
マイホームを手に入れるのにお世話になるのが住宅ローンです。しかし、多くの方は生涯を通して住宅ローンを組むのは1、2回ですので、審査の流れ、審査項目、審査基準などを理解していないまま審査に申し込む方がほとんどです。
運よく一発で審査に通過すれば審査について詳しくなる必要がありませんが、残念ながら審査に落ちてしまう方は大勢います。住宅ローンの審査についてある程度の知識を持っていれば、その後の対応方法を適切に選択することが可能になります。
また、最初から審査内容をしっかり把握しておくことには大きなメリットがあります。
審査内容を把握するメリット
- 申込者が通りやすい住宅ローンを選ぶことができる
- 手当たり次第に申し込みしないで済むので、書類提出ややり取りにかかる時間を省くことができる
当ページで説明することで、面倒な住宅ローンの手続きを少しでも楽にし、審査を突破してください。
目次
住宅ローン審査の審査の流れ

基本的なことなのでご存知の方も多いかと思いますが、多くの住宅ローンは審査が2段階になっています。
- 1.住宅ローン事前審査(仮審査)
- 申込者の利用者属性(返済能力と信用力)が中心
- 2.住宅ローン本審査
- 事前審査内容の裏付け、担保物件の価値、健康状態、保証会社(ネットバンク以外)
- 3.融資実行と抵当権設定
- 融資実行と同時に物件は金融機関の担保になる
住宅ローンの融資を受けるには最終的に事前審査と本審査の両方を通る必要がありますし、金融機関によって事前審査と本審査で重視する項目が異なります。
しかし、万一審査に落ちてしまった際に『なぜ審査を落ちたのか?』を考える場合は2つの審査内容の違いを知っていることが重要になります。
事前審査(仮審査)なしの住宅ローンは?
SBI新生銀行の住宅ローンのように事前審査(仮審査)なしで、本審査1回の金融機関もありますが、ほとんどの金融機関は事前審査と本審査に分けて審査が実施されると考えた方がよいでしょう。
事前審査(仮審査)
事前審査では主に申込者の属性を元に返済能力があるかの確認が行われます。事前審査に通過するには主に次の2点が評価されます。
- 返済能力:借入希望額に対して十分な返済能力があるか
- 信用力:お金を貸してもちゃんと返してくれる人か
本審査
本審査では返済能力に加えて、物件の担保価値の評価、金融機関によっては保証会社の審査が実施されます。
返済能力の精査
申込者の収入を裏付けを取るため、住民税決定通知書や課税証明書などの追加書類の提出が求められ、事前審査で申告した収入に虚偽がないかの確認が取られます。
物件の担保価値
購入する物件が担保となるため、購入する物件の資料に基づき担保価値が決定されます。物件の購入金額に対して担保価値が低い場合は審査に通りにくくなります。
健康状態
健康面に不安がある申込者については「長期にわたって返済を続けられないリスクがある」とみなされ、審査の面ではマイナスになります。
また、住宅ローンは団体信用生命保険(団信)への加入が必須となっています。団信へ加入できない健康状態だと審査に通過しません。(後述しますが、団信への加入が必須ではないフラット35という住宅ローンもあります)
住宅ローンの審査期間 ~ 審査に要する時間は?
審査に必要な時間は金融機関によってかなり異なりますが、事前審査申し込みから本審査の結果が出るまで少なくとも1カ月はみておいた方がよいでしょう。借り換えの場合は新規の申し込みよりも短時間で済むため、順調に進めば1カ月未満で本審査まで終了します。
申し込みから本審査通過までに要する時間
- 1.事前審査(仮審査)申し込み ~ 事前審査の結果判明
- 【金融機関】事前審査期間:2日~1週間
- 2.本審査の必要書類の収集・送付
- 【申込者】1週間 ※ 人によって異なります
- 3.本審査の資料提出 ~ 本審査の結果判明
- 【金融機関】 本審査期間:数日から2週間前後
実際の審査期間は申し込みをする季節によってかなり変わります。
1月から3月までは住宅ローンの申し込みが集中します。この間は人員を増やして対応している金融機関もあるようですがそれでも他の期間と比較すると審査に時間がかかります。
新築物件のローンの場合は余裕を持って準備可能な場合が多いですが、春先にかけて中古物件の購入で住宅ローンを組む場合は余裕を持って進めた方が良いでしょう。
追加書類が求められることも
住宅ローンの審査期間を左右することの一つに追加資料の提出があります。金融機関は最初に提出を求める書類を必要最低限にすることで申込者の負担を減らし、より多くの方に申し込み(ひいては契約)をして欲しいと考えています。
金融機関から要求された追加書類がすぐに提出できる類いのものであれば良いのですが、そうでないと書類の入手および提出だけで数日経過してしまうことになります。会社員よりも自営業者や契約社員は、追加資料を求められることが多くあります。
下記の表は主要な金融機関の審査期間についてまとめたものです。
住宅ローンの審査期間
金融機関名 | 事前審査 | 本審査 | 融資までの期間 |
---|---|---|---|
auじぶん銀行 | 数日 | 必要書類提出より7日から10日 | - |
イオン銀行 | 3日から7日 | 7日から14日 | - |
ソニー銀行 | 2日から6日 | 4日から10日 | 1ヶ月から2ヶ月 |
SBI新生銀行 | - | 書類の郵送に約5営業日+ 審査で約7営業日 | 1カ月半以上かかることも |
住信SBIネット銀行 | 3日以内 | - | 1ヶ月 |
三菱UFJ銀行 | 4日以内 | - | - |
みずほ銀行 | - | - | 1ヶ月から2ヶ月 |
三井住友銀行 | - | - | 1ヵ月程度(申込みから融資まで) |
りそな銀行 | - | - | - |
住宅ローンの審査基準 ~ 住宅ローンの審査項目

事前審査と本審査を通じて主に次の4点が評価され、審査に通るかどうかが決まります。
- 返済能力 ~ 借入希望額と収入のバランス
- 信用力
- 物件の担保価値
- 健康状態
1.返済能力
返済能力は借入額と収入で決まります。シンプルですが、住宅ローンの審査においては極めて重要です。
もう一つ重要な点は、収入の継続性です。住宅ローンの場合は返済が数十年におよびますので「将来まで継続安定的に稼ぎ続ける能力」が評価されます。
他のローン(自動車ローンやカードローン)でもこの点は同じですが、より長期での経済力が問われる点が大きく異なります。そのため、収入の金額だけでなく、その継続性が重視されます。
返済能力に関する2つの審査ポイント
収入の金額 | 借入希望額に対して十分な返済能力があるか |
---|---|
収入の継続性 | 将来に渡って収入を維持できる能力があるか |
収入の金額
金融機関が収入の返済能力を評価する際に重視する指標の一つに返済負担率というものがあります。返済負担率とは下記のとおり年収と返済額で決まります。
返済負担率の目安は金融機関によって異なりますが、返済負担率が高すぎると審査に通過しません。
返済負担率
年収に占める住宅ローンの年間返済額の割合
返済負担率や融資比率の目安や、返済負担率が高すぎる場合にどのようにしたらよいかについて以下のページで解説していますので参考にしてください。
住宅ローンはいくらまで借りられる? ~ 返済負担率と融資比率
収入の継続性
収入の継続性については次の2項目が重視されます。
- 今在籍している会社の勤続年数
- 勤務先の会社や雇用形態
転職回数が多い方は勤続年数が短くなり、一般的には不利になります。
勤務先の会社や雇用形態については、公務員や大企業の方が評価されるのに対して、自営業(会社経営者や個人事業主)は公務員や大企業勤務の方と比較するとかなり割り引かれて評価されます。
また営業職の場合、歩合(コミッション)の割合が高いとやはり不安定な職業と判断される3年分の収入を厳しく精査されます。
勤続年数とキャリアアップ転職
キャリアアップの転職であれば、勤続年数が短くてもむしろ高評価になるのでは?」と思う方もいるかもしれません。
一昔前よりも勤続年数が短いから一概にマイナスとはならない金融機関もあるようですが、キャリアアップによるプラスの分は収入に反映されて折り込み済みの評価になっていると考えるべきでしょう
住宅ローン審査の概要 ~ 年収と勤務先、信用情報、担保物件の3つが重要
住宅ローン審査のチェックポイント
返済能力は借入希望額、収入、収入の継続性を評価され、主に事前審査の段階でチェックされます。本審査においては、住民税決定通知書、課税証明書、納税証明書などの公的な書類により、申し込み時の収入情報に偽りがないことが確認されます。
「信用力(次に説明します)の点で問題ないのになぜ審査に落ちたんだろう?」という方は、返済負担率を確認してみましょう。返済負担率が高い場合は、購入するマイホームが少し背伸びしすぎの可能性があります。
「物件の変更はしたくない!」という方は、頭金を多くすることでローンの金額を減らすか、家族とのペアローンや収入合算も検討してみましょう。
2.信用力
事前審査で必ずチェックされるもう一つの重要な審査項目が個人信用情報です。個人信用情報とは、その人の過去の借入や返済の履歴のことで、これらの情報は個人信用情報機関ということころですべて管理されています。
「過去の借金をしたことがないから自分は問題ない」と思われるかもしれませんが、個人の信用情報は自動車ローン、キャッシング(カードローン)などのローンだけでなく、クレジットカードの履歴も管理されています。
カードの使用履歴のみならず、「いつどこのカードに申し込みをしたか」まで記録されています。また、携帯電話をはじめ、分割払いで購入した物品についても記録されています。
信用情報機関や問い合わせ先は住宅ローン審査の概要で詳しく説明していますのでこちらも参照してください。
住宅ローンの事前審査の申し込みをすると金融機関は個人信用情報機関に問い合わせを行い、貸しても大丈夫な人なのか(=信用のおける人なのか)をチェックします。
クレジットカードの利用やキャッシングの借入・返済の情報は5年間記録されています。その間に支払いや返済の遅延の情報が複数回あると、住宅ローンの審査においてかなりマイナスになります。
住宅ローン審査のチェックポイント
事前審査に落ちてしまった場合は信用情報を取り寄せて確認することで、審査に通過しなかった理由がわかるかもしれません。
携帯電話(本体)の分割払いやクレジットカードの支払いをうっかりと忘れて遅れてしまう、ということがありがちです。
もっとも、自分の信用情報を取り寄せて確認したからといって、信用情報の履歴を消すことも変更することもできません。
なぜ取り寄せて確認するかというと、もし信用情報に問題がないことがわかったなら、住宅ローンに落ちた原因は次の2つの可能性が高いと考えられ、対策を立てやすくなります。
- 収入に対して借入希望金額が大きすぎる
- 収入が不安定だと評価され、収入を割り引いて評価された
3.物件の担保評価

金融機関は物件を抵当物として担保することにより、万一借入者からの返済が滞った時に担保物件を売却して貸し出したお金を回収します。そのため住宅ローンの審査では物件の担保価値も評価され、審査結果に影響を及ぼす場合があります。
もっとも日本では住宅ローンの返済ができなくなる融資の割合は非常に低いため、物件の担保価値よりも返済能力に重点をおいて審査をしている金融機関が多いのが実情です。
審査に影響を及ぼす可能性のある物件
都心の新築物件については担保価値が問題になることは相対的に少なく、一方、次のような物件の購入の場合は担保価値による評価により審査に通りづらくなることがあります。
- 中古物件
- 法令に抵触している物件
- 借地権や定期借地権付きの物件
- その他の担保評価が低くなる物件
上記事項に該当したからといって一律で審査に通りづらくなるわけではなく、住宅ローンの契約者の返済能力が高く、借入年数も短い場合は担保物件の評価で審査に落ちる可能性は低くなります。
この辺りは金融機関による違いが大きい部分であるため、実際に住宅ローンに申し込みをして審査結果が出るまでわからないことが多いです。
中古物件
一般に中古物件は長めの返済年数で組むのが難しくなります。特に築年数の長い戸建住宅であると上物の資産価値が購入時点でかなり低くなっており、土地の評価額で担保価値の多くが決まります。
中古マンションについては戸建てよりも築年数の影響を大きく受け、築年数が長くなればなるほど担保価値も下がります。
これは土地が区分所有のため、戸建てで土地をすべて所有している場合よりも土地の分の評価が低くなっているためです。そのため築年数が古い物件は長期の住宅ローンを組むことが難しくなる傾向にあります。
安さが魅力!中古物件や競売物件の購入時の注意点~未登記、リノベーション、格安~
中古マンション購入時のポイント~住宅ローン、所有権、リノベーションなど~
法令に抵触している物件
法令に抵触している物件は新築の場合はないと思いますが、中古物件の場合や住宅ローンの借り換えの場合は物件が建築基準法や都市計画法に抵触している場合がでてきます。
現在の建築基準法や都市計画法に準拠しない物件を建て替える場合、中古物件と同じ大きさで新築することが難しいケースが多いため、担保価値が下がる可能性が高くなります。
借地権や定期借地権付きの物件
借地権や定期借地権付きの物件の購入に住宅ローンの利用を考えている方は注意が必要です。
新規の分譲住宅やマンションであればその不動産提携が借地権付き住宅ローンに対応している金融機関を紹介してくれますが、中古物件の購入やローンの借り換えを行う場合は金融機関によってはそもそも対応していないことがあります。
そのため借地権付きの物件をローンで購入する場合は、借地権付き用の住宅ローンを提供している金融機関を選ぶ必要があります。
今はフラット35だけでなく銀行の住宅ローンでも借地権付きの住宅ローンが増えていますので、最初からそのようなローンに申し込む方がスムーズでしょう。
その他の担保評価が低くなる物件
担保価値が低いために審査を通らないケースは様々あります。以下のページでは担保価値が低く見積もられがちなパターンについていくつか紹介しているのでご参考にしてください。
「高圧線下地、嫌悪施設周辺の土地、埋蔵文化財包蔵地」など注意が必要な土地
「旗竿地」とはどんな土地?安いけれど注意が必要な不整形地
4.健康状態

「返済能力の審査では収入の継続性も評価される」と述べましたが、健康状態は収入の継続性を測る上で重要な項目とみなされています。
団体信用生命保険
また銀行の住宅ローンはほぼ団体信用生命保険(団信)への加入が必須となっていますので、団体信用保険に加入ができないと住宅ローンの審査には通りません。
告知義務
団体信用生命保険では、例えば過去3年および3か月以内に異常の疑いがあった病気や症状を告知する義務があり、アンケートのような形で回答をしていきます。金融機関が提携している引受保険会社が評価を行い、団信への加入の可否が決定されます。
加入が難しい疾患
一般にがんや心臓・脳の病気や糖尿病のように重篤な病気があると加入は厳しくなりますが、治療状況によって個別に判断されるようで、その審査基準も引受保険会社によって若干の違いがあるようです。
団信に入れなかった場合
団体信用健康保険に加入ができなかった場合でも住宅ローンを借りる方法はいくつかあります。
ワイド団信のある住宅ローンに加入する
ワイド団信とは普通の団体信用生命保険よりも加入の審査基準が低めになっている団信です。
多くの金融機関がワイド団信の住宅ローンを提供していますが、いずれも住宅ローンの金利が一般のローンよりも高めに設定されており、平均的には0.3%ほどの金利を上乗せされます。
団体信用生命保険加入が必須でない住宅ローンを選ぶ
ほとんどの住宅ローンが団体信用生命保険加入が必須のなか、下記の住宅ローンは団信加入が審査条件に入っておらず任意加入となっています。
いずれも一般的な銀行の住宅ローンとは少し性質の異なる住宅ローンですので、申し込みをする場合には商品を十分に理解しておく必要があります。
団信加入義務のない住宅ローン
住宅金融支援機構のフラット35 | 審査内容が明確に定められているため、それをクリアすることが最も重要。審査内容は物件がフラット35の定める適合要件を満たしている必要がある |
---|---|
東京スター銀行 スターワン住宅ローン | 預金残高と住宅ローンの金利が連動するという住宅ローン。団信加入なしにするには連帯保証人が必要 |
住宅ローンの必要書類と審査の関係
これまでに説明した住宅ローンの審査基準(返済能力、信用力、担保価値、健康状態)に基づき審査が行われますが、金融機関が申し込み内容の裏付けを取るために大量の書類の提出を求めてきます。
必要書類は下記の表な違いはありますが、いずれも審査基準で説明した内容を真偽の確認のために用いられます。
物件 | 新築と中古物件、戸建てとマンションでは、物件関連で物件関連の書類に大きな違いがあります |
---|---|
会社員と役員・自営業 | 給与所得の方と会社役員や個人事業主のように経営に携わる方では提出書類に違いがあります。確定申告の有無(年収2,000万円以上または複数の収入源)によって違いがあります |
金融機関 | 金融機関によって書類の種類や数の違いが若干あります |
なお、以下で説明するのは民間(主に銀行)の住宅ローンの場合です。フラット35は物件の技術基準と前年の年収基準のみで審査が決まるため、審査で必要な書類もかなり違いがあります。
本人確認書類
- 住民票
- 健康保険証
- 運転免許証
上記書類の一つのみでよい金融機関もあれば3つとも必要な金融機関もあります。運転免許証がない場合はパスポートを求められる金融機関もあります。外国籍の方の場合は別途在留カードや特別永住者証明書が必要なこともあります。
住民票についてはほぼ必須ですが、発行後1カ月以内か3カ月以内のもののみ有効としている金融機関がほとんどです。
住宅ローン審査のチェックポイント
本人確認書類が問題になることはほとんどないと思いますが、引っ越しなどにより書類によって住所が異なる場合は注意が必要です。事前に最新の住所に更新しておくのがベストですが、何か理由があり難しい場合はその理由を金融機関にしっかりと伝えましょう。
収入証明書
会社員(公務員なども含む)などの給与所得者と、経営者(会社役員や自営業者)では必要な書類が異なります。下記の書類すべてが必要なわけではなく、「下記の書類のうちあるものは提出させられる」とお考えください(例えば、確定申告をしていないのに確定申告書の提出を求められることはありませんのでご安心を)。
会社員の場合(収入証明書として認められる書類)
- 源泉徴収票
- 住民税決定通知書または課税証明書
- 確定申告書(年収2,000万円超や複数給与所得の場合)
会社員で所得が給与所得のみの方は確定申告をしていないので、最初の2つの書類のみで、直近1年分の書類が必要となります。多くの方は、源泉徴収票と住民税決定通知書を勤務先から取り寄せるだけですが、住民税が給与から天引きされていない(住民税特別徴収でない)方は、市役所で課税証明書を発行してもらうことになります。
経営者の場合に追加で求められる書類
- 納税証明書(所得税)
- 会社の決算書(法人の場合)
- 法人税の納税証明書(法人の場合)
- 個人の預金口座の明細(通帳など)
経営者の場合は、個人の収入を証明する書類に加えて法人の経済状況も審査の対象になる点が会社員との大きな違いです。
住宅ローン審査のチェックポイント
確定申告書を含め、ほとんどの書類は直近3年分の提出が求められることになります。このため起業してから3年未満の方は住宅ローンの審査が非常に厳しくなる傾向にあります。
物件関連の書類
これから物件を建設する場合(新築)と、既に建物がある物件(建売やマンション)で必要な書類が異なります。また、マンションか戸建てか、マンションでも新築か中古か、によって種類が異なります。
主な書類は下記になります。
物件の売買の場合
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 間取り図 (パンフレットやチラシなど)
- 登記簿謄本
- 物件地図
- 建築関連書類(建築確認申請書、建築確認済書、配置図など。戸建ての場合のみ)
これから新築する場合には売買契約書や重要事項説明書は不要になりますが、建設工事の請負契約書が必要になります。
住宅ローン審査のチェックポイント
特殊な場合を除き新築の場合は担保価値の不足によって審査に落ちることはありません。一方中古物件の場合は担保価値が不十分とみなされ審査に落ちる場合があります。物件の価値を変えることは不可能ですから、対応策としては頭金を増やして借入額を減らすことが必要です。
既存のローンに関する書類
マイカーローン、教育ローン、カードローン、住宅ローンなど、他の借入がある場合には次の書類が必要になります。また、住宅ローンを借り換える場合にも同様の書類が必要になります。
- 返済予定明細表
- 融資残高証明書
住宅ローン審査のチェックポイント
他の借入については信用情報でチェックされる上に返済予定表などの提出も求められます。また、金融機関によっては過去の返済状況を確認するために、ローンの引き落としに指定している銀行口座の通帳も確認される場合があります。
住宅ローンを組むのに家族を連帯保証人にしている場合は、連帯保証人の借入状況もチェックされます。申し込み時に嘘をついても必ずバレますので、虚偽のない申請をすることが大切です。
健康診断書
多くの金融機関では5,000万円以上のローンを組む場合、健康診断書の提出が必要になります。健康診断書は金融機関の指定のフォーマット(もしくは指定要件を満たした健康診断書)が求められます。
一方、5,000万円未満の場合は、健康に関する質問に答えるのみで、健康診断の結果に関する証明書の提出は必要ありません。
その他
申込者によっては次の書類の提出を求める金融機関もあります。
- 給与や賞与明細
- 履歴書
- 国家資格証明書
転職直後や起業まもない自営業者(個人事業主や会社役員)の場合は、現在の職業での源泉徴収票や確定申告書を持っていないケースがあります。そのような場合に現在の収入を証明する資料として給与明細や賞与明細が必要になります。
同様に直近で職業が変わった方については、履歴書を提出し職業を変わった理由の説明が求められる場合があります。
弁護士や医師など返済能力に直結する資格を持っている場合、その職業についていることを証明する一環として資格の証明書が必要になる場合があります。
金融機関によって異なる提出方法 ~ 郵送 vs ネット
多くの金融機関が「申込書類と共に必要書類を送付」という書類送付方法をとってます。アプリやネットからのアップロードもありますが、画像に欠けなどがあると受理できないこともあるので、注意事項をよく確認しながら行いましょう。ネットやアプリの場合、郵送にかかる時間を節約できるので急いでいる方は利用するといいでしょう。
金融機関 | 書類提出方法 |
---|---|
auじぶん銀行 | ネットによるアップロード、郵送・FAX |
三井住友銀行 | アプリによるアップロード |
ソニー銀行 | 郵送 |
SBI新生銀行 | 郵送 |
住信SBIネット銀行 | 郵送 |
りそな銀行 | 郵送 |
三菱UFJ銀行 | 郵送 |
イオン銀行 | 郵送 |
みずほ銀行 | 郵送 |
審査に落ちてしまったら、チェックしよう
審査に落ちてしまったら、次の審査に向けて何か問題だったのか洗い出して、対策を練ることが最善です。
申し込み条件を再確認
年齢、年収の制限など、金融機関ごとに制限があります。これらを満たさないと審査には通らないので最初にチェックすべき項目です。各項目を確認してみましょう。
申し込み条件1:年齢
銀行名 | 申込み年齢 | 完済時年齢 |
---|---|---|
auじぶん銀行 | 18歳以上65歳未満 | 80歳の誕生日まで |
ソニー銀行 | 20歳以上65歳未満 | 80歳の誕生日まで |
SBI新生銀行 | 20歳以上65歳以下 | 80歳未満 |
住信SBIネット銀行 | 18歳以上65歳以下 | 80歳未満 |
りそな銀行 | 20歳以上70歳未満 | 80歳未満 |
三菱UFJ銀行 | 20歳以上70歳の誕生日まで | 80歳の誕生日まで |
三井住友銀行 | 20歳以上70歳の誕生日まで | 80歳の誕生日まで |
イオン銀行 | 18歳以上71歳未満 | 80歳未満 |
みずほ銀行 | 20歳以上71歳未満 | 81歳未満 |
上記で取り上げた金融機関の下限は共通して「20歳以上」です。上限は65歳区切りと、70歳区切りの銀行に大別できます。
注意したいのは未満と以下、誕生日までという区切りがあることです。70歳ぎりぎりで申込みをする方は少ないかもしれませんが、65歳に近い方は注意しましょう。
申し込み条件2:年収制限
申込み条件に年収制限がある金融機関もあります。
銀行名 | 給与所得者前年度年収 | 自営業者前年度所得 |
---|---|---|
イオン銀行 | 100万円以上 勤続6ヵ月以上 |
100万円以上 事業開始後3年経過 |
りそな銀行 | 勤続1年以上 100万円以上 |
営業年数3年以上 |
auじぶん銀行 | 200万円以上 | 200万円以上 |
SBI新生銀行 | 300万円以上 勤続2年 |
2年平均300万円以上(経費を差し引いた後の金額) 業歴2年 |
ソニー銀行 | 400万円以上 | 400万円以上(申告所得) |
年収制限で比べると100万円以上から400万円以上と幅があります。年収以外にもSBI新生銀行やりそな銀行、イオン銀行は勤続(営業)年数が条件としてあげられています。他の銀行は勤続年数は条件としては明記していませんが、審査で確認されるので注意しましょう。
公式サイトに年収制限が明記されていない金融機関は以下の通りです。このうち、三菱UFJ銀行は金額は「年収による制限があります」と制限自体はあるようです。下記の金融機関の場合は銀行に直接問い合わせを行った方がいいでしょう。
- 住信SBIネット銀行
- 三菱UFJ銀行
- 三井住友銀行
- みずほ銀行
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