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2009年にクラウドファンディンング事業を始めたセキュリテは、音楽ファンド以外にも様々な興味深い社会問題や環境問題を解決するためのファンドを提供しています。

本ページではセキュリテの投資対象、手数料や運用期間、利回りについて解説します。

また、セキュリテ以外のファンド型クラウドファンディングサービス業者の良い点や悪い点、株式型との比較などは下記のページで解説しているので参考にしてみてください。

ファンド型と株式型クラウドファンディングの違いと特徴 – 大手6運営業者を解説

 

セキュリテ:ミニガイド

クラウドファンディング投資を通じて社会貢献をしてみたい方や、応援したいプロジェクトや企業、地域がある方におすすめ

  • 投資先企業のことを十分理解した上で投資できる
  • 他のと比べて投資リターンは高い水準ではないが、投資家特典がある
  • 投資リスクの分散という観点でも一部投資資金をセキュリテに回すという方法も
  • 大手企業およびベンチャーキャピタルファンドが株主なので今後さらなる発展が期待できる

 

セキュリテの基本情報と特徴

利回り グロスで目標が10%程度 ★★☆☆☆手数料等を差し引くと低め
最低出資額 1万円 ★★★★★投資しやすい
運用期間 2年から10年超 ★★☆☆☆案件によりバラつきあり
投資(貸付)対象 社会貢献性のある事業への投資 ★★★★★多岐に渡り選択肢多い
運用・維持手数料 5%-8%を投資時点で支払い ☆☆☆☆☆高い設定
入金手数料(振込時) 銀行への振込手数料は投資家負担 ★★★☆☆一般的
出金手数料(払戻時) 銀行への振込手数料は投資家負担 ★★★☆☆一般的
配当タイミング ファンド毎のスケジュールに応じて分配、元本は最終返済日に支払 一般的★★★☆☆

表中の★マーク:★が多いほど高評価

 

セキュリテの歩みと投資対象

もともとはミュージシャン応援のファンド

セキュリテは、2001年に設立されたミュージックセキュリティーズ株式会社が運営するクラウドファンディング会社の一つです。

運営母体のミュージックセキュリティーズという名前から類推できるとおり、元々はミュージシャンの支援向けに特化したファンドとしてスタートしました。

その後、2009年に音楽とは関係のない日本酒のファンドを組成したところから、クラウドファンディング事業を開始しています。

 

幅広い投資対象

案件名 一口金額 特典
夜間救急動物医療ネットワーク構築ファンド 2万1000円 1口につきオリジナルペットフードセット(2000円相当)1つ
国産醸造酒専門店 九(NINE)2018 2万1000円 1口につき日本酒1杯(期間中何度でも)
目白 鮨おざきファンド 1万500円 3~4口:限定先付一品5~9口:会計より2000円引+先付or日本酒1杯

セキュリテは、「共感」をベースにしたインパクト投資(※)のプラットフォームとして、様々な社会性の高い事業へ投資するファンドを提供しています。

日本の各地域の地方創生につながるような案件であったり、海外の成長国へのマイクロファイナンスであったり、幅広いファンドを組成して、投資家に提供しています。

投資家として、応援したい企業やプロジェクトに、資金を提供することで参加し、社会の成長や企業の成長を共感し、その果実を分かち合うことができます。

この点は、純粋にリターンを求める他のクラウドファンディングとは大きく異なっています。

※インパクト投資とは…国連が提唱する持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、略してSDGs)と呼ばれる社会の抱える課題や環境問題とった社会問題を解決するためのファンド

 

仕組みと投資家特典

セキュリテ
出典:セキュリテ
https://www.securite.jp/

セキュリテの提供しているファンドは、ソーシャルレンディングサービス会社が提供している融資型のファンドではなく、事業投資型のファンドです。

事業が成功して得られた収益が投資家にリターンとして還元される仕組みとなっています。

また、セキュリテのファンドに投資すると、投資家に還元されるサービスがついてくる投資家特典というものがあります。

例えばコーヒー店の経営に投資する案件であれば、当該店で使用できるチケットなどがもらえます。

これは、上場株式でいう株主優待のようなサービスと考えることができます。

簡単に言い換えれば、ソーシャルレンディングは債券投資であり、セキュリテは株式投資と言えるでしょう。

 

運用利回りは他と比べて?

セキュリテの投資案件の運用利回りは、おおむね10%を目標としています。

しかし、注意しなければならないのは、あくまでこの数字は手数料等控除前(グロス)の数値であることです。

セキュリテに投資した場合、投資時点で5%から8%程度の取扱手数料がかかります

そのため、10%の目標リターンは、実際には半分以下になってしまう可能性があります。さらに振込手数料等を考慮すると、より想定リターンは下がることに注意が必要です。

また、他のソーシャルレンディングサービス会社が提供している融資型のファンドとは異なり、あくまでセキュリテのファンドは事業投資型のファンドのため、投資先が定期的に利払いすることを約束しているわけではありません

そのため、他のクラウドファンディングサービス会社と比較すると、最終的なリターン水準は平均を下回ります。

前述のとおり、投資家特典として投資案件ごとに還元されるサービスが付帯しているケースが多いため、このサービスの価値もリターンの一部と考えることはできます。

 

投資期間は?

投資期間は案件によって異なりますが、2年から10年の間の長期に渡るケースが多くなっています。(おおむね3年程度に設定されている)

投資期間が長い理由は、事業投資型のファンドであることから事業やプロジェクトの立ち上げ、そしてビジネスが軌道に乗ってキャッシュフローの創出ができるようになるまで、一定の時間がかかることが理由です。

長期間の投資ファンドの場合、特に景気のサイクルなどによって、回収に影響が及ぶ可能性があることに留意する必要があるでしょう。

 

最低出資金額は?

最低出資金額は1万円に設定されています。最低出資金額が5万円以上に設定されているクラウドファンディングサービスもあるため、比較的投資しやすい最低出資金額です。

 

気になる手数料は?

クラウドファンディングの手数料比較

サービス名 登録・口座開設 運用手数料 投資口座への振込み(入金) 投資口座からの払戻し(出金)
SBIクラウドファンディング 無料 無料 投資家負担 無料
ガイアファンディング 無料 無料 投資家負担 108円から756円
クラウドクレジット 無料 案件による 投資家負担 300円+税金
オーナーズブック 無料 無料 投資家負担 300円+税金
クラウドリース 無料 無料 投資家負担 108円から756円
レンデックス 無料 無料 投資家負担 無料
ラッキーバンク 無料 無料 投資家負担 無料
マネオ 無料 無料 投資家負担 54円から432円
クラウドバンク 無料 無料 投資家負担 無料
セキュリテ 無料 5%~8% 投資家負担 108円から756円

セキュリテを利用する際にかかる手数料としては、投資時の取扱手数料が投資金額に対して5%から8%、投資口座への入金時の手数料(銀行の振込手数料で金融機関によって異なります)が発生します。

また、出金時の手数料についても、投資家の負担となっています。

他のクラウドファンディングと比較すると、登録時以外の手続きに際して都度手数料負担が発生するため、コスト面の割高感があります。

 

分配方法は?

セキュリテの投資案件の分配金は、案件ごとに定められた分配スケジュールに沿って支払われます。

また、設定された投資期間の満了時点に元本が回収され投資家に返済される仕組みになっています。

ローンファンドのような毎月配当を希望する方には、あまり向いていないストラクチャーとなっています。

 

セキュリテの良い点

  • インパクト投資といわれるような、社会性の高い投資案件に投資をすることができる
  • 「ふるさと投資」として、地方公共団体や地域金融機関が連携している地方創生につながる事業への投資案件に投資ができる
  • セキュリテは2009年からクラウドファンディングを行っており、2018年5月時点で803ファンドの募集、292ファンドの償還実績がある。累計の募集総額は79億4,659万円となっている
  • ファンド毎に設定された投資家特典を得ることができる

 

セキュリテの残念な点

  • 流動性が低い(中途解約ができない)
  • 投資先企業の信用(デフォルト)リスクがある
  • 他のソーシャルレンディングサービス会社と比較してコストが高い
  • セキュリテ自身の信用(デフォルト)リスクがある
  • ローンではないため、担保設定がない

 

運用実績

  • ファンド募集総額:79億4,659万円

セキュリテは老舗のわりに、あまり募集金額が多くはありません。他の後発のソーシャルレンディングサービス会社の方が実績が多くなっています。

若い企業や小さい企業は、銀行や信用金庫などから融資を受けられないため、ソーシャルレンディングサービスからローンを調達するニーズが相当あるからだと思われます。

 

投資家登録の条件

セキュリテでは、メールアドレス・ID・パスワードを設定することで、会員登録が可能です。

その後、ファンド投資の実行画面に移動していくと個人情報(会員名・性別・住所・電話番号・職業・業種・振込口座)を入力する欄があるので、そちらを順次入力していきます。

また、取引時確認(本人確認)の確認書類として、以下の書類のうちいずれか1つが必要となります。

  1. 運転免許証(引越し等により現住所が裏面に記載されている場合には両面)
  2. 各種健康保険証(住所が裏面に記載されている場合には両面)
  3. 各種福祉手帳
  4. パスポート
  5. 住民票、印鑑登録証明書(6ヵ月以内に発行されたもの)
  6. 住民基本台帳カード
  7. 個人番号カードの表面

なお、セキュリテでは、法人でも投資家登録を行うことが可能となっています。

法人名義で登録をしたい場合は、履歴事項全部証明書や印鑑証明書等によって本人確認をすることとなります。

法人で投資家登録したい場合は、セキュリテに問い合わせをしてみてください。

 

登録から投資実行までの流れ

  1. 会員登録
  2. ファンド投資時に投資家情報を登録
  3. 取引時確認(本人確認)資料の提出
  4. 審査

 

1.会員登録

まずは仮登録の申込を行います。公式ウェブサイトの「会員登録(無料)」というリンクをクリックします。

任意のメールアドレスを設定し、利用規約を確認したら「規約に同意して送信」ボタンをクリックします。

なお、ヤフーのIDやひかりTVのIDを使って登録することも可能です。

登録したメールアドレスに、仮登録のお知らせが届いているので、メールを開封しリンクをクリックし、IDとパスワードを設定すれば、会員登録は完了です。

 

2.ファンド投資時に投資家情報を登録

公式ウェブサイトにログインした状態で、個別のファンドのページを開くと、案件の紹介が確認できます。

「このファンドに申込む」をクリックすると、投資するファンドの匿名組合契約説明書の確認ページとなります。

内容を確認し理解したら、画面下部の「確認し理解しました(次に進む)」をクリックします。次に契約者情報として、投資家情報を入力していきます。

投資家申請の画面では、性別・住所・電話番号・職業・業種・振込口座といった個人の情報を入力します。

さらに投資家適合性確認として、収入と資産状況の残高・投資経験・投資資金の性格・外国の重要な公的地位の有無などをプルダウンから選択して入力します。

続いて、振込口座の情報を入力します。登録できるのは本人名義の口座のみなので注意してください。

さらに反社会的勢力に係る表明保証を確認したら、「上記内容に同意する」のチェックボックスをクリックし、次に進みます。

続いて投資する口数を登録し、決済方法・投資動機を選択すれば、ファンド申込と投資家情報の登録は完了です。

申込後、7日以内に取引時確認を行う必要があります。なお、2回目以降の投資の際には、本人確認は不要となります。

 

3.取引時確認(本人確認)資料の提出

次に、必要書類の登録を行います。本人確認書類、銀行口座書類の画像データを、専用画面からアップロードします。

 

本人確認書類

個人の投資家登録において本人確認書類として認められるのは以下の書類となります。

  1. 運転免許証(裏面も記載あれば両面)
  2. 住民票の写し(発行日から6ヶ月以内)
  3. 住民票の記載事項証明書(発行日から6ヶ月以内)
  4. 印鑑証明書(発行日から6ヶ月以内)
  5. 各種健康保険証(裏面も記載あれば両面)
  6. 各種年金手帳
  7. 各種福祉手帳
  8. 外国人登録証明書
  9. 外国人登録原票記載事項証明書
  10. 住民基本台帳カードなど

 

送付方法は3つ

取引時確認(本人確認)資料の送付方法は、ウェブサイトを通じたアップロード、FAXによる送付、郵送の3つが用意されています。

公式ウェブサイトにログインし、マイページから手続きを行います。

 

4.審査

セキュリテによる投資家登録の本人確認の審査が完了したら、後日本人確認として郵便が送られてきます。

この郵便に11桁の「本人確認番号」が記載されています。

公式ウェブサイトのマイページに、登録したIDとパスワードでログインし、本人確認番号を入力すると、取引時確認(本人確認)資料は完了です。

 

信用できる運営会社か?

  • 社名:ミュージックセキュリティーズ株式会社
  • 本社住所:東京都千代田区大手町1-6-1大手町ビル3階
  • 資本金:4億5,476万5,300円
  • 創立:2001年11月26日
  • 代表取締役:小松 真実
  • 株主:小松真実、フィンテックグローバルトレーディング株式会社、FinTechビジネスイノベーション投資事業有限責任組合、MICイノベーション3号投資事業有限責任組合、スパークス・グループ株式会社、株式会社西京銀行、アイエスジーエス1号投資事業有限責任組合、株式会社電通、株式会社三井住友銀行、しがぎん成長戦略ファンド投資事業有限責任組合、株式会社日本政策投資銀行、SMBC事業開発1号投資事業有限責任組合、大分ブイシーサクセスファンド四号投資事業有限責任組合、静岡キャピタル5号投資事業有限責任組合、エイチシー5号投資事業組合

 

株主の多くが大手企業やベンチャーキャピタルファンド

セキュリテの運営母体であるミュージックセキュリティーズ株式会社の株主には、日本政策投資銀行のような公的に近い銀行や三井住友銀行や電通といった大企業、三井住友銀行、静岡銀行、滋賀銀行の傘下のベンチャーキャピタルファンドが入っています。

このような株主が存在するということは、彼らの厳しい企業評価・分析(デューデリジェンス)を経て資金調達を行っていることが伺えます。

それだけミュージックセキュリティーズ株式会社は信用できる企業と考えてよいでしょう。

また、ベンチャーキャピタルファンドが株主となっているということは、ミュージックセキュリティーズ株式会社が近い将来上場を目指していることを意味します。

証券取引所で上場を果たすには、厳しいコンプライアンス管理が求められるため、ミュージックセキュリティーズ株式会社が将来一層信頼性の高い企業となることが予想されます。

 

経営陣の経歴

代表取締役 小松 真実氏

小松社長は、早稲田大学大学院を卒業された後、2000年にミュージックセキュリティーズを創業されました。

クラウドファンディング業界を草創期から牽引されてこられており、2013年ダボス会議で知られる世界経済フォーラムにおいて、「Young Global Leaders」に選出されています。

また、業界での活躍が認められ2014年第二種金融商品取引業協会の理事にも就任されています。

 

案件情報はどこまで確認できる?

案件ごとのページで、ファンドの募集条件を確認することができます。

ファンド情報のタブでは、募集情報として匿名組合が投資する先の企業(営業者)や、最低出資金額、募集期間、ファンド期間、分配方法などについて説明されています。

また、分配シミュレーションとして、売上の見込や、分配の予測などについても情報が提供されています。

プロジェクト概要のタブには、投資先企業がどのような事業を手掛けているか、ファンドの出資を受けてどのような事業を行っていくのかということについて、写真を交えて詳細な説明がされています。

また、企業の代表者のインタビューなども掲載されています。

他のソーシャルレンディングファンドでは、貸金業法の制約上投資先企業については会社名も含めて開示されておらず、投資に係る情報はかなり限定的です。

その点、セキュリテでは財務情報を除き、かなりの情報を得ることができるため、場合によっては当該企業の情報を自分で探すこともできます。

 

利用前に知っておきたいこと

確定申告は必要か?

分配金について、確定申告を行う場合は雑所得に該当し総合課税対象となります。

ただし、他に確定申告する必要がない場合においては、雑所得が20万円以下なら申告義務はありません。

また、ファンドの分配として投資家が受け取る金額は、分配金のうちの利益額から源泉徴収税を控除されています

つまり確定申告義務が無い方でも、所得税の税率が20%以下であれば、クラウドファンディングの源泉徴収は20%のため、確定申告をすることで源泉徴収された税の還付を受けられる可能性が高くなります。

※当ページの情報(金額・数字等)は2018年5月24日時点のものです。最新の情報は公式サイトをご確認ください。