大学や専門学校のホームページやパンフレットで提携教育ローンの案内を見かけます。
学校提携の教育ローンは、契約者を通さずに学校に納付金が支払われる仕組みです。学費の納入には手続きが簡単で便利なローンですが、借りたお金を他の教育費用に使うことはできないことに注意が必要です。
便利で安心だが手数料は少し高め
大学提携の教育ローンは、学校が銀行や信販会社と提携し、金利などローンの条件を独自に定めている教育ローンです。
WEBで24時間いつでも申込みが可能で、審査は最短1日、申込みから資金の振込まで最短5日間など、奨学金や国の教育ローンと比べて便利で借入れまでの時間が早いのが特徴です。
来店不要で手続きが完結するため、忙しい受験生の保護者にとってはありがたいシステムです。学校と提携しているため出願前から申込みができ、納付書が送られてくる前に借入れの可否がわかるのも安心です。
さらに、入学時だけでなく、年度途中の研修費や次年度の学費など必要なタイミングに合わせた追加利用ができるのもうれしいところです。ただし、支払いの都度申込みは必要です。
このように便利で安心の提携教育ローンですが、銀行の金利にあたる「分割手数料率」は少し高めです。提携している大学や専門学校によって借入額の上限や手数料が異なりますが、3%前後から4%台と高めに設定されています。
返済開始から完済まで固定金利ですが、日本学生支援機構(固定金利0.63%)や国の教育ローン(固定金利2.15%)と比べると高い設定となっています。
また、民間の銀行の教育ローンは、変動金利ではあるものの2%台前半からから3%台の取り扱いが多いため、学校によっては銀行の教育ローンのほうが有利な場合もあります(金利は平成27年10月9日現在)。
使いみちが限られている
信販会社の提携教育ローンの使いみちは、学校への納付金に限られています。ローンの審査が通って契約が済むと、指定された日に契約者を経由せずに信販会社から学校に直接納付金が振り込まれます。
たとえば、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」であれば、アパート代や敷金などの住居費や通学定期代、学校で使うパソコン代などに使うことができます。
しかし、提携教育ローンでは入学金・授業料・教材費・実習費等、学校へ払う学納金の中で学校と取り決められている納付金に限って融資が受けられます。
提携校の数と利用実績は目を見張るものが!
一般にはあまり知られていませんが、提携教育ローンの取扱いで実績のある信販会社では、すでに利用実績は6万人以上、全国500以上の大学と1,500以上の専門学校が提携しています。
この理由は、金利は高いものの、奨学金や他の教育ローンと比べて提出書類が少なく、返済が滞ったときのための連帯保証人や保証料、担保が原則不要であるなどが挙げられるでしょう。
申込みに必要な書類は、入学時に融資を受けるなら、受験番号または合格通知番号と申込金額がわかるものを用意するだけです。審査が通ったのちも合格通知のコピーや振込票の写しがあれば完結します。
一般の銀行の教育ローンであれば、本人確認や年収を確認する源泉徴収票などが必ず必要になります。提携ローンでは書類の確認が少ない分、審査の負担も少なくなりスピード審査につながります。
AO入試や推薦入試にも対応できる
下の表からもわかるように教育費の調達はひとつではなく、たくさんの方法から比較検討することができます。奨学金は金利が低く使いみちが広いため、たいへん有利な調達手段ではありますが、説明会に出席していないと申込みができません。
また、申込み時期も限られ、資金が出るまでに時間がかかるため、AO入試や推薦入試、緊急の対応には向きません。
教育費が足りないと思ったら金利や総返済額だけではなく、書類をそろえる手間や、融資までのスピード感も含め、教育費調達の選択肢の一つとして、学校提携の教育ローンも考えてみてはいかがでしょうか。
100万円を借りたときの総返済額の目安
提携教育ローンA社 (O大学) |
銀行ローン(I銀行) | 国の教育ローン | 日本学生支援機構奨学金 | |
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金利 | 固定金利3.9% | 変動金利2.8% | 固定金利2.15% | 固定金利0.63% |
返済年数 | 8年6カ月 | 10年 | 10年 | 11年 |
保証料 | なし | 金利に込み | 51,652円 | 34,000円 |
毎月返済額 | 12,000円 | 9,564円 | 9,400円 | 78,66円 |
総返済額 | 1,218,769円 | 1,147,680円 | 1,171,652円 | 1,072,344円 |