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子どもが生まれたときから準備してきたはずの教育費も、いざ大学入学が近づいてくると「足りない!」「思った以上にお金がかかる」など、さまざまな悩みが出てくるものです。

そんなとき頼りになるのが、100%政府出資の日本政策金融公庫が取扱う「国の教育ローン」。子ども1人につき350万円まで合格発表前でも申込めるので、入学前のまとまった費用を準備できます。

制度の概要をおさえておこう

日本政策金融公庫が取り扱っている「国の教育ローン」の概要を紹介しましょう。

取扱機関 日本政策金融公庫
名称 国の教育ローン(教育一般貸付)
融資額 学生1人につき350万円以内 ※海外留学資金は450万円以内
返済期間 15年以内
使いみち 入学金・授業料などの学校納付金、受験料、交通費、敷金・家賃などの下宿代、教科書代、パソコン購入費、通学費用、学生の国民年金保険料など。
取扱窓口 日本政策金融公庫本支店、銀行、信金、農協など

融資額

子ども1人につき350万円まで。1年以上の海外留学資金は450万円。今後1年間に必要になる費用が対象で、350万円の範囲で何回でも利用することができます。

返済期間

15年以内。利息のみの返済期間(在学期間)を含んだ期間です。

金利

固定金利年2.15%。母子家庭、父子家庭または世帯年収200万円(所得122万円)以内の人は年1.75%(2015年10月9日現在)。

対象となる学校

修業年限が原則6ヵ月以上で中卒以上を対象とする下記の教育施設。

  • 高等学校、高等専門学校、特別支援学校の高等部
  • 短期大学、大学、大学院
  • 専修学校、各種学校、予備校、デザイン学校など
  • 外国の高等学校、高等専門学校、短大、大学、大学院など(原則6ヵ月以上の留学)
  • その他職業能力開発校などの教育施設

使いみち

学校納付金(入学金・授業料など)、受験料、交通費、下宿代(敷金・家賃など)、教科書代、パソコン購入費、通学費用、学生の国民年金保険料など。入学金や授業料のほか、様々な教育費用に利用できます。

返済方法

毎月一定の元利均等返済。借入額の2分の1までボーナス払いが可能です。また、在学期間中は利息のみの返済とすることも可能です。

たとえば、100万円を年2.15%、10年返済で借りたとき、毎月返済額は9,400円です。利息のみ返済中の返済額は1,800円となります。

保証

公益財団法人教育資金融資保証基金の保証が受けられます。あらかじめ保証料を差し引いた金額が融資額として金融機関口座に振り込まれます。

保証料は融資額と返済期間、利息のみの返済期間によって変わります。

たとえば、100万円を利息のみの返済期間4年、10年返済で借りたとき、保証料は72,312円です(2015年10月9日現在)。金融機関口座には927,688円が振り込まれます。

なお、進学者・在学者の4親等以内の親族を連帯保証人とする保証も可能です。

「国の教育ローン」を借りるには年収制限がある

「国の教育ローン」は、子どもたちの誰もが保護者の収入に関わらず平等に教育を受けられることを目的としているため、世帯の年収(所得)に制限があります。

利用できる世帯年収
子供の人数 世帯年収の上限額(給与所得者) 世帯年収の上限額(事業所得者)
1人 790万円※ 590万円※
2人 890万円※ 680万円※
3人 990万円 770万円
4人 1,090万円 870万円
5人 1,190万円 970万円

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※子供の数が1人から2人で以下の要件のいずれか1つに該当していれば、世帯年収(所得)の上限が緩和されます。

  1. 勤続(営業)年数3年未満、居住年数1年未満。
  2. 世帯の誰かが自宅外通学(予定)者、申込人または配偶者が単身赴任。
  3. 海外留学資金のための融資である場合。
  4. 年収に対する返済額の負担または在学費用の負担率が30%超。「在学費用+住宅ローン」の負担率が40%超。
  5. 介護や医療費の負担が大きい人。

さらに年収が低い人への優遇もあります。

種別 母子家庭または父子家庭 世帯年収200万円(所得122万円)以内の家庭> 交通遺児家庭
返済期間 18年 18年 18年
金利 年1.75% 年1.75% 年2.15%
保証料 通常の2/3 通常 通常の2/3
※金利は、2015年10月9日現在。

民間の金融機関では、一般的に最低年収200万円が借入れの条件となりますが、「国の教育ローン」は、年収200万円以内だと金利の優遇が受けられます。

来店不要、ネット申込みも可能

国の制度と聞くと「手続きが面倒!?」と思いがちですが、「国の教育ローン」は、全国152の日本政策金融公庫の支店をはじめその他の銀行、信用金庫など身近な金融機関でも相談、申込みができます。

コールセンターも平日は夜9時まで、土曜日は夕方5時まで受け付けているため、休みの日や家に帰ってから気軽に電話で相談できます。

「仕事が忙しくて平日の申込みはムリ」という人は、インターネットからの申込みも可能です。早ければ申込みから20日程度で資金が振り込まれます。

また、奨学金と違って申込み時期が決まっていないため、入学金の納入が早い推薦入試やAO入試の入学金納入にも利用することができます。

以上のように、「国の教育ローン」は民間の教育ローンを借りにくい人でも借りられる可能性があり、日本学生支援機構の奨学金に比べると申込みの時期や手続きに利便性があることが大きなメリットとなっています。

未来のあるお子さんのために、返済計画をしっかり立てて「国の教育ローン」の利用を検討してみましょう。