
日常生活の中で日本貸金業協会という言葉を聞いたことがある方はほとんどいないと思います。
しかし、日本貸金業協会は、私たちがお金を借りるあらゆる場面で、困ったときに助けてくれる身近な機関です。
カードローンを利用してお金を借りる際には、日本貸金業協会についてぜひ知っておきましょう。
日本貸金業協会とは
日本貸金業協会とはどのような目的で何をしているところなのでしょうか。日本貸金業協会がどのような機関なのかを解説していきます。
日本貸金業協会はなんのための機関?
日本貸金業協会は、貸金業法(※)に基づき貸金業者が内閣総理大臣の認可を受けて2007年に設立した法人です。
貸金業者の業務の適正な運用を確保することによって、貸金業の健全な発展・借り手の利益の保護・国民経済の適正な運営を目的として設立されました。
貸金業法は銀行以外の金融機関がお金を貸す際に守らなければいけない法律です。
もし日本貸金業協会がなかったら、適正な業務を実施できない貸金業者が増え、私たち消費者も安心してお金を借りることができなくなってしまします。
日本貸金業協会は何をしている機関?
日本貸金業協会では、加盟している貸金業者に対しては研修や監査などを行い、貸金業務が適正に行われるよう管理しています。
消費者に対してはお金の借り入れに関する様々な相談や苦情を受け付けるなど、消費者を多重債務や闇金などの不適正な業者から守ってくれます。
日本貸金業協会は、お金の貸し手にとっても借り手にとっても、健全な金融取引をするために欠かせない大切な機関です。
加入している業者
日本貸金業協会の会員はすべて貸金業者です。
アコム・プロミスなどの大手消費者金融、三井住友カードやジェーシービーなどの大手クレジットカード会社、カードローンなどお金を貸す商品を扱っている大手金融機関はほぼ全て加入しています。
日本貸金業協会では加入している企業に対する監査や指導などを行っており、法律に基づいた適切な業務が保たれているかを確認しています。日本貸金業界に加盟している企業は、きちんと法律を守って業務をしている信頼できる企業ということになります。
協会への加入は義務ではなく任意のため、加入していない企業だからといって必ずしも悪徳業者であるということではありませんが、安全に取り引きしたい方は加入している業者を選択した方が無難です。
自主規制について
日本貸金業協会では、法律とは別に、法律に基づいて守らなければならない「自主規制」というルールを独自に定めています。
自主規制とは
日本貸金業協会では、貸金業法の内容を踏まえ、より厳しく、より細かい自主規制を定めて協会員への指導を徹底しています。
自主規制の内容は、広告・勧誘に関する規制や取立て行為に関する規制など、貸金業法の内容に基づいて幅広く規定しています。
この厳しい自主規制を守ることで、加盟業者は法律に基づいた健全な業務を実施することができ、利用者も安心して加盟業者を利用することができます。
自主規制を守らないとどうなる?
日本貸金業協会では加入している企業が自主規制に違反した場合の罰則を定めており、もしも加盟企業が自主規制に違反した場合は、会員権の停止・制限、除名や、上限1億円の過怠金の支払いなど、厳しい処分が科せられます。
「自主規制」というと、法律ではないため処分もそれほど厳しいものではないと思いがちですが、実際はそうではありません。
このような厳しい処分や、法律に基づいた厳しい自主規制があるからこそ、加入している企業の信頼性が確保されています。
日本貸金業協会の消費者向けサービス
日本貸金業協会では、貸金業者に対してだけではなく、私たち消費者に対しても様々なサービスを無料で提供しています。具体的にどのようなサービスを利用できるのか、カードローンを利用する前に確認しておきましょう。
借り入れ・返済などに関する相談
日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センターでは、お金の借り入れに関する相談や、消費者金融などの貸金業者に対する苦情の受付を行っています。
相談や苦情の申し立てをする際に費用は一切かからないため、次のようなことで困ったら、日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センターに連絡してみましょう。
借り入れに関する相談
借り入れ時の契約書の確認の方法や、勧誘してきた業者がきちんとした業者かどうか確認したいなど、借り入れに関する疑問や相談があれば、事前に連絡してみましょう。
返済に関する相談
取り立ての電話が来るけれども怖くて出られない、借り入れ過ぎて返済できそうにない、リストラにあって来月からの返済ができそうにないなど、返済に関する疑問や相談があれば連絡してみましょう。
その他
自分の借り入れ・返済に関すること以外にも、例えば友人から保証人になってほしいと頼まれて迷っている、借り入れの名義を貸してほしいと頼まれて困っているなど、お金の貸し借りに関することならどのようなことでも相談にのってもらえます。
日本貸金業協会で答えられない質問をしても他の相談機関を紹介してもらえるので、些細なことでも疑問や不安があれば、一人で悩む前に早めに相談してみましょう。
生活再建支援カウンセリング
生活再建支援カウンセリングとは、複数の金融機関からお金を借りていることで利息の支払いがかさんで借金が増え続けてしまう、多重債務の原因となった問題を解決するためのカウンセリングです。
多重債務は、債務整理(※)をすることでいったんは解消されます。しかし、一度多重債務に陥ってしまった人は、ギャンブル癖や浪費癖、金銭感覚など、根本的な問題を解決しなければ、再度多重債務に陥る可能性があります。
そこで、生活再建支援カウンセリングでは、行動パターンの改善や、家計改善のための計画設計、家族への心理的支援など、生活再建のための根本的な解決法を提案してもらえます。
相談は面談または電話で行い、全て無料です。
債務整理とは
抱えている借金を整理し、借金をなくすための方法のことです。債務整理には、資産を没収されるかわりに借金も処分する自己破産、借金を減額してからその借金を3年で返済していく個人再生、金融機関と交渉して借金の減額などを行う任意整理などがあります。
家計の健全性の診断
日本貸金業界のウェブサイトでは、家計に関する診断ができる様々なツールを公開しています。
原因がわからないが生活が苦しい、毎月の生活費の問題点を改善したいなど、家計を改善したい場合に、収支を入力するだけで家計のバランスや健全性などをチェックできる家計やりくりチェック、自分の消費行動にリスクや問題点がないかをチェックできる消費行動診断、借金の返済期間や返済金額など、無理のない返済計画をチェックできる借入余裕度診断が無料で利用できます。
自分の家計の健全性を見直したいときに利用してみましょう。
協会員の検索
日本貸金業協会のウェブサイトでは、協会に加入している貸金業者を検索することができます。
日本貸金業協会に加入しているということは、きちんと法律を守り、健全な業務をしている貸金業者であるということです。
カードローンなどの契約をする際に、契約をする会社が貸金業協会に加入していることを確認しておくと安心です。
闇金の検索
貸金業を営むには、国や都道府県に貸金業登録の届け出を行い、貸金業登録番号という番号を付与されなければいけません。
闇金とは、実在する業者を装ったり、虚偽の貸金業登録番号を掲げて不正に貸金業を営む悪質業者のことです。
日本貸金業協会のウェブサイトでは、そうした悪質業者を業者名、電話番号などで検索できます。
聞いたことのない業者から勧誘を受けた場合などはこの検索システムを利用して、絶対に悪質業者からの借り入れや申し込みをしないようにしましょう。
消費者啓発出前講座
日本貸金業協会では、一般消費者向けのセミナーや、教育現場、企業などに協会担当者を派遣し、金融に関する基礎知識やトラブル、悪質商法など様々なテーマで、無料で講演を行っています。
希望のテーマに沿って講演をしてもらえるので、団体で金融について教えてほしいという場合は消費者啓発出前講座のサービスを利用してみましょう。
各サービスの申込み先など詳しい情報は公式ページでご確認ください。
まとめ
日本貸金業協会が貸金業者に対して厳しい自主規制や処分規定を定めたり、研修や監査を実施して、貸金業者が法律に違反せず、適正な業務ができるよう支援しているおかげで私たち消費者は安心してカードローン契約を結ぶことができるのです。
カードローン契約を結ぶ際は、利用しようとしている業者が日本貸金業協会に加盟しているかどうかを調べて、悪徳業者との契約を防ぎましょう。
また、カードローンなどお金を借りる際に困ったことや疑問があれば、早めに日本貸金業協会に相談しましょう。
相談を含め、日本貸金業協会の消費者向けサービスはすべて無料で利用できるため、上手に活用してお金に関するトラブルを避けるようにしましょう。
日本貸金業協会のポイント
- 日本貸金業協会に加盟している貸金業者は安心して利用できる
- 日本貸金業協会は消費者向けの様々なサービスを無料で提供している