資金額であるならば、新株予約権よりも普通株式の方が投資家にとって有利となります。

なぜならば株式を保有していれば、株主総会に出席する権利と議決権を行使する権利が与えられます。

また、企業によってはエンジェル税制を使うことができるため、投資家にとって税の優遇を受けることが可能になります。

なお新株予約権は現在のところエンジェル税制の対象外となっています。

非上場企業の普通株式も流動性は低いですが、新株予約権は譲渡自体が不可能となっているケースもあるため一層流動性が低くなります。

 

案件情報はどこまで確認できる?

ファンディーノの案件例

投資先企業の事業についての説明、企業の情報(代表者名、住所、資本金、既発行株式数、設立日、決算日)を確認することができます。

特に事業については動画などで代表者のインタビューなども確認できるます。

他にも、事業を始めたきっかけ、社会のかかえる課題やニーズがあるのか、どのようなビジネスプランで課題やニーズを解決していくのか、提供するサービスの特徴やメリット・デメリット、主なメンバーの紹介、今後の事業スケジュールなどが説明されています。

非常に多くの情報が提供されているため、しっかりコンテンツを確認するとよいでしょう。

なお、過去の投資案件例については以下のとおりとなっています。

 

nommoc(ノモック)

  • 投資対象:無料の自動車移動サービス提供会社
  • 投資目標金額:1,600万円
  • 最低投資金額:125,000円
  • 調達金額:5,000万円

nommocは車による移動を無料化するサービスを手掛けている企業です。無料で乗れるタクシーやUberのようなイメージです。

投資資金はシステム開発、福岡市内の国家戦略特区での実証実験などに使われます。乗車するクライアントがアプリを通じて感心のある情報を提供し、車内のサイネージから広告が提供されます。

広告費を企業が負担することでサービスが無料となるビジネスモデルになっています。今後はAIによる自動運転車を導入することで、さらなるサービスのコスト削減を見込んでいます。

 

TOBILIFE(トビライフ)

  • 投資対象:ライフプランの支援業務、資産形成支援会社
  • 投資目標金額:1,500万円
  • 最低投資金額:120,000円
  • 調達金額:3,300万円

投資先企業は、確定拠出型年金など会社員が自分で資産運用を行わないとならないものの実際には放置していまっている方向けのサービスを提供しています。

所属する企業によって提供している確定拠出型年金の運用商品は異なりますが、TOBILIFEは所属別企業ごとにシステムをカスタマイズして提供しています。

またシステムを通じて加入している生命保険などの見直しなどのサービスも提供しています。

大手福利厚生サービス大手のベネフィット・ワンや確定拠出型年金のサービスを提供している野村証券、確定拠出型年金の社内研修を提供しているプルーデント・ジャパンなどと業務提携を行い、市場を開拓しています。

 

漢方製薬研究所

  • 投資対象:漢方薬のネット販売会社
  • 投資目標金額:1,200万円
  • 最低投資金額:10,000円
  • 調達金額:2,925万円

漢方製薬研究所は、漢方薬をEコマースで販売している会社で、DNA解析キットも販売しています。投資資金は、新商品開発費用および広告宣伝費、またアプリ開発に使われます。

この投資案件は1万円という非常に低い投資最低金額が設定されており、投資しやすい案件となっていました。

上場企業株式のように、自社製品の割引購入権利と新商品の優先案内といった株主優待が設定されています。

 

まとめ:こんな方におすすめ

クラウドファンディング投資を通じて高いリターンを得たいと考えている方

ファンディーノの魅力は、投資先企業のことを十分理解した上で企業の成長を期待した投資ができることです。

ハイリスク・ハイリターンの投資案件であることは間違いありませんが、取れる範囲でリスクを取って投資するのであれば、投資ポートフォリオの分散の観点でも良い投資になるかと思われます。

なお、多くの投資案件が募集開始から数日、案件によっては数分で調達完了しているケースがあります。

コストがかからないので、まずは投資家登録してみる価値のあるクラウドファンディングサービスであると言えるでしょう。

※当ページの情報(金額・数字等)は2018年7月時点のものです。最新の情報は公式サイトをご確認ください。