クラウドファンディング01

資金提供の新たな形として注目なのが「クラウドファンディング」です。

不特定多数から資金提供を募るこの方法は、従来の資金提供の方法と比べて資金を提供する側、資金を提供してもらう側の双方にメリットがあります

もちろんデメリットもあり、クラウドファンディングの種類によってもメリット・デメリットは異なります。

このページでは、5種類あるクラウドファンディングの特徴やメリット・デメリットを解説した上で、分かりにくい5種類のクラウドファンディングの違いについても徹底比較します。

 

クラウドファンディングは新たな資金提供の形

資金提供

クラウドファンディングには大きく分けて5種類あり、それぞれスキームは異なりますが不特定多数から小口の資金を集めて、希望者へ資金提供する点では同じです。

これまでの融資とは異なる、新たな資金提供の形と言えるでしょう。

 

インターネット時代がクラウドファンディングを盛んにした

クラウドファンディングのような資金提供方法は、最近になって誕生したものではありません。

古くからそのような資金提供方法はあるにはあったのですが、インターネット時代がクラウドファンディングをより盛んにしたのは間違いありません。

「クラウドファンディング」という言葉は、「クラウド」(crowd:大衆)と「ファンディング」(funding:資金調達)を組み合わせた造語です。不特定多数の大衆から広く薄く資金提供を呼びかけようというものです。

しかし、インターネット時代以前は不特定多数に資金提供を呼びかけるのが難しく、なかなか資金は集まりませんでした。

インターネット時代になると資金提供の呼びかけが広く大衆に浸透することになりました。

さらにインターネットにつながっている大衆側のニーズも把握できるようになったため、資金提供希望者と出資者が双方向に、ダイレクトにつながれるようになったのです。

 

世界規模ではクラウドファンディングは成長を続ける

増加

現在の形態のクラウドファンディングが誕生したのは、2008年ごろのアメリカでした。それ以降、世界におけるクラウドファンディング市場は成長を続けています。

クラウドファンディングの市場調査を行なうレポート「CF Crowdfunding Industry Report」によれば、2014年度に世界でクラウドファンディングによって調達された資金は、総額16億2000万ドルでした。

2015年度に世界でクラウドファンディングによって調達される資金は、総額34億4000万ドルにのぼるとのことです。

 

日本でも年々市場拡大している

一方の日本市場ですが、2011年の東日本大震災を契機に復興を手助けする手段や寄付の手段として、クラウドファンディングが注目され始めました。

矢野経済研究所調べによるクラウドファンディングの新規プロジェクト支援額は、以下のように推移しています。

年度 新規プロジェクト支援額
2012年度 71億6100万円
2013年度 124億2900万円
2014年度 216億1000万円
2015年度 363億3400万円
2016年度(見込) 477億8700万円

その成長率は2ケタにも及んでおり、今後もますますの成長が見込めます。

 

5種類のクラウドファンディングの特徴

クラウドファンディングには、以下の5種類があります。

  1. 貸付型
  2. ファンド型
  3. 株式型
  4. 購入型
  5. 寄付型

 

タイプ別のおすすめクラウドファンディング

  • 確実に利ザヤを稼ぎたい投資家の方 ⇒ 融資型
  • 投資先の将来性に出資したいが利益もほしい方 ⇒ ファンド型
  • 利ザヤも大きく稼げて運営にも関与したい方 ⇒ 株式型
  • 未発表の商品やサービスをいち早く手に入れたい方 ⇒ 購入型
  • 何の見返りも求めない方 ⇒ 寄付型

5種類あるクラウドファンディングのうち、確実に利ザヤを稼ぎたい投資家は「融資型」、投資先の将来性に出資したいが利益もほしい方は「ファンド型」、利ザヤも大きく稼げて運営にも関与したいのであれば「株式型」がいいでしょう。

一方、未発表の商品やサービスをいち早く手に入れたいのならば「購入型」、何の見返りも求めない方は「寄付型」がおすすめです。

それでは上記5種類のクラウドファンディングを、タイプ別におすすめ理由をメリット・デメリットふまえ説明します。

 

貸付(融資)型 ~ ソーシャルレンディング

札束

まずは貸付型です。別名「融資型」「ソーシャルレンディング」(Social Lending)とも呼ばれています。

そのビジネスモデルは以下のようになっています。

  1. クラウドファンディング運営業者に、資金を希望する個人または法人が申し込む
  2. クラウドファンディング運営業者が、不特定多数の投資家から資金を集める
  3. 資金提供を受けた個人または法人が、クラウドファンディング運営業者に返済をする
  4. 返済金の一部を、クラウドファンディング運営業者が投資家に分配する

 

最も多いのが「貸付型」

クラウドファンディングの5種類の資金調達方法の中で、最も割合が多いのが「貸付型」です。

「CF Crowdfunding Industry Report」によれば、2014年度における世界のクラウドファンディングのタイプ別割合を見てみますと、全体の68.3%が貸付型です。日本も同様の傾向が見られます。

 

クラウドファンディングと銀行融資との違い

クラウドファンディングの中でも、「貸付型」については銀行融資とビジネスモデルが似ています。しかし、クラウドファンディングと銀行融資では以下のような違いがあるのです。

 

クラウドファンディングの方が小規模

まずは、それぞれの事業規模についてです。

街中の事業所や個人商店が融資をお願いするところと言えば銀行や信用金庫ですが、融資型クラウドファンディング事業を行なっている業者と資本金の額を比較してみましょう。

 

クラウドファンディングの資本金
業者名 資本金
マネオ(maneo) 3億101万9200円
クラウドクレジット(crowdcredit) 1億9525万円
オーナーズブック(OwnersBook) 5億4955万円
キャッシュフローファイナンス(Cash Flow Finance) 3億円

 

銀行の資本金
業者名 資本金
三菱UFJ銀行 1兆7119億円
横浜銀行 2156億2800万円
栃木銀行 274億852万円

資本金の額は多ければいいわけではありませんが、多いほど事業の運営に余裕ができるメリットがあります。桁違いに資本金の額が多い銀行の方が経営体力に余裕はあります。

 

貸付型クラウドファンディングは、間に取次業者が入る

銀行融資の場合、お金を出す人はお金を借りたい人と直接契約をして、お金のやり取りをします。

一方貸付型クラウドファンディングの場合、お金を出す人(個人投資家)とお金を借りたい人との間に取次業者(クラウドファンディング運営業者)が入ります。お金のやり取りは、全て取次業者を経由して行われます。

クラウドファンディング運営業者を利用した際のメリットやデメリット、利回りなどについて知りたい方は下記リンクのページをご確認ください。

おすすめのソーシャルレンディング会社 ~ サービスや利回り、メリット、デメリットを紹介

 

クラウドファンディングは「プロジェクト」に対して融資をする

銀行融資は、当然借り手に対して融資をします。銀行融資の審査では、融資金を使う事業についてももちろん審査が行われますが、審査のメインは借り手の経営状況です。

一方のクラウドファンディングは、「プロジェクト」に対して融資をします。

もちろん最終的には借り手にお金を渡すのですが、個人投資家に資金を募る際にはプロジェクトの説明のみでそのプロジェクトを行う会社については特に説明をしません。

 

貸付型クラウドファンディングのメリット

降ってくるお金
  • 借り手が融資を比較的受けやすい
  • 高額融資も受けられる
  • 比較的リスクの少ない投資商品

 

借り手が融資を比較的受けやすい

新規事業を起こしたくて銀行に融資のお願いをしても、断られる可能性があります。会社の規模が小さかったり、財務状況が芳しくなかったり、パチンコやアミューズメント事業などイメージが良くない事業だったりすると、その可能性はさらに高まります。

一方の貸付型クラウドファンディングは、プロジェクト成長の可能性に融資をします。会社の規模や財務状況は銀行融資ほどシビアに見られませんので、プロジェクトさえ良ければ融資を受けられる可能性が高まるのです。

 

高額融資も受けられる

気軽にお金を借りられる方法としては「消費者金融」も見逃せません。しかし、消費者金融の限度額はせいぜい500万円~800万円程度が上限です。800万円程度では資金として足りない場合もあります。

一方の貸付型クラウドファンディングの中には、借入限度額を億単位で設定している業者もあります。これならば新規プロジェクトの資金もまるまる賄えますね。

 

比較的リスクの少ない投資商品

ここまでは借り手側のメリットを紹介しましたが、当然個人投資家側にもメリットがあります。それは比較的リスクの少ない商品であることです。

まず、融資金額が小口で済みます。また、同時にいくつものプロジェクトに資金提供をすることができますので、リスクを分散できます

さらに、利回りも2%以上は期待できますので、取次業者や借り手がダメにならない限りは比較的高利回りで利息の一部を受け取れます。

 

貸付型クラウドファンディングのデメリット

お金が飛んでく
  • お金を借りられる保証がない
  • 担保や連帯保証人が必要な場合も
  • 個人投資家からは借り手が見えない
  • もちろんリスクはある

 

お金を借りられる保証がない

貸付型クラウドファンディングにも、もちろん審査があります。クラウドファンディング運営業者の審査に通らなければ、もちろんお金を借りられません。

また、クラウドファンディングならではの事情として、思ったより資金が集まらないと満額融資を受けられません。最悪、融資をしてくれない可能性もあります。

 

担保や連帯保証人が必要な場合も

貸付型クラウドファンディングの中には、担保や連帯保証人を必要とする場合もあります。万が一貸し倒れとなった場合に備えて、クラウドファンディング運営業者が設定するかもしれません。

 

個人投資家からは借り手が見えない

プロジェクトに対して資金提供をする個人投資家にとって、借り手が見えない貸付型クラウドファンディングを不安に感じるかもしれません。

クラウドファンディング運営業者ではプロジェクトの紹介はするものの、どんな借り手かの情報は開示されません。

 

もちろんリスクはある

リスクが少ないメリットを紹介しましたが、もちろん個人投資家にリスクがないわけではありません。借り手がクラウドファンディング運営業者への返済をしなければ、利息の一部は入ってきません。

返済があってもクラウドファンディング運営業者の運営が芳しくなければ、配当が焦げ付く可能性もあります。

 

ファンド型

パソコンとお金02

ファンド型は、第二種金融商品取引業登録を取得したクラウドファンディング運営業者が特定のプロジェクトに対して出資を募る方法です。

プロジェクトを実施している借り手とクラウドファンディング運営業者が契約している期間中、売り上げの一部が分配金として配当されます

 

ファンド型クラウドファンディングのメリット

  • 多額の配当を得られる可能性がある
  • 商品やサービスを受け取れる場合も
  • 投資先の情報を知らされる

 

多額の配当を得られる可能性がある

ファンド型クラウドファンディングの場合、契約期間が満了した時点で分配金の額が決まります。

出資を受けた企業のプロジェクトが大成功を収めていれば、10%以上の高利回りで配当を受け取れる可能性もあります。

 

商品やサービスを受け取れる場合も

株式投資をしていると、保有株式の数に応じて投資先の企業から株主優待の品物が送られてくることがあります。

鉄道会社でしたら優待乗車券、食品会社でしたらその企業の食品詰め合わせ、といった具合です。

ファンド型クラウドファンディングの場合も、優待の商品やサービスがもらえる可能性があります。

優待商品やサービスは、投資した金額の20%程度の価値であることが多いので、これだけでもある程度元は取ったといえるでしょう。

 

投資先の情報を知ることができる

融資型クラウドファンディングでは、投資するプロジェクトについての情報は知らされますが、投資する企業についての情報は知らされません。

一方、ファンド型クラウドファンディングの場合、投資するプロジェクトだけでなく投資する企業の情報も知ることができます。

優待の商品やサービスがもらえるのですから、企業の情報は知っておく必要があるでしょう。

投資する側としては、企業情報を知ることで投資をするか否かの判断材料が多くなる、そんなメリットもあります。

 

ファンド型クラウドファンディングのデメリット

  • 投資としてはハイリスク
  • ファンド型を扱っているクラウドファンディング運営業者が少ない

 

投資としてはハイリスク

ファンド型クラウドファンディングは、投資としてはハイリスク・ハイリターンであることを覚悟しなければなりません。

投資をすれば最初に企業の商品やサービスをもらうことができますが、その後については極めて不透明です。

配当金については契約期間が満了しないと分かりませんので、契約期間中に企業の売り上げが伸びないと、もらえる配当金は少なくなってしまいます。

最悪、配当金がゼロという可能性も否定できません。契約期間中に企業のプロジェクトが失敗した、あるいは企業自体が倒産したなどの場合、もちろん配当金は入ってきません。

しかも、企業側はプロジェクトが失敗したとしても、出資者にお金を返還する義務がありません

これは、出資を受ける企業側にとってはメリットかも知れませんが、投資する側としてはデメリットです。

 

ファンド型を扱っているクラウドファンディング運営業者が少ない

興味があってファンド型クラウドファンディングをしようとしても、それを取り次いでくれるクラウドファンディング運営業者が多くありません。

クラウドファンディングの中でも特に融資型が人気を集めており、融資型を扱うクラウドファンディング運営業者は多い一方、ファンド型クラウドファンディングを扱う運営業者は少ないです。

ファンド型クラウドファンディングの運営業者について詳しく知りたい場合は下記リンクのページで解説しているので参考にしてみてください。

ファンド型と株式型クラウドファンディングの違いと特徴 – 大手6運営業者を解説

 

株式型

stop

投資の本流ともいえる「株式投資」ですが、クラウドファンディングの世界でも株式型があります。通常の株式投資と株式型クラウドファンディングの収益構造は、基本的に同じですが以下のような違いがあります。

  • 未公開株に投資できる
  • 投資額に上限がある
  • 資金調達額の上限もある
  • 誰にでも売却できるわけではない

 

未公開株に投資できる

通常の株式投資では一部例外を除いて未公開株に投資することはできません。一方の株式型クラウドファンディングは、未公開株への投資も可能です。

 

投資額に上限がある

通常の株式投資では投資する金額に特に制限がありません。一方の株式型クラウドファンディングでは、投資家の投資額は50万円が上限とされています。

 

資金調達額の上限もある

株式型クラウドファンディングでは投資する側の額にも上限がありますが、投資を受ける側が資金調達をする額にも1億円の上限が設定されています。

 

誰にでも売却できるわけではない

通常の株式投資は誰に売却しても構いませんが、株式型クラウドファンディングで購入した未公開株は、誰に売却してもいいわけではありません。

基本的には投資グループメンバー(対象企業の関係者で構成)のみで、企業側が売却先に制限を設けている場合もあります。

 

株式型クラウドファンディングのメリット

  • 上場すれば大きなリターンを得られる
  • お気に入りの企業に投資できる
  • 税金対策も可能

 

上場すれば大きなリターンを得られる

株式型クラウドファンディングは、上場前の未公開株を購入できます。未公開株を発行している企業が上場でもすれば、大きなリターンを得られることは間違いありません。

通常の株式投資では得られないような利益を、株式型クラウドファンディングでは得られる可能性があるのです。

 

お気に入りの企業に投資できる

お気に入りの企業があってもその企業が株式を上場していなければ、これまでは応援できませんでした。しかし、株式型クラウドファンディングは上場前の企業にも投資できるので投資の選択肢が広がります。

 

税金対策も可能

株式型クラウドファンディングでは、投資家が「エンジェル税制」の適用を受けられる場合があります。ベンチャー事業への投資を行なった個人投資家に対して、投資時点・売却時点の両方で税制上の優遇を受けられる制度です。税金対策になりますね。

 

株式型クラウドファンディングのデメリット

  • 流動性に乏しい
  • ハイリスク
  • 扱っている運営業者が少ない

 

流動性に乏しい

通常の株式投資では、株価が安い時にスピーディーに購入して株価が高くなったらすぐに売却すれば、利ザヤを得ることができます。

しかし、株式型クラウドファンディングではそうはいきません。誰にでも売却できるわけではありませんので、極めて流動性が低いです。

基本的には長期保有を前提とした株式で、仮に企業が上場しなくても持ち続けることになるでしょう。

 

ハイリスクである

株式型クラウドファンディングは、未公開株を購入して上場したら高いリターンを得られる一方で、ハイリスクな金融商品です。企業が上場しなくても株式は売却に制限があり、返済期日もないので換金が難しいです。

仮に企業が倒産すれば株式は紙切れ同然になってしまいます。

 

株式型クラウドファンディングを扱っている運営業者が少ない

日本では、2014年に金融商品取引法が改正されたことで、株式型クラウドファンディングが可能な基礎が出来上がり、2015年に解禁されたまだ歴史の浅い投資商品です。

そのため、株式型クラウドファンディングを扱っている運営業者が現在のところはほとんどないのが現状です。

株式型クラウドファンディングの運営業者(ファンディーノ、エメラダ・エクイティ、ゴエンジェル)については下記リンクのページで詳しく解説しているので参考にしてみてください。

ファンド型と株式型クラウドファンディングの違いと特徴 – 大手6運営業者を解説

 

購入型

クラウドファンディング02

日本で最初に普及したクラウドファンディングは、購入型でした。主に、以下のようなプロジェクトに対して実施されますが、プロジェクトのジャンルは多岐に渡ります。

  1. 最新技術を使った商品の開発支援
  2. 独自性のある映画やイベント
  3. 被災地支援・途上国支援
  4. 最新音楽やゲーム

購入型クラウドファンディングの出資者に対しては、開発した商品や映画のチケットなどが送られます。

購入型の場合、目標金額が設定されており目標金額に達成した場合のみ実行されます。目標金額に達成しない場合、支援金は全額返金されます。

 

購入型クラウドファンディングのメリット

  • プロジェクトの成功・発展に立ち会える
  • 取り扱っている運営業者が多い
  • 商品をいち早くゲットできる

 

プロジェクトの成功・発展に立ち会える

どちらかと言うと、購入型クラウドファンディングの出資者はパトロン的な位置づけです。そのプロジェクトが本当に成功してほしい思いで出資をしているので、プロジェクトが成功し発展した際には充足感を得られます。

 

取り扱っている運営業者が多い

日本で最初に普及したクラウドファンディングだけに、それを取り扱う運営業者もたくさんあります。プロジェクトの選択肢が多いのはもちろん、運営業者の選択肢が多いのも出資する側としてはありがたいものです。

 

商品をいち早くゲットできる

購入型クラウドファンディングでは、商品やサービスをいち早く受け取れます。人よりも早く商品やサービスをゲットしたい人にはうれしい特典です。

 

購入型クラウドファンディングのデメリット

  • リターンは少ない
  • 目標金額に達しないとプロジェクトが開始されない

 

リターンは少ない

先に紹介した融資型、ファンド型、株式型と比較すると、リターンは明らかに少ないです。もらえても、開発中の商品や映画のチケットくらいです。

 

目標金額に達しないとプロジェクトが開始されない

これは、企業側、出資者の両方にいえることですが、目標金額に達しないとプロジェクトが開始されません。

購入型クラウドファンディングの詳しい情報や、運営業者について知りたい方は「購入型と寄付型クラウドファンディングのプライスレスな特徴とは? – 8つの運営業者も紹介」のページを一緒にご覧ください。

 

寄付型

ふるさと納税

最後に紹介するのは、寄付型のクラウドファンディングです。考え方は、通常の寄付と同じです。

寄付を希望する個人や企業が、クラウドファンディング運営業者を通して寄付を募り、それに賛同した人が寄付を行ないます。以下のようなプロジェクトが多いです。

  1. 被災地・途上国支援
  2. ふるさと納税
  3. ペット保護施設の運営・維持

 

寄付型クラウドファンディングのメリット

  • ノーリスクである
  • 充足感を得られる
  • 控除を受けられる

 

ノーリスクである

寄付型クラウドファンディングは、融資型・ファンド型・株式型とは異なり、寄付ですのでリスクがありません。

 

充足感を得られる

寄付をすると、寄付先から活動報告やお礼状が届くことが多いです。どんなことに寄付したお金が使われているかが明確になるので「寄付してよかったと」いう充足感を得られます。

 

控除を受けられる

寄付型クラウドファンディングのプロジェクトの中には、所得税や住民税の金額を減らせる「寄付金控除」を受けられるものがあります。

控除付のプロジェクトに寄付をすると寄付額から2000円を差し引いた金額が、来年度の税金から控除されるのです。

 

寄付型クラウドファンディングのデメリット

  • リターンもない
  • 詐欺行為の可能性もある

 

リターンもない

寄付型クラウドファンディングにはリスクはありませんが、金銭的なリターンもありません。ただし、ふるさと納税と手を組んだ寄付型クラウドファンディングでは、「お礼の品」がもらえることがあります。

 

詐欺行為の可能性もある

寄付型クラウドファンディングで集まったお金が、本来の目的と別のことに使われる可能性もあります。これは、普通の寄付でもあることですが、自分の善意が踏みにじられたような気がして、精神的なダメージが大きいです。

寄付型の運営会社や寄付するプロジェクトについては「購入型と寄付型クラウドファンディングのプライスレスな特徴とは? – 8つの運営業者も紹介」で紹介しているので参考にしてみてください。

 

5種類のクラウドファンディングを比較

比較

ここまで、貸付型・ファンド型・株式型・購入型・寄付型と、5種類のクラウドファンディングの特徴やメリット・デメリットを紹介してきました。大まかな違いは分かっていただけたと思いますが、混同しがちな点もあります。

そこでここからは、5種類のクラウドファンディングの違いを比較しようと思います。

 

投資型、非投資型の違い

まず、出資の見返りとして金銭の受取があるかどうかですが、5種類のクラウドファンディングは以下のように分類されます。

資金提供の種類 タイプ 金銭の受取
貸付型ファンド型株式型 投資型 金銭の受取がある
購入型寄付型 非投資型 金銭の受取がない

「投資型=貸付型・ファンド型・株式型」は出資の見返りとして金銭の受取があります。「非投資型=購入型・寄付型」は、商品やサービスの提供があるものの金銭の受取はありません。

 

購入型、寄付型の違い

非投資型である購入型・寄付型には以下のような違いがあります。

 

目標金額に達しないとどうなるか

購入型の場合、目標金額に達しないとプロジェクトが開始されません。一方の寄付型の場合は、目標額に達しなくても寄付が行われます

 

適用される優遇税制

購入型と寄付型では、適用される優遇税制に以下のような違いがあります。

種類 適用の税制 優遇の内容
購入型 エンジェル税制 ベンチャー企業への出資で所得税が減税される
寄付型 寄付金控除 寄付金から2,000円を差し引いた金額を、翌年度の所得税から差し引く

 

貸付型、ファンド型、株式型の違い

非投資型の違いは分かりやすいですが、投資型の3つのクラウドファンディングは違いが分かりにくいです。

 

リターンされるお金について

投資型の3種類のクラウドファンディングはすべて出資金に対するリターンがありますが、リターンされるお金の種類とリターンされるタイミングとリターンの割合が異なります。

投資の種類 リターンの種類 タイミング リターンの額
貸付型 利息 毎月 少ない
ファンド型 配当金 契約期間満了時点 多い可能性も
株式型 配当金売却差益 配当時売却時 非常に多い可能性も

貸付型はリターンの割合こそ少ないものの、毎月確実に利息収入を得られます。ファンド型はリターンが多くなる可能性があるものの、契約満了までリターンはありません。

株式型は配当時と株式売却時の2つのタイミングで、リターンが発生します。企業が上場すれば非常に大きなリターンを得られるかもしれませんが、株式売却には様々な制限があります。

 

投資先企業の情報公開

投資の種類 公開される情報 適用される法律
貸付型 プロジェクト 金融商品取引法貸金業法
ファンド型 プロジェクト企業名 金融商品取引法
株式型 プロジェクト企業名 金融商品取引法

ファンド型・株式型は、プロジェクトの詳細に加えて投資先企業の情報も公開されますが、貸付型は企業情報が公開されません。起業情報もあった方が参考になりそうなものですが、これは貸金業法の規定によるものです。

ファンド型・株式型は金融商品取引法(不特定多数の人からお金を集める業者に適用される法律)の適用を受けますが、貸付型はそれに加えて貸金業法(お金を貸す業者に適用される法律)の適用を受けます。

貸金業法では、個人が直接企業へ融資することを禁じており、企業名を公開すると直接融資に抵触しかねません。それを回避するため、貸付型クラウドファンディングでは「匿名組合契約」を結びます。

投資家と借り手の間にクラウドファンディング運営業者が入ることで、借り手と投資家の直接契約を避けているのです。

 

投資先に対する発言権

投資の種類 投資先に対する発言権
貸付型 なし
ファンド型 なし
株式型 あり

投資家としては、投資したプロジェクトをぜひとも成功させたいものです。企業のプロジェクトがうまくいっていないようであれば自分の意見を言いたいところですが、発言権があるのは「株式型」のみです。

そのほかの2つは投資家に発言権がなく、運営方法に関与することもできません。

 

返済義務

投資の種類 返済義務
貸付型 あり
ファンド型 なし
株式型 なし

投資を受けた企業が、受け取ったお金を返済する義務があるかどうかについてですが、返済の義務があるのは「貸付型」のみです。この点では銀行や消費者金融からの融資と変わりありません。

ただし、返済期間は銀行や消費者金融からの融資よりも短く、長くても3年程度です。

 

投資金額

投資の種類 投資金額の上限
貸付型 なし
ファンド型 なし
株式型 あり

「株式型」のみ、法律や自主規制により投資の金額に上限が設けられています。

株式型クラウドファンディングを利用して企業が資金調達できる上限は1億円、株式型クラウドファンディングを利用して個人投資家が投資できる上限は1企業あたり50万円が上限です。

貸付型、ファンド型と株式型のもっと詳しい解説や運営会社については下記ページで説明しています。あわせてお読みください。
ソーシャルレンディングとは?メリットとリスクを比較して解説
【8社比較】おすすめのソーシャルレンディング会社
ファンド型と株式型クラウドファンディングの違いと特徴 ? 大手6運営業者を解説

 

まとめ

5種類のクラウドファンディングを説明しました。どのクラウドファンディングで資金提供をするには、運営業者を通す必要があります。

魅力的なプロジェクトがあるか・利回りはいいかなど、よく検討した上で、資金提供するプロジェクトや運営業者を選びましょう。

また、クラウドファンディングを利用した資金調達の種類や主要サービスについてはこちらの記事で詳しく解説されています。あわせてご確認ください。

【注目!】クラウドファンディングを利用した資金調達とは? 種類や主要なサービスの特徴などを紹介! – ITコラム – 株式会社パラダイムシフト