消費者金融からお金を借りる時に、最初に目にするが広告もしくは業者の勧誘です。最初の一歩ともいえるこの部分にウソや誤解を受ける表現が使われていると、判断を誤ってしまうこともあります。

そのため、信頼できる消費者金融は貸金業法で定める広告や勧誘の規制を守って営業しています。この規制の内容を知ることで、悪徳業者の選択をしないで済むので、参考にしてみてください。

 

消費者金融の広告と勧誘のポイント

  1. 事実に反する広告や、誇大な表現を使用した広告は禁止されている
  2. 禁止された表現を使用している業者からはお金を借りないようにする
  3. 一度勧誘を拒否した場合、その後一定の期間の勧誘は禁止されている

 

誇大広告は禁止

広告
  • 「だれでも借りられる」
  • 「審査なしですぐに借りられる」

どうしてもお金が必要になり、お金を貸してくれるところを探しているときに、上記のような事実と反する広告を見るたらどうでしょうか。

本来は本当に業者からお金を借りるのか、どの業者からお金を借りるのかなどを判断しなければならないのに、冷静な判断ができずに、今すぐここでお金を借りようと思ってしまうかもしれません。

このように誇大広告等は借り手の判断を誤らせてしまうため、法律によって禁止されているのです。

では、法律で禁止されている広告とは具体的にどのようなものなのかをみていきましょう。

 

事実と相違する内容の広告は禁止

当たり前ですが、貸金業者が広告を出したり勧誘をする際は、事実と著しく相違する表示や説明をしたり、実際のものよりも著しく借り手にとって有利であると誤認させるような表示や説明をしてはいけません。

 

特定の商品を自社の中心的な商品であると誤認させる広告は禁止

貸金業法では、消費者を誘引することを目的に、特定の商品を当該貸金業者の中心的な商品であると誤解させるような表示や説明をすることは禁止されています。

これはいわゆる「おとり」広告のようなものを禁止するということです。

例えば、「利息○%~」と下限金利を強調し、上限金利を表示しない広告を出しているけれども、実際に下限金利で借りられる人はほとんどいない、といった場合、この広告の表示は法律違反ということになります。

 

返済能力がない人を対象とする広告は禁止

貸金業法では、他の貸金業者の利用者や、返済能力がない人を対象にして勧誘する旨の表示や説明を禁止しています。例えば下記のような広告がこれにあたります。

 

NGな広告例

  • 「他店利用者大歓迎」
  • 「ブラックの方でも借入れできる」
  • 「多額の返済でお困りの方ご相談ください」

 

簡単に借入ができることを誇張した広告は禁止

貸金業法では、借入れが簡単であることを過度に強調することによって、消費者の借入意欲をそそるような表示や説明をすることを禁止しています。具体的には、以下のような表現が禁止されています。

  • 債務整理を行った人や破産免責を受けた人にも簡単に貸付けを行う旨の表現
  • 他社からの借入件数や借入金額について考慮せずに貸付けを行う旨の表現
  • 審査を全く行わずに貸付けを行うかのような表現

例えば、「破産歴があっても大丈夫」「審査なしで借入れできます」「面倒な手続き不要」「だれでも、どんな状況でも借入れ可能」などのような広告がこれにあたります。

 

債務整理と破産免責

債務整理とは、抱えている借金を整理し、借金をなくすための方法のことです。

債務整理には、資産を没収されるかわりに借金も処分する自己破産、借金を減額してからその借金を3年で返済していく個人再生、金融機関と交渉して借金の減額などを行う任意整理などがあります。

破産免責とは、自己破産の手続きを行い、裁判所の免責許可を得て借金がなくなることです。

 

年金受給者の借り入れ意欲をそそる広告は禁止

貸金業法では、公的な年金や手当等の受給者の借入意欲をそそるような表示や説明を禁止しています。

これは、貸金業者が年金受給者からお金を貸す際に、年金が振り込まれる口座の預金通帳の提出を求めて年金振込口座を管理するといった、年金受給権を担保とした高金利の融資が行われる事例が発生していたため、このようなトラブルを防ぐことを目的としたものです。

例えば「年金受給者でもすぐに借入れできます」のような表現がこれにあたります。

 

貸付利率以外の利率を貸付利率と誤解させる広告は禁止

貸金業法では、貸付利率以外の利率を貸付利率であると誤解させるような表示や説明をすることは禁止されています。

例えば、日歩を年率より大きく表示して目立たせるなどの表現がこれにあたります。

 

貸付条件の広告に必ず記載すること

私たち消費者がお金を借りようとする際、まず広告を見て利率や返済方式などの貸付け条件を確認し、借入れ契約の意思決定をすることになります。

そのため、契約をする前に意思決定に必要な貸付けの条件を全て知らなければ、正しい判断ができなくなってしまいます。

そこで、貸金業法では、消費者を保護するために貸付けの条件についての広告に必ず表示しなければならない事項を以下のように定めています。

 

広告に必ず記載する項目

  • 貸金業者の商号・名称・氏名、登録番号(※1)
  • 貸付け利率
  • 返済方式(※2)
  • 返済期間および返済回数
  • 元本に対する賠償額(※3)の割合(賠償額・違約金を定める場合のみ)
  • 担保に関する事項(担保が必要な場合のみ)
  • ホームページのアドレス、電子メールアドレス、電話番号のいずれかの連絡先(※4)

上記の項目のうち1つでも記載していなければ、法律に違反している広告ということになります。

※1 登録番号とは、貸金業者が営業をする際に財務局または都道府県知事から交付される番号のことです。登録番号がなければ貸金業者は営業できず、この番号を持たずに営業している業者はいわゆる闇金ということになります。
※2 返済方式には、主に元金均等返済方式、元利均等返済方式、リボルビング方式があります。
※3 賠償額とは、万が一借り手が約束の期日までにお金を返せなかった場合に貸金業者に対して支払わなければならない金銭のことです。
※4 連絡先は貸金業者登録簿に登録されているものを表示しなければいけません。

 

過剰貸し付けの防止に配慮しなければならない

貸金業者は、消費者の返済能力を超える貸付けの防止に配慮して広告を出したり勧誘をしなければなりません。

例えば、個人向け貸付契約の広告をギャンブル専門誌や風俗専門誌に出してはいけません。

 

勧誘を拒否した場合は再勧誘禁止

一度カードローンを利用すると、その後も「また借りてもらえませんか?」という内容の営業電話がかかってきて、迷惑に思っている方もいると思います。

貸金業法では、勧誘を受けた消費者がお金を借りるつもりはないという意思を表示した場合は、勧誘を続けてはならないと定めています。

そのため、勧誘の電話をかけてきてほしくない場合は、はっきりと借入れの意思がないことを伝えると業者もそれ以上かけることができなくなります。ただし、言い方によって勧誘を中止する期間が異なります。

 

拒否の言い方のよる消費者金融の制限の違い

勧誘の拒否の種類 貸金業者の制限
「今後一切連絡しないでほしい」という意思表示をした場合 貸金業者は、最低1年間は一切の勧誘をしてはならない
「今はいらない」「当面は不要である」など、一定の期間の連絡を拒否する意思表示をした場合 貸金業者は、最低6カ月間は勧誘をしてはならない
借入れの契約をしない旨の意思表示をした場合 貸金業者は、最低3カ月間は勧誘をしてはならない

貸金業法では上記のように定められているため、借入れの予定もないのに頻繁に勧誘をされて困っている方は、「今後一切連絡しないでほしい」と伝えてみましょう。貸金業者は最低1年間は営業の電話をすることができなくなります。

 

広告や勧誘の規制を守っていない業者

ここまで、貸金業者が広告や勧誘をする際に禁止されていることや、必ず表示しなければならない内容をみてきましたが、きちんと法律を守って運営している会社であれば、このような規制に反した内容の広告や勧誘をすることはありません。

不自然なほど消費者に有利な広告を見つけたら、すぐに鵜呑みにするのではなく、法律に違反した内容ではないかを考えてみてください。広告や勧誘の規制を守っていない業者は、法律を守っていない業者です。

そのようなところからお金を借りないように注意しましょう。

 

まとめ

広告や勧誘は私たち消費者が借入れの意思決定をするための大事な材料です。その広告に、事実と反する内容や、誇張した表現を入れるのは禁止されています。

どうしてもお金が必要な状況で、法律に違反する広告かどうかを判断して借入れの意思決定をするのは難しいことですが、どのような広告が禁止されているのかを知っていれば、冷静な判断の助けになるため、ぜひ覚えておきましょう。

法律を守って正しく業務を行っている貸金業者であれば、禁止された表現を使用することはないはずです。禁止された表現を使用している業者を利用しないように注意しましょう。

また、勧誘に関しては、一度借入れや連絡を拒否した場合は、貸金業者は一定の期間勧誘の連絡をすることを禁止されています。しつこい勧誘で困っている方は、連絡をしないでほしい旨をはっきりと伝えましょう。