利息

私たちが金融機関からお金を借りる際、借りる額や期間に応じて利息を支払います。

もしも金融機関が自由に利息を決めることができたら、利息がどんどん上がってしまい、お金を借りたい人は金融機関の言いなりになって高い金利を払わなければいけなくなります。

ここでは、消費者を守るために作られた法律で決められている、利息やその他の費用の上限について説明していきます。

利息と保証料のポイント

  1. お金を借りる際の利息の上限は法律によって規制されている
  2. 借りたお金を返せない場合に支払う損害賠償金も、法律によって上限が規制されている
  3. 保証料を払う場合、保証料+利息の額が利息の上限を超えないよう、法律で規制されている

 

利息の上限は3つの法律で決められている

お金を借りる際の利息の上限は、3つの異なる法律で規制されています。それぞれの法律の内容と違いを確認しておきましょう。

  1. 利息制限法
  2. 出資法
  3. 貸金業法

 

利息制限法

利息制限法は、金銭貸借上の利息の上限を規制する法律です。利息制限法は、定められた利息の上限を超える利息について、その超過分を無効にする法律です。

 

出資法

出資法は正式名称を「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」といい、利息制限法と同じく、金銭貸借上の利息の上限を規制しています。

出資法は、定められた利息の上限を超えた場合に、刑罰を科す法律です。

 

貸金業法

貸金業法は、消費者金融やクレジットカード会社など、全ての貸金業者が守らなければならない法律で、利息だけでなく、広告・勧誘や取立てなど、貸金業における様々な業務について規定しています。

貸金業法は、利息制限法で定められた利息の上限を超えた場合に、貸金業者に対して行政処分を科す法律です。

 

現在法律で定められている利息の上限

では、現在法律で定められている利息の上限について、具体的に説明していきます。

 

利息制限法では

利息制限法では、元本の額によって利息の上限が異なります。

元本の額 利息の上限
10万円未満
年20%
10万円以上100万円未満
年18%
100万円以上
年15%

ここで定められた利息の上限を超えた部分だけが無効となります。

例えば、50万円を利息20%を借り入れた場合、利息の上限である18%を超える部分の利息が無効になります。

 

出資法では

出資法で利息の上限は、お金を貸すことで収益をあげている業者からの借入れの場合は、]元本の額に関わらず年20%、それ以外の個人からの借入れの場合は元本の額に関わらず109.5%と決められています。

利息の上限を超えた場合は、以下のような刑罰を科せられます。

 

利息の上限を超えた場合の刑罰

  • 貸付けを行う業者が年20%を超える利息で契約をした場合、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、または両方
  • 貸付けを行う業者が年109.5%を超える利息で契約をした場合、10年以下の懲役もしくは3,000万円以下の罰金、または両方
  • 貸付けを行う業者以外の個人が年109.5%を超える利息で契約をした場合、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、または両方

上記の金利を超える契約をした場合だけではなく、その利息を受領した場合や、その支払いを要求した場合も刑罰の対象となります。

 

同一業者から重ねて借りた場合の上限はどうなる?

利息制限法では元本の額によって利息の上限が異なりますが、同じ業者から何度もお金を借りた場合の利息はどうなるのでしょうか。

その場合は、すでに借りた残元本の額と新しく借りた元本の合計額を元本の額とみなして、利息の上限を計算します。

例えば、ある年の6月にA社から5万円を借りた人が、その返済をしないまま、同じ年の9月に新たにA社から8万円を借りた場合、2回目に借りた際の元本は13万円であるとみなされるため、利息の上限は年20%ではなく年18%となります。

 

同一業者から同時に複数借りた場合の上限はどうなる?

では、同じ業者と同時に複数の貸付けを受けた場合はどうなるのでしょうか。その場合は、複数の借入れの元本の合計額を元本の額とみなして、利息の上限を計算します。

例えば、A社から同時に5万円の貸付けと8万円の貸付けを受けた場合、元本の額は13万円とみなされ、どちらの契約でも利息の上限は年20%ではなく年18%となります。

 

手数料も利息としてみなされる

本来利息とは、元本の額と借入期間に応じて支払うものであり、契約の際の手数料や調査費用などは、利息ではありません。

しかし、実際には契約の際には手数料、調査料など様々な名目でお金の支払いを求められることがあり、これらを支払っていたら利息の上限以上のお金を支払うことになってしまうかもしれません。

そこで、利息制限法と出資法では、お金を借りる際に支払う手数料・調査料・礼金・割引金など、元本以外の全ての金銭は、どのような名目であっても利息とみなされると規定しています。これを「みなし利息」といいます。

 

利息とみなされない費用は?

みなし利息の例外には次のようなものがあり、これらの費用は利息とはみなされないため、利息の上限を超えていても支払う必要があります。

 

借主の要請によって行う事務の費用

  • 金銭の貸付け・返済のために借主に発行されたカードの再発行手数料
  • 貸金業法で発行が義務付けられている書面の再発行にかかる費用、書面に代わって電磁的方法で借主に提供された事項の再提供手数料
  • 口座振替による返済で、借主が返済期間に返済できなかった場合の再度の口座振替手数料

 

契約締結および返済にかかる費用

  • 収入印紙代など、公租公課(※1)の支払いに充てられるもの
  • 強制執行(※2)を行うための費用、担保権の実行としての競売手続き費用、その他公の機関が行う手続きに際にかかる費用
  • 借主が金銭の受領や返済のために利用するATMの利用手数料(※3)

※1 公租公課とは、国や地方公共団体に収める税金のことです。
※2 強制執行とは、借主から約束通りの返済がない場合に、強制的に借主の財産を差し押さえて支払いをさせる制度です。
※3 このATM利用手数料は、1万円以下の入出金額の場合は108円、1万円を超える入出金額の場合には216円が上限と定められています。

 

グレーゾーン金利とは

ニュースなどで「グレーゾーン金利」という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、グレーゾーン金利とは何なのでしょうか。

利息制限法と出資法の違いがわかれば、グレーゾーン金利を正しく理解することができます。

 

利息制限法と出資法の上限金利の違い

金利規制しくみ
出典:金融広報中央委員会 知るぽると
https://www.shiruporuto.jp/public/data/magazine/saimu/saimu004.html

出資法で定められている利息の上限は、現在は年20%ですが、2010年に法律が改正されるまでは、年29.2%と決められていました。

一方利息制限法で定められている利息の上限は、元本の額が10万円未満の場合は年20%、10万円以上100万円以下の場合は年18%、100万円以上の場合は年15%です。

そのため、出資法と利息制限法で定める利息の上限の間には、最大で14.2%もの差がありました。

この2つの法律の上限金利の間の金利のことをグレーゾーン金利といいます。

2010年に法律が改正されるまでは、年29.2%の金利までは刑罰の対象とならなかったため、消費者金融やクレジットカード会社など、多くの貸金業者がこのグレーゾーン金利で違法にお金を貸していました。

現在は法律が改正されて利息の上限が引き下げられたため、グレーゾーン金利はなくなっています。

 

過払い金請求とは

「過払い金請求」という言葉を法律事務所の広告などで目にしたことがある方も多いと思いますが、過払い金請求とはどういうものなのでしょうか。

2010年の法律改正までは、グレーゾーン金利は刑罰の対象にならなかったため、多くの貸金業者がグレーゾーン金利でお金を貸していましたが、利息制限法で定められた金利の上限を超えているため、貸金業者はグレーゾーン部分の金利を受け取る権利はありません。

そのため、借主は法改正前までに払いすぎていたグレーゾーン部分の金利を貸金業者から返還してもらうことができます。

この返還を求めることが過払い金請求です。

2006年以降、裁判で、利息制限法で定められた利率の上限を超えた金利部分は無効であるという判決が相次いで出されると、過払い金請求をする消費者が殺到しました。

 

実際のカードローン商品の利息について

ここまで利息の上限を定める法律やグレーゾーン金利についてみてきましたが、現在実際に各貸金業者が売り出しているカードローン商品の利息はどれくらいなのでしょうか。

 

上限は基本的には18%以下

利息制限法で定められている利息の上限は、元本の額によって年20%、18%、15%と決められていますが、実際のカードローン商品の利息は○%~○%と幅を持たせて設定されており、上限は基本的に18%以下となっています。

幅を持たせた利息の中でも、借入れ金額によってさらに細分化されており、例えば100万円未満の場合は○%~○%、100万円以上300万円未満の場合は△%~△%、300万円以上500万円未満の場合は□%~□%、800万円以上の場合は×%、などとなっています。

利息は利息制限法の上限の範囲内で業者によって様々ですが、一般的に借入れ金額が増えるほど低くなっていきます。

 

下限利息で借りられることはほとんどないため注意

上記の通り、幅をもたせて設定されている利息ですが、下限利息で借りられることはほとんどないため、カードローンの申し込みの際は注意が必要です。

例えば、100万円を借りる場合の利息が8.0%~15.0%となっている場合、8.0%の利息で契約できることはほとんどありません。

たいていは上限である15.0%での契約となるため、カードローン商品を比較する際や、返済計画を立てる際は、下限利息ではなく上限利息で考えるようにしましょう。

 

借りたお金を返せなかった場合に払うお金の上限は?

お金を借りる際には、万が一借主が借りたお金を期日までに返せなかった場合に、損害賠償として貸主に支払う金額を契約の際にあらかじめ決めておくのが一般的です。

この損害賠償としてのお金を「遅延損害金」といいます。

遅延損害金は、利息と同じように利率を決めておいて、「借入残高×遅延損害金の利率÷365日×延滞日数」という式で計算します。

この遅延損害金の利率の上限も利息制限法で定められており、上限を超えた遅延損害金は無効になります。

 

個人からお金を借りた場合

お金を貸すことで収益をあげている業者ではなく、個人からお金を借りた場合、遅延損害金の利率の上限は、利息の上限の1.46倍と定められています。具体的には以下の表のようになります。

元本の額 計算式 遅延損害金利率の上限
10万円未満 年20%×1.46 年29.2%
10万円以上100万円未満 年18%×1.46 年26.28%
100万円以上 年15%×1.46 年21.9%

例えば、Aさんから100万円借りているBさんの返済が60日間遅れてしまった場合の遅延損害金の上限は、100万円×21.9%÷365日×60日で、36,000円になり、36,000円を超える損害賠償は無効になります。

 

業者からお金を借りた場合

消費者金融やクレジットカード会社など、お金を貸すことで収益をあげている業者からお金を借りた場合、遅延損害金の利率の上限は、元本の額に関わらず年20%と定められています。

例えば、A社から100万円借りているBさんの返済が60日間遅れてしまった場合の遅延損害金の上限は、100万円×20%÷365日×60日で、32,877円になり、32,877円を超える損害賠償は無効になります。

100万円×20%÷365日×60日=32,877円

 

保証会社に支払う保証料にも上限がある

お金を借りる際に「保証料」という名目でお金を支払うことがあります。

保証料とは、借主が保証会社に支払うお金で、保証料を支払うことでもしも借主がお金を返せなかった場合に、保証会社が借主の代わりに貸主に残りの債務を支払ってくれる仕組みです。

貸主にとっては貸したお金が返ってこないリスクが減るというメリットが、借主にとってはお金を借りやすくなるというメリットがある仕組みです。

しかし、法律が改正されるまでは保証料に上限がなかったため、保証料という名目で利息の上限以上のお金をとる業者が存在していました。

そこで、このような事態を防ぐために、現在の法律では保証料にも上限が定められています。

 

法律で定められている保証料の上限

利息制限法では、保証料が利息と合算して利息の上限を超えている場合、上限を超えている部分の保証料の契約は無効であるとしています。

つまり、保証料も利息とみなされるということです。具体的には下の表のようになります。

元本の額 保証料+利息の上限
10万円未満
年20%
10万円以上100万円未満
年18%
100万円以上
年15%

例えば、元本の額が10万円で年15%の利息でお金を借りた場合、10万円以上100万円未満の利息の上限は18%なので、保証料の上限は年3%ということになり、3%を超える保証料契約は無効となります。

 

まとめ

カードローンを利用する際の利息は、元本の額が10万円未満の場合は年20%、10万円以上100万円未満の場合は年18%、100万円以上の場合は年15%と、法律によって上限が決まっていることを必ず覚えておきましょう。

万が一上限を超えて契約してしまった場合、上限を超えた利息は無効になります。

利息に加え、手数料や保証料など、元本以外の金銭の支払いも利息とみなされ、これらと利息を合算した額が利息の上限を超えていた場合も、上限を超えた部分は無効です。

また、もしも期日までにお金を返せなかった場合に支払う損害賠償金にも上限があります。

カードローンの契約をする際は、利息に加えて手数料・保証料・損害賠償金など、あらゆる金銭の支払いに上限が定められていることを覚えておき、払いすぎることのないように注意が必要です。