信用情報

消費者金融やクレジットカードの契約をする際「個人情報を信用情報機関に提供することに対する同意」を必ず書きます。しかし、同意しながらも「信用情報機関」とはどのようなものなのか知らない方も多いと思います。

情報機関の登録情報が消費者金融やクレジットカードの審査でどのように使われるか知っていれば、審査に通過するコツがわかります

そんな信用情報機関や登録内容、自分の信用情報ついて知る方法など、詳しく説明していきます。

 

信用情報とは

そもそも「信用情報」とは一体何のことなのでしょうか。

信用情報とは、消費者金融のカードローンやクレジットカードの契約などの信用取引(※)に関する履歴情報のことです。

信用情報には、カードローンやクレジットなどを利用した際の契約内容や返済・支払状況、利用残高などに関する履歴が記録されています。

そして、新たにカードローンやクレジットの契約をする際に、消費者金融やクレジット会社などが申込者の支払い能力を判断するための参考情報として確認しています

※消費者金融のカードローン契約やクレジットカードのように、現金を使わずに個人の信用に基づいて行われる取引のことです。

 

信用情報機関とは

では、「信用情報機関」とはどのような機関で、どのようなことをしているのでしょうか。

 

信用情報機関では何をしているのか

信用情報機関とは、信用情報を金融機関から集めて、それを管理し提供する機関です。

信用情報機関に加盟する消費者金融や銀行、クレジットカード会社などの金融機関は、自社で契約する際に取得した契約者の信用情報を、信用情報機関に登録します。

信用情報機関は登録された情報を管理し、管理された情報は、加盟している各金融機関が新たに消費者と契約を結ぶ際に、消費者の支払い能力を正確に調査できるよう、金融機関に提供されます。

 

信用情報機関の役割

信用情報機関の目的を一言で言うと、「金融機関が消費者にお金を貸しすぎるのを防ぐ」ことです。

金融機関は信用取引の契約時に個人の信用情報を確認することによって、消費者の返済能力に応じた適切な額の貸付が可能となります。

もし、消費者金融のカードローンやクレジットカードの契約時に信用情報機関から提供される信用情報がなければ、金融機関は消費者が他の金融機関から借りている金額を把握できないため、消費者の返済能力を超えたお金を貸してしまうかもしれません。

その結果、消費者が借りたお金を返すことができなくなるリスクが高くなってしまいます。

信用情報機関は、金融機関から消費者への過剰貸付を防止し、消費者の多重債務を最小限に抑える役割を担っています。

 

もう一つの役割

また、信用情報機関があることで、信用取引がスムーズになります

例えば、申し込んでから即日融資できるカードローンがありますが、もし信用情報機関がなかったら、審査に時間がかかり、即日融資することができません。

信用情報機関は、スムーズな信用取引を支える、私たちの日常生活になくてはならない存在です。

 

日本にある3つの信用情報機関

では、実際にどのような信用情報機関があるのでしょうか。現在日本には3つの信用情報機関があります。それぞれの特徴をみていきましょう。

 

株式会社日本信用情報機構(JICC)

主に消費者金融業者やクレジットカード会社などが加盟している、貸金業者系の信用情報機関です。

貸金業法で定められた指定信用情報機関(※)に指定されています。
※ 指定信用情報機関とは、貸金業法に基づいて一定の条件を満たすことで、内閣総理大臣より指定を受けた信用情報機関のことです。

 

株式会社シー・アイ・シー(CIC)

主にクレジットカード会社が加盟している信用情報機関です。ほとんどのクレジットカード会社が加盟しており、JICCと同様、指定信用情報機関に指定されています。

 

全国銀行個人信用情報センター(KSC)

全国銀行協会が運営する信用情報機関です。主に銀行や銀行が出資しているクレジットカード会社が加盟しています。

 

それぞれの信用情報機関に加盟している会社

消費者金融、銀行やクレジットカード会社など、金融機関であれば3つの信用情報機関のいずれかに加盟しています。日本の大手金融機関は、3つの信用情報機関のどれに加盟しているのか下記に表にまとめました。

 

金融機関と信用機関の加盟状況
金融機関名 JICC CIC KSC
アコム
×
アイフル
×
SMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)
×
三井住友銀行
三菱UFJ銀行
みずほ銀行
楽天銀行
イオン銀行
三井住友カード
×
ジェーシービー
×
三菱UFJニコス
×
楽天カード
×

=加盟、×=非加盟

 

登録内容と保存期間

ここまで信用情報機関の概要や全体像をみてきましたが、ここからは具体的な信用情報の登録について説明していきます。

 

信用情報機関に登録される情報と保存期間

信用情報機関には私たち消費者のどのような情報が登録されていて、その情報はどれくらいの機関保存されるのでしょうか。

 

申し込みに関する情報

消費者金融のカードローンやクレジットカードの契約などを申し込んだ際に、金融機関が申込者の支払い能力を調査するため、信用情報機関に情報を登録し、信用情報機関から情報の提供を受けます。

 

申し込み情報と保存期間(3社共通)
  • 本人を特定する情報:氏名・生年月日・電話番号等
  • 申し込み内容に関する情報:申し込み日・商品名等
  • 保存期間:申し込み日から最長6ヵ月

 

契約に関する情報

消費者金融のカードローンやクレジットカードの契約などを実際に締結した際に、金融機関は契約内容に関する情報を信用情報機関に登録します。

 

登録される情報と保存期間(3社共通)
  • 本人を特定する情報:氏名・生年月日・電話番号・住所・勤務先名・運転免許証番号等
  • 契約内容に関する情報:契約日・契約金額・貸付日、貸付金額・支払い回数等
  • 保存期間:契約期間中および契約終了日(または完済日)から最長5年

 

取引に関する情報

消費者金融のカードローンやクレジットカードの契約期間中、金融機関は契約者の支払い状況や延滞情報を信用情報機関に登録します。

 

取引に関する登録情報と保存期間(3社共通)
  • 取引に関する登録情報:入金日・入金額・残高金額・完済日・延滞の有無・延滞発生日・延滞解消日・強制解約等
  • 保存期間:契約期間中および契約終了日(または完済日)から最長5年

 

自己破産情報

借りたお金を返すことができず、裁判所に破産申し立てを行って自己破産の手続きを行うと、信用情報機関にその情報が登録されます。

 

自己破産情報の保存期間
  • JICC、CICの保存期間:破産から最長5年
  • KSCの保存期間:破産から最長10年

 

「ブラックリスト」とは

金融機関の「ブラックリスト」という言葉を聞いたことがある方もいると思いますが、それが何を意味するのか知らない方も多いと思います。

このブラックリストは、信用情報機関に登録されている信用情報に関連するものです。

 

「ブラックリストに載る」とはどういう意味か

「クレジットカードやローンの支払いを延滞すると、ブラックリストに載ってしまってそれ以降カードが作れなくなる」というような話を聞いたことがある人も多いと思いますが、「ブラックリスト」というリストは実際には存在しません。

「ブラックリストに載る」というのは、「信用情報機関に延滞情報や破産情報が登録されてしまう」という意味です

延滞情報や破産情報が登録されてしまうと、延滞の場合は最長5年、自己破産の場合は最長10年、消費者金融のカードローンやクレジットカードの契約をするのが難しくなります。この期間は、信用情報機関が信用情報を保有している期間です。

金融機関が契約時に支払い能力の調査をする際に、信用情報機関から「この申込者は過去に延滞や破産している」という情報の提供を受け、支払い能力がないとみなしてしまうため、審査が通らなくなるのです。

 

延滞情報として登録されてしまう支払いとは

延滞をした際に、クレジットカード代金の延滞のように信用情報機関に延滞情報が登録される支払いと、水道代のように登録されない支払いがあります。登録される支払いは主に以下のようなものです。

 

信用機関に登録される情報
  • クレジットカード利用代金
  • キャッシング・ローンなどの借り入れ
  • 携帯電話本体代金を分割払いにした場合の携帯料金
  • 奨学金

注意点

携帯電話は基本料金だけなら延滞しても信用情報機関に登録されることはありませんが、本体の代金を基本料金と一緒に分割で支払うプランにしている方は、支払いが遅れると信用情報機関に登録されてしまうため、注意が必要です。

一方、延滞しても信用情報機関に登録されない支払いは以下のようなものです。

 

信用機関に登録されない情報
  • 水道光熱費
  • 家賃支払い

ただし、クレジット払いにしていた場合、残高不足でクレジットカードの支払いの滞納を起こした場合は信用情報に登録されるので注意しましょう。

また、税金も信用情報に登録されないと上げられることもありますが、別の情報(審査時に納税証明書や国民健康保険証の提出など)により滞納が判明する場合もあるのでこれにも注意した方がいいでしょう。

 

延滞情報を消すことはできません

ネット上では「ブラック情報を消す裏技」などの情報が出回っていますが、信用情報機関に登録された信用情報を消すことはできません。

CICのウェブサイトでも、「登録内容が事実であれば、訂正・削除することはできません」と明記されています。

万が一誤った情報が登録されてしまった場合は削除できますが、そうでない場合は残念ながらブラック情報を消すことは絶対にできません

 

信用情報機関同士の情報共有

3つの信用情報機関は、「FINE」「CRIN」という2つの相互交流ネットワークを通じて、一部の信用情報を共有しています。

 

FINE

FINE(Financial Information Network)はJICCとCICの間の交流ネットワークです。

FINEは、申し込み情報や個人信用情報を共有することにより、各金融機関が消費者の他の金融機関からどれくらいお金を借りているのかを正確に把握できるようにするためのネットワークです。

 

CRIN

CRIN(Credit Information Network)はJICC、CIC、KSCの3機関の間で行われる交流ネットワークです。

CRINは、それぞれの機関が保有する信用情報のうち、延滞に関する情報などを共有することにより、各金融機関が消費者にお金を貸しすぎるのを防ぎ、多重債務者の発生を防止するためのネットワークです。

 

信用情報機関への情報開示請求

消費者金融のカードローンへの申込み時に自分の信用情報がどうなっているのか確認したいという場合は、各信用情報機関に情報の開示を請求すれば、自分の信用情報を見ることができます

信用情報を確認することによって、クレジットカード契約やローン契約の審査に落ちてしまう理由がわかることもあります。

 

開示請求の方法

では、JICC、CIC、KSCの具体的な開示請求の方法を説明していきます。

 

JICCの場合

インターネット 郵送 窓口
開示方法 スマートフォンを利用して開示請求し、後日開示情報が郵送されてきます。 郵送で開示請求し、請求後約10日で開示情報が郵送されてきます。 窓口で開示請求し、その場で開示情報を確認できます。
手数料 1,000円 1,000円 500円
支払い方法 クレジットカード・コンビニ払い・銀行振り込み 定額小為替証書・クレジットカード 現金
必要書類 本人確認書類 本人確認書類 本人確認書類

振込先など、より詳しい情報は公式サイトからご確認ください。

JICC株式会社日本信用情報機構

 

CICの場合

インターネット 郵送 窓口
開示方法 パソコンやスマートフォンを利用して開示請求し、インターネット上で開示情報を確認します。 郵送で開示請求し、請求後約10日で開示情報が郵送されてきます。 窓口で開示請求し、その場で開示情報を確認できます。
手数料 1,000円 1,000円 500円
支払い方法 クレジットカード 定額小為替証書 現金
必要書類 なし 本人確認書類 本人確認書類

窓口や郵送先など、より詳しい情報は公式サイトからご確認ください。

割賦販売法・貸金業法指定金融機関CIC

 

KSCの場合

郵送
開示方法 郵送で開示請求し、請求後約10日で開示情報が郵送されてきます。
手数料 1,000円
支払い方法 定額小為替証書
必要書類 本人確認書類(2種類)

郵送先など、もっと詳しい情報は公式サイトからご確認ください。

全国銀行協会個人信用情報センター

 

開示した情報を見るポイント

クレジットカード契約やローン契約の審査に落ちてしまう理由を知りたい方は、以下のようなポイントで開示した情報を見てみましょう。

 

延滞情報

信用情報機関に過去に延滞したという情報が登録されていると、新たに消費者金融のカードローンやクレジットカードの契約をするのが難しくなります。

開示した情報に「延滞」または延滞を表す用語である「異動」と記載されていたら、延滞情報の登録期間である5年以上待ってから申し込むようにしましょう。

 

申し込み情報

申し込み情報には、消費者金融のカードローンやクレジットカードの契約を申し込んだ際に、金融機関が支払い能力の調査のために信用情報機関に照会をした記録が残ります。

照会された件数が多すぎると、新たに消費者金融のカードローンやクレジットカードの契約をする際に審査に落ちてしまう可能性があります

申し込み情報の登録機関は6ヵ月のため、もし信用取引の申し込み過ぎで消費者金融のカードローンやクレジットカードの審査に落ちてしまったと考えられる場合は、6ヵ月を過ぎてから再度申し込んでみましょう。