ドル札

金融に興味を持って様々なニュースを眺めていると毎日必ず【為替相場】が目に入るでしょう。為替相場とは「1ドル=110円」や「1ユーロ=130円」など通貨の交換単位の相場のことです。

この為替相場はどのように決まっているのでしょうか。また、投資するならば円で投資するのと外貨で投資するのはどちらがお得でしょうか。順番に解説していきます。

(特に注釈がない限り、本ページの為替はドル・円の相場のことを指します。)

また、他の投資については下記リンクのページで、メリットデメリットと共に紹介しているので合わせて読んでみてください。

お金を増やす!【初心者向け】初めて投資する前に知っておきたい投資10選。メリット、デメリットで比較

 

為替はなぜ変動するの?どうやって価格が決まるの?

為替変動

為替は生き物、と言われています。毎日値段が変動し重要な経済イベントがあると、大きく値段が変わったりします。

でも、為替が変動するようになったのは実はここ40年くらいの話なのです。それまでは固定相場でした。

それが刻々と変化する経済状況や世界情勢に対応するために、変動相場制を採用するようになったのです。

 

為替はなぜ変動するか

基本的には、為替の値動きは他の商品の値動きと大きく大差ありません。例えばレタスが不作等で品薄になれば、1個450円に値上がりし、逆に豊作でレタスが余れば1個120円に値下がりしたりします。

為替においても基本的には需給で決まります。

例えば貿易をする際、他国の通貨が必要になります。1ドル=100円をベースとしたときにドルを必要とする人が多ければ、1ドル=110円でも買うかもしれませんね。

また、ドルを売って円を必要とする人が多ければ、1ドル=90円に下がるかもしれません。原則は、需給によって決まるということを抑えておけば大丈夫です。

 

円安と円高って何?

ちなみに、1ドル=100円から110円になることを「円安」、90円になることを「円高」と言います。

円の価値が下がることを「円安」、円の価値が上がることを「円高」と言います。紛らわしいですが、しっかり理解しておきましょう。

 

為替を決定する2つの主要理論

為替を決定する要因は様々です。最近ではトランプ大統領の発言によって、為替が円高に振れることもあります。

本当に様々な要因や心理的要因によっても大きく変動するため、為替の正確な予想をするのは、プロでも不可能です。

とはいえ、一定のルールのもとで経済は動いています。今回は、為替の変動要因である主要な2つの理論を紹介したいと思います。

 

購買力平価説

購買力平価説とは、為替は、2国間の通貨の購買力の差によって、相場が決定するという説です。

つまり、インフレとデフレが通貨の価格決定において大きな影響を果たす、ということです。

この説は、一物一価の法則を前提にしています。一物一価の法則とは、同じ製品であれば異なる国であっても価格が同一である、という法則です。

インフレというのは、物の値段がだんだんと上がっていく状態です。つまり、100円で買えたものが来年には110円を出さないと買えない、という状態です。

逆にデフレは、物の値段がだんだんと下がっていく状態です。100円で買えたものが90円で買えるという状態です。

日銀をはじめ、各国の中央銀行は、緩やかなインフレを目標としているところが多いです。

極端な例ですが、アメリカはインフレで物価が翌年に2倍、日本はデフレで物価が翌年に半分になるケースを想定してみましょう。

1ドル=100円で、ある時ドライヤーが10ドル1000円で販売されていたとします。

翌年は、アメリカではドライヤーの価格が20ドルになります。一方、日本では500円で買えるようになります。

ドライヤーの価値は同じなので、20ドル=500円になり1ドル=25円になる、つまり、円高が進んでいるという状況です。

これが購買力平価説の基本的な考え方です。

ビッグマック指数

購買力平価説の有名な指標に、ビッグマック指数というのがあります。ビッグマックをベースとし、各国の通貨の購買力を比較する、という方法です。残念ながら、購買力平価だけで為替が決まるわけではないので、ビッグマックの価格は各国によって異なりますが、面白い考えかたですよね。

 

中央銀行の金利差

もう一つは「中央銀行の金利差により、為替が決定する」という理論です。

これは、投資家は合理的な選択をする、という概念に基づいて考えられています。たとえばアメリカの銀行が金利10%で、日本の銀行は金利0%だとします。

その場合、1年預金をするとアメリカの銀行の場合は、10%資産が増えるのに対し日本の銀行は資産が変わりません。

そうなると、投資家はアメリカの銀行に預金をしたくなります。そのため、ドルの人気が出て円が不人気になる、結果「ドル高円安が進む」という理論です。

銀行の預金金利は、中央銀行の政策金利から計算されて設定されています。なので、中央銀行の政策金利は非常に重要な指標なのです。

中央銀行の政策金利が上がれば、一般的に預金金利も上がります。現にアメリカの中央銀行的役割であるFRB(連邦準備制度理事会)が、利上げに対し慎重な発言をしただけで大きく円高に動いたことがありました。

 

2つの理論

金利はその国のインフレ率や、景気とも大きく関わってきます。そのためこの2つの理論は独立した理論ではなく、お互いに相関しあっているのです。

もちろんこれだけではなく、政治的な要因や行動経済学等、様々な要因で為替は変動します。ただ、これらの理論を知っておくと、ニュースの見方も変わってくるのではないでしょうか。

 

ドル投資をやってみよう!

円とドル

為替相場が変動することと、変動には様々な要因があることはできたと思います。では、実際にドル投資をする際のポイントについて解説します。

 

なぜ、ドル投資なのか?

そもそも、なぜ円投資でなくドル投資がよいのでしょうか。2つのポイントから解説していきましょう。

 

米ドルの金利上昇傾向

ポイントは、米ドルは金利が上がり始めているという点です。日本もアメリカも、リーマンショック以降ゼロ金利と呼ばれる状況が続いていました。

政策金利が、日本は0.1%、アメリカは0.25%という状態が長く続いておりました。

2015年12月にアメリカはまず政策金利を0.25%あげて、0.5%にしました。そのあと、2016年に0.75%にあげて2017年度は2~3回程度の利上げを見込んでいます。

2017年8月現在、アメリカの政策金利は1.00%です。

 

日本の状況は?

一方、日本の金利は変わっておりません。日銀はインフレ率2%を目標としています。インフレ率2%が継続的に達成できると、ゆるやかに景気が回復している状態であると言えるからです。

ただし、先日も日銀はインフレ達成目標を延期しました。これは日本の景気回復がまだまだ途上にあるということです。もしかすると、さらなる金融緩和もあるかもしれません。

 

アメリカの今後の動きは?

アメリカは、各種経済指標が好調に推移しています。ダウ平均と呼ばれる株式指標も過去最高を更新し続けています。年内、もう1回の利上げはほぼ確実視されており、来年度も継続的な利上げが期待できる状況です。

アメリカの利上げがあるということは、さらに「円安に振れる可能性がある」ということです。同じ金額を預けても、長期的には戻ってくる額が円ベースでは増えることもあるのです。

こういう状況なので、ドルで預金を運用した方が利回りもよいのです。円でほとんど増えない預金を持っておくくらいなら、ドルで少しでも利子が付いた方が「お得」と言えるでしょう。

 

お買い得なドルの買い方は?

では、実際、どのようにドルを買えばいいのでしょうか?

安く買って高く売るのがもちろん理想ですが、実際は、値動きが読めないのでピンポイントで買うのは難しいでしょう。

投資の格言に「上がり始めたら買え、下がり始めたら売れ」というものがあるように、一番いいところで買うことに執着していては機会損失をする可能性があります。

 

ドル・コスト平均法

おすすめの買い方は、ドル・コスト平均法と呼ばれるものです。ドル・コスト平均法とは、毎月決まった日本円でドルを買う、という手法です。

これだと、ドルが高いときは少量、安いときは多量に買えるので、結果、よりお得にドルを買うことができるのです。具体的に見てみましょう。

たとえば3ヵ月の相場が、1ドル=100円・110円・90円と動くとします。毎月10万円ずつ買うのと、毎月1000ドルずつ買うのではどちらが効率がよいでしょうか。

毎月1000ドルずつ買う場合は、それぞれ10万円・11万円・9万円なので、30万円で3000ドル手に入れる形になります。

一方、毎月10万円ずつ買う場合は、1000ドル・909ドル・1111ドル手に入るので、30万円で合計3020ドル手に入る形になります。

90円のときに多くドルを買えて逆に110円のときは少なく買うので、結果的に多くドルを手に入れることができるのです。

 

初心者におすすめなワケ

毎月決まった額を定期的に買うのも、心理的には難しいでしょう。ただ、相場を読むより確実に合理的にドルを買うことができるのです。ドル・コスト平均法は、初心者にもおすすめの投資手法です。

 

実際にドル預金を始めるなら、この金融機関がおすすめ

では実際、ドル預金はどのように始めればいいのでしょうか。

 

日本?海外どちらの銀行?

アメリカの銀行口座を開けて取引を行うという方法もありますが、そもそも口座開設自体のハードルが高く、また、送金手数料等もバカにならないので個人的にはおすすめしません。

日本の各銀行でも、外貨預金サービスという形で外貨預金を行っている場合が多いので、そちらをおすすめします。

 

交換手数料に注意!ネット銀行がおすすめ

一点だけ注意したいのは外貨の交換手数料です。

たとえば大手銀行であれば、売り買いでそれぞれ1ドルあたり0.25円~0.3円の手数料をとっている場合が多いです。

一方ネット銀行であれば、0.15円~0.2円程度と比較的安い手数料で交換を行ってくれます。たかが0.1円程度の差ですが、塵も積もれば山となります。

特に住信SBIネット銀行はキャンペーンも多くやっており、時期によっては0.04円と非常に安価な手数料で交換を行ってくれる場合があります。

アプリでの売買も非常に簡単なので、初心者にはおすすめの金融機関と言ってよいでしょう。

 

まとめ

このように、円で預金をするだけでなく、円高・円安の仕組みを理解しながらドルで投資をすることで、今まで以上にお得に稼げるかもしれません。また、常に為替を意識することできっとビジネスシーンで役立つこともあるでしょう。

まずは少額からでも始めることができるのがドル投資のいいところです。無理のない範囲で、ぜひトライアルしてみてはいかがでしょうか。