キャッシングやカードローンの広告で「最大500万円融資可能」と書かれていたら、「500万円も借りられるの?」と思いますよね。

しかし、誰でもその最大額を借り入れられると思ったら大間違いです。

実際の利用限度額は各個人の収入や、現在、過去の借入状況などの信用情報に応じて、審査で決定されるのです。

したがって、広告に「最大500万円融資可能」と書かれているからといって、金融機関が審査によって決めた利用限度額を超えて、お金を借りることは基本的にできません。

「利用限度額ってどうやって決めるの?」「一度決められた限度額は増えないの?」当然そんな疑問がわいてきますよね。

そこで、ここでは、カードローンの利用限度額の決め方や、利用限度額の増額についてご説明します。

 

カードローンの利用限度額の決まり方

カードローンの利用限度額は、利用者が借入れの申込みをした後、審査を経て導き出されます。

判断基準は、一言でいうと「申込者の信頼性」と「収入の安定性」です。信頼性と安定性は、簡単に判断できるものではないので、複数の要素から総合的にチェックされます。

各金融機関によって基準が異なるので、確定的なことは言えませんが、大まかには以下のような情報が判断材料となります。

  • 収入
  • 職業
  • 勤続年数
  • 他社借入履歴、借入状況

収入

金融機関は、返済の「延滞」や「不払い」を最も嫌います。当然、収入が多いほど完済できる目処が立つと判断されますが、収入に求められるのはあくまでも「安定しているかどうか」。「浮き沈みの激しい高年収」よりも「そこそこでも安定している」ほうが高い評価を得やすいでしょう。

職業

業者は「収入が安定しているかどうか」を気にするので、一般的に安定性が高いとされている職業は有利です。大手企業の正社員や公務員は好印象。一方、先行きを見通しづらい職業の場合は、限度額は低めに設定されがちです。

勤続年数

勤続年数が長ければ、安定した生活を送っているのだと判断されます。勤続年数の長さは申込者の信頼性に直結します。3年以上あると好印象とされています。

他社借入履歴、借入状況

過去の借り入れ・返済状況から、どれくらいのお金を既に借りているのか、延滞・不払いなどのトラブルがないかをチェックします。また契約の可否にかかわらず、他社への申込み履歴もチェックされ、申込みが多いと利用限度額が低く抑えられる傾向があります。
金融機関は、申込者がどんな人なのかを直接知ることはできませんが、具体的な数字や実績から社会的な信用度を推し測り、利用者が信頼できる人物かどうかを判断します。

カードローンの利用限度額は、そうして確認できた信頼性・安定性に応じて決定されるのです。

 

利用限度額を上げてもらうには?

審査時に決定された利用限度額は、その後、上がることはないのでしょうか?

実は、利用状況に応じては、限度額アップは可能なのです。ただし、限度額の増額を希望する場合は、必ず利用者が申し込んで、その都度審査を受けることになります。

増額申請の際の審査基準は、新規申込時の審査と基本的に変わりません。個人信用情報を照会して、利用歴の健全性と他社借入状況がみられることになります。

また、限度額を上げてもらうには、単に再び審査を受けるだけでなく、金融機関に対してある程度の「信頼」と「実績」を、時間をかけて積み重ねる必要があるのです。

具体的には、以下の2点が挙げられます。

返済日は必ず守る

まず基本は、毎月の返済日を必ず守ることです。

返済のうっかり忘れには気をつけましょう。振込を忘れてしまい、うっかり返済期日を過ぎていた場合、たとえ悪意がなくても、延滞として記録されてしまうのです

まずは健全な利用実績を積むこと。それが、将来の利用限度額アップにつながります。

借入れを定期的に利用する

定期的に借入・返済を繰り返していると、それがだんだん利用実績として積み上がっていきます。

「一度完済して終了」ではなく、「定期的に借り入れる→返済する」というのがポイントです。

たまに借入もして、毎月コツコツと遅滞なく返済する、という金融機関にとっての「上客」になれば、利用限度額を上げてもらえる可能性が高まります。

このように、健全に利用してさえいれば限度額アップのチャンスは誰にでもあるといえるでしょう。

 

他社のカードローンを追加する?

カードローンの利用限度額がいっぱいになってしまった場合、増額申請以外の方法で、限度額以上のお金を借りる方法はないのでしょうか?

選択肢のひとつとして、「他社のカードローンで借りる」という方法が考えられます。

ただし、他の会社のカードローンを追加する場合には、いくつか押さえておかなければならないポイントがあります。

ポイントと危険性を把握した上で、慎重に検討する必要があります。

注意点1 「審査が厳しい」

カードローンを利用限度額いっぱいまで借りて、新たに他の会社のカードローンにも申し込む場合、審査は1社目に申し込んだ時よりもずっと厳しくなります。

なぜなら、「他にも借り入れがある」ということを、カードローン会社は、とても気にするからです。

いくら年収や職業がしっかりしていて、1社のカードローンをもつには十分な条件を満たしていたとしても、返済しなければならないお金がすでにあるわけです。

それを返済しながら、新しくカードローンを作って本当に大丈夫なのかと、利用者の返済能力を疑ってしまうのは当然ですよね。

2社目の場合、審査は相当厳しくなり、簡単にはお金を貸してもらえないと思っておいたほうがいいでしょう。

また、消費者金融系のカードローンについては、「総量規制」により年収の3分の1を超える融資ができないため、たとえ申し込めたとしても思うような金額を借りられないことも考えられます。

注意点2 「リスクが高まる」

カードローンというのは、簡単便利にお金を借りられる反面、返済するときのお金の計算は意外と複雑であるという特徴があります。

「いくら借りる=量」「いつまで借りる=時間」という2つの要素をしっかり把握していないと、自分がどのくらいお金を支払わなければならないか想像がつかないのです。

1社であれば何とか管理できていても、これがもう1社増えたらどうでしょう? より一層複雑になり、管理が大変になります。

お金の管理がしづらくなるということは、「借りすぎ」にも気づきにくくなるということです。これは、ちょっと怖いですよね。

また、複数のカードローンを利用していることで、将来車を買いたい、家を建てたいと思ったとき、自動車ローンや住宅ローンが組みづらくなることも考えられます。

複数の会社から借金をしはじめるのは、最終的に「自己破産」や「債務整理」にもつながりかねないリスクをはらむという点も、頭に入れておくべきでしょう。

注意点3 「ヤミ金融の甘い言葉に注意」

1社目のカードローンの利用限度額がいっぱいになり、2社目に申し込んだ際の審査がとても厳しいものであることは、上で説明した通りです。

そのため、実際なかなか審査は通りません。しかしお金が借りられないと焦っても、こんな甘い言葉には注意が必要です。

「限度額がいっぱいでもOK」「審査ナシでOK」

こうした宣伝文句を使うのは、たいていヤミ金融業者です。

申し込んでも全くお金を貸してくれなかったり、逆にお金を奪われたりといった詐欺行為に巻き込まれてしまうのが、ヤミ金融の恐ろしさです。

甘い言葉をうかつに信用する前に、ヤミ金融かどうかは必ずチェックしましょう。悪い噂や口コミはネットでもチェックできるので、注意深く見極める必要があります。

 

そもそも利用限度額とは?

そもそもカードローンの利用限度額とは、金融機関が「申込者の信頼性」と「収入の安定性」を考慮した上で、しっかりと無理なく返済を続けられる「妥当なライン」として設定してくれたものです。

限度額のアップや、他社のカードローンの併用を考える前に、本当に追加の融資は必要なのかどうかを、しっかりと考える必要があります。

「妥当なライン」である限度額内の借入れで、お金が足りなくなってしまったのは、現在の支出があなたの身の丈を超えてしまっていることの証拠かもしれません。

「無駄な出費をしていないか」「このお金はすぐに必要なのか」「稼いだお金でやりくりすることはできないのか」などなど。

一度、冷静になって考え直してみることで、正しく上手にカードローンを利用するヒントがつかめるのではないでしょうか。