マイホーム購入時には「一戸建て」「マンション」「新築」「中古」の4つの選択肢があります。この中で一番リーズナブルな中古マンション購入は最近リノベーションなども注目されています。住宅ローンを組む時にはどのような注意点があるのでしょうか。
マンション購入において、一戸建てとは違う点、住宅ローンの利用について把握しておくべき点などをお話していきたいと思います。

目次
一戸建てとは違う点が多いマンション購入

一戸建て、マンションともにそれぞれにメリット・デメリットがあります。また、特徴的な部分も異なる点が多いので購入する際には、よく理解しておくことが大切です。
一戸建てのメリット
一戸建ては、自分所有の土地の上に建物が建っているので、空いたスペースは自由に使うことができます。庭にして子供達の遊び場にしたり、小さな畑を作って家庭菜園を楽しんだりと、自由な活用ができます。
また、平屋よりも2階建が圧倒的に多いので、家族構成によっては個人のプライバシーを大切にしたい時に、上下階を分けて使う暮らしも可能です。
そして将来的に建物の価値がなくなっても土地が資産として残ります。一戸建てを選ぶ1番の理由をここに持つ方も多くいます。
一戸建てのデメリット
隣家と距離が近いほど隣の住宅からの視線や音の影響を受けやすい点があります。
高層マンションの居室ではカーテンを閉めない方もいますが戸建てではカーテンの利用が必須でしょう。リビングが1階で交通量の多い道路に面している場合には、通行人の視線も考慮する必要も出てきます。
また、管理組合がないので、修繕に対する貯金や積立をしておき、壊れた場合は業者の手配などを自分で行う必要があります。
マンションのメリット
「立地の良さ」があげられます。分譲マンションは、居住する人の生活の利便性を重視して建設されているため、徒歩圏内に「スーパー」「病院」「学校」「駅」などの生活に必要な施設が近隣にある場合が多いです。
また、集合住宅なので共用部分がありますが、管理組合がもとになって管理会社が管理(日々の清掃や整備など)してくれます。自分が管理するのは、専有部分だけでOKというところも魅力です。さらにセキュリティ面でも安心感があります。
鉄筋コンクリート造のマンションなら夏は涼しく、冬は戸建て住宅より暖かいという点もあります。
マンションのデメリット
デメリットは、月々の管理費や修繕積立金など費用が必要となること。集団で住むので騒音問題などが発生しやすい、共用部分を自由にすることができないなどがあります。また、規約によってはペットを飼う時に制限がある点も戸建てにはないデメリットです。
区分所有:マンションの所有権

一戸建てとマンションには「所有権」の部分について大きな違いがあります。小規模、大規模問わず、マンションは複数の世帯が居住する集合住宅です。ひとつの敷地に、ひとつの建物があり、その中に専有的に所有している居住部分があるものです。
建物自体は1棟ですが、その中の独立的な居住部分の所有権を「区分所有権」と言います。区分所有権が発生している独立的な部分を「専有部分」というのに対し、その建物に住む人達全員が共同で利用する部分を「共用部分」と言います。
共用部分は、建物全体の床面積のうち、専有している部分の床面積の割合で、共有した持ち分となります。そして敷地の所有権は「敷地権」として表され、こちらも持ち分表示がされます。
- 専有部分:区分所有権のあるマンション購入者が独占して使える部分
- 共用部分:マンションに住む全ての人が共同でつかる部分(ベランダや専有庭もここに入ります)


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資産価値の鍵:管理組合
マンション購入にあたり、いろいろとリサーチしていると次のような言葉を耳にすることがあります。
「マンションは管理を買え」
これはいったいどういう意味なのでしょう。
先ほどもお話しましたが、マンションは専有部分以外に共用部分が存在する集合住宅です。共用部分とは、建物のエントランス、エレベーター、廊下、庭など。建物の外壁なども共用部分となります。
この共用部分については、マンションの所有権を持っている人が協力し合って管理していかなければなりません。そのため、マンション購入をすれば、管理費・修繕積立金などといったメンテナンスにかかる費用を毎月支払う必要があるのです。
この管理組合の内容は、今後の資産価値に大きな影響を及ぼします。管理がしっかりしている物件は、資産価値としても高いと考えられます。
住宅ローンの審査の際には、売却しやすいかどうか?という部分についてもポイントとなってくるので、資産価値に関係してくる管理面については、しっかりとチェックしたいところです。
管理組合って?

管理組合と聞くと「マンションを管理してくれる組合」と単純に思ってしまいますが、管理組合の「組合員」になるのは、マンションの所有権を持っている居住者です。つまり、マンションを購入した時点で、管理組合に加入しなければなりません。
管理組合に属したら、組合の一員として共用部分の管理などを皆で協力して考えていくことになります。また、管理組合で定めた規約を守って住むことになります。何かの取り決めをする際には、総会が開かれ皆の意見が反映されて決定されます。
その運営のために、毎月の管理費が使われるのです。日常的な管理を「管理会社」に任せているマンションならば、その委託費用も「管理費」の中から支払われていくことになります。
管理形態もチェック
マンションの規模により、管理会社への委託内容が異なります。一般的には、新築の大規模マンションなどでは、管理員が常駐する形で管理を全面的に管理会社に任せることが多いです。こういった場合には、管理費が高めになります。
また、築年数の経過している小規模なマンションでは、管理会社に任せずに組合員たちだけで自主管理を行っているケースが多くあります。このような場合、居住する人達の管理への意識が弱いと、組合が正常に機能せずに共用部分の管理が雑になってしまうこともあります。
つまり、共用部分のメンテナンスが悪く、見た目にもイメージが悪くなり、資産価値としては低くなってしまいます。中古マンションを購入する時には、こうした「管理組合」の管理形態や管理状況についてもチェックしておきましょう。
購入検討時にチェックしたい共用部分

特に中古マンションを購入する時には、共用部分をチェックして管理状態を確認してみるといいでしょう。
- ゴミ置き場が綺麗に清掃されているか
- エントランス部分が清潔になっているか
- 庭に植栽されている木々の手入れは適切か
- 駐車場の周辺は綺麗か
- 外壁の剥がれがそのままになっていないか
- 用部分の老化の内壁などに亀裂や剥がれ、汚れがないか
専有部分である居住空間をしっかりと清掃・メンテナンスして綺麗に利用しても、共用部分の管理が悪く印象が悪いと、いざ売却しようとした時に高値で売れるはずがありません。
マンションの場合はエントランスや共用廊下部分が第一印象を左右しますから、古く汚い印象を与えてしまうと、購入意欲が無くなってしまうものなのです。
つまり、マンション購入する時には共用部分の管理にいかに力を注いでいるかという「管理組合の意識の高さ」にも目を向けた方がいいのです。
中古マンションのリノベーション

「中古マンション」は、新築マンションより劣ってしまうというイメージが拭えません。ただ、築年数が古いマンションの中には、管理状態が良く綺麗な物件もあります。
リノベーション済の中古マンション
築年数が古いマンションは価格が安く購入できるというメリットがあります。それに、最近ではリノベーション物件という中古マンションも多くなってきました。言葉の響きから、なんとなくオシャレで近代的な雰囲気が伝わってきますが、実際にはどうなのでしょうか。
ざっくりわけてみると、「リフォーム」というのが部分的な補修や改装、「リノベーション」が間取りや内装、設備などを大がかりに改装することになります。
- リフォーム:部分的な補修や改装
- リノベーション:おおがかりな改装
リノベーションの効果
一般的には中古マンション購入の際には、以前住んでいた人の生活感が残っていて、どうしても「中古」というイメージがつきまといます。しかし、リノベーションで全体的に新しくなると、部屋に入った瞬間にまるで新築物件のような印象を抱くこともあります。
費用は?
リノベーション済の物件の場合には、それにかかった費用が上乗せされた売却価格となっていることが多いです。それでも新築マンションと比較するとかなりお得なので、最近では注目されています。
注意点
しかし、改装する前の様子は一切分かりません。そのため、表面上新しくなっていても隠された部分が傷んでしまっているケースもあり、リノベーションしたからと言って「新築同様」とは言えないのが現実的な話です。
「リノベーション済」を購入するよりも、中古の状態で購入して自分が使いやすいように「リフォーム」という方も多くなってきています。
マンションをリフォーム時にはコレに注意
マンションでは自由にリフォームできるわけではなく、管理規約に反しない範囲でしなければならない点は注意が必要です。
築年数が古すぎると住宅ローンが厳しい?

「リフォームをして住もう」と思って中古マンションを購入する人にとっては、築年数が古いのはあまり気にならない部分かもしれません。築年数が経過していれば、古いだけ購入費用が少なくて済みます。
費用を抑えた分、リフォーム費用に充てるというプラスの発想もできますよね。それでも、新築を買うよりはリーズナブルにマンション購入が可能です。ただし、住宅ローンを利用する際には、築年数が古いマンションの購入には十分な検討が必要です。

https://smtrc.jp/useful/knowledge/market/2012_07.html
マンションの寿命
鉄筋コンクリートで建設されているマンション。その寿命はどのくらいなのでしょうか。ひとくちに「寿命」と言いますが、建設方法、メンテナンスや管理によるところが大きいです。30数年で建て替え時期がやってくるマンションもあれば、劣化があまり見られず長寿となっているものもあります。
1998年の税制改正前には、鉄筋コンクリートの耐用年数は60年となっていました。その後、改正されて47年となっています。多くの金融機関の住宅ローンの審査の基準では、以前の60年という数値が基準となっているようです。
担保価値が低くなると
住宅ローンの借入金額は、担保となる物件の担保評価によって異なります。支払いを滞納した場合の「担保」なのですから、「どのくらいの金額で売れるか」という価値に対して借入金額の上限が違います。
借入金額については、個人の収入なども関係してくるため一概には言えません。ただし、そもそも返済完了時に築60年を超えている可能性のある古すぎる中古マンションでは、住宅ローンの審査で金融機関が難色を示すことや希望する額を借りることができないこともあります。
立地、耐震構造、工法よる評価
一般的には築年数が古いほど住宅ローンを組むときの物件評価が低くなる傾向にあります。しかし、評価の基準は売却のしやすさにあるので、古いから評価が低いとは限りません。
住宅ローンが払えなくなった時に、そのマンションが売却しやすいような人気物件であれば話は別です。築年数が結構古い物件でも次のような部分があると、審査の時に評価を低くせず「人気物件」と判断されます。
- 立地が良い
- 向きが良く日当たり良好
- 景観が素晴らしい
- 駅に近くて利便性が高い
- 管理が良く綺麗な状態で維持されている
- 建築業者の知名度がありグレードが高い
- 空き部屋が少なく人気物件
このように条件が良い物件は、築年数が古くても需要がある中古マンションと判断されます。また、外壁や共用部分などの大規模修繕が過去に数回行われている場合だと、それほど傷んでおらず寿命が長くなると考えられます。
中古マンションは住宅ローンの借入期間が短い?
審査をする上で「マンションの耐用年数が60年」となると、借入期間にも影響が出てきます。一般的な住宅ローンでは長くて35年のローンが組めるというのは、多くの方々がご存知でしょう。そのため、経過築年数と希望借入期間をプラスして、60年を過ぎてしまうケースは借入期間が短くなってしまう可能性が高いのです。
例えば、現時点で築35年という中古マンションですと、借入期間35年を希望すると合わせて70年。耐用年数60年よりも10年オーバーですよね。完済時に60年を超えない範囲までの借り入れしかできない可能性があります。このケースでは、借入期間を短くするしかありません。
各金融機関の判断と住宅ローンを利用する人の年齢にもよりますが、住宅ローンの期間が短くなってしまうと、毎月の支払いが高くなってしまい、支払いが厳しいという影響が出てきます。そのため、古すぎるマンションは住宅ローンの借入期間が短くなる傾向にあると言ってもいいでしょう。
物件の担保価値は住宅ローンの審査において重視されるポイントの一つですが、担保価値が低くても審査に通る場合もあります。住宅ローンの審査については以下のページも参考にしてください。
【初めての方、審査落ちの方向け】住宅ローンの審査 ~ 事前審査と本審査で見られる4つの項目
まとめ
マンション購入では新しい方がいいけれども、予算的に中古マンションとなってしまう方もいるでしょう。中古マンションでは、リノベーションをしてまるで新築のように新しい雰囲気で住むこともでき、注目されています。
ただし、築年数が古いマンションだと、住宅ローンの審査や借入金額、返済期間が厳しくなってしまうケースもあります。「予算がないから中古マンションを買う」という安易な考えではなく、管理状態なども把握し、古いマンションでもしっかりとした資産価値があるか十分に検討しましょう。