医療保険は、がんも含む病気やけが全般の入院給付を中心に保障します。

一方、がん保険は、治療費が高額になったり治療が長期化したりするがんに特化して、給付日数無制限の入院給付や診断給付金などで手厚く保障します。

医療保険は病気・けが全般が対象、がん保険はがんに特化

医療保険とがん保険は、どちらも入院などに備えて加入する保険ですが、保障の対象が異なります。医療保険は病気(がんも含む)やけが全般が対象ですが、がん保険は対象をがんに特化しており、その他の病気やけがは保障されません。

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医療保険は病気やけがによる入院への給付を中心に、ニーズに応じて手術や通院、先進医療、生活習慣病や女性特有の病気への保障、がんについての保障などを特約として上乗せして付加することができます。

入院給付金は、日額○○円を△日分、という形で計算されて給付されますが、1入院あたりの給付日数や通算給付日数には限度があります。

一方、がん保険は、治療にお金も時間もかかるがんに対象を絞った保険です。もっとも特徴的なのは、入院給付金の支払日数が無制限であること、がんと診断された時点で診断給付金(一時金)が給付されることでしょう。

診断給付金は入院・通院やその日数などを問わずに給付されるので、通院のみで放射線治療や抗がん剤治療などを受ける場合の治療費に充てることもできます。さらに、手術、通院や退院後の保障、放射線治療、抗がん剤治療などの保障を特約で付加することもできます。

なお、がん保険の責任開始日は保険会社によって異なりますが、契約日から3カ月あるいは90日経過後以降になります。契約が成立していても、責任開始日前にがんと診断された場合は保障の対象にならないので注意が必要です。

医療保険で幅広く備え、がん保険で高額な治療費に備える

具体的な例で見てみましょう。仮にAさん(30歳・男性)が表1のような医療保険とがん保険に加入したとします。

表1:入院日額10,000円の終身医療保険(60日型)・がん保険の加入例
医療保険 がん保険
診断給付金 100万円
入院給付金 1日10,000円(1日目から)
1入院60日・通算1000日
がん入院 1日10,000円(1日目から)
入院日数無制限
手術給付金 10万円 がん手術20万円

例1) 半年後、Aさんは初めて「胃がん」と診断され、14日間入院。入院中に手術も受けました。

この場合、医療保険からは24万円(入院給付金日額10,000円の14日分+手術給付金10万円)、がん保険からは134万円(がん入院給付金日額10,000円の14日分+がん手術給付金20万円+診断給付金100万円)が給付されます。

がんになった場合には、がん保険には診断給付金があるので、まとまった金額を受け取ることができます。診断給付金は一度限りの商品もありますが、再発や転移を考慮して複数回受け取れる商品もあります。

また、入院が長くなった場合、医療保険には支払い日数に限度がありますが、がん保険は入院日数無制限なので、再発や転移で入院が長くなっても引き続き入院給付金を受け取ることができます。

例2)Aさんが糖尿病で20日間入院。

医療保険からは入院給付金20万円(入院給付金日額10,000円の20日分)が給付されますが、がん保険からの給付はありません。がんの時には大いに頼りになるがん保険ですが、その他の病気やけがでは出番なしです。

医療保険であれば、がんでもその他の病気でも、骨折などのけがでも、原因に関わりなく、入院日数に応じて入院給付金が受け取れます。

このように、同じ「入院日額1万円」であっても、医療保険とがん保険では給付内容が大きく違ってきます。「がん」は日本人の死亡原因の第1位(厚生労働省 平成25年人口動態年報)ですが、がん以外の病気やけがで入院・治療が必要になる可能性も高いでしょう。

しかし、一般にがんの治療は高額になる場合が多いので、もしもがんにかかったら、がん保険の手厚い保障が頼りになります。幅広く病気やけがによる入院などに備えたいのか、高額ながん治療に的を絞って備えたいのかをよく考えて、医療保険やがん保険は選びたいものです。