手術給付金は、治療のための手術に対して支給され、対象となる手術の種類も決まっています。手術給付金の給付金額のタイプには、手術の種類に応じて支給額の異なる定率タイプと、手術の種類に関わらず一律の定額タイプがあります。

治療のための手術が対象

医療保険の多くには手術保障がついていますが、どんな手術に対しても手術給付金が支払われるわけではありません。

給付の対象は、「責任開始日以降に生じた、病気または不慮の事故を原因として、治療のために、病院または診療所において受けた手術」であり、対象となる手術の種類も保険ごとに決まっています。

したがって、原則として責任開始日前に原因のある病気やけがを原因とした手術には手術給付金は支払われません。また、治療を目的としない美容整形や検査のための手術などにも、手術給付金は支払われません。

対象となる手術の種類には2つのタイプ

手術給付金の給付対象となる手術の種類の規定には、2つのタイプがあります。

1つは、約款に記載されている88(あるいは89)に分類された手術の一覧表(表1)に記載されている手術を対象とするもの。

もう1つは、「公的医療保険の対象となる手術」を対象とするもので、「公的医療保険制度の医科診療報酬点数表に手術料の算定対象として列挙されているもの」が対象となります。

ただし、公的医療保険の対象の手術でも、手術給付金の対象からは除外される手術もあります。

図表1 対象となる手術の種類の一覧表の例(部分)
手術の種類 給付金の
倍率
手術番号
皮膚・乳房の手術
植皮術(25㎠未満は除く。) 20 1
乳房切断術 20 2
筋骨の手術(抜釘術は除く。)
骨移植術 20 3
骨髄炎・骨結核手術(膿瘍の単なる切開は除く。) 20 4
頭蓋骨観血手術(鼻骨・鼻中隔を除く。) 20 5
鼻骨観血手術(鼻中隔弯曲症手術を除く。) 10 6
図表2「公的医療保険の対象となる手術」のうち、除外される手術の例
・傷の処理    ・切開術
・骨または関節の非観血的整復術、非観血的整復固定術、非観血的授動術
・抜歯  ・異物除去(外耳道・鼻内)   

この2つのタイプの対象範囲は大部分が重なりますが、一方では対象となるが他方では対象とならない手術もあります。両方の保障範囲をカバーするため、図表のように、一覧表掲載の手術のほか、一覧表に掲載されていない公的医療保険が対象とする手術(aの部分)も保障する、としている保険もあります。

図表3 2つのタイプの「対象となる手術の種類」のイメージ
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また、最近は、「日帰り手術」も対象とする保険が多くなっていますが、保険によっては、「入院中の手術」でなければ手術給付金の対象とならないものもあります。パンフレットや約款などで確認しておきましょう。

給付金は「倍率タイプ」か「定額タイプ」

手術給付金は、原則として、支給回数に制限はありません。ただし、同一の日に複数回手術を受けた場合には、それらのうち最も手術給付金の高い手術1回分のみ手術給付金が支払われます。

また、手術の種類によっては、複数回手術を受けた場合でも、60日に1回の給付を限度とする場合もあります。

手術給付金の給付金額は、入院給付金の「10倍・20倍・40倍」といった形で、手術の種類によって倍率が決められているタイプと、一律「10万円」といった形の定額のタイプがあります。

図表のように、身体的・金銭的負担がそれほど重くない手術の場合は、倍率タイプでも定額タイプでも受け取れる給付金には差がありません。

しかし、「胃切除術」のように負担の重い手術の場合は、給付金額の差は大きくなります。医療保険を選ぶときには、手術給付金の金額まで気にしない方も多いかもしれませんが、「どんなときにどれだけ受け取れるか」も、比較検討しておきましょう。

図表4 手術給付金額の違いの例(入院給付金日額1万円の場合)
医療保険A
(定率タイプ)
医療保険B
(定額タイプ)
手術給付金額の規定 10万・20万・40万円 10万円
慢性副鼻腔炎根本手術を受けた場合の手術給付金 10万円 10万円
胃切除手術を受けた場合の手術給付金 40万円 10万円

このように、手術給付金の対象となる手術の種類や給付金額などは、保険によって違いがあります。手術の名前などは難しく、約款をみてもわかりにくい場合もあるでしょう。手術を受ける場合には、早めに保険会社に問い合わせ、手術給付金の給付対象になるのか、給付金はいくらになるのかなど、確認しておきましょう。