曇り空

  • 突然解雇されてしまった!
  • 長く思い悩み限界がきて失業してしまった…

失業する理由は様々あると思います。他のことはさておき、賃金がもらえなくなるということは、いつかは生活できなくなることを意味しています。

お金が無くなってしまって困る前に取るべき方策があります。再就職までの間、あなたを支えてくれる5つの手段をご紹介します。

求職活動中に生活資金を受け取るには?

ほとんどの方が退職時に会社事務担当者から「退職したら、すぐにハローワークで手続きをしてください」と言われます。

なぜ、すぐに早く手続きと言われるのでしょうか?

それは求職活動中にもらえるお金があるからです。一日でも早くというのは期間が決まっている為、手続きが一日でも早い方がお得だからです。

自分はその対象なのか?手続きはどうするのか?どのくらいもらえそうなのか?を説明していきます。

失業保険の対象

失業中、生活を気にせず再就職活動するためにお金を受け取れる制度があります。それが、「雇用保険の一般求職者給付」「失業保険」「失業給付」「基本手当」といわれるもので、ほぼ同じ意味で使われています。

失業保険の申請をした方が良い方

  • 働いている時に雇用保険(2年以上)に入っていた方
  • 退職時に次の就職先が決まってない方
  • 再就職先を探す活動をする予定の方
  • 家族の扶養に入る予定のない方
  • すぐに働ける方
  • 起業する予定のない方

「2年以上雇用保険に入っていた」とは?

「2年以上雇用保険に入っていた」とは退職日より前の2年間中、合計12か月以上雇用保険に入っていることを意味します。1か月計算できる月は離職日から1か月毎の区切りで、給与計算の元となるのが日数が11日以上有る場合です。

それ以外に、倒産でやむなく退社したなど会社都合で失業した方は退職以前1年間の内、6か月以上雇用保険にはいっていただけでも大丈夫です。(特定受給資格者、特定理由離職者で調べると対象者に該当するかがわかります)

「すぐに働けない理由」とは?

以下の理由の場合は失業保険の給付対象外となります。

  • 定年退職後、のんびりしたいため
  • 子育て(妊娠・出産・育児)のため(※)
  • 健康面(負傷、病気)のため (※)
  • 家事に専念するため(結婚等)

(※ 延長措置あり)

ただし、子育てや健康面等やむを得ない場合は「受給決定前の延長措置」がありますのでハローワークで延長手続きを行ってください。

失業保険の手続き

手続きの流れ

  1. 求職申込み
  2. 受給説明会
  3. 第1回認定日(その後再就職まで4週に1度継続して行います)
  4. 支給(認定から約5営業日に口座振込)

 

求職申込み:はじめの一歩!ここが肝です!

離職票が手元に届いたら、下記のものを持参してハローワークに行き、求職申込みを行います。

持参するもの

  • 雇用保険被保険者証:自宅もしくは会社保管なので必ず退職日前までに確認
  • 雇用保険被保険者離職票:1と2があり、会社から受け取ります
  • 本人確認書類:運転免許証など写真付きの官公署発行のもの
  • 写真:縦3cm×横2.5cmで3ケ月以内に撮影したもの
  • 印鑑:認印
  • 普通預金通帳:自分名義のもの

受け取るもの・指示

  • 雇用保険受給資格者のしおり
  • 受給説明会の日時

 

受給説明会

1.で指定される日時の説明会に出席します。

持参するもの

  • 印鑑:認印
  • 筆記用具
  • 雇用保険受給資格者のしおり:1.でもらったもの

受け取るもの・指示

  • 雇用保険受給資格者証
  • 失業認定申告書
  • 第1回認定日時

 

第1回認定日

2.で指定された日時に、失業しているかの確認を行います

持参するもの

  • 雇用保険受給資格者証
  • 失業認定申告書:ウソの申告をするとペナルティがあります。(注意点参照)

失業保険の支給額の計算方法

金額

退職日から6か月前分の平均給与(賞与等除く)の5~8割(60歳~65歳未満の方は4.5~8割)で、他にも年齢ごとの上限があります。

60歳未満・月18万の給与の日額計算例

(18万円×6ヶ月)÷180日×50%(~80%)=3,000円(~4800円)

給付日数

退職理由・雇用保険を払っていた期間・年齢により決まっています。一番代表的な例は下記のとおりです。

自己都合退社×雇用保険加入期間が10年以上20年未満 × 65歳未満=120日分
※定年退社も同様です

受給期間

お金がもらえる期間は退職日の翌日から1年間です。給付日数が残っていても1年を過ぎると受け取れなくなるので、手続きは退職後に離職票を受け取ったらすぐに行いましょう。

また、自己都合退社の場合、3ケ月受給できないことも注意が必要です。これを「3ケ月の給付制限」といいます。

自己都合の退社の場合3ヶ月は給付されないため、その間生活資金がなくて困る場合はお金を借りることになります。

カードローンを始め、質屋、保険の契約者貸付などお金を借りる方法は実は様々あります。お金を借りる方法について下記のページで説明しているので、参考にしてみてください。自分が気付いてない方法が見つかるかもしれません。

お金を借りる

受給期間延長

すぐに働くことかできない理由が以下の場合、手続きをすれば受給するのを先延ばしにすることが可能です。

60歳以上の定年退職者ですぐに転職活動しない方 1年延長
病気・けが・妊娠・出産・育児で求職活動不可能な方 3年延長

注意点すべき点は?

虚偽の申告書内容

  • 名義を含んだ会社役員に就任したことを記載しない
  • 実際に行わなかった求職活動等を記載
  • 収入を得たこと(定職に就業、アルバイト、内職、手伝い)を記載しない
  • 自営、請負の事業を始めていることを記載しない

 
失業認定申告書に下記のような「事実ではないこと」を書いてしまうと、下記のペナルティが課されるので注意が必要です。

虚偽の申告によるペナルティ
  • 基本手当給付の中止
  • 受け取った基本手当相当額の返還
  • 不正支給された2倍額以下の支払

失業保険のもとの雇用保険とは

そもそも雇用保険て何でしょうか?

今まで、会社勤めをしてきた方は「雇用保険」という言葉さえ覚えがない方もいるのではないでしょうか。

給料から自動的に引かれていたので気づかない方も多いものです。給与明細を確認すると、雇用保険として引かれているのがわかります。

つまり、自分で働いている間にお金を積み立てて、失業・就労が困難な場合に給付や手当、就業に必要な教育訓練を受けるための給付してもらうという仕組みなのです。

求職活動中の勉強を資金面でサポート

失業中に技術の習得、講座の受講を資金面をサポートしてくれる制度が4つあります。

公共職業訓練の離職者訓練 失業保険をもらいながらタダで勉強や技術習得できる
教育訓練給付金 通う講座費の一部を後から支給してもらえる
求職者支援制度 失業保険がもらえない人でも無料で勉強できる
職人育成支援 失業保険がもらえない人でも、職人になるのを助けてもらえる

公共職業訓練の離職者訓練

失業保険をもらいながら無料で勉強や技術習得できる制度が公共職業訓練の離職者訓練です。

対象 失業保険を受給し、ハローワークから「受講指示」を受けた方
費用 無料(テキスト代は自己負担)
技能習得手当 日額500円×40日分上限の受講手当+交通費として月額4.25万円上限の通所手当
講座種類 パソコン・機械加工・医療事務・CADなど

教育訓練給付金

失業中(在職中の方も)が指定の教育訓練講座を受け、その受講料などの一部を後払いで国が負担してくれる制度。一般教育訓練給付と専門実践教育訓練給付があります。

同時に複数の講座は受講できませんが、一定の期間がたてば別の講座受講の申請が可能です。経費として認められるものと認められないものもあるので先に確認しておきましょう。指定講座の募集期間は4月と10月の2回です。

一般教育訓練給付

対象 受講を始める時に雇用保険を払っていた期間が3年以上の方(暫定的に初回は1年)
費用 経費の2割(4千円より多く10万円以下の制限有)

専門実践教育訓練給付

対象 受講を始める時に雇用保険を払っていた期間が10年以上の方(暫定的に初回は2年以上)
費用 経費の4割、かつ4千円より多く32万円以下の制限(1年以内に資格取得し再雇用された場合、2割の追加支給有

求職者支援制度

失業保険をもらい切った後は何も打つ手がないかというと、そんなことはありません。求職者支援制度は失業保険がもらえない人でも無料で勉強できる制度です。

対象 失業保険がもらえない方(受給終了した方含む)で、ハローワークから「受講指示」を受けた方
費用 無料(テキスト代は自己負担)
手当 職業訓練受講手当(月10万円)や通諸手当(交通費等)
条件 収入が8万以下、世帯収入が25万以下であるなど複数ある項目すべて当てはまること
講座種類 介護・パソコン関連・簿記・医療事務関係

職人育成支援

職人として転職を考えている人の技術習得をサポートしてくれる制度です。月額最高10万円の支給してもらえるものもあります。

地方自治体が主催で、自治体や種類により支援の金額や制度内容も違います。地方への移転を含め、職人の仕事に興味がある方は一度調べてみるといいでしょう。

遠方への転職活動を支える制度

広域求職活動費

2011年の東日本大震災の被災し求職中の方、失業保険を受給している方を対象に、ハローワークが紹介する求人(常用)に応募し面接するための費用を補助してもらえる制度です。

往復交通費(求職者と企業の管轄ハローワーク間が往復300km以上)や、往復400km以上で規定内の宿泊費もでます。(7日間の待機中と自己理由で退社し、3ケ月の受給制限中は除きます)

Uターン・Jターン・Iターン奨励金

  • Uターン:就労・進学等の理由で離れていた方が故郷へ移住すること
  • Jターン:現住地と故郷間の中規模都市に移住すること
  • Iターン:出身は関係なく、地方移住すること

上記3つの移住について奨励金を出す地方自治体があります。地方により制度等が違うので奨励金について調べてみると、現住地より良い条件で再就職のチャンスがあるかもしれません。

再就職したらもらえるお金

失業給付を受けている間に次の転職先が決まった場合、支給決定している残りの期間・日数の指定範囲内で手当がもらえることがあります。上限は日額1,752円(60歳以上65歳未満の方は1,418円)と少額ですが、再就職の際は必ず問い合わせをしましょう。

制度名称 状況
就業手当 常用雇用以外(アルバイトなど)で就職した
再就職手当 安定した雇用(常用雇用)で就職した

 

失業時に知っておきたい情報

健康保険はどうなる?

退社時に保険証は会社に返却します。その後の選択として下記の3つがあります。

  1. 国民健康保険に加入
  2. 今まで使用していた健康保険を任意継続
  3. 扶養に入る(失業給付はもらえません)
どうやって選ぶか?

保険事務所へ電話か窓口で、1か月あたり保険料の問合せしてから、2年間単位で考えて安い方を選択するのが良策です。国民健康保険料は自治体によりホームページから計算できる場合もあります。

選択のポイント

  • 扶養人数が多く、なるべく早く再就職を目指す場合は一旦任意継続がおすすめ(国民健康保険は加入人数による保険料加算となります)
  • 起業などで再就職の予定がなく、2年目に国民年金(1年目の収入で決まる)が安くなる見込みの方は、総額で考える

 

国民健康保険への切り替え

自治体(市町村)の国民健康保険課に問い合わせて退職後14日以内に申込みます。手続き方法などは、Webで「(住んでいる)市区町村名 国民健康保険」で検索すると調べやすいです。

郵送?窓口?

郵送で手続きできる自治体もありますが、窓口で行うと保険証をその場で発行してくれるところもあります。

必要なものは?

社会保険資格喪失証明書など会社を辞めた証明になる書類が必要です。

 

任意継続(協会けんぽの場合)の手続き

対象者は?

任意継続ができる対象となれるのは、退社前に2か月以上継続して保険料を払っていた方です。

いつまでに誰が手続きする?

退職日から20日以内に申込みが必要で、保険証の発行元(協会けんぽ)に問い合わせて、本人が手続を行うため、退社した職場とのやりとりはありません。再度、保険証が発行・郵送されるまで時間がかかります。

保険料の払い方は?

保険料は郵送される振込用紙で払います。(元の職場とのやりとりはありません)保険料は今まで会社が半分払ってくれていましたが、任意継続は全額払いとなります。そのため在職中の給与明細に書いてある保険料のほぼ2倍払うことになります。

任意継続の期間や制限は?

再就職・滞納以外の切り替え理由は不可で申込から2年間は半ば強制継続となります。ただし、保険料の納付が1日でも遅れると任意継続の資格が無くなります

会社都合の退職の場合、保険料の軽減措置があります。

扶養に入るには?

配偶者の会社の扶養に入ることも可能です。配偶者に伝えて、会社の事務担当者に手続きを頼みます。健康保険の協会にもよりますが、最近は比較的早めに健康保険を発行してくれます。ただし、扶養に入っている間は失業給付は受けられないことには注意しましょう。

 

確定申告で税金が戻ってくる?

所得税は年間所得をもとに概算で計算されて賃金より引かれています。

退職のタイミングにもよりますが、働いていた時に支払っていた(天引きされていた)所得税が払い過ぎている可能性があるので、必ず2月中旬~3月中旬の確定申告を行い、還付金をもらいましょう。

退職と同じ年に再就職した方は、その会社が年末調整してくれるので何もしなくて大丈夫です。再就職先に源泉徴収票の提出を求められるので用意しておきましょう。

 

まとめ

失業するとお金の不安をかかえることになります。少額を短期間だけの資金の工面であれば消費者金融を活用するのもありですが、根本的な解決にはなりません。働いている時に労働保険の保険料を支払っているわけですから、公的な支援はしっかりと利用しましょう。