それでは、具体的に商工会議所と資金調達について解説していきたいと思います。通常の銀行からの借り入れと比べて、商工会議所の資金調達サービスを利用することで大きなメリットがあります

どうせなら、利用できるものは大いに利用しましょう。

起業

「創業」の定義について

まず一言に「創業時」といってもさまざまな定義があることを理解しておいてください。要は実際に事業を始める前だけではなく、それ以降も「創業」のカテゴリーに該当する場合があります。

事業開始前の「創業」

  • まだ構想段階
  • 準備はしているけれども事業に着手していない
  • 法人登記前
  • 税務署への開業届前など

上記の状態が「創業」に該当します。商工会議所に限らず、どこの金融機関であってもこのような方向けの「創業融資」のメニューは存在しています。

事業開始前のデメリット

この段階では、実際に事業を行っていないため、企業の「通知表」である決算書が存在していません。融資を受けようとする会社、個人は、相手(金融機関)を説得するだけの材料が必要になります。口だけの人にお金を貸すことはさすがにできないからです。

具体的には下記の項目がしっかりと調べられます。

  • 創業計画書
  • 自己資金(通帳のコピーなども必須)
  • 借り入れの有無(親族からのものも含まれます)
  • 信用情報など

何かリスクのある人にはお金を貸すことはできません。そのため創業計画書は、開業後数年の売り上げ等の見通しを詳細に示したものです。机上の空論であってはならず、かつ説得力があり現実的なものでなければなりません。

数年で売り上げ30倍などという見通しを立てると、空絵事であると判断させるだけでなく、経営の見通しを立てられない人だと判断させてしまいます。

創業計画については別の機会に詳しく述べたいと思います。

事業開始前のメリット

逆にこの段階でよいことはあるのでしょうか。

実はありまして、決算書がないということを逆手にとって、相手を説得できるような完璧な創業計画書や事業の見通しを立てることができれば、多額の融資を受けることが可能だということです。

実際に創業後は決算書によって「数字」で冷酷な判断をされてしまいますが、この段階では「事業計画」によって相手を(いい方は悪いのですが)ごまかすことも可能だということです。

融資担当者は百戦錬磨ですので、うかつな事業計画は簡単に見破ってしまいます。

事業開始後の「創業」

実際に事業を介した後でも数年は「創業」カテゴリーで融資を受けることが可能です。まだ事業が軌道に乗っていない段階であることを考慮して、今後の事業計画などを勘案した融資を受けるが可能です。

事業開始後の「創業」はいつまで?

事業開始後であっても、経営が軌道に乗るまでは運転資金などを「創業」資金として借りることが可能です。その場合、審査の基準は、通常の融資のように現在の経営状況(要は決算書ベース)ではなく、創業計画書などの経営計画を中心に行われることになります。

「創業」資金が認められる期間は、おおよそ創業5年と見てください。金融機関によっては3年などのケースもあります。

実際、創業1年経過しないと(個人の場合は1年後の3月の確定申告を経過しないと)、決算書ができませんので、通常融資はまず無理で創業融資を受けることになると思ってください。

融資の種類を選べます

創業1年経過をし、決算書ができているのであれば下記のいずれかを選択することができます。

  • 創業融資
  • 通常融資

この場合、ご自身の会社にとって有利な方を選択できます。

売り上げが上がっていて、当初の経営計画以上の結果を出しているのであれば、決算書ベースで融資を受ける、つまり通常の事業資金として審査を受けたほうが有利です。

一方、まだそれほど売り上げがない場合な、当初の計画よりもうまくいっていないような場合は創業融資として申し込んだほうが得です。

この段階では、創業ベースで審査してくれるので、(売り上げがあまりなくても)多少甘い部分もあるといえます。

融資の種類と金利

なお、金融機関によっても違いますが、一般的な融資の金利について確認しておきましょう。

金利は下記の通り創業融資の方が高くなっています。

創業融資 > 通常融資

加えて、信用保証協会の保証料が創業融資にはつきます(通常融資にもつくこともあります)。

当然のことですが、決算書という目に見える「通知表」がある場合と、創業計画書というペーパーだけの場合では、前者のほうが説得力があるのはいうまでもなく、後者のほうが融資のリスクが高いわけですので、金利も高くなります。

 
もし、融資の難易度的に同程度なのであれば、創業融資ではなく通常融資を受けたほうが得になります。これは、金融機関との実績を作っておく意味でも大切なことです。

 

商工会議所での資金調達について

それでは、「創業」について定義の共有ができたところで、本題の商工会議所の融資について解説していきたいと思います。かなり細かいですが、理解をしていただくといろいろとお得です。

商工会議所融資のメインメニュー「マル経融資」

商工会議所の融資のメインは「マル経融資」と呼ばれるものです。

マル経融資 = 小規模事業者経営改善資金融資制度

正式には「小規模事業者経営改善資金融資制度」といい、お金を貸すのは商工会議所ではなく、「日本政策金融公庫」という政府系金融機関です。

金利

金利は非常に低く、1%代前半で推移しています。毎月金利は変動しますが、過去も2%を超えることはあまりありませんでした。

これがどのくらい低いかといいますと、担保や保証人がある場合でも、低くて2%代、担保や保証人がない場合は4%以上のケースが多く、特に「借りやすい」といわれる新興の金融機関の場合は10%を超えるものもあります。

消費者金融から借りる場合は、利息制限法の上限(18%~20%)以下で借りることはほとんどできないと思ってください。(つまり、上限金利でしか融資を受けられないということです)

不要のメリット

マル経融資は、この超低金利に加えて下記のメリットがあり、借りる側にとって極めて有利な制度になっています。

  • 担保がいらない
  • 保証人もいらない

融資の大前提~営業1年以上

以下のマル経融資については、大前提として、「営業を開始してから1年以上」というものがあります。つまり、準備段階での「創業」や、創業後1年未満の場合は利用ができません

1年以上経過していれば、試算表や1年分の確定申告書で大丈夫です。ただ、複数年のものがあったほうが審査はやりやすいようです。

以下の記述は創業について考えると、「1年目~5年目」に該当する場合の資金調達になります。もちろん、それ以降については、創業カテゴリー関係なく利用することができますので安心してください。

商工会議所と日本政策金融公庫の関係、指導金融について

ではなぜ、商工会議所を介したマル経融資が、これほど低金利で運用できるのか。

中小企業保護のための国の政策的要素があるならば、公庫が直接融資すればいいのではないかと思いますよね。ここで登場するのが「指導金融」という概念です。

実は、公庫のほうでも直接融資は行っています。「普通貸付」(マル普)と呼ばれるものなのですが、その金利もかなり低いのですがマル経はそれよりも低いのです。
マル系融資の指導

マル経融資は、単なる融資ではなく、商工会議所の経営指導員の経営コンサルティングを合わせて受けることとセットになっているのです。

商工会議所でマル経融資を担当できる職員は「経営指導員」と呼ばれ、融資だけではなく経営指導、コンサルティングも行えるようになっています(上手かどうかは別です)。マル経の受け付けはその経営指導メニューの1つであり、融資を実行する際は経営上のアドバイスも行わなければなりません。

商工会議所の経営指導員は、事業者に対して経営指導を行って、「問題がないと判断しますので推薦します。融資をお願いします」という体で、公庫に推薦をするわけです。商工会議所の推薦があるので、通常よりも低い金利で公庫は融資できる、というシステムになっています。
コンサル付き融資

従って、単なる書類審査ではなく、経営状況を勘案したコンサルティングも含んだ融資になるので、制度的には、融資の返済が滞るリスクは減る建前になっています。融資の内容によっては、貸付後も定期的に指導が義務付けられているものもあります。

公庫の普通貸し付けや、金融機関の融資はこのような指導要素がありません。融資をしたら、あとは返済中は放置ということです。後々まで面倒をみるので、貸し倒れになるリスクが減って、その分金利が低くなっていると思ってください。

融資を受ける側にとっては、金銭的な負担はないので別にマイナス面はないですよね。これを利用しない手はないです。

マル経融資の内容、流れ

それでは、実際のマル経融資について解説していきます。あくまで、借り入れを受ける方のための内容に絞りますので冗長にはしません。

借り入れを受ける要件

マル経融資を受けるためには条件があります。以下でそれを解説いたします。

事業規模

マル経融資は中小企業、個人事業主のためのものです。一定規模以上の事業所はこの制度を利用することができません。要件としては以下のとおりです。

  • 従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)の法人(株式会社、有限会社等)か個人事業主
  • 最近1年以上、同一会議所の地区内で営業している

つまり、引っ越してきたばかりのときは無理ということになります。同一商工会議所内での転居はOKです。

例えば、東京商工会議所の管轄(23区内)ならばOKで、中野区から江戸川区へ1年以内に転居した場合は問題ありません。
  • 商工業者であること。日本政策金融公庫の融資対象業種であること

通常の業種ならば問題ありません。対象とならないのは、風俗業やギャンブル、病院などです。

  • 納期の来ている税金(所得税、法人税、事業税、住民税)を完納していること

会社ならば法人税、事業税、住民税
個人ならば所得税、住民税です

非課税の売り上げしかない場合はそれでも大丈夫です。実際法人税を納めている(納税ラインの利益がある)会社はそれほど多くありません。また、消費税は要件ではないことに注目です。

滞納してよいということではありませんが、消費税については納税の意思を示し、税務署と取り交わしがあれば未納でもOKの場合があります。

商工会議所の「経営指導歴」

従前から商工会議所の経営指導を受けている事業所が対象となっています。指導歴は1年以上、ただし、これは建前でもあります。

商工会議所とかかわりがない事業所でも、いきなり窓口に行ってマル経融資を受けることは実は可能です。

ただし、その場合は一定の書類(預金通帳半年分など)を提出することで「濃密指導」となり、融資を可能にします。預金の出し入れを確認することで、よくない組織と関係していないことを把握します。

それがどこまで「指導」になるのかは疑問がありますが、とりあえずいきなり申し込んでも大丈夫ですので安心してください。

商工会議所の会員である場合、入会日から指導が始まったことになりますので、会員になってから1年以上あれば何の問題もありません。

融資の資金使途

運転資金、設備資金いずれも大丈夫です。返済期間は異なっていて、最大で下記の年数借りることができます。

用途 返済期間
運転資金 7年以内
設備資金 10年以内

返済期間を短く設定することももちろん大丈夫。引き延ばさずに返済すれば実績として高評価になります。

極度額

融資金額の限度額は2,000万円。必ずこれだけ借りられるというわけではありません。最少は40~50万円の融資も可能です。

融資に必要な書類、資格

融資にあたっては次の書類や証明書が必要になりますので準備をお願いします。

必須なもの

以下の書類はマル経融資を受けるにあたっては必須なものになりますので、事前に必ず用意しましょう。

前期・前々期の決算書および法人税の確定申告書(法人の場合)

創業2年以内の場合は少なくとも1期目のものがあれば大丈夫です。これで「創業1年以上」を偽ることができなくなります。

前年・前々年の決算書(または収支内訳書)および所得税の確定申告書(個人事業主)

個人事業主の方はこちらになります。やはり最低1期分は必要なのですが、個人の場合確定申告の時期が3月と固定されていますので、丸々1年分の申告がないケースもあります(前年3月開業の場合、申告書は3月~12月までのものになります)。その場合はそれ以降については詳細な試算表が必要になります。

決算後6ヶ月以上経過の場合、最近の残高試算表

決算時期から6か月経過後は試算表が必要になります。できるだけ最近のものです。ただ、個人事業主の場合はなかなか難しいと思います。月別売上表(メモ程度)でも可能な場合もあります。(ご負担はなるべくかけない方向です)

法人税(法人)・所得税(個人)事業税・法人住民税(法人)・住民税(個人)の領収書または納税証明書

上でも書きましたが、国の融資ですので税金はしっかりと支払っていることが条件になります。納税証明書を取っていただくのが確実ですが(非課税の場合はその旨書かれます)、領収書や税金引き落としの口座のある通帳のコピーでもOKです。

消費税については前述のように、完納は要件ではありませんが、税務署との念書などが必要になります。

商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書・法人)

法人の場合は登記簿謄本が必要です。本当にその会社かどうかを確認するために提出が求められます。

見積書・カタログ等(設備資金の場合)

設備資金の場合は「これを買います」という見積書やカタログが必要になります。

いうまでもないことですが、設備資金で融資を受けて、それを運転資金に流用するなどが発覚した場合は、以後の融資はまず不可能になると思ってください。
不動産登記簿謄本(法人・個人)
  • 法人の場合は会社所有および代表者所有の不動産
  • 個人の場合はその個人所有の不動産

上記がある場合、登記簿謄本を提出します。無担保融資ですのでそれを抵当に入れることはありませんが、どのくらい返済余力があるのかの判断に使います。

さまざまな金融機関の抵当権がついていれば、審査は厳しくなりますし、逆にまったく抵当権の設定がないならば経営はうまくいっていると判断されます。加点、減点どちらの要素にもなり得ます。
許認可証

許認可業の場合は当然ですが、その証明書(のコピー)が必要になります。

  • 建築業ならば都道府県知事の許可証
  • 個人タクシーならばその免許

上記のものなどが必要になります。もちろん、そうした許可が必要のない業種であればなくて構いません。

預金通帳(半年分)にコピー(濃密指導)

商工会議所の指導歴がない場合、その条件をクリアするための「濃密指導」で通帳のコピーを提出します。資金の流れを確認しますが、怪しいところからの資金の流れがあると非常に厳しくなります。

あるならば提出した方がよいもの

次に、経営指導員や審査の際に心証をよくするものを書いておきます。

表彰やメディア取材

もし、何らかの「表彰」(もちろん、仕事関係です)を受けたことがある場合は、それを添付するのもよいです。ありは、新聞や雑誌、マスコミなどで取り上げられた時の記事などを添付する場合もあります。

上位免許

許認可業でより上位の免許などがあれば、それを添えるのもポイントが高くなります。

できるだけご自身や会社をアピールできるものがあれば提出しておくといいと思います。
あるとNGなもの

次の項で詳述しますが、マル経の審査はかなり緩いのですが、これがあると「一発でアウト」というものがあります。

消費者金融からの借り入れ

隠していても預金通帳のコピー(濃密指導の場合)ばれてしまいますので、正直に話しましょう。結論からいいますと、消費者金融から現在借り入れがある場合、マル経はよほどの理由がない限り不可能です。

消費者金融を差別しているのではなく、経営者として高利の消費者金融から借り入れをすること自体の資質がマイナス査定になります。

複数ある場合は門前払いされます。過去にあった場合は、「厳重な経営指導の上、もう二度と借りないという言質を取った」的なことを推薦書に書かれます。
高利の金融機関からの借り入れ

消費者金融でなくても、新興の金融機関の中には10%を超える金利で融資を行っているところがあります。そうしたところから借り入れを行っている場合は、審査にマイナスになります。

一発アウトということではありませんが、やはり経営者としての能力に疑問がつきます。
自己破産歴等

仕事に絡んで自己破産をした人、会社を清算したことがある人などはやはり審査が大幅に厳しくなります。経営能力や資質について問われることになります。

債務超過等

当然ですが、返すお金がないのに借りること、年間の売り上げより借り入れが多い会社などは返せるはずもありません。決算書などではっきりとわかりますので、ごまかすことはできません。

万が一決算書の粉飾を行っていたら立派な「粉飾決算」ですので、融資云々以前の問題になってしまいます。

まじめに経営を行っている人を助けるのがマル経融資の趣旨です。

マル経の審査(本音ベースです!)

では、ここだけの話、本音ベースでマル経の審査についてお話します。細かい審査の流れや基準については秘密なのでお話しできませんが、一般的に非常に緩いものになっています。

国の中小企業救済政策を反映

マル経融資は、政府系金融機関である日本政策金融公庫の融資です。それにさらに商工会議所の経営指導が加わっています。

これは何を意味するかといいますと、民間の金融機関では対応できない厳しい経営状況の事業所でも融資ができるということです。

マル経融資を受けにくる事業所の中には、民間の金融機関、つまり銀行や信用金庫すべてに断られて途方に暮れているようなところもあります。そうした、民間が「匙を投げた」ところでもマル経融資が出る場合があります。

企業向けの国の福祉政策のようなものです。そのくらいハードルが低くなっています。

実際の融資の難易度

かなり低いものになっています。はっきりいうと、消費者金融に行く前にこちらに来た方がよほどましです。金利も全然違いますし、以降の信用も変わってきます。

消費者金融からの借り入れがダメなのは、それを受ける前にマル経に挑戦してみなさいという意味も含まれています。

本当にどうしようもない経営状態であっても、「減額査定」や「事後指導付き案件」として融資が通る可能性があります。とにかく、もう失うものがない場合は、マル経融資にトライしてみるのがいいと思います。

あまり知られていない

もちろん、優良経営の事業所の融資は大歓迎です。まったく問題なく審査は通ると思います。案外そうしたところは、銀行などの営業が接触していてマル経融資を知らない場合が多いようです。金利は最低レベルですから、経営にとって非常に有利なので是非利用してください。

それでもマル経融資が通らない場合は、「経営改善資金」として意味がないと判断された、つまり公的にこのお金は無駄になると判断されたということです。経営的にもう無理だという判断が国からされたに等しく、宝くじに当たるなどしない限り、程なく倒産してしまうでしょう。

そのくらい審査のハードルが低いということです。なお、融資が通らなった場合でも、商工会議所の経営指導や専門家指導を受けることは可能です。今後の身の振り方や、会社の清算方法などの相談も可能です。

以上がマル経融資についてのお話です。繰り返しますが、これは「創業1年以上」会社が対象です。創業前、創業数か月の会社の資金調達は別の方法になります。

 

商工会議所の創業融資

マル経融資はいわば国の制度で、商工会議所が委託されて行っています。商工会議所であれば行わなければならない金融事業です。

一方、「創業融資」については政府系金融機関の関係はなく、商工会議所の独自事業です。商工会議所ごとにメニューが違い、有るところと無いところがあります。

東京商工会議所の「創業支援融資保証制度」

例えば、日本最大の商工会議所である東京商工会議所には、「創業支援融資保証制度」というもがあります。

「創業支援融資保証制度」は日本政策金融公庫は関係なくマル経融資とは全く違うものです。東京商工会議所が東京信用保証協会と連携して、「創業」カテゴリーの人向けに経営指導を行いながら創業資金を調達できる制度になっています。

融資を行うのは信用保証協会と提携している、銀行・信用金庫です。

信用保証協会にいきなり創業融資を申し込むよりも、東京商工会議所のメニューを経ているので、信用と経営計画が担保されるため融資が出やすいものになっています。

創業支援融資保証制度の要件

対象業種と事業規模

対象業種などはマル経融資に準じるので風俗業やギャンブルの類は無理です。事業規模はマル経融資よりも大きな場合でも可能です(詳細は問い合わせてください)。

創業計画書

「創業」の要件は創業前~創業5年後までとなっています。創業前の場合、漠然としたものではだめで、具体的な計画を必須としています(そうでないと創業計画書が書けません)。

自己資金

融資を受けたい金額と同程度の自己資金があることが条件です(通帳で確認されます)。これはこの制度だけのものではなく、創業融資一般は自己資金が必ず必要になります。1文無しで創業資金を借りることは不可能です。

創業支援融資保証制度とマル経融資は別の制度ですので、創業1年後~5年までの場合、並行して両融資を受けることも可能です。相談してみましょう。

創業融資の通し方

東京商工会議所の創業支援融資保証制度では以下の2ついずれかに合格する必要があります。

  • 創業ゼミナール
  • 創業計画審査会
創業ゼミナール

東京商工会議所が定期的に開催する「創業ゼミナール」(10回程度)を受講し、規定の回数を受けると「修了証」がもらえて、創業融資の申し込みができます。よほどの理由がない限り、欠席はできないと思ってください。

受講内容

創業ゼミナールでは創業についての知識や、経営計画の立て方、財務諸表などへの理解などを専門家から指導を受けてスキルを深めます。その中で、ご自身の創業計画についてもブラッシュアップを行っていくことになります。

覚悟が必要

課題などもあり、かなり厳しいカリキュラムです。「修了証」の有効期間は1年間なので「とりあえず取っておく」という気持ちではうまくいきません。本気で創業したいという気持ちが必要になります。

「修了証」=融資の決定ではありません。保証協会での審査は行われます。商工会議所の課程を受けたという加点要素があるということです。
創業計画審査会

多分こちらがメインになると思います。マル経融資と同じように経営指導員の指導を受けながら、創業計画書や向こう数年の事業見通しなどを立てます。

マル経融資の場合は、書類は経営指導員が作成しますが、こちらは申込者本人がすべて作成しなければなりません。

経営指導員と連携しながら、よりよい創業計画書を作り上げていくことになります。創業計画書の書き方や、事業計画のポイント、自社のPR方法などについては、次回以降の記事で詳細を述べたいと思います。

創業計画審査会でプレゼン

ここで綿密に作った創業計画をもとに、担当する経営指導員が「創業計画審査会」に出てプレゼンを行います。申込者本人は同席できません。審査会を通過すると、「認定書」をもらうことができ、それを持って保証協会に申し込みます。

審査会のメンバーについては秘密ですが、かなり具体的な立場の人が審査しますので、ここを通すことができれば融資の可能性は高くなります(100%ではありませんが)。

これがゴールではなく、ここからスタートだと思ってください。商工会議所の経営指導員との関係ができましたので、以後は定期的に経営指導を受けながら経営を軌道に乗せてください。その過程でマル経融資を利用するのは大いにアリです。

そのほかの商工会議所創業資金調達

創業支援融資保証制度のようなものは、東京商工会議所以外にも下記のようなものがあります。ご自身の地域の商工会議所に相談してみてください。

商工会議所名 創業支援融資保証制度
大阪商工会議所 開業サポート資金(地域支援ネットワーク型)
さいたま商工会議所 創業支援
東京商工会議所のその他の融資

また、例えば東京商工会議所では下記のメニューもあります。こちらは実際に創業してからのメニューですが、合わせてご検討ください。

メンバーズビジネスローン
既存の会員であることを証明すれば、金利や手数料が下がる
小口資金融資
経営指導の実績があれば、金利が下がる(非会員でもOK)

 

今回はマル経融資を中心に解説しましたが、創業資金の調達の場合、創業計画をいかに上手に作成するのかが大事です。次回はそこに焦点を絞って、審査が通りやすい創業計画書の書き方などを考えてみたいと思います。