車保険の見直し
毎年更新している自動車保険。「条件や補償内容を見直す必要があるのかな?」とぼんやり思っていてもどこを基準にすればいいかわからず、同じ保険を今年も更新している方も多いと思います。

必要な補償が足りていなかったり、不要な補償で保険料がかさんでいる可能性もあります。
「必要な補償を確保しつつ最低限の保険料に設定する」ことが自動車保険を見直す最大のポイントです。

本ページでは、上記のポイントをふまえて、タイミングや契約タイプ、条件や制限について詳しく解説していきます。

自動車保険を見直すタイミングは?

車_お金

加入中の自動車保険を見直すのは、主に以下の2つの理由によります。

  • 保険料を見直したいことがあった
  • 自動車に関する事情が変わった

 

保険料を見直したい時

まずは「自動車保険の保険料を見直したい時」です。

例えば節約して貯金に回せるお金を増やしたい時や、知り合いが加入している自動車保険よりも高額な保険料を支払っていると知った時など、保険料を少しでも少なくしたいと思う時に保険を見直すことになります。

自動車保険は、加入しているだけで保険料を支払う必要があります。

もし、保険料を支払いすぎていると思ったら、契約内容を見直して少しでも保険料を安く抑えることができる可能性があります。

もちろん、必要な補償内容をすべて盛り込んだ結果であれば仕方がありませんが、ひょっとしたら担当者に言われるがままに契約して自分にとって不要な内容に対して保険料を支払っている可能性も十分に考えられるのです。

 

自動車に関する事情が変わった時

もう一つは「自動車に関する事情が変わった時」です。自動車保険は、自動車の運用方法によって適切な補償内容が異なります。

どういった範囲まで保険を適用してもらえるようにするべきか、どういった特約をつけるべきか担当者と話し合ったりネットで調べるなどして、その時点でベストな条件で保険契約できている場合でも、永遠ではありません。

自動車に対する事情というものは、家族構成や仕事の都合など、さまざまな条件によって変化します。

例えば子供が生まれたり結婚して家を出たり、通勤する場所が変わったり電車通勤するようになったりと、自動車運用を取り巻く環境は時間の経過とともに変化します。

ですが自動車保険はそれらの事情に合わせて自動的に契約内容を変化させることはありません。

自動車に関わる事情が変化することで、不要になった補償範囲や特約が出てきたり、逆に新たな特約を必要とする可能性もあると思います。

自動車に関わる事情に合わせた保険契約で自動車保険に加入するためにも、現状の契約内容を見直して必要に応じて補償範囲や特約の増減を考える必要があるのです。

 

保険会社ごと変えて節約

パソコンとスマホ
もし、自動車保険の保険会社ごと乗り換えることを考えているのであれば、「ダイレクト型」の自動車保険に乗り換えることもおすすめです。

これは、同じ保険内容であっても「保険料が安くなる可能性がある」という点が魅力です。

 

なぜ保険料が安くなる?

保険の契約タイプ 契約方法
ダイレクト型 ネット・電話・郵送という非対面で行う
代理店型 代理店で担当者がついて対面で行う

ダイレクト型の自動車保険は、「通販型」とも呼ばれる契約タイプの自動車保険です。自動車保険に加入する時には、代理店での契約と、ネット・電話・郵送という非対面式の契約方式の2種類があります。

ダイレクト型は後者に該当する契約方式であり、前者は一般的に「代理店型」あるいは「対面型」と呼ばれる契約方式です。

なぜ、ネットや郵送での契約方式の方が保険料が安くなる可能性があるのかと言えば、代理店型の自動車保険は「代理店の人件費」が保険料に加算されるからです。

ネット通販と同じことで、実店舗での販売よりもネット通販のほうが単価が安いのは人件費がかからないことで価格に反映されているためです。

ダイレクト型の自動車保険は保険会社と被保険者の間に余計な人件費がかからないため、保険料を安く設定できるということです。

以下のようなイメージです。間に人が挟まるほどに人件費がかかり、かかった人件費は保険料で回収するという仕組みです。

 

ダイレクト型と代理店型の違い

  • ダイレクト型:保険会社 ⇔ 利用者
  • 代理店型:保険会社 ⇔ 代理店・支店 ⇔ 利用者

 

ダイレクト型の自動車保険のメリット・デメリットは?

ダイレクト型のメリット(保険料以外)

ダイレクト型の自動車保険は代理店に出向かなくても契約ができるというメリットがあります。

インターネットで情報収集や見積もりを行い、代理店や保険会社に出向かなくても自宅に居ながら契約を進めることができます

代理店で時間を使う暇がない人でも、自分の好きなタイミングで自動車保険の契約を進められるメリットは忙しくて時間を確保できない人向けの特徴です。

 

ダイレクト型のデメリット(保険料以外)

デメリットとしては保険会社の人と顔を合わせること無く加入できてしまうことです。

対面式の場合であればその安心感があり、いざという時には代理店に行って保険の見直しなども手軽に始められます。

ダイレクト型の場合は非対面式で契約が完結してしまうため、どことなく冷たいイメージがあります。

 

事故対応の違い

代理店型の場合は事故発生時に可能であれば担当者が事故現場に来てくれて安心できますが、ダイレクト型の場合はそれがありません。

そのため、過去には代理店型からダイレクト型に乗り換えた後、事故対応の冷たさから代理店型に戻したという人も少なくないのです。

自動車保険見直しについては、保険料以外にもこうした点を考慮して契約方式を選ぶ必要があります。

 

条件や制限を見直す

車_初心者
自動車保険で見直すべき最大のポイントは、自動車の利用スタイルに適した条件で自動車保険に加入することです。

加入中の自動車保険を最適な条件で加入できていたとしても、時間が経過したことで適切な条件で加入できていない状態になっている可能性が高いです。

見直すべき条件や制限は、主に以下の内容です。

 

年齢制限

年齢制限は、高齢な制限を設けるほどに保険料が安くなる傾向にあります。

保険会社が設けた区分で補償対象となる運転者の年齢を制限することで、保険会社は補償のリスクを減らし、保険料を下げることができます。

逆に制限を低い年齢で設けていたり、制限自体を設けない場合は保険料が高くなります。

 

運転する人物の年齢に合わせて適切な年齢制限に変更する

ここで重要なのは「運転する可能性がある人の中で最年少は誰なのか?」ということです。

例えば運転者が本人のみの場合は、本人の年齢に合わせた年齢制限を設けることで保険料を抑えられます。

家族内で複数の運転者がおり、例えばお子さんが免許をとって運転者になる場合は保険料が上がってでもお子さんの年齢に合わせた制限に変更しないと補償対象外になります。

逆に、運転者が減る場合も年齢制限の見直しが必要です。

お子さんが自分で自動車を持ち、自分で自動車保険に加入するのであればお子さんに合わせた年齢制限は不要になります。年齢制限を上げることで保険料を安く抑えられるチャンスです。

このように、家族構成等に合わせて最適な年齢制限に変えることで、十分な補償と最小限の保険料で自動車保険に加入できるのです。

 

運転者限定

次は「運転者限定」の設定です。これも補償対象となる人物を制限することで保険料を抑えることができます。

自動車に乗る可能性がある家族が増えた場合も、この制限を緩和することで必要な補償を受けられるようになります。
 

運転者限定の種類

  1. 本人のみ
  2. 本人と配偶者
  3. 本人とその家族
  4. 家族と友人

 
基本的に上記のように、保証の対象となる運転者を決めることができます。

本人のみを補償対象とする場合は保険料が安くなりますが、本人以外の人が運転した車が事故を起こしてしまった場合は補償を受けられません

 

自動車を運転する人の増減に合わせて変更する

運転者になる可能性がある人物の変動に伴って、運転者限定の見直しが必要です。

上記の例で言えばお子さんを対象に含めるために家族を対象にできる制限に切り替えて、お子さんが自分で自動車保険に加入したら夫婦もしくは本人のみに戻せば、保険料と補償内容のバランスを保つことができます。

イメージとしては以下のような手順になります。補償範囲が変化しますので、契約内容を変更する際には運転者の保険適用範囲を正確に把握してください。

契約者のみが運転する

年齢制限は契約者に設定

契約者の子供と契約者の2者が運転する

年齢制限を子供に設定する⇒ 保険料が上がる

契約者の子供が自分で運転する車を購入し別の保険に加入

子供の分を契約者の保険から外し、年齢制限を契約者のみで設定しなおす ⇒ 1の状態に保険料が戻る(下がる)

 

走行距離や使用目的の通知

これは保険会社によって扱いが異なりますが、自動車の使用環境が変化した場合は「年間の走行距離」や「使用目的」が変化することが考えられます。

もし、加入中の自動車保険を契約する際にこれらの情報を通知している場合、これらが大幅に変化したら保険会社に通知することをおすすめします。

走行距離や使用目的は、保険料を決める際の基準にされている可能性があるのです。これらは事故を起こすリスクに関係するため、それに伴い保険料も増減するのです。

よりリスクの少ない運用状況であれば保険料を安くできる可能性があり、リスクが増える運用法になれば保険料は上がりますが補償が受けられないリスクを抑える事ができます。

虚偽の申告であると判断された場合、何らかのペナルティを課せられる可能性があります。自動車の運用方法は大きく変化することもあればちょっとだけ変化するケースもあると思います。

判断が難しい場合は、念のため保険会社や代理店に相談して判断を仰いでください。

何も連絡しなかった場合は、いざという時に必要な補償が受けられなくなります。

 

車両保険を外す、または免責額を増やす

車_車両保険
加入中の自動車保険を見直す、あるいは別の自動車保険に加入するにあたっては自動車の状態に応じて「車両保険を外す・加えない」あるいは「免責額を増額する」ことを選ぶこともおすすめです。

必ずしも良いというわけではありませんが、車両保険や免責の性質と、保有する自動車の状態を鑑みて最善の方法を選択する必要があります。

 

車両保険を抑える

車両保険とは自動車保険の一部であり、その基本的な内容は「事故で自動車が破損した時の修理費用の補償」です。

事故を起こした時の補償としては必要不可欠な内容に思えますが、これは対象となる自動車によって異なるのです。

車両保険を加えれば、その分だけ保険料は増額されます。いざという時の修理費用を補償してくれるので悪くはないのですが、問題なのは「自動車を修理する必要性の有無」です。

自動車そのものは確かに利便性があり、生活に必要不可欠であるという人も少なくありません。

しかし、事故を起こした自動車を絶対に修理しなければならないということはありません。

例えば自動車の購入から時間が経過している、もしくは元々中古車で最初からある程度古かったという場合、事故をきっかけに新車に買い換えるという選択肢もあります

この場合だと、修理費用を補償する車両保険は無用の長物となります。不要な修理費用補償に保険料を払うことほど愚かなことはありません。

 

免責を大きくすることで保険料を節約

あるいは、念のため車両保険は付けつつも、免責の規模を大きくすることで保険料を抑えるという方法もあります。

免責とは、保険適用時の補償における自己負担分です。免責額が大きくなるほど、受けられる補償の金額は少なくなります。

しかし、免責額を増やすことで保険料が安くなります。車両保険を外すことに不安を感じる場合は、この方法もおすすめなのです。

もしくは、補償内容を限定するという方法もあります。例えば、単独事故や当て逃げを補償対象外とするタイプの契約であれば、補償範囲が広いタイプの車両保険よりも保険料が抑えられます。

 

不要な特約を解約する

車_保険の内容
最後は「特約」です。特約とは、本体となる保険とは別に顧客の希望によって付帯させられるオプションサービスのようなものです。

例えば「事故に際して弁護士を雇う費用を補償する」「相手車両の修理費が補償内容を超えている場合の、一定範囲内における差額を補償する」といったオプションを、自動車保険に付帯させるのです。

特約は、基本的にどれも便利なものです。特に上記のような特約はどんな人にでもおすすめできる特約なのですが、特約は付帯させるほどに保険料がかさんでしまいます。

契約内容を見直して、不要な特約まで契約していた場合は解約して保険料を抑えることをおすすめします。

また逆に、追加で必要だと判断した特約があれば付帯させることも必要です。

 

特約の補償の重複はないか

自動車保険は、契約する本人だけでなく家族にも補償が行き届く内容で契約することもできます。

特約の中にも、契約者の家族が関係する内容の特約が存在します。家族が事故を起こしたり巻き込まれた時に充実した補償を受けられるので付帯させること自体は悪くないのですが、「家族が別の自動車保険に加入している場合」は注意が必要です。

家族が加入している自動車保険で十分な補償が行き届くのであれば、家族関係の特約は不要です。無駄な補償のために特約の保険料を支払うことは正しいこととは言えません。

特約以外にも、補償範囲や付帯サービスが被るものがあれば、見つけ次第解約したり補償内容を変更するように保険会社に連絡することをおすすめします。

 

今後の自動車保険の行き先

未来の車
一昔前までは、日本の自動車保険は全て代理店型の契約方式でした。ダイレクト型の契約方式は外資系の保険会社が始めた方法であり、自動車保険の在り方が大きく変化しています。

そして、こうして変化は今後も起こり得るものであると言えます。

 

テレマティクス保険

例えば、比較的新しい自動車保険として「テレマティクス保険」という自動車保険が注目されています。

これは、運転行動や走行距離をデータ化して、事故のリスクを算出して保険料を決めるという仕組みです。

事故のリスクが小さければ保険料は少なくすることができ、事故のリスクが大きければ保険料も高くなります。

 

社会貢献にもなる?

さらに、このシステムは保険料を決めるだけではなく「社会貢献」になる可能性も秘めています。

このシステムを利用する以上、運転者は保険料を抑えるために安全な運転を強く意識するようになります。

安全運転は保険料に関わるだけでなく、事故の発生を未然に防ぐ方法としても注目されているのです。

 

事故時の連絡が早い

また、走行時のデータが送信されるということは、事故発生時に保険会社への連絡が速やかに行われるということでもあります。

保険会社や支店のスタッフに迅速に連絡が行われ、事故対応をスムーズに行える効果も期待されているのです。

 

日本にも導入する?

このシステムは、欧米で既に浸透している保険でもあります。

今後は、日本でもこのシステムが導入される可能性もありますので、利用する機会があれば選択肢に入れておくこともおすすめです。

ただし走行データは個人情報としての性質もありますので、そのあたりのすり合わせも必要になると思います。

【参考サイト】日本産経新聞
損保ジャパン日本興亜(現:損害保険ジャパン)、スマホを活用した「テレマティクス保険」を開発
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP440602_X20C17A3000000/

 

安全に配慮した自動車をベースにした自動車保険

昨今は、安全運転をサポートする最新技術を搭載した自動車の開発も進んでいます。

例えば「カメラで車線を認識して、車線維持のためのハンドル操作をサポートする技術」や「先行車両との車間距離を維持するため速度を自動的に調節する技術」「レーダー等で障害物を認識し、衝突を防ぐために自動的にブレーキが掛かる技術」などです。

こうした技術を盛り込んだ自動車のことを「先進安全自動車」と言います。技術がさらに進歩して広く普及すれば、運転技術が低い運転者でも事故を起こすリスクを大幅に下げることができるはずです。

運転者の事故発生のリスクは、保険料を決める大きな要因の一つです。従来の自動車と先進安全自動車では、理論上は後者のほうが事故発生のリスクが低いです。

つまり同じ運転者でも従来車両と先進車両に乗る場合、後者のほうが保険料を下げられるという理屈です。

運転に対する安全への配慮は、今後も技術開発が進むことが予想されます。それに伴い、先進安全自動車を対象とした低額の保険料の自動車保険が登場することも十分に予想できます。

もし、先進安全自動車によって保険料を下げられる時代が来たら、保険の見直しだけではなく先進安全自動車への買い替えによって保険料を見直すという選択肢も出てくるかもしれません。

 

自動車保険の見直しのまとめ

冒頭でも説明しましたが、自動車保険を見直す最大のポイントは「必要な補償を受けられる」ことと「最低限の保険料で加入できる」ことを両立することです。

自動車保険は家族構成や生活スタイルなど自動車の利用に関する条件が変化すれば、最適な契約内容も変化します。

あまり頻繁に見直す必要はないと思いますが、周囲で何か大きな変化が起こった時には自動車保険を見直す時だという意識を持っておきましょう。

今後は、自動車保険にも新しいカタチが登場する可能性もあります。

新しいニーズや技術を土台とした新しい自動車保険は、場合によっては自分にとってより良い条件で加入できることも予想されます。

自動車保険を見直す時には、新しい保険商品やプランが登場しているかどうかについても調べておくことをおすすめします。