貸金業法では、借り手の保護を目的として、貸金業者に対して様々な行為を規制しています。

ここでは、貸金業者に対して禁止されている行為と、義務付けられていることについて説明します。

このことを知っていれば消費者金融からお金を借りる時に「おかしい!」と気付き悪い業者に騙されずにすみます。自衛のために頭の片隅にいれておくといいでしょう。

消費者金融の禁止と義務のポイント

  1. 借り手に不利となる不正な行為を禁止されている
  2. 個人顧客の情報を適切に管理することが義務付けられている
  3. 消費者を保護する目的で行われている

 

消費者金融が禁止されいていること

禁止

貸金業法では、消費者を保護するため貸金業者(消費者金融)に対して下記のような行為を禁止しています。

 

借り手に嘘を伝えること

当たり前のことですが、借り手に対して嘘をつくことは禁止されています。

例えば契約の際に、契約をとりたいばかりに金利について嘘をついたり、本当は付いていないサービスを付いていると嘘をついたりすることは禁止です。

虚偽(嘘)の告げ方は口頭も口頭以外の場合も禁止されています。

 

契約についての重要事項を説明しないこと

借り手に対して嘘をつく行為だけではなく、契約についての重要な事項について「告げない」ことも禁止されています。

例えば、借り手から契約の内容に対して質問があったにも関わらずそれに答えないことや、借り手が契約の内容について誤って理解していることをわかっていながら正確な内容を告げないことは禁止です。

 

重要な事項とは?

「重要な事項」とは、借り手の利害に関する事項で、貸付契約の締結や変更の際に、借り手の意思決定に影響を及ぼす事項のことをいいます。

多くの貸金業者が加盟している日本貸金業協会という機関が定める自主規則では下記については、特に借り手の利益に留意して取り扱わなければならないとしています。

  • 貸付利率の引き上げ
  • 返済方式の変更
  • お金を期日までに返せなかった場合に借り手が支払う損害賠償額の引き上げなど

 

「借り手が必ず返済できる」と保証人に誤解させること

保証人に対して「借り手がきちんと返済できることが確実である」と誤解させる恐れのあることを告げることは禁止されています。

例えば、保証人に対して「借り手は返済能力があり、借りたお金は必ず返済できる。保証人である人が代わりに返済するようなことは絶対にない」というように、保証人が代わりに借金を返済する可能性が全くないと誤解させるようなことを伝えることは禁止されています。

 

保証人とは?

保証人とは、お金を借りた本人が返済をできなくなった場合に、その人に代わって借りたお金を返済する責任を負う人です。

 

曖昧なことを確実と借り手に誤認させること

借り手に対して、不確実なことを確実であると誤解させるおそれのあることを告げることは禁止されています。

例えば、変動金利でローンを契約する際に、「今後この商品の金利は必ず下がるのでお得です」というように、不確実なことを確実であると思わせるような説明をすることは禁止されています。

 

その他の禁止行為は?

上記以外にも、違法行為にあたる不正行為や、違法とまではいえなくとも客観的にみて妥当性を欠く不当行為は禁止されています。不正行為や不当行為とは、例えば以下のようなものです。

 

契約を締結または変更する際の不正行為

  • 白紙委任状の提出を求めること
  • 白地手形や白地小切手の提出を求めること
  • 運転免許証、健康保険証、印鑑、預貯金通帳、キャッシュカードなど、借り手が社会生活をする上で必要な証明書(※)などの提出を求めること
    ※これらの書類の原本の提出を求めることは禁止されていますが、コピーの提出を求めることは禁止されていません。
  • 借り手に対して、申込書などに年収や資金用途などの重要な事項について虚偽の内容を記入するよう促すなど、虚偽申告を勧めること
  • 貸付金額に比べて過大な担保や保証人を求めること
  • クレジットカードを担保として求めること

 

白紙委任状とは?

白紙委任状とは委任者名や委任事項などを記載していない委任状のことです。必要事項を白紙にして提出させることで、提出後に貸金業者に有利な不正な内容の委任状を作成することが可能になってしまいます。

 

白地手形とは?

白地手形とは形金額など、手形要件の一部または全部を記載していない手形のことです。要件を記載しないまま提出することで、貸金業者に有利な手形の内容にすることが可能になってしまいます。

 

白地小切手とは

白地小切手とは、金額など、小切手要件の一部または全部を記載していない小切手のことです。白地手形と同様、貸金業者に有利な小切手の内容にすることが可能になってしまいます。

 

その他の不正行為

  • 借り手の金融機関などの口座に無断でお金を振り込み、振り込んだお金の返済やそのお金の利息などの金銭(※)の支払いを要求すること
    ※ 手数料、割引料、調査料など、どのような名目であっても一切の金銭を要求することは禁止されています。

  • 借り手が債務整理をする際に、帳簿に記載されている金額や貸付日などと異なった内容をもとに残存債務の金額を水増しし、和解契約を締結すること
  • 借り手が身体的または精神的な障害などにより、契約内容について理解することが難しいことをわかっていながら契約を締結すること
  • お金に困っている借り手の弱みに付け込み、借り手に一方的に不利な契約を強要したり、貸付契約と合わせて自社や関連会社の商品の購入を強制したり、今後の貸付けの際に借り手に不利な内容で契約すると脅して、株式、出資または社債の引き受けを強要すること
  • 取立てをする際に、借り手以外の人に保証人となることを許容すること

 

債務整理とは?

債務整理とは、抱えている借金を整理し、借金をなくすための方法のことです。

債務整理には、資産を没収されるかわりに借金も処分する自己破産、借金を減額してからその借金を3年で返済していく個人再生、金融機関と交渉して借金の減額などを行う任意整理などがあります。

 

消費者金融が義務付けられていること

消費者金融は、カードローン契約など貸付契約の際に取得した借り手についての全ての情報を適正に取扱うための措置を講じるよう義務付けられています。

 

情報の安全管理

貸金業者は、申し込みの際に取得した個人情報や、契約中に取得した個人顧客に関する情報について、情報の漏洩や紛失などがないよう、必要かつ適切な措置を講じなければなりません。

例えば私たち消費者が契約の際に記入した申込書が、ずさんに管理されていたら個人情報流出のリスクが高まります。そういったことのないよう、個人顧客に関する情報を適切に管理することが義務付けられています。

 

返済能力情報の取り扱い

貸金業者は、信用情報機関から提供を受けた個人顧客の返済能力に関する情報について、借り手の返済能力の調査以外の目的のために利用しないための措置を講じなければなりません。

信用情報機関から提供される情報は、個人の氏名・住所・勤務先や、借入金額、延滞情報など多岐にわたります。

例えばこれらの情報が闇金に流されてしまったら、私たち消費者は損害を被ります。このようなことが起こらないようにするため、返済能力情報を目的外利用することのないよう、適切な措置を講じなければなりません。

 

信用情報機関とは?

信用情報機関とは、信用取引に関する履歴情報である信用情報を金融機関から集めて、それを管理し、金融機関に提供する機関です。

 

センシティブ情報の取り扱い

貸金業者は、個人顧客のセンシティブ情報の目的外利用をしないための措置を講じなければなりません。

例えば、金融機関によっては、センシティブ情報に該当する本籍地を取得しないようにするために、免許証の本籍地欄を塗りつぶしてから本人確認書類を提出するよう求めるなどの措置をとっています。

 

センシティブ情報とは?

センシティブ情報とは、思想、宗教、人種、門地、本籍地、身体・精神障害に関する事項、犯罪歴、保険医療に関する事項など、社会的差別などの原因となり得る情報のことです。

 

まとめ

貸金業法では、借り手を保護する目的で、貸金業者に対して借り手が不利になるような不正行為を禁止していたり、借り手の情報を適切に管理するための措置を講じるよう義務付けています。

もしも契約の際に明らかに不利(不当)な条件を出されたり、契約内容について虚偽の説明を受けて契約してしまった場合でも、自分が無知だったからと泣き寝入りする必要はありません。

借り手は法律で守られているので、日本貸金業協会や金融庁、国民生活センターなど、無料で相談できる機関に連絡してみましょう。

独立行政法人 国民生活センター 通報/相談窓口・紛争解決